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Entry 2019/06/07
Update

映画『Dinerダイナー』感想と評価解説。藤原の挑戦的な演技力と蜷川実花の色彩感が生々しい!

  • Writer :
  • 桂伸也

映画『Diner ダイナー』は2019年7月5日(金)より全国ロードショー!

殺し屋だけが集まるという不思議な食堂「ダイナー」。そこにはかつて元殺し屋という店主が、超絶的な腕前による魅惑のメニューで、毎晩殺し屋たちの舌をうならせていた。

殺し屋だけが入店を許されるという一風変わった食堂「ダイナー」を取り巻く人たちの異様な世界を、鮮やかかつ生々しい色彩感で描いた『Diner ダイナー』。

本作は映画監督としても活躍している、ホラー作家の平山夢明策の小説を原作とし、写真家としても活動、映画『さくらん』『ヘルタースケルター』を手掛けた蜷川実花が監督・脚本を務めた作品です。

キャストには藤原竜也をはじめ、玉城ティナ窪田正孝本郷奏多ら注目の若手陣が魅力たっぷりの演技を披露。さらに小栗旬土屋アンナ真矢ミキ奥田瑛二武田真治ら経験豊かな役者陣が脇を固めます。

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映画『Diner ダイナー』の作品情報


(C) 2019 「Diner ダイナー」製作委員会

【日本公開】
2019年(日本映画)

【英題】
Diner

【監督】
蜷川実花

【脚本】
蜷川実花、後藤ひろひと、杉山嘉一

【キャスト】
藤原竜也、玉城ティナ、窪田正孝、本郷奏多、武田真治、斎藤工、佐藤江梨子、金子ノブアキ、小栗旬、土屋アンナ、真矢ミキ、奥田瑛二

【作品概要】
『さくらん』『ヘルタースケルター』を手掛けた蜷川実花が監督を務め、元殺し屋の天才シェフ役を藤原竜也、ひょんなきっかけでその男の下働きとなる女性役を玉城ティナが演じるサスペンス・アクション。

凶悪な殺し屋たち専用の食堂「ダイナー」を舞台に、元殺し屋の店主と、店を訪れる様々な凶悪な殺し屋たちのアブノーマルな世界を、独自の色彩感と生々しさで描き出します。

原作は『「超」怖い話』シリーズなどで人気を博したホラー作家、平山夢明の人気小説。作品は第13回大藪春彦賞を受賞しました。

映画『ダイナー』のあらすじ


(C) 2019 「Diner ダイナー」製作委員会 

日々の生活に疑問を抱きながら、悶々と生きていた一人の女性・オオバカナコ(玉城ティナ)。彼女はある日、街中ですれ違ったパレードの一群に魅せられ、一つの決意をします。

その決断の実現のために就いたアルバイトはギャラこそ弾まれますが、なんとも怪しい仕事。その不安は的中し、カナコは雇い主の二人(斎藤工、佐藤江梨子)とともにギャングに拉致されてしまいます。

しかし、そこに登場したギャング組織の豚男(金子ノブアキ)の計らいで、カナコは殺し屋専門の食堂「ダイナー」に身売りされることに。

そこを切り盛りしていたのは、元殺し屋のシェフ・ボンベロ(藤原竜也)。カナコは入店早々から粗相を繰り返し、ボンベロから追いつめられます。

しかしそこをうまく逃げ回り、カナコは店の奥にある食材庫の中に、一つの金庫があるのを発見、扉を開けると、そこには伝説ともいわれる酒「DIVAウォッカ」のボトルが。そしてカナコはそれを隠し持ち、ボンベロに対して自分の命を保証し、ちゃんとここで働かせるようにと要求します。

しぶしぶと要求に応じるボンベロ。かくしてボンベロとカナコの、「ダイナー」での奇妙な生活はスタートします。

そこには心優しくトラウマを抱えたスキン(窪田正孝)、子供のような姿ながら残忍さはピカ一のキッド(本郷奏多)、筋肉自慢の荒くれ者・ブロ(武田真治)をはじめとしたギャング集団など、個性豊かな殺し屋が連日来店。カナコにとっては天手古舞いの毎日が続きます。

一方、この町はかつて町のトップであるデルモニコによって統治されていましたが、彼の死後は東のマテバ(小栗旬)、西のマリア(土屋アンナ)、北の無礼図(ブレイズ:真矢ミキ)、南のコフィ(奥田瑛二)という4人の対立が続いていました。

ある日、コフィは他の3人に対して食事会を提案、ボンベロに対しその宴会の席を用意するよう予約を入れます。さらにそこではあの
「DIVAウォッカ」を出すようにとのオーダーが。

予約の日が近づくにつれ増していく緊張。その頃には四つ巴の関係にも、ある変化が。果たしてこの4人の関係の結末は?そして「ダイナー」とボンベロ、カナコの運命は…。

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映画『ダイナー』の感想と評価

細部まで拘った「鮮やかな色彩」


(C) 2019 「Diner ダイナー」製作委員会 

蜷川監督の作品の特徴は、なんといってもその唯一無二ともいえる色彩感覚

これまでの『さくらん』『ヘルタースケルター』でもそうですが、原色系の鮮やかなカラーを隅から隅まで塗りつくしたそのイメージは、かなり強烈なインパクトを放っています

一方、ほとんどのシーンでは意図的に影を多くしているように感じる部分も、非常に興味深いところではあります。

その陰影が、非現実ともいえる様々なカラーの中でしっかりと人間味を表しており、物語の説得力をしっかりと出しているようにも感じられます。

また、『ヘルタースケルター』では、主人公の精神世界が、他人と共存する現実世界と明確に映像で別れており、現実世界が自然なカラーで描かれていたのに対して、精神世界ではその毒々しいまでに鮮やかなカラーで場面が描かれていました。

本作では、メインキャラクターの一人であるオオバカナコのバックグラウンドをたどる冒頭部分、そしてエピローグを示すエンディング部分のみが自然なカラーで描かれ、ほとんどが赤、ピンク、青、黄色…といった、刺激的なカラーで彩られています。

その現実の光景の中で、ふっと現れる一人の女性は、その場にいるたたずまいや成りが全く普通であるのに対して、ふっと瞳が青くなっていように感じられるところがあります。

映画のスクリーンへの投射でようやく気づけるほどの、細かい部分ではありますが、こういった部分は、現実/非現実感を分けて描いているようにも見える本作の中で、実は作品の隅から隅まで、そういった境界をかなり曖昧にしているようにも感じられます。

見る側にある種フワッとした浮遊感を与えるようでもあり、そこには写真家としても活躍する蜷川監督の、映像に対する並々ならぬこだわりが感じられるようでもあります。

さらに、これまでの蜷川監督の作品とはテイストが異なるハードアクションシーンも随所に見られる一方、中には某アクション映画、某SF映画での有名なシーンのアイデアをそのまま使用したようなアクションも見られます。

しかし、それを何らかのパロディの印象で終わらせるのではなく、その場面に必要なアクションであると感じさせるような配慮もなされており、作品の質の高さを見せています。

圧倒的な存在感を示した藤原竜也


(C) 2019 「Diner ダイナー」製作委員会 

そして本作品の大きな柱には、蜷川監督とともに主演・藤原竜也の存在があります。

世界的な演出家である故・蜷川幸雄さんの娘である蜷川実花監督、そして愛弟子でもある藤原のタッグは、意外にも本作が初めてですが、その画から感じられる躍動感と、藤原の演技はとても初めてとは思えないほどにマッチしたものといえるでしょう。

劇中では登場とともに他のキャラクターとは一線を画した、他人を内に引き入れない性質を見せ、自らを敢えて物語の土台としているようにも見ます。

他の演者の影響を受けない存在としてそこに立っていることで、何か現場に一線が敷かれ田植えで他の演者が伸び伸びとそれぞれの演技を見せているようでもあります。

今回、藤原が演じるボンベロは、元殺し屋ということもあってか、表面的にはかなり感情を抑えた役柄として演じているようにも見えますが、それでいて何か覚めたようにも見える反面、内面に熱い衝動を抱えているようでもあります。

共演者には小栗旬、窪田正孝など蜷川幸雄さんと非常にゆかりの強い役者が集まっていることもあり、その意味でも藤原の存在は非常に安定した土台であるといえるでしょう。

また、その藤原の存在感に果敢に向き合っている玉城ティナの演技も大きな見どころであります。

どちらかというと青春ラブストーリーものなどのほうが経歴としては目立っている玉城、その意味では女優としてワンステップを踏んだ作品であるともいえますが、演技としては藤原の放つ迫力に一歩も引いた様子も見せず、気迫あふれる演技を見せています。

彼女の演じたオオバカナコのように、成長の跡すら感じられる演技を見せている玉城。その演者構成からしても、もし彼女が蜷川組の門をたたいていたら、こんな感じになっていたのではないかという感じもあります。

相乗効果で盛り上げる共演陣の個性


(C) 2019 「Diner ダイナー」製作委員会 

また、他の共演陣による迫真の演技も見逃せません

窪田正孝の、何等かわずかにでも共感を呼びながらに、ある瞬間、何かのタイミングで一気に狂気にまみれるその演技は、期待通りという感じでもあります。

他方、狂気しか感じられない本郷奏多の役柄。彼の個性にはこういった役柄がピッタリだと、改めて感じさせてくれる、そんな演技を見せてくれます。

また、対照的に全編スタイリッシュな雰囲気を醸し出していた真矢ミキの存在は、窪田、本郷の性格とは真反対ですが、それが作品としては良いバランスを生み出しているようでもあります。

その他にも奥田瑛二、小栗旬、土屋アンナ、金子ノブアキ、武田真治、斎藤工、佐藤江梨子と、それほど登場シーンは長くはありませんが、それぞれの個性を生かした存在感のある演技を披露。

一時も目を離せないほどの見せ場を随所に作り込んでいます

まとめ


(C) 2019 「Diner ダイナー」製作委員会 

映像の色彩感に定評のある蜷川実花監督の作品だけに、作品から感じられる鮮やかさ、毒々しさ、さらにはそんな直接的な感覚以外に受ける様々な感覚が、観る人には感じられることでしょう。

また劇中の藤原竜也の存在感は、決して完成しつくされたものではない、ある意味攻めるように役に向き合い、驕ることなく役作りに取り組んだ結果であるようにも感じられます。

藤原は恩師である蜷川幸雄が死去してなおも対峙している。今回出会ったこの機会は、彼のその胸の内にあるそんな思いを、改めて明かしているようにも感じられます。

もちろん、これらのキーワードを含む作品に初めて触れる方も、きっと大きな衝撃を受ける作品であることは間違いないでしょう。

映画『Diner ダイナー』は2019年7月5日(金)より全国で公開されます!









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