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Entry 2020/04/24
Update

映画『リング』ネタバレ感想と結末までのあらすじ。Jホラーのガチ怖原点としての恐怖の秘密は”緊張と弛緩”

  • Writer :
  • 中西翼

一躍有名になった「貞子」が登場する中田監督のホラーサスペンス

映画『リング』は、幽霊の山村貞子が登場する「リング」シリーズの第一作目です。

「日本の幽霊といえば白装束と長い髪」というイメージを根付かせた『女優霊』(1996)や、『仄暗い水の底から』(2002)など、数々のホラー映画界の巨匠、中田秀夫監督が手がけました。

本作『リング』には「ビデオを観た者は一週間後に死ぬ」という呪いのビデオが登場します。じわじわと這い寄るような恐ろしさと、強烈なインパクトの2つを合わせ持つサスペンス要素を用いた究極のJホラー作品。

主人公の浅川玲子役に松嶋菜々子、玲子の元夫の高山竜司役を真田広之が務め、日本中を恐怖におとしめた最強の幽霊、山村貞子の呪いを解く方法を探していく様を描いています。

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映画『リング』の作品情報

【公開】
1988年(日本映画)

【原作】
鈴木光司

【監督】
中田秀夫

【キャスト】
松嶋菜々子、真田広之、中谷美紀、竹内結子、しみず霧子、伊野尾理枝、雅子、大高力也

【作品概要】
映画『リング』は、『女優霊』(1996)や『仄暗い水の底から』(2002)、「リング」シリーズを手掛けた中田秀夫が監督を務めたホラー・サスペンス映画。

シングルマザーの浅川玲子が伊豆で噂される「ビデオを観た者は一週間後に死ぬ」という謎に迫る瘴気と恐怖が渦巻く物語で、その名がとても有名になった幽霊「山村貞子」のスクリーン初登場の作品です。

映画『リング』のあらすじとネタバレ

女子高生の智子と雅美が家で2人で遊んでいると、電話が鳴ります。智子は男友達と伊豆に旅行に行った時に奇妙なビデオを観たこと、そして観た直後に無言電話が掛かってきたと智美に話します。

智子はずっと電話に怯えていましたが、それは母からの電話でした。安心した智子ですが、野球中継を点けたテレビが消え、智子は恐怖の表情に顔をゆがめたまま、命を落とします。

浅川玲子は、姪である智子の葬式に参列していました。そこで、智子の友人らしき2人が噂話をしていました。玲子が話を聞くとどうやら、伊豆まで一緒に旅行した4人が同時に死んだらしいのです。死んだ智子も含めて全員が呪いのビデオを観ていました。

玲子は4人の変死を突き止めようと、智子達が宿泊していた伊豆の別荘を訪ねて、管理人に話を伺います。嫌なオーラを放つVHSのビデオが別荘の棚にありました。

玲子はそれを手にし、ビデオテープを再生します。そこには髪を櫛でとく女性や「貞」の文字、そして恐ろしい瘴気を感じさせられる井戸の映像など、意味不明な映像がモンタージュで映し出されていました。

玲子がビデオを観終わると、一本の電話が鳴ります。それは、智子の友人が話していた呪いのビデオに間違いありませんでした。

玲子は、離婚した元夫の高山竜司に相談します。竜司には人の記憶が分かるといった超能力が備わっていました。

いまいち信用していない様子でしたが、玲子をカメラに収めるとその顔は歪んでおり、ダビングしたビデオを観て、呪いが本物であることを悟ります。

ビデオから聞こえる奇妙な声は、伊豆の方言で噴火を予知していたものでした。そのビデオから、かつて噴火を予言した「山村志津子」という超能力者の存在に、竜司がたどり着きます。詳しく調べていくと、志津子は伊豆で自殺を図っていました。

玲子の息子、陽一がビデオを観てしまいました。息子にかかってしまった呪いを解くためにも、玲子と竜司はともに、再び伊豆へと向かいます。

以下、『リング』ネタバレ・結末の記載がございます。『リング』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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超能力者である山村志津子は、火山の噴火を予知したことにより、マスコミからひどくバッシングされていました。その影響で山村志津子は気がふれて自殺します。

玲子達は、呪いの唯一の手掛かりとして、志津子の叔父に話を聞きます。そして、志津子の娘の山村貞子がさらに強力な超能力を持っているという新たな事実を知ります。

自分たちをイカサマだというマスコミの連中をその場で呪い殺したりと、貞子は志津子よりも邪悪な力を持っていました。

念じるだけで殺せる貞子の怨念がビデオに乗り移っていたのだと、玲子と竜司はビデオの謎を突き止めました。

玲子と竜司は、井戸の中にあるはずの貞子の遺体を探します。バケツに水を汲んでは引き上げ、井戸の水を少しずつ減らしていきます。

しかし、玲子のタイムリミットである一週間が目前まで迫っていました。

ようやく、長い髪の骸骨を見つけました。ビデオを観てから一週間ちょうどの玲子のタイムリミットになっても電話は鳴らず、玲子は助かりました。

竜司は一人、家にいました。そのテレビに、貞子の遺体を見つけたあの井戸が、ひとりでに写ります。

井戸から手を伸ばし現れたのは、白い着物を見に纏った、髪が顔を覆うほど異様に長い女性でした。

一歩一歩、ゆっくりと、井戸の方から近づいてきます。電話が鳴り、テレビから爪のはがれた女性が竜司の前に姿を見せました。

彼女はなんとも怨めしい表情で竜司を睨みます。そして、竜司は呪い殺されました。

竜司の死を知り、玲子は唯一の生き残りとして、呪いを解く方法を考えます。そうしなければ、息子の陽一にも貞子の呪いが訪れてしまいます。

玲子は、なぜ自分が助かったのかを考えていました。自分がして竜司がしなかったこと、「ダビング」に気がつきます。呪いを拡散することで、呪いは解かれていたのです。

玲子は陽一のためと、車に乗って父の家に向かいました。

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映画『リング』の感想と評価

山村貞子という恐ろしい超能力を持った女性が、ビデオによって呪いの拡散をしていくという映画『リング』。

ビデオというツールと霊そのものの恐怖、呪いに迫っていくサスペンス的要素を取り入れた邦画Jホラーの金字塔といえます。

最近でこそ「貞子」は、グッズ化されたり、始球式を披露したりと、大人気のホラーキャラクターとなりました。

けれども、それ以前は子供だけでなく大人までもが泣いてしまうほどの恐ろしい存在だったのです。

「緊張感を作り上げるための長い前振り」に秀でた『リング』は、最後のテレビから出てくる貞子のシーンで衝撃的なインパクトを残しています。

『リング』では、『呪怨』(2003)や海外のホラー映画と違って、「怖いと感じるシーンを抑える代わりに、怖いことになるかもと感じるシーン」が多いです。

山村貞子の呪いがかかったビデオの映像やその調査をしている場面などは、ほんのり仄暗く、不気味さだけを演出しています。

また、竹内結子演じる大石智子が貞子によって最初の犠牲者になるシーンでは、貞子はその姿を見せません。観る者は想像力を掻き立てられ、真実を知りたい思いに焦らされます。

さらに、ずっと張り詰めた緊張感に、一度解決したかのように見せる「弛緩」を加えることで、貞子の登場がより怖く感じるのです。

一度呪いが解けたかのように思えた時点で、視聴者は安堵してしまい、安堵から一気に恐怖に変わることで、恐ろしさは増大しているのです。

VHSと大きいテレビもまた、怖さに拍車をかけています。DVDやブルーレイ、スマホや液晶テレビから貞子が出ても、なんだかちょっと、しらけてしまいそうです。

けれども、大きいテレビなら「この中に人が入っていたらどうしよう」と想像することができ、そんなブラックボックス的要素も、『リング』の世界観にぴったりハマっています。

また、よく考えられたのは、呪いを広げるという貞子の目的を担うVHSビデオ。ビデオをダビングすることで、呪いは世界中に広がっていき、貞子の目的を果たす役割をしています。

貞子は自分の怨めしい気持ちに共有してほしいがために、このような方法を取ります。そこには、SNS上で共感を欲しがる人達と少しも変わらない、普遍的な人間の欲望がみられました。

村貞子は間違いなく「化け物」ではなく「人間」なのだと、思い知らされます

まとめ

「リング」シリーズ第一作であるとともに、シリーズ最高傑作としても名高い本作『リング』。

松嶋菜々子演じる浅川玲子が、自らに降りかかった呪いを解くために、調査を進めていくという物語は、振り返ってみるとホラー的要素は少なくなっています。

だからこそ、テレビから貞子が登場するシーン、そして、眉毛を全て抜いた貞子の目のアップシーンの禍々しさは際立ってきます。

映画『リング』はシリーズの原点にして頂点。ホラー要素とサスペンス要素の案配が最高峰である本作は、多くの人を恐れおののかせました。

家で刺激のある作品を観たくなった方は、是非、VHSのビデオを借りて、本作品を観てはいかがでしょうか。そのために買った中古のビデオ再生機に謎のビデオが入っていたとしても、決して見てはいけません。

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