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Entry 2021/03/02
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映画『インシテミル』ネタバレ感想と結末解説のあらすじ。“ 7日間のデスゲーム”原作との謎の違いを考察する|SF恐怖映画という名の観覧車141

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile141

『バトル・ロワイアル』(2000)や『カイジ 人生逆転ゲーム』(2009)などの映画に主演し、他人との命や大金の取り合いを強要される「デスゲーム」へ参加させられるイメージの強い俳優、藤原竜也。

今回はそんな藤原竜也がまたしても極限状態へと追い込まれる映画『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』(2010)を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら

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映画『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』の作品情報


(C)2010「インシテミル」製作委員会

【公開】
2010年(日本映画)

【監督】
中田秀夫

【キャスト】
藤原竜也、綾瀬はるか、石原さとみ、阿部力、平山あや、石井正則、大野拓朗、武田真治、片平なぎさ、北大路欣也

【作品概要】
「氷菓」などの作品で知られる小説家、米澤穂信の小説を『太陽は眠らない』(2021)などの藤原竜也主演で映像化した作品。

監督を務めたのは『リング』(1998)の世界的ヒットでジャパニーズホラー界の巨匠となった中田秀夫。

映画『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』のあらすじとネタバレ

フリーターの結城はコンビニで初対面の須和名から時給11万2千円という破格のバイトについての相談を受けます。

怪しいと思いながらも参加することにした結城と須和名は、他の参加者と共にリムジンに乗せられ山奥へと連れられます。

このバイトは主催者である「実務倫理機構」の用意した建物の中で7日間を過ごす実験であり、カメラで24時間監視され、建物の内部では非倫理的行為が行われると忠告を受けます。

ロッカーに荷物を預けた10人の参加者たちは地下に用意された施設「暗鬼館」へと入館。

壁には実験終了までの残り時間と増えていく謎の数字が表示され、テーブルに置かれてある10体の人形が喋り出し暗鬼館のルールについての解説が始まります。

第1のルールは夜の10時以降は各自にあてがわれた「個室の外に出歩かないこと」であり、夜の10時以降に歩いているところを「ガード」と呼ばれるロボットに見つかると排除されます。

第2のルールは暗鬼館内で事件が起きた際には「探偵役」を決め、多数決で犯人を決める事で「犯人」と決定した人間はガードによって隔離されます。

そして第3のルールは、7日間が経過するか生存者が2人以下になるまで暗鬼館の外には出られないという事でした。

他の参加者に対し無礼な行動を取り続ける西野は、参加者内に巷で起きている路上通り魔が混じっているかもしれないと不安を煽ります。

さらに西野は複数人で話をしている人間の中に入っては、児童虐待犯に似ているや連続殺人犯に似ていると言い回っていました。

夜10時、個室に入った結城はドアに鍵が無く誰でも開けられる仕組みであることや、個室内にもカメラが仕掛けられていることに気づきます。

部屋の中には参加者に割り当てられたカードキーでのみ開く箱が用意されており、結城の部屋には「撲殺(まだらの紐)」と書かれた紙と火かき棒が入っていました。

2日目、手首にある傷を隠す女性の関水が西野の射殺体を発見。

部屋の防音設備の高さにより参加者の誰ひとりも銃声を聞いていませんでした。

壮年の参加者である安東が西野の部屋の箱を確認すると「毒殺(緑のカプセルの謎)」と書かれた紙と薬のカプセルが入っていました。

ガードが西野の遺体を暗鬼館内にある死体安置所に連れて行きました。

主催者から「解決の時間」と放送があり、さらに「探偵」と「犯人」、そして「死体」には報奨金が倍になるボーナスがつくとアナウンスされます。

その話を聞いた研修医の大迫は探偵として名乗り出て、死んだ西野に通り魔に似ていると指摘されていた岩井を犯人として名指しします。

結城は推理が雑だと大迫の解決を否定し、全員が自分の部屋の凶器を見せ合うことを提案しますが、凶器を知られることが危険に繋がると案ずる関水たちに拒否されてしまいます。

大迫の解決は多数決によって可決され、岩井はガードによって投獄されます。

結城が部屋に戻り再度自室の箱の中を確かめると、箱の中身が火かき棒から拳銃に変わっていました。

リビングに戻ると岩井犯人説を否定した関水によって岩井の部屋の凶器を確かめることにしますが、岩井の部屋の箱には何も入っていませんでした。

夜、結城は自身の部屋に置かれていた拳銃内の弾が1発も使用されていないことに気づきます。

ミステリ好きの主婦の渕は個室から出て歩いているところを関水に釘打ち機で殺害されした。

3日目、渕の遺体を発見した6人の中で大学生の真木は逃げていく女性を見かけたと言い、須和名に疑いを向けます。

犯人を指摘しようとする大迫に結城が反対すると、大迫は自身の凶器がナイフであることを見せ自身の潔白を証明。

安東も結城にならい解決に反対すると、このバイトに参加し失踪した息子を探すために参加したことを明かした上で、協力し乗り越えることの必要性を熱弁しその場は収まります。

その後、大迫が死体安置所に居ると、天井が落ち大迫が圧死しました。

4日目、大迫の遺体が見つかるとその場に現れなかった真木が吊天井のスイッチを持っていることを結城と安東が目撃し追及。

真木は容疑を否認すると自室に戻り自身の凶器はこれだとボウガンを手にし2人を襲います。

すると部屋に入ってきた大迫の婚約者の橘が真木を斧で殺害した後に自身の首を切り自殺しました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』のネタバレ・結末の記載がございます。『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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夜、関水の部屋を訪ねた結城は、渕を殺害したのが彼女であることを指摘。

しかし、臓器移植を必要としている子供のために大金が必要な関水は渕の凶器である筋弛緩剤を全員の紅茶に入れており、結城の体は麻痺し始めます。

関水は児童虐待を西野に疑われていた渕が怖くなり殺害したことを認めると、自身の凶器である釘打ち機で結城を殺害しようとします。

結城は麻痺する身体を引き摺り廊下に逃げると、追いかけて来た関水と組み合ってる最中にガードに発見され夜間の外出に対し警告を受けます。

結城は咄嗟に部屋に逃げ込むと、逃げ遅れた関水がガードに射殺されました。

5日目、関水の死体を見つけた安東と須和名たちに結城は関水がガードに射殺されたことと、その事実から導き出される西野がガードに殺害された可能性を話します。

西野は自殺をするために実務倫理機構に暗鬼館へと招かれ、実験をスムーズに進めるため互いを疑心暗鬼に陥らせる言葉を発し自殺したことを推理。

安東と須和名に凶器を見せ合うことを求めると結城は自身の拳銃をテーブルに置きます。

結城を信じた安東は持っていた凶器のアイスピックをテーブルに起き部屋へと戻って行きました。

6日目、リビングで拳銃を弄る安東は壁に表示されている謎の数字が、人が死ぬたびに数が跳ね上がることから暗鬼館で起きているこの実験の視聴者数だと考え、視聴者から得た金でこの暗鬼館が運営されていると予測します。

7日目、テーブルの拳銃が無くなっていることに気づいた結城は、監獄の扉が開き岩井の姿が消えていることに気づきます。

監獄内部には暗鬼館内の監視カメラを見ることの出来るモニターが内蔵されており、死体安置所の映像を見た結城は安東が胸を撃たれ横たわっている様子を目撃。

すると豹変した岩井に襲われ、結城が「安東を殺したのはお前か」と問うと彼は凶器として監獄内にまで持ち込んだ吊天井を操るスイッチで大迫を殺害し、監獄の外へとスイッチを投げただけだと話します。

結城が安東を殺したと疑う岩井はアイスピックで結城の脚を刺し殺害しようとしますが、突如現れた須和名に拳銃を突き付けられ静止されます。

しかし、岩井は須和名から銃を奪うと結城に銃を突き付けます。

結城は安東が銃を弄っていたことを思い出すと岩井を静止しますが、銃の引き金を引いた岩井は暴発によって爆死。

安東が銃を持った人間があらかじめ死ぬように細工をしていたのでした。

残り時間が0になり暗鬼館の扉が開くと結城は実務倫理機構の職員によって約2億円もの報酬を渡されます。

須和名は自身が機構の人間であることを結城に打ち明けると、岩井を監獄から出したことや結城の箱の中身を入れ替えたことを自白。

なぜ岩井に襲われていた自分を助けたのかと言う結城の問いに、須和名は答えることなくその場を去っていきました。

ひとり歩き出そうとする結城の前に、自身の死を偽装し生き延びていた安東が現れると、結城は受け取った金を投げ捨て、2人で街へと歩いて行きました。

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映画『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』の感想と評価


(C)2010「インシテミル」製作委員会

殺人の起きない「日常の謎」を題材とした作品を執筆することの多かった推理小説家の米澤穂信が、本格ミステリに挑んだ挑戦的推理小説「インシテミル」。

そんな小説をジャパニーズホラー界の巨匠中田秀夫が味付けした映画『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』は、原作小説とはかなり趣の異なった作品となっていました。

「恐怖」を前面に押し出したデスゲーム映画

原作小説は推理小説家の米澤穂信らしく、アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』を始めさまざまな推理小説へのオマージュが散りばめられた「推理小説」としての色合いの強い作品でした。

しかし、本作は中田秀夫監督らしく「恐怖描写」への拘りが強い映画となっており、脱出不可能な施設や疑心暗鬼により殺人に発展していく参加者の心理に力が入れられていました。

そのため、映画版は推理を中心とした「ミステリ」と分類するよりも、参加者同士の殺し合いを基軸とした「スリラー」や「サスペンス」に分類され、同監督が2010年代後半に製作し、大ヒットとなった映画『スマホを落としただけなのに』(2018)のテイストに繋がったとも言えます。

原作と映画版の違いを徹底解剖

ミステリからサスペンスへと転向となった本作は原作との相違点が多く存在します。

原作では推理や殺人による「ボーナス報酬」を狙う派閥の存在によって、推理の主導権の握り合いがたびたび発生します。

西野の自殺の偽装や須和名が実は主催者側の人間だったなど物語の根幹部分は同じであるものの、原作では岩井が主人公に協力的であったり生存する人数が映画版の倍以上であったりと多くの部分が異なります。

中田秀夫監督による味付けによってジャンルの変更となった本作は、原作とはもはや別作品として楽しめる作品となっています。

まとめ

舞台俳優として常に第一線で活躍する俳優、藤原竜也。

本作『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』は、「映画俳優」として藤原竜也に求める演技の全てが詰め込まれています。

共演陣の中でも岩井を演じた武田真治の狂気の演技も大注目であり、本作は俳優好きにも『デスゲーム』映画好きにも楽しんでいただける映画と言えます。

次回の「SF恐怖映画という名の観覧車」は…

いかがでしたか。

次回のprofile142では、藤原竜也の映画俳優としての転機となった映画『バトル・ロワイアル』をネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。

次回もお楽しみに!

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら



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