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Entry 2020/01/19
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【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは

  • Writer :
  • Cinemarche編集部

映画『太陽の家』は2020年1月17日(金)より、TOHO シネマズ 日比谷ほか全国公開!

優しく寛容である男の信念と苦悩を、人々との繋がりを通して描きあげた長渕剛主演の『太陽の家』

一本気で気立ての良い大工の棟梁川崎信吾が、複雑な家庭環境にいる親子や弟子に寄り添い懸命に生きるヒューマンドラマです。演出はテレビドラマ『相棒』などを手掛けた権野元監督。主演に20年ぶりの演技を見せたミュージシャンの長渕剛を迎え、飯島直子、広末涼子、山口まゆ、瑛太ら実力派俳優が集結しました。


(C)Cinemarche

映画『太陽の家』の劇場公開を記念して、信吾が好意を寄せる相手池田芽衣を演じた広末涼子さんにインタビューを行いました

本作の役柄を通じて女優として活躍するの現在の心境や、母親になったことで感じる両親への思い、俳優業との両立など多岐にわたりお話を伺っています。

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脚本の変更で見えた芽衣の像


(C)2019映画「太陽の家」製作委員会

──最初に脚本を読まれた時に、芽衣役に対して、どのような印象を受けましたか?

広末涼子(以下、広末):このお話を頂いた当初から、長渕剛さん主演ということやキャスティング、企画などに対してワクワクした期待感がありましたし、台本を読んですごく楽しそうだなと思っていました。ただ、どのように「芽衣」という女性を演じていけばいいのか、彼女のもつ背景を理解し描いていけばいいのか、悩むところがありました。

実は本読みが終わった後に、長渕さんと瑛太さんからの提案が取り入れられ、台本が少し変わりました。それぞれのキャラクターの背景、人間性、互いの絆の深さがより描かれていました。芽衣についても同様で、中盤から後半にかけて彼女は過酷な運命と向き合わなければいけないのですが、その部分は当初ありませんでした。単にシングルマザーで働きながら子どもを育てていて、そこで長渕さん演じる川崎信吾と知りあって…。

そこに新たに母親として子供を守れるかというストーリーが加わったことで、迷いなく撮影に入れました。当初感じていた引っかかりというか難しさが取り払われ、抵抗感なく演じきることができました。

役柄の人生に想いを馳せる


(C)Cinemarche

──芽衣を演じるに当たって腑に落ちたということですか。

広末:そうですね。例えばいきなり声をかけて初対面の男性を家に入れてしまうところとか、キャラクターとして無理があるんじゃないかなって(笑)。出会ってまだそれほど日が経ってないのにいきなり息子を預けるところとか…。

でも彼女の立場になって考えたら、親しい親類がいないのかもしれない。もしかしたら不幸があって両親がいないのかもしれない。頼れる人がいなくて、本当に一人ぼっちで子どもを育てていかなければならない状況なのかもしれないと考えたら、胸がいっぱいになりました。

母親は、どんなことをしてでも子どもを守りたいと思うものですし、幸せになってほしいと願うものです。この一見無茶だなと思う設定によって、より彼女の抱える過酷さや切なさを感じさせられました。

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母親であり女性でもある「芽衣」


(C)2019映画「太陽の家」製作委員会

──「芽衣」役は、母でもあり、女でもある、という役柄でしたが、その複雑さを「芽衣」として演じられるのは、広末さんしかないと思いました。1999年公開の主演映画『秘密』で、母親の内面を持つ少女を演じた広末さんだからこそ、その複雑な心境を体現できるのではないかと感じました。

ありがとうございます。そうですね、『秘密』で直子と藻奈美の一人二役を演じてから20年ですね…。

──同じ母親役としては、飯島直子さん演じる母親の役と好対照の役柄だったように思いました。

広末:飯島さんの演じる母親像は、器が大きくていわゆる港のような存在。強さと真っすぐさを感じました。芽衣はまだ母親として未熟で、その強さを自覚していないですね。とにかく日々懸命で、かけがえのない息子を何とかして守りたいという一心で、ギリギリのところで歯を食いしばりながら生きています。

信吾が病院を訪れた時に、「まだ(息子とは)会えません。必ず元気になるので、もうしばらくお願いします」というところでは、本当に涙をこらえるのが必死でした。今の状況で子どもに会ったら自分が弱くなってしまうかもしれない、泣いてしまうかもしれない。そんなところを子どもに見せてはいけない、子どもも不安になるし、ショックを受けるかもしれないと思っての判断だと思います。

今の自分だったらどうだろうと考えた時に、絶対に子どもに会うと思うんです。でも、母親になりたての頃は芽衣と同じように思ったかもしれません。

母親はいつも笑ってなければいけない。強くなければいけない。正しくなければいけない。でも、母親だって間違ったり泣いたり、失敗したりする。それをさらけ出して子どもに見せることで、子どもが守ってくれることを知ったし、男の子だと余計に母親に頼られたいという想いが強い。それが子ども自身を強くしていく姿を見てきました。

—──芽衣役に対する共感を得たということですね。

広末:ただ芽衣としては「(子どもとは)会えない」と言わなければならなくて、それがすごく辛かったです。そう言わないとだめだという気持ちに共感できるからこそ、彼女の気持ちがわかるからこそ、苦しいところがありました。私自身、一番大事なものと離れなければならない状況というのは経験していないので、想像でしかないのですが、もう想像するだけで苦しかったですね。

息子役の潤浩君との共演


(C)2019映画「太陽の家」製作委員会

──息子龍生役の潤浩君との共演はいかがでしたか?

広末:龍生役の潤浩君は、お芝居の経験があまりなかったのですが、すごく自然体だったのが良かったように思います。彼自身の本質的にシャイな部分も役柄と重なっていました。

現場では多くのことを要求されて大変だったと思いますが、権野元監督も負担にならないように接していましたし、何より現場に付き添っていたお母さんが、現場に委ねてくださっていました。あのくらいの年頃だと、お母さんに甘えてしまったり、お母さんが見えなくなると不安になったり、心配になったりすることがあるのですが、それをうまく任せてくださったのがありがたかったです。

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“女優”として生きる、“母親”として生きる


(C)Cinemarche

──広末さんご自身が、母親であることが、芽衣役を自然に描き出していくことに成功しているように感じました。広末さん自身は、女優と母親の区別というのは、できるものなのでしょうか?

広末:家族ができる以前は、自分は役を引きずらないタイプだと思ってたんですが、今考えると引きずっていたのかもしれません。家に帰ってもその役のことを考えてしまうし、役柄に関連する作品を観て勉強したり。24時間、全ての時間が自分のものだったので、そういう点ではスイッチングできていませんでした。

でも今はスイッチングせざるを得ない状況で、家に帰るともう完全に作品のことはオフ、逆に次のスイッチが入る。家のことも、家族のことも大切にしたい。この現状をポジティブに受け止めていて、女優業にもプラスになっています。

私の考える“理想の家族”


(C)Cinemarche

──「太陽の家」というタイトルにあるように、本作は「家」がテーマになっていますが、広末さんご自身がイメージする“理想の家族像”についてお聞かせください。

広末:私は自分の両親からちゃんと挨拶をするように言われて育ちました。中学校の頃に、母親が通信簿の教育方針の欄に「挨拶をする」って書いていたんです。私は「中学生なんだから、もうちょっとかっこいいことを書いてよ!」って(笑)。

その後芸能界に入って、「しっかりご挨拶ができますね」とか、「いい家庭で育ったんだね」と言っていただけることがありましたが、自分にとっては当たり前のことだったのでなぜそう言われるかわからなかったんです。

でも大人になってから、人の目を見て挨拶をするとか、「ありがとう」や「ごめんなさい」が伝えられることは、育ってきた環境による影響が大きいのではないかと思っています。今は両親に感謝していますし、自分の家庭の中でも、「挨拶」をすごく大切にしています。

私は小さいころから人見知りもなく、スポーツばかりやってきたから、後ろに隠れてしまう子の心理がわからない。今回も劇中で、息子の龍生君が挨拶せずに隠れてしまうんですが、これは性別が違うからなのか、その子の性格なのか、無理矢理挨拶させるべきか、でも自発的にできるようになるのを待つべきなのか、いろいろ考えて我が身を振り返った時に、「ああ、親ってすごいんだな」って思わされました。

そうやって試行錯誤しながら、愛情を確実に注ぎ、伝えていく。そのことが家族にとって一番大切なことだと思います。それはこれまで自分の両親がしてきてくれたことであり、今それが理想として、自分でも形にできているかなと思います。

自分も最初の頃は迷ったり、悩んだりぶつかったり。でもそうやって母親は成長していくと実感しています。それが、子供が二人、三人と増えたらうまくこなせるかといえば、それは全く違います。同じ兄弟でも性格が違いますし。ただ昔は、全部自分でやらなきゃと肩肘張っていたけれど、今は、自然と人に頼ることができるようになり、そうすると守ってくれる人や協力してくれる人が増えてきました。そうやって家族がつながっていくんだなと感じています。

インタビュー/ 出町光識
撮影/ 桂伸也
構成/ くぼたなほこ

広末涼子プロフィール


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1980年7月18日生まれ。高知県出身。1994年にCMコンテストでグランプリを獲得しデビュー後、多くのテレビドラマに出演。1997年に原将人監督の『20世紀ノスタルジア』で映画初主演デビュー。主人公を演じた広末自身がビデオ撮影を行いながら、ミュージカル風に歌を唄う姿を披露し、その瑞々しい様子に対して、第52回毎日映画コンクール「スポニチグランプリ新人賞」や、第19回ヨコハマ映画祭「最優秀新人賞」の評価を受けました。

1999年には滝田洋二郎監督の『秘密』で主演を務め、母と娘が入れ替わるという特異な一人二役を務めた高い演技力が、第33回シッチェス・カタロニア国際映画祭「最優秀女優賞」を獲得したほか、第23回日本アカデミー賞「優秀主演女優賞」を受賞。

主な映画出演作に『おくりびと』(2008/滝田洋二郎監督)、『ゼロの焦点』(2009/犬童一心監督)、『鍵泥棒のメソッド』(2012/内田けんじ監督)など。2020年1月17日には本作品『太陽の家』の劇場公開ほか、同年1月31日にはコメディシリーズの続編『嘘八百 京町ロワイヤル』(武正晴監督)に出演。

また同年4月3日には『ステップ』(飯島健監督)公開予定。さらに同年放送予定のWOWOWオリジナルドラマ「ワケあって火星に住みました~エラバレシ4ニン~」第3話(2月3日オンエア)にも出演しています。

映画『太陽の家』の作品情報

【日本公開】
2020年

【監督】
権野元

【キャスト】
長渕剛、飯島直子、山口まゆ、潤浩、広末涼子、瑛太

【作品概要】
大工の棟梁がある母子との交流と通じて、複雑な関係を持つ家族や弟子たちとのエピソードを絡めて描くヒューマンドラマ。骨太な演出で作品を仕上げたのは、ドラマ「相棒」シリーズなどで知られる権野元監督。また「牙狼」シリーズなどを担当した江良至が脚本を担当。キャストには主人公の川崎信吾役を、ミュージシャンでテレビドラマ『とんぼ』や『英二』などで俳優としても活躍した長渕剛。

共演には信吾の妻の美沙希役を『メッセンジャー』などの飯島直子、信吾の弟子の河井高史役を「まほろ駅前」シリーズなどの瑛太、そして保険会社営業員である池田芽役を『20世紀ノスタルジア』『秘密』などの広末涼子が務めています。そのほか名優の柄本明やお笑いコンビのくりーむしちゅー上田晋也らが集結しています。

長渕自身は主演のほか、本作のためにオリジナル楽曲「Orange」を主題歌として提供。

映画『太陽の家』のあらすじ


(C)2019映画「太陽の家」製作委員会

人なみ以上に人情味の厚い川崎信吾は、仕事を支え、家庭を守ってくれている妻の美沙希と、年ごろの娘である柑奈がいるにもかかわらず、好みの女性にはまるで弱いという大工の棟梁。

ある日、弟子たちと現場に出ていた川崎は、ふとしたきっかけで保険会社の営業を務めている池田芽衣と知り合います。

彼女は龍生という父親を知らずに育った息子の母であり、シングルマザーとして懸命に生きていました。

そんな芽衣のことを気にかけた信吾は、人見知りで臆病な龍生の面倒を見るようになっていきます。その気遣いが、芽衣や自分の家族の思いに波紋を呼ぶとも知らずに…。

映画『太陽の家』は2020年1月17日(金)より、TOHO シネマズ 日比谷ほか全国公開



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