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Entry 2021/11/30
Update

地獄が呼んでいる最終回6話ネタバレあらすじ感想と結末評価。シーズン2はいつ⁈Netflixドラマが待ち遠しいヨン・サンホ監督の秀作

  • Writer :
  • 増田健

Netflixドラマ『地獄が呼んでいる』を各話完全紹介

新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016)と長編アニメ映画『ソウル・ステーション パンデミック』(2016)をヒットさせ、韓国を代表するアニメ監督からホラー映画の第一人者となったヨン・サンホ。

『新感染』シリーズの続編『新感染半島 ファイナル・ステージ』(2020)もヒットを記録、その実力を世界が認めます。

その彼が手掛けるNetflixオリジナルドラマ、『地獄が呼んでいる』が2021年11月19日(金)より、全世界に配信されました。

第5話で、生後間もないの我が子を”試演”から救おうと、秘密組織ソドに接触したテレビ局のプロデューサー、ペ・ヨンジェはソドのリーダー、ミン弁護士から驚くべき提案を受けます。

それは赤ん坊の試演される姿を中継したい、との申し出です。思わぬ話に言葉を失うヨンジェですが、新真理会の嘘を世界に示すチャンスです。悩みぬいた上で妻ソヒョンに相談したヨンジェ。

自分たちの支配を邪魔する組織、ソドに気付いた新真理会。幹部のユジ執事は狂信者の”矢じり”たちを利用し、非合法な手段と暴力を用い反撃に転じます。

辛くも”矢じり”の襲撃を逃れたミン弁護士。その頃ソヒョンは、”天使”に死を予言された我が子を抱き、新真理会本部ビルに入ろうとしていました…。

【連載コラム】「ある日、地獄行きを告げられた」Netflixドラマ『地獄が呼んでいる』を完全紹介の記事一覧はこちら

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ドラマ『地獄が呼んでいる』の作品情報


Netflixオリジナルシリーズ『地獄が呼んでいる』

【配信】
2021年(韓国ドラマ)

【原題】
지옥 / Hellbound(英題)

【監督・脚本】
ヨン・サンホ

【キャスト】
ユ・アイン、キム・ヒョンジュ、パク・ジョンミン、ウォン・ジナ、ヤン・イクチュン、キム・ドユン、キム・シンロク、リュ・ギョンス、イ・レ

【作品概要】
「新感染」シリーズのヨン・サンホが手掛ける、世界に向け配信された全6話のホラードラマ。この作品は彼が2003年に発表した短編アニメ映画を発展させた作品です。

彼はドラマ配信に併せ、1980年代の韓国民主化闘争を描いたグラフィック・ノベル『沸点 ソウル・オン・ザ・ストリート』を描いたチェ・ギュソクと共作で、この作品の原作となるコミック『地獄』を発表しました。

それだけが、僕の世界』(2018)や『サバハ』(2019)、『スタートアップ!』(2019)のパク・ジョンミン、『英雄都市』(2019)のウォン・ジナが夫婦を演じ、恐るべき事態に翻弄されます。

冷酷な宗教団体幹部を演じるのは『梨泰院クラス』(2020~)、『都会の男女の恋愛法』(2020~)のリュ・ギョンス、彼らと対決し夫婦を助けようとする人物にはドラマ『愛人がいます』(2015~)や『ウォッチャー 不正捜査官たちの真実』(2019~)のキム・ヒョンジュ。

そして”骸骨野郎”(Skull Mask)として圧巻のパフォーマンスを見せ、今回意外な形で登場する人物を『コクソン/哭声』(2016)、ヨン・サンホ監督作『サイコキネシス 念力」(2018)や『新感染半島 ファイナル・ステージ』に出演のキム・ドユンが演じます。

トキメキ成均館スキャンダル』(2010~)や映画『バーニング 劇場版』、『#生きている』(2020)に出演のユ・アイン、『あゝ、荒野 完全版』(2017)のヤン・イクチュン、『新感染半島 ファイナル・ステージ』の演技が絶賛されたイ・レらが共演した作品です。

ドラマ『地獄が呼んでいる』第6話のあらすじとネタバレ


Netflixオリジナルシリーズ『地獄が呼んでいる』

電話に出たペ・ヨンジェ(パク・ジョンミン)に、新真理会と”矢じり”は一味だ、昨晩の”矢じり”の襲撃の場には新真理会の執事もいた、と告げるミン・ヘジン弁護士(キム・ヒョンジュ)。

ミン弁護士は新真理会や”矢じり”に、赤ん坊が”天使”から死の予言を受けたと知られれば、ヨンジェも妻ソヒョン(ウォン・ジナ)の身も危ないと警告します。

それを聞き妻に電話するヨンジェ。しかし新真理会本部の受付にいるソヒョンは、電話に出ること無く職員に案内されて行きました。

ヨンジェの元に妻から、我が子トゥントゥンが天使から告知を受けた理由を、新真理会に確認するとのメールが届きます。それを見て慌てて職場から飛び出したヨンジェ。

ソヒョンは新真理会の幹部ユジ執事(リュ・ギョンス)と相談室で面会すると、我が子に天使が死を予言する姿を撮影した動画データを渡します。

同じ頃ヨンジェは、妻が新真理会本部に行ったとミン弁護士に連絡します。何としてもソヒョンと赤ん坊を救おう、私も本部に向かうと告げたミン。

ユジ執事に告知が間違う事もあり得るのか、生まれたばかりの子に罪があるのか、と問いただすソヒョン。ユジは答えず検討すると言い残し部屋を去りました。

ユジは職員にソヒョンを返さぬよう、サチョン執事には彼女を監視するよう命じます。そしてキム・ジョンチル議長に連絡して、委員会の招集を要請します。

新真理会の幹部たちは問題の動画を見ました。キム・ジョンチル議長が意見を求めると。この動画が公表されれば、人々は新真理会の教えを疑うとの意見が出ました。

それを聞いた議長は、まず母親と子供を別々に隔離し、動画の存在を知る者を探し出せと指示します。その命令に従うユジ執事。

ソヒョンのスマホに、夫から逃げろとのメールが届きます。サチョン執事が職員を連れ相談室に向かった時、新真理会本部の駐車場に着いたヨンジェは、抵抗組織ソドのメンバーを引き連れたミン弁護士と合流します。

サチョンたちに子供を取り上げられ、返してくれと訴えるソヒョン。一方新真理会本部には、コン教授殺害の犯行声明を出した”矢じり”に対する、議長のコメントを求める記者たちが殺到していました。

その時ソドのメンバーの1人が、告知を受け10分後に試演されると大声で叫びます。その男に新真理会職員と記者たちが殺到した混乱に紛れ、建物の奥へと進むヨンジェとミンたち。

抵抗するソヒョンを、サチョンたちが赤ん坊から強引に引き離そうとした時、ヨンジェたちが現れました。ミンは特殊警棒を武器に職員を次々倒します。

格闘の末、ソヒョンと赤ん坊を助けたミンたち。駐車場に向かい車に乗りますが、阻止しようと大挙して現れる新真理会職員と警備員たち。

それを振り切って脱出すると、彼らは車を乗り換え逃亡します。母子に逃げられたと報告したユジ執事は、ジョンチル議長に激しく打たれ叱責されます。

明日の赤ん坊の試演が世界に知られると、神の行動は原則に従っていないと思われ、人々は大混乱に陥り世界が終わると叫ぶ議長。今後は小さな事でも報告しろ、”矢じり”も利用して世界の崩壊を防ぐのだと命じる議長。

隠れ家として、ミンは夫婦を告知を受け試演を待つ者の住み家に案内します。そこは廃墟と化した大規模スーパーの建物でした。現れた男は丁重に一行を迎え入れます。

試演まであと一日、赤ん坊が試演される姿が世界を救う。新真理会は殺人を犯しても、その事実をもみ消そうとする。申し訳ないが急ぎ結論を出して欲しいと語るミン。

隠れ家の住人の男は、その子に罪があるはずがないと話しかけます。自分は熱心な新真理会信者だったが、天使から死の予言を受けたと告白する男。

どう考えても自分には罪は無い。自分で気付かぬ罪を犯したのかと考えて苦しかった。人は誰もが死ぬが、地獄に行かねばならぬ自分が憎いと、男は涙ぐんで語ります。

自分は罪を犯していない、しかし地獄に行く。この子はそういった者の苦しみと無実を、自ら証明してくれる存在だと語る男。その話を聞きうつろな表情のまま、私たちに選択権があると思うのか、とつぶやくソヒョン。

試演を受ける赤ん坊の姿を、世間に見せるしかないとソヒョンも考えていました。男は自分は以前、ライブ配信をしていたと言います。配信すれば多くの人が目にするだろうと。

そして機材の準備し始める男。家の棚には動物の骨、あの”骸骨野郎”(Skull Mask)が身に付けていた頭蓋骨がありました。

カメラの前に立ったミン弁護士は、まず赤ん坊が告知される動画を紹介します。何の罪で生後間もない子が罰を受けるのか、と視聴者に問いかけるミン。

この子の試演は明日の午後9時30分と告げたミン。罪のない新生児の試演を生配信する、判断は皆さんにお任せすると語ります。

新真理会はこの災難を、神の審判と呼ぶの止めるべきだ、と話すミンを新真理会の幹部たちも見ていました。

意見を求めたジョンチル議長にある幹部は原罪論、人には生まれもった罪があると説明すべきだ、と提案します。しかし別の幹部はそれを認めては我々は力を失う、プロテスタントの教えと何が違うのかと反論します。

今の動画も試演の中継も捏造だと主張する案は、新真理会の試演中継も捏造と否定されかねないと反論されます。幹部たちの意見はまとまりません。

翌朝、ミンはソドの仲間にヨンジェ夫婦の亡命や、赤ん坊が試演される場所を手配していました。我が子を抱くソヒョンに、試演を見る必要は無いと告げたミン。

その言葉を聞き、最初は赤ん坊の泣き声が怖かったと語るソヒョン。でもようやく判った、赤ちゃんは助けてくれと言っているんだ、彼女はそう言葉を続けました。

生き続けたいから、助けて欲しいと泣く。誰かにこんなに強く助けを求められるのは初めてだ、とミンに話すソヒョン。私は最後まで子供といる、彼女はそう告げます。

買い物に出ると告げ外に出る住人の男。かつて男は”骸骨野郎”として、”矢じり”たちを扇動する配信を流していました。新真理会2代目議長ジョンチルが、”矢じり”を含まぬメンバーで教団の執行機関、執事団を結成した際にはそれを非難していました。

その直後に天使から死と地獄行きを予言された、”骸骨野郎”ことイ・ドンウク(キム・ドユン)。隠れ家を出るとジョンチル議長に電話します。

議長と幹部たちに、自分はかつて新真理会の熱心な信者だった、と告げるドンウク。チョン・ジンス議長時代からの信者である自分は、お前たちより神の意図を知っていると叫びました。

俺は新真理会の教義に反していないのに、3年前に告知されたと話すドンウク。ソドのメンバーにも伝えていないが、俺の試演される時刻は赤ん坊の5分後だ。

これは何のメッセージだ、と混乱して問いかけるドンウクに、あなたは救世主だと吹き込むジョンチル議長。

これは絶対的なメッセージだ、神もミスをする。新生児に告知するミスを犯した神は、それが人々に混乱を巻き起こさぬよう考えた。

あなたが神のミスを見事に隠せば、今後神はあなたに感謝すると議長は告げました。

救世主とおだて場所を聞き出そうとするジョンチルに、ドンウクは神が俺を選んだ、執事たちにこの栄光は譲らない、場所のヒントだけ教えてやると叫びます。

ヒントとしてスマホをその場に捨てるドンウク。肝心の赤ん坊を隠れ家を聞き出せず、思わず声を荒げたジョンチル議長に、電話の発信位置を追跡しようと提案するユジ執事。

通信会社と警察に協力させ、人員を総動員して邪魔者を確保しろ、と命じる新真理会議長…。

以下、ドラマ『地獄が呼んでいる』第6話のネタバレ・結末の記載がございます。ドラマ『地獄が呼んでいる』第6話をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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Netflixオリジナルシリーズ『地獄が呼んでいる』

運命の日の夜、ミン弁護士の手配した迎えの車が駐車場に現れます。しかし降りた秘密組織ソドのメンバーは、潜んでいた”骸骨野郎”姿のドンウクに襲われます。

夫ヨンジェに見守られ、幼いトゥントゥン抱くソヒョン。今は彼女も我が子の試演を、人々に見せなければと決意しているようでした。

ドンウクのスマホの場所を確認した新真理会は急ぎ現地に向かいます。迎えが現れず連絡もつかない中、ヨンジェは部屋の外に出ました。

警察と共に到着した新真理会。ユジ執事はすぐにドンウクのスマホを見つけます。ヨンジェは通路に倒れ、うめき声をあげる人物を見つけます。

彼らを迎えに来たソドのメンバーは、首を切り裂かれており息を引き取りました。そして包丁を持って笑う、異様な姿のドンウクに気付くヨンジェ。

なぜこんな事をしたと問われたドンウクは、俺の試演は赤ん坊の5分後だと打ち明け、神のミスを隠す計画を語り始めます。

まず目の前のヨンジェを殺し、そしてソヒョンもミン弁護士も殺す。赤ん坊の試演は俺の部屋で行わせ、すぐその遺体を始末する。

その直後に俺の試演が始まれば、見る者は誰の試演かあいまいになる。神はミスを起こし、その尻ぬぐいは俺にさせると叫び、高笑いしたドンウク。

俺は今、神に一番近い人間だ。そう叫んで襲いかかったドンウクに、ヨンジェはミンから渡されたスタンガンを突き付けます。

狂気に支配されたドンウクは。逃げたヨンジェを追うと階段から突き落とします。ドンウクは部屋に戻り母子に襲いかかりました。

ミンが抵抗し、その隙に赤ん坊を抱いて逃げるソヒョン。部屋の外には粉雪が舞っています。騒ぎに気付いたのか、廃墟化した巨大スーパーマーケットに住みついた人々が、赤ん坊を抱く彼女の姿を見守っていました。

吹き抜けになった廃墟内の広場の中央に立ち、人々に赤ん坊は間もなく試演を受ける、その光景を見て欲しいと訴えるソヒョン。

それを聞きなぜ赤ん坊が試演ざれる、と疑問を抱く人々。その光景をスマホで撮影し、中にはネット上に中継する者もいました。

その動画に気付いたユジ執事は、仲間と共にその場所へ急ぎます。ソヒョンは雪が舞う中、涙ぐみながら広場の中央に赤ん坊を置こうとします。

我が子に対して、お母さんは最後まで一緒にいる、と語りかけるソヒョン。彼女は泣きながら同時に笑っていました。車でその場所に向かうユジ執事。

俺に残された時間は無いと暴れるドンウクを叩きのめし、部屋の外に出たミンは広場に立つソヒョンを目にします。そして、あの轟音が聞こえました。

3人の予言の実行者が降り立ち、見守る人々は悲鳴を上げました。赤ん坊に向かった怪物を見て、思わず身を投げ出し我が子をかばうソヒョン。

意識を取り戻し広場に現れたヨンジェは、赤ん坊を抱き予言の実行者から逃れようとする妻の姿を目撃します。彼は怪物に挑みますが、無駄でした。

ヨンジェやミン弁護士を払いのけ、赤ん坊に迫る予言の実行者。ソヒョンは必死に子供を守ります。かばうおうとした妻子と共に怪物に殴り飛ばされたヨンジェ。

トゥントゥン抱いたまま倒れたソヒョンに覆いかぶさり、そのまま抱きしめると、3人の体を落ちていたホースで縛るヨンジェ。我が子をかばう夫婦に構わず、3人の予言の実行者は赤ん坊に手をかざします。

周囲は白い光に包まれました。ミン弁護士や人々が見守る中、幼子を地獄に送る試演が行われます。全てが終わると、いつも通り去って行く3人の予言の実行者。

ヨンジェとソヒョンの焼け焦げた遺骸を見て、うめくような叫び声を上げるミン弁護士。しかし彼女の耳に、そして周囲の人々に、赤ん坊の泣き声が聞こえてきます。

ナイフを持って現れたドンウクが夫婦の遺骸を崩すと、中から泣き声を上げる赤ん坊が姿を現します。それを見て激しく動揺し、神のメッセージは複雑すぎて理解できない、とつぶやいたドンウク。

狂気に囚われ、計画通り進めると叫び赤ん坊に包丁を振りかざすドンウクに、ミン弁護士が飛びかかりました。

2人は激しく争いますが、ミンを振り払い赤ん坊に向かうドンウクの前に、予言の実行者が現れます。圧倒的な力で引きずられ、試演されて焼け焦げた死骸になったドンウク。

傷付いた体で立ち上がったミンは、泣き続ける赤ん坊を抱きました。粉雪が舞う中歩き出したミンと赤ん坊の姿を、集まった人々が見守ります。

そこに新真理会の者たちが現れ、ユジ執事はミンを捕らえろと叫びます。しかし人々に邪魔され進めず、邪魔だ、神の意図に反するなと叫ぶユジ執事。

彼を詐欺師と叫ぶ老人が現れます。その老人に飛び掛かかり倒したユジ執事は、神の意図に反するな怒鳴り、人々が見守る中で何度も殴りつけます。

警官に早くミンを追えと命じたユジは、その警官に暴行の現行犯で逮捕されます。神の原則が無ければこの世は終わる、罪人が増えると叫びながら、ユジは連行されました。

ソチョン執事たち残された新真理会の者は諦めて引き上げます。赤ん坊と共に外に出ると、通りかかったタクシーに乗り込んだミン。

大通りに向かわせるミンに、警察の検問を避けるため迂回しようと告げる運転手。彼は乗客がミン・ヘジン弁護士と知っていました。

神が何か知らないし、興味も無い。確かなのはここは人間の世界。人が世を回さなければ…とミンに話しかける運転手。

赤ん坊を抱きしめたミンを乗せたタクシーは、夜の街を走り去って行きました。

…同じ頃、新真理会の手で管理され、一般に公開されている、パク・ジョンジャ(キム・シンロク)の試演された場所で異変が起こります。

ケースの中に保管され、展示されていたジョンジャの遺骸が動き始めます。ケースは粉々に砕け散り、塵や灰が遺骸に集まると、徐々に形を作っていきました。

遺骸は苦しみに震えながら再生していきます。やがてそこには、復活を遂げた完全な肉体が現れます…。

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ドラマ『地獄が呼んでいる』第6話の感想と評価


Netflixオリジナルシリーズ『地獄が呼んでいる』

生まれたばかりの赤ん坊の試演を巡り、駆け引きを繰り広げるミン弁護士と新真理会。運命の時間を迎えた時に、意外な展開が待っていた!

こうして第1シーズンは終了します。理不尽な試演を巡る展開は感動的結末を迎えたものの、大きな謎は残されたまま。しかも次のシーズンはどう展開するの…というラストで物語は幕を閉じます。

3人の予言の実行者から新生児を守ったものは、何だったのか。試演された者は本当に罪人なのか、だとすればその罪とは何なのか。彼らは本当に地獄に堕ちたのか、そもそも試演を行う者の正体は、神でなければ何なのか…。

デストピアSFとして見応えある作品ですが、それを背景に宗教問題や監視社会、ネットを媒体に過激化する人々…架空の世界を舞台に、様々な思考実験を視聴者に求める重厚なドラマを作ったヨン・サンホ監督。

ホラー作品をベースに、社会を風刺する作品を作り続ける監督は、初期に手掛けた短編アニメーション映画の設定を原型としてこのドラマを完成させました。これは第1話の紹介記事で詳しく解説しています。

あまりにヘビーな展開に打ちのめされた人も多いでしょう。同時に沸き上がった様々な謎にも、圧倒されているはずです。

ついに判明した”骸骨野郎”(Skull Mask)の正体


Netflixオリジナルシリーズ『地獄が呼んでいる』

今回第1話から大活躍していた(しかし第4話から姿を消した)”骸骨野郎”が姿を現します。ネット世界のカリスマは、現実世界では残念な奴だった…という悲しくも身につまされる正体が登場しました。

過激な言動を繰り返し敵認定した相手を貶め、人気を得た後に大きなブーメランを喰らう人物…コロナ流行に対し反マスク・反ワクチンを叫んだ者が、自身や家族が感染する…といった悲喜劇が今日もまた繰り返されています。

”骸骨野郎”ことドンウクは、そんな人物の代表です。しかし新真理会初代会長チョン・ジンスの教えに、我こそが忠実と信じた結果の言動と思えば、狂信者とはいえ哀れでもあります。

死を予言され信仰を捨てたドンウクですが、赤ん坊の試演を知り狂信者に戻ります。これは多くの過激な言動をする者が、自分の発言が誤っている状況に遭遇しても、考えを中々改められない現実を風刺したものでしょう。

人は信仰(宗教に限りません)を捨てられぬもの。カルト宗教などは、教祖様の予言が外れた時に信者を失うどころか、それを経て残った者の思想はより過激化、先鋭化する傾向があると言われます。

敵認定した相手を誹謗中傷し、その根拠が誤りと判明しても謝罪せず…といった言動はネット上の一般人どころか、著名人に政治家、世界のリーダーにすら見受けられる現代。

そんな風潮を代表する、過激な思想と縁を切りながらも回帰し、より過激な行動に走る男ドンウク。最後に自分に神のメッセージは理解できない、と自覚する姿は悲劇的でした。

しかし、過激な言動で有名な多くの方々、謝ったら負けと信じているような方々は、自分の認識の限界を理解できる貴重な機会には、中々巡り合うことは無いのでしょう…。

絶望と謎の果てに希望が残った


Netflixオリジナルシリーズ『地獄が呼んでいる』

この”骸骨野郎”(Skull Mask)を演じたのがキム・ドユン。『コクソン/哭声』で日本語を理解するキリスト教司祭を演じ、劇中で國村隼演じる謎の人物の通訳を務めた、と言えば記憶にある方も多いでしょう。

彼の熱演を日本語吹替版では、個性的でパワフルな声を出す声優・鶴岡聡が担当。TVアニメ『鬼滅の刃 竈門炭治郎 立志編』(2019~)で敵ザコキャラを演じた際は、「なぜこの人が」「アニメ『北斗の拳』(1984~)のザコキャラ級の存在感だ」、と話題になった人物です。

ちなみに劇中で3人の予言の実行者によって行われる、罪人を地獄に送る行為を字幕では「試演」、日本語吹替では「実演」と表現しており、少々困りました。

基本的に海外作品を楽しむ時は字幕派の私ですが、『地獄が呼んでいる』の吹替陣の演技は極めて高く、また宗教関係用語や複雑な登場人物の感情表現は、吹替版の方が正しく伝えている印象を受けました。吹替・字幕版それぞれ楽しめると報告させて頂きます。

さて、今回のエピソードの様々なシーンの意味について、様々な考察が語られています。ここではクライマックスの劇的なシーン、赤ん坊を抱くミン弁護士のシーンを取り上げます。

罪なき子を抱く聖母、まさに宗教的イメージあふれるシーンですが、ここではアルフォンソ・キュアロン監督のSFデストピア映画『トゥモロー・ワールド』(2006)との共通点を紹介します。

子供が産まれなくなり、未来への希望は無く混乱した世界に、1人の赤ちゃんが誕生する。その子と母親を巡り強権的な軍事国家と反政府組織が争う、という映画です。

この作品のクライマックスは新たに誕生する命を巡り、不法移民が住む廃墟に立てこもるテロリストと軍隊が戦闘を繰り広げる中、赤ん坊を目撃した人々が心を打たれる…というシーンです。

『トゥモロー・ワールド』ではこのシーンを、6分以上の長回しで描きます。『地獄が呼んでいる』は長回しでは無く、敵味方の攻防戦もありません(予言の実行者との闘いはありますが)。

しかし廃墟に住む人々が、立場を超え子供の姿に心を打たる場面は『トゥモロー・ワールド』そのもの。そもそもなぜ彼らはこの廃墟に住んでいるのか…『トゥモロー・ワールド』をリスペクトしたシーンを作るためでしょう。

共に近未来のデストピアを描いた作品です。様々な意味が込められたシーンですが、ぜひその原型と呼べる映画『トゥモロー・ワールド』もご覧下さい。

まとめ


Netflixオリジナルシリーズ『地獄が呼んでいる』

『地獄が呼んでいる』第1シーズンはこうして終わりました。しかし…肝心の物語はこれからです!

今後どんな展開が待つのか。様々な人々がそれを想像し、それぞれの意見を表明しています。第2シーズが世界中のファンから待望されるドラマになりました。

私も様々な視点から、勝手に今後の展開を想像して楽しんでいます。皆さんもぜひ、シーズン1鑑賞後は想像を巡らせてお楽しみ下さい。

ところで新真理会が使用する執事、という言葉。ドラマ『ダウントン・アビー』(2010~)や、奥様やお嬢様のために事件を解決する名探偵や、「黒」の文字が付く執事しか知らない人には意味不明の役職名です。

同時に執事はキリスト教における役職名です。宗派により違いはありますが、日本のカトリック教会で助祭と呼ぶ役職が、プロテスタント系で執事と呼ばれます。

そんな訳で、『黒執事』(2008~)と同様に出来る男、と思えたユジ執事ですが…キレたらとても怖い人でした。

海外の方は日本のアニメに登場する、メガネをかけたキャラは大抵性格が破綻してる、とツッこんでいます。アニメ畑出身のヨン・サンホ監督、この原則に忠実だったのでしょうか。

【連載コラム】「ある日、地獄行きを告げられた」Netflixドラマ『地獄が呼んでいる』を完全紹介の記事一覧はこちら






増田健(映画屋のジョン)プロフィール

1968年生まれ、高校時代は8mmフィルムで映画を制作。大阪芸術大学を卒業後、映画興行会社に就職。多様な劇場に勤務し、念願のマイナー映画の上映にも関わる。

今は映画ライターとして活躍中。タルコフスキーと石井輝男を人生の師と仰ぎ、「B級・ジャンル映画なんでも来い!」「珍作・迷作大歓迎!」がモットーに様々な視点で愛情をもって映画を紹介。(@eigayajohn

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