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Entry 2021/10/16
Update

映画『逃亡者』ネタバレ結末あらすじと感想評価。60年代の人気ドラマをリメイク版としてハリソン・フォードを迎えて描いた追走サスペンス

  • Writer :
  • 秋國まゆ

1960年代に大ヒットしたアメリカのテレビドラマを映画化したアクションスリラー!

アンドリュー・デイヴィスが監督を務めた、1993年製作のアメリカのアクションスリラー映画『逃亡者』。

妻殺しの容疑で逮捕された優秀な外科医が、護送途中に起こった事故で逃亡し、自らの潔白を証明するために真犯人を見つけ出そうとする姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。

映画『沈黙の戦艦』(1993)に引き続き、アンドリュー・デイヴィス監督とハリソン・フォードが再びタッグ。

1960年代に大ヒットしたアメリカのテレビドラマ『逃亡者』を映画としてリメイクした、アクションスリラー映画『逃亡者』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。

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映画『逃亡者』の作品情報


(C)Warner Bros. Entertainment Inc.

【公開】
1993年(アメリカ映画)

【原作】
デビッド・トゥーヒー(原案)、ロイ・ハギンズ(キャラクター創造)

【監督】
アンドリュー・デイヴィス

【キャスト】
ハリソン・フォード、トミー・リー・ジョーンズ、ジュリアン・ムーア、ジェローン・クラッベ、ジョー・パントリアーノ、アンドレアス・カツーラス、セーラ・ウォード、トム・ウッド、ダニエル・ローバック、L・スコット・コードウェル、ロン・ディーン、ミゲル・ニーニョ、ジェーン・リンチ、ニック・サーシー

【作品概要】
『沈黙の戦艦』(1993)や『ダイヤルM』(1998)、『コラテラル・ダメージ』(2001)などを手掛けた、アンドリュー・デイヴィスが監督を務めたアメリカのアクションスリラー作品。

原作は1954年、アメリカ・オハイオ州でサミュエル・シェパード医師がその妻を殺害したとして逮捕された現実の冤罪事件「サム・シェパード事件」に脚色を加えた、デビッド・トゥーヒー(原案)とロイ・ハギンズ(キャラクター創造)の小説です。

本作は原作に基づいて作られた1960年代に大ヒット作品、アメリカのテレビドラマ『逃亡者』を、映画としてリメイクした作品でもあります。

主演を務めるのは、「インディ・ジョーンズ」シリーズや『沈黙の戦艦』(1993)、『ファイヤーウォール』(2006)などに出演するハリソン・フォードです。

連邦保安官補サミュエル・ジェラード役を演じる、「メン・イン・ブラック」シリーズや『終戦のエンペラー』(2012)などに出演するトミー・リー・ジョーンズは本作での好演により、第66回アカデミー助演男優賞を受賞しました。

映画『逃亡者』のあらすじとネタバレ


(C)Warner Bros. Entertainment Inc.

ある日の夜、シカゴ小児記念病院の有能な脈管外科医リチャード・キンブルが、妻のヘレンを殺害した容疑で逮捕され、アメリカ・オハイオ州東部にあるベルモントの第6地区警察署へ連行されました。

その日の夕方、キンブルとヘレンは夫婦そろって、小児医療研究基金を集める晩餐会に出席。しかし晩餐会からの帰り道で、キンブルは同僚のスティーヴンズ医師から緊急手術の応援を頼まれ、ヘレンと別れて病院に戻っていたのです。

キンブルが帰宅した時には、既にヘレンは自宅に忍び込んだ右腕が義手の男に襲われており、彼は妻を守るために男と格闘しましたが、健闘むなしくヘレンは拳銃で撃たれて死んでしまいました。

しかしシカゴ警察のケリー刑事たちは、拳銃と銃弾に付着した指紋がキンブルであることと、自宅にはヘレンと家政婦と彼の指紋しか検出されなかったため、彼がヘレンの頭を殴り射殺したのではないかと疑っています。

そもそもその拳銃は、キンブルの家のものであったため、彼の指紋がついているのは当然のことです。

キンブルは自分ではなく、自分が取り逃がしてしまった義手の男こそ真犯人であるため、義手の男の捜査を警察に懇願しましたが、キンブルを犯人と決めつけている警察は聞く耳を持ってくれません。

それは警察が、頭を殴られ瀕死に陥ったヘレンの、「このままでは私、家の中にいる犯人に殺される。リチャード、死にたくない」という通報の内容を聞き、ヘレンを襲った犯人は帰宅したキンブルだと勘違いしてしまったからです。

キンブルは後日行われた裁判で、検事側からヘレンの最後の言葉を証拠として提示されてしまったため、無実を証明することが出来ず、薬物による死刑判決を受けてイリノイ州刑務所へ移送されることになってしまいました。

ところが護送中、他の囚人カールソンとパーティダ、コープランドが逃亡を企て、護送車内で護送官2人を相手に騒動を起こしたのです。

派手な騒動で車体が左右に揺れ、老護送官が撃った弾は窓を突き破り、前輪のタイヤに当たってしまいます。その結果、大きく揺れた護送車はガードレールを突き破り、丘から転落。

外科医のキンブルは老護送官に手錠を外して貰い、負傷した皆の手当てをしようとします。

しかし、落ちた場所は機関車が走る線路の上だったため、護送車は機関車と衝突し、その衝撃で機関車の後方部分が外れ脱線。護送車も脱線した機関車も大炎上するという大事故が発生してしまったのです。

間一髪のところで護送車から脱出し、事故から生き延びたキンブルは混乱に乗じて、老護送官が落とした鍵を奪ったコープランドに足枷を外して貰い、事故現場から逃亡しました。


(C)Warner Bros. Entertainment Inc.

それから90分後。事故現場に到着したイリノイ北部第5地区の連邦保安官サム・ジェラードは、いち早く事故現場から脱走した囚人がいることを突き止め、そのことに全く気づいていない連邦保安官ヘンリーから捜査を引き継ぎ、部下たちと一緒にキンブルを追跡します。

一方キンブルは、囚人服から盗んだつなぎに着替え、近くの病院の治療室へ侵入。事故で追った脇腹の傷を手当てします。

キンブルは寝たきりの男性患者の病室に入り、彼の着替えの服に着替え直し、ひげを剃り髪を整えて外見を変え、用意された朝食を盗み食いしてから病院から脱出しました。

この間、病院にキンブルの手配書を配りに来たジェラードの部下コズモー・レンフロは、キンブルが長い上着を着て首から聴診器をかけていたからか、すれ違った医師の正体を見抜くことは出来ませんでした。

さらに病院には、救出された若い護送官が搬送されてきましたが、キンブルは彼の口を封じるために酸素マスクを着けたため、他の連邦保安官にも気づかれることはありませんでした。

キンブルは、若い護送官の救急搬送に使われた救急車を奪い逃亡。若い護送官の証言により、彼が救急車を奪って病院から逃亡したと知ったジェラードは、部下のプールとニューマンを連れてヘリで追跡します。

パトカーに乗ったジェラードの部下ビッグスとレンフロが地上から、ジェラードたちが空からキンブルを追跡。ケンタッキー州にあるバークリー・ダムに行ける13号線のトンネル内で、救急車の行く手を阻み、キンブルを確保しようとします。

救急車から出たキンブルは、トンネル内にいる他の車を使って姿を隠し、下水路へ逃げ込み彼らを撒こうとしました。

排水溝から聞こえる流水音を聞いて、キンブルが下水路に逃げ込んだと気づいたジェラードたちは、下水路に入り引き続きキンブルを追跡。

キンブルを1人で見つけたジェラードは、彼をダムの利水ゲートまで追い詰め、確保しようとしたその瞬間、背を向けた彼は下流へ飛び込んでいったのです。

すぐさまダムの放流を緩め、ヘリや地元の救助隊によるボートでの捜索と、川の両岸を警察犬を連れた警官とジェラードたちによる捜索が開始されましたが、キンブルを見つけることは出来ませんでした。

以下、『逃亡者』ネタバレ・結末の記載がございます。『逃亡者』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)Warner Bros. Entertainment Inc.

無事生き延びたキンブルは、男性患者から盗んだお金を使い、市販のヘアカラーと整髪料と新たな服を調達。髪を黒く染め、服も変えた彼は、愛する妻を殺した義手の男を自らの手で見つけ冤罪を晴らすべく、事件の真相に繋がる手掛かりを求めてシカゴへ戻ります。

シカゴまで戻ってきたキンブルは、とりあえず自身の弁護士に助けを求めましたが、有罪を疑う彼は、自首することを勧めるばかりで手を貸してくれません。

そこでキンブルは、同僚であり親友でもあるチャールズ・ニコルズに助けを求めることにしました。

その頃ジェラードたちは、恋人の家に転がり込んでいたコープランドを確保しようとしますが、ニューマンが人質になってしまったためやむを得ず、ジェラードはコープランドを射殺しました。

そしてジェラードたちは、キンブルの弁護士の事務所の電話に盗聴器を仕掛けていたため、2人の会話を盗聴。その背景に聞こえる音を聞いて、キンブルがシカゴに戻ってきたことを知りました。

そこでジェラードは、ヘレンにかけられた生命保険の金の受取人がキンブルであったことから、保険金目当てで妻を殺したと決めつけているシカゴ市警の調書を読んで、彼の関係者全員を尋問し直そうとします。

ケリー刑事たちシカゴ市警に手配書が渡ったなか、ニコルズに助けを求め、彼からいくらか貰ったお金で隠れ家を手に入れたキンブルは、シカゴのクック群病院へ向かいました。

クック群病院には、人工器官や義肢を使って治療も行っている義肢科があるため、そこに行けば犯人がしていた義手の手掛かりがあるのではないかと考えたからです。

その日の夜。キンブルは昼間盗んだクック群病院の清掃員デズモンド・ルイーズのIDを使い、新しく買った服で清掃員に成りすまし、堂々と病院内へ侵入。

義肢科へ行き、閉めたブラインドを掃除するフリをしながら、パソコンで犯人と同じ型の義手をつけている患者を調べました。

21人の患者の中から、5人まで絞り込めたキンブルは、その情報を手に病院を立ち去ろうとします。


(C)Warner Bros. Entertainment Inc.

ところが、瀕死の重傷を負った患者が多く搬送されてくるのを見て、キンブルは医師として見過ごすことは出来ず、胸の痛みを訴える急患を手術室へ運んであげたのです。

そんな彼の姿を目撃した若き女医アン・イーストマンは、キンブルを追いかけ問い詰めた結果、ただの清掃員ではないことを見抜いて警備員を呼びました。

この間、偶然麻薬の売買で逮捕した男が、キンブルが借りたアパートの大家の息子であることが分かったジェラードたちは、キンブルの手配書を見せ、彼の隠れ家となっている部屋を教えてもらいます。

キンブル不在の部屋の中に、クック群病院に入るための偽造カードがあったのを発見したジェラードは、翌朝、ビッグスを連れて病院へ向かいましたが、既にキンブルは逃げた後でした。

無事病院から脱出したキンブルは、義肢科の通院担当の医師や同級生を装い、犯人と同じ義手をつけた患者に公衆電話から電話をかけ、5人から1人に絞り込もうとします。

その結果、クライヴ・Rという男が強盗で捕まったことが判明。キンブルは危険を冒してまで、犯人かどうか確かめに刑務所へ行きましたが、人違いでした。

そんなキンブルの後を追うように、事件を洗い直していたジェラードは、キンブルが探し当てたクライヴに辿り着き、刑務所から去ろうとするキンブルを発見。

命からがら刑務所を脱出したキンブルは、祭りのパレードの行進に混ざり、列から離れても人混みに紛れたことでジェラードたちの追跡を撒きました。

その日の夜、シカゴに戻ってきたキンブルは、実は無実なのではないかとマスコミがジェラードとシカゴ市警を問い詰めます。

翌日、自分の無実を信じようとしている人間が増えたことに気づかないキンブルは、また新たな服を調達し髪色を変え、犯人捜しをしていました。

その結果、ついにキンブルは義手の男が元警官で、現在は医薬品会社「デヴリン社」で警備員をしている、フレデリック・サイクスという男であることを突き止めます。

さらにキンブルは、サウス・サイドにあるサイクスの家で見つけた写真から、ニコルズの部下アレックス・レンツと交友関係にあったことまで突き止めたのです。

キンブルと同じ病院で働く病理学者のレンツは、「RDU-90プロヴァジック」という新薬の治療実験を担当していました。

キンブルはサイクスの家から、ジェラードに電話をかけます。「下水路で俺が言った言葉を覚えているか? 俺は無実を訴えたが、お前は“知ったことか”と答えていたよな」

「そうだ、俺は謎解きをするつもりはない」「その必要はない。俺が謎を解く、その手掛かりを掴んだからな」


(C)Warner Bros. Entertainment Inc.

そこで切れたキンブルとの通話を逆探知し、サイクスの家を特定したジェラードたちは、すぐさまシカゴ市警の警官たちと共に捜査に向かいます。

ジェラードたちが駆けつけるより先に、キンブルはその場から逃亡。捜査中のジェラードたちは、キンブルより先にサイクス本人と会いました。

キンブルの指紋が付着していた、サイクスとレンツの姿が写った写真を見て、ジェラードはサイクスの家から電話をかけてきたこともあり、この写真の2人に何か関係があるのかと思ってサイクスの事情聴取を行います。

その結果、ジェラードはサイクスを怪しいと感じ、念のため彼に見張りをつけ、レンツが何者なのか調べるようシカゴ市警の警官たちに命じました。

一方キンブルは、「シカゴ・ヒルトン」というホテルにいるニコルズに電話をかけ、彼にこう言いました。

「妻を殺した犯人が分かった。奴の本当の狙いは妻ではなく、俺だったんだ」「黒幕はデヴリン社とレンツ。奴が開発した新薬の副作用である肝臓障害を見破ったからだ」

これに対し、ニコルズは「リチャードが冤罪で逮捕された後、レンツは交通事故で死んだ。彼の新薬の薬害を証明できるのか?」と返しました。

レンツの死に衝撃を受けたものの、キンブルはニコルズとの電話の後、彼の新薬の薬害を証明するべく古巣であるシカゴ小児記念病院に戻り、新薬を使った患者の肝臓のサンプルを入手。

キンブルの読みが正しければ、それが新薬の薬害を証明できる証拠となります。しかし、協力を仰いだ同僚の女医キャサリーン・ワーランドに調べて貰った結果、その肝臓のサンプルは健康な肝臓のものでした。

つまりレンツは、新薬の副作用を隠蔽するため、キンブルが彼宛てに送った健康な肝臓のサンプルと、肝臓障害を起こした肝臓のサンプルをすり替え、検査に合格させたのです。

ただそのサンプルのサインをしたのは、レンツが死んだ日であることが判明。レンツ以外にサンプルの貸し出しの権限を持っているのは、病理学科の医長であるニコルズだけです。

同時にその答えに辿り着いたキンブルとジェラード。2人は違う目的で、ニコルズの元へそれぞれ向かいました。

しかしその道中、キンブルは電車内でサイクスと遭遇。死闘の末、彼はサイクスから奪った銃で頭を殴り昏倒させ、戦いに巻き込まれ死亡した鉄道公安官の手錠で手すりに拘束します。

キンブルは降りた駅のゴミ箱に拳銃2丁を捨て、レッツが開発した新薬の成果に関する講演会に乗り込み、大勢の観衆の前で講演しているニコルズを問い質しました。

「君は新薬を認可させ、デヴリン社に売りつけてその会社の理事となり、富と名声を得たかった」

「そのために新薬の副作用を隠蔽するべくサンプルをすり替え、臨床報告書のデータを改ざんした挙句、レンツを交通事故を装って殺したんだ」

そう、新薬の副作用を見破ったキンブルは、ニコルズが富と名声を得るためには邪魔な存在であったため、サイクスを差し向けて始末しようとしたのです。

全て計画通りとはならなかったものの、ニコルズはキンブルにヘレン殺害の罪を被せ、逃亡中の彼に協力するフリをしてジェラードたちと彼を欺き、再びサイクスに始末させようと企んでいました。

ニコルズは話し合う素振りを見せつつ会場を離れ、不意打ちを狙ってキンブルに襲い掛かります。

これを合図に、格闘戦を繰り広げていくキンブルたち。キンブルを追っていくにつれ、独自の調査で事件の真相に辿り着いたジェラードたちも、ホテル内へ突入。

鉄道公安官を殺したのはキンブルだと決めつけているシカゴ市警は、屋上に出たキンブルをヘリから射殺しようとします。

揉み合っているうちに窓ガラスの天井を突き破り、真下のエレベーターの上へ転落したキンブルたち。重傷を負いながらも、降り立った5階のリネン室内で死闘を続けようとします。

2人の後を追うジェラードたちもリネン室へ到着。事件の真相を知り、キンブルの無実を確信したジェラードは、ニコルズを殺そうとする彼を説得しにかかりました。

「このホテルは封鎖し包囲したため、もう逃げ場はない。シカゴ市警は君が鉄道公安官を殺したと思っているから、見つかれば射殺されるぞ」

「君は無実だ。犯人はサイクスだ。それと黒幕のニコルズ。奴はあの晩餐会の夜、君の車を借りて鍵を手に入れ、それで家に入ったんだ」「その証拠に、奴は君の車から電話している」

「俺を信じて、もう逃亡はやめるんだ!」………このジェラードの説得に応じ、キンブルが投降しようとした瞬間、レンフロを襲い拳銃を奪ったニコルズが、背後からジェラードを殺そうとします。

そんなニコルズの姿を見たキンブルが、間一髪のところで、拾った鉄パイプで彼の膝を殴り打ちのめしました。

その後、シカゴ市警に見つかり逮捕されたサイクスは、拘留されることとなりました。ジェラードはニコルズとキンブルを逮捕するも、すぐに乗り込んだパトカーの中で、キンブルの手錠を外します。

そしてジェラードたちが乗るパトカーは、シカゴ市警が誤認逮捕したのではないかと、詰め寄る報道陣の前から立ち去っていきました。

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映画『逃亡者』の感想と評価


(C)Warner Bros. Entertainment Inc.

妻殺しの犯人を見つけるために逃亡するキンブル

晩餐会からの帰り、帰宅したキンブルが見たのは、片腕が義手の見知らぬ男に襲われ、殺されてしまった最愛の妻ヘレンの姿でした。

物語の合間で描かれるキンブルの回想場面で、ヘレンが死ぬまでの一部始終が描かれているのですが、犯人を取り逃がしてしまっただけでなく、医者なのに妻を助けてあげられなかった彼の悔しさが画面越しに伝わってきます。

さらに不運に見舞われ、第1級殺人罪で死刑判決が下ってしまったキンブル。護送中のハプニングで逃亡して以降、彼は自分にかけられた冤罪を晴らすべく、妻を殺した犯人の捜索をしていきました。

キンブルは犯人捜しをする傍ら、医者として負傷者を見過ごせないのが仇となって何度も捕まりそうになり、その度に観ているこちらもハラハラドキドキさせられて、彼から目が離せません。

何度も変装し、連邦保安官やシカゴ市警の警官たちから逃げ続けるキンブルの逃亡劇。その先で掴んだ事件の真相は、さらに彼を精神的に追い込むことになってしまって胸が苦しくなります。

執念深く追いかけるジェラード


(C)Warner Bros. Entertainment Inc.

いち早く護送車の事故現場から逃亡した囚人がいることに気づいた連邦保安官のジェラード。それはシカゴ市警にも、現場に駆けつけた別の連邦保安官も気づけませんでした。

そこから素早くキンブルの捜索を開始し、何度撒かれようとも追いかけ続けるジェラードの執念深さは、思わずキンブルが恐怖で身震いするほど凄まじいものです。

ジェラードは最初、無実を訴えるキンブルに対し、「知ったことか」と冷たく返しますが、事件の真相に近づく物語の後半には彼の心情は徐々に変化していきます。

並外れたタフネスと機転を頼りに、逃走を続けるキンブルを追いかけるだけでも大変なのに、ジェラードは独自の調査でヘレン殺害事件の真相にも辿り着いたのです。

キンブルの無実を確信したジェラードが、逮捕したキンブルの手錠を外し、彼とにこやかに笑い合う姿からは、これまでの2人の関係性を考えると、感慨深いものがありました。

まとめ


(C)Warner Bros. Entertainment Inc.

殺人の罪を着せられた有能な外科医が、自らの冤罪を晴らすべく、逃亡しながら犯人捜しを行っていく、アメリカのアクションスリラー作品でした。

それぞれのやり方で事件の真相に辿り着いたキンブルとジェラード。ヘレンを殺したのは、元警官で現在医薬品会社の警備員をしているサイクスでした。

サイクスと交流があったレンツが黒幕かと思いきや、サイクスを裏で操っていた黒幕の正体は、キンブルの親友ニコルズという予想外の展開が待ち受けています。

富と名声を得たいがために、医薬品会社に売り込もうとしていた新薬の副作用に気づいたキンブルを殺そうとしたニコルズ。

信じていた親友に裏切られていただけでなく、最愛の妻と同僚を殺されたキンブルの怒りは計り知れないものでしょう。

物語のラストには、ジェラードによってニコルズも実行犯のサイクスも逮捕されたので、観ているこちらもスカッとした気持ちになります。

並外れたタフネスと鋭い洞察力を持つ外科医が、同じく洞察力が鋭く頭がキレる連邦保安官を相手に、壮絶な逃亡劇を繰り広げていくアクションスリラー映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。

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