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Entry 2021/01/11
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小説版『哀愁しんでれら』結末ネタバレ!映画を原作に凶悪事件をもう一人のシンデレラの物語として描く

  • Writer :
  • 金澤響子

映画『哀愁しんでれら』は2021年2月5日(金)より全国ロードショー。

「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2016」でグランプリを獲得した企画をもとに、『かしこい狗は、吠えずに笑う』の渡部亮平監督がオリジナル脚本で映画化した『哀愁しんでれら』。

土屋太鳳が、狂気に蝕まれていく主人公の小春を、彼女の夫となる開業医役を田中圭、彼の娘役は本作がスクリーンデビューとなるインスタグラマーのCOCOが演じます。

本作『哀愁しんでれら』を原案に、作家の秋吉理香子が『哀愁しんでれら もう一人のシンデレラ』(双葉社)として新たな物語を紡ぎました。

『哀愁しんでれら もう一人のシンデレラ』書影

本記事では、映画のノベライズとは一味違う仕上がりとなっているコラボレーション・ブック『哀愁しんでれら もう一人のシンデレラ』について、あらすじをラストまでネタバレ込みでご紹介します。

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小説『哀愁しんでれら もう一人のシンデレラ』の主な登場人物

・福浦咲良(ふくうら さくら)
市役所の児童福祉課で働く26歳の女性。独身。
映画版の福浦⼩春(土屋太鳳)に当たるキャラクターです。

・泉澤孝太(いずみさわ こうた)
41歳の開業医。半年前に交通事故で妻を亡くしました。
映画版の泉澤大悟(田中圭)に当たるキャラクターです。

・泉澤カオリ(いずみさわ カオリ)
孝太の娘で、8歳の小学2年生。
映画版のヒカリ(COCO)に当たるキャラクターです。

小説『哀愁しんでれら もう一人のシンデレラ』のあらすじとネタバレ

市役所の児童福祉課で働く咲良には、母親がいません。彼女が幼い頃に出て行ったきり。

酒屋を営む父、祖父、高校生の妹と、4人で暮らしてきた咲良でしたが、ある夜を境に、不幸のどん底に落ちてしまいます。

祖父が脳梗塞により風呂場で転倒。父が車を運転し、祖父を病院へと運ぼうとしたものの、自転車を避けようとして塀にぶつかってしまいます。しかも飲酒運転だったんです。

咲良が父をかばって、自分が運転していたことにしようとしますが、父は自白し、警察に連行されます。警察の無線からは、実家であり父の経営する「福浦酒店」が火災との情報が。家を出る際に、咲良がストーブを倒してしまい、それが出火の原因となっていたんです。

警察署から出てきた咲良は、酔っ払って道路に倒れていた男性を介抱します。

彼の名前は泉澤孝太。病院の院長を務めながら、一人娘のカオリを育てています。妻は半年前に、浮気相手といたところを、交通事故に遭って亡くなりました。

翌日、孝太は、咲良に助けてくれたお礼の電話をかけ、ふたりで会う約束をします。

そこへ、カオリの小学校から電話が。カオリがドッジボールで遊んでいた時、目の近くにボールが当たってしまったそうです。

孝太は慌てて学校へ向かい、先生の対応や、ボールをぶつけた男子児童・渉のことを責め立てます。

カオリは内心、そんな父のことを恥ずかしく思っていました。カオリは、渉のことが気になっていましたが、引っ込み思案のため、うまく話すことができません。

なかなかクラスに馴染めないカオリを引っ張るのが、世話焼きの来美。渉とも仲が良く、何かというと「母親がいないカオリ」を同情するような発言をする来美を、カオリは疎ましく感じていました。

渉と仲良くしたくて、慣れないドッジボールに混ざったカオリ。渉の投げたボールが顔に当たったんです。

大したことがない怪我でしたが、渉を悪者にして騒ぎ立てる孝太を見て、カオリは亡くなった母への思いを募らせます。

一方、咲良は、父の飲酒運転を庇おうとしたことがネットに晒され、市役所では働けなくなってしまいました。恋人の家へ向かうと、別の女性と浮気している真っ最中。

さらには、酒屋の店舗を失ったため、父も無職に。妹の学費や、祖父の入院費のことを考えると、心配事は山積みでした。

あくる日、咲良は孝太と会います。お礼として、お姫様のようなワンピースと靴を買ってもらう咲良。

その後ふたりは、自分たちの身の上を語り合います。孝太はカオリのお迎えのついでにと、咲良を車に乗せました。

はじめは咲良を無視していたものの、徐々に打ち解けて、母親に接するかのように甘え出すカオリ。そんな娘の様子を見て、孝太は咲良との結婚を意識し始めます。

孝太は、咲良の祖父を医療の手厚い病院に移し、父の仕事も斡旋、妹の家庭教師も引き受けてくれました。咲良はそんな彼に、ますます惹かれていきます。

カオリの後押しもあり、咲良と孝太は結婚。三人は幸せな家庭を築きました…。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『哀愁しんでれら もう一人のシンデレラ』ネタバレ・結末の記載がございます。『哀愁しんでれら もう一人のシンデレラ』をまだお読みになっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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しかし、咲良に向けていたカオリの笑顔は、全て演技でした。咲良のことを疎ましく思いながらも、「母親」という存在がいない不都合さ、理不尽さを感じていたカオリは、父との再婚話が進むように、無邪気ないい子を演じていたんです。

そんなことは知らない咲良と孝太でしたが、少しずつ歯車が狂い始めます。マイペースな咲良に、孝太は苛立ちを募らせていきます。

ある日、カオリが、巾着袋が学校で無くなったと言い出しました。それは、咲良が手作りしたもの。

孝太は咲良を連れて、学校へ乗り込みます。担任に「クラスで窃盗があった」と伝えても、取り合ってもらえません。

巾着袋が無くなったのは、カオリの自作自演だったんですが、彼女は「渉に盗られた」と言い張りました。渉の無実を主張する来美は、カオリを誘って、巾着袋を探そうとします。

3階の窓から外を見ようと身を乗り出した来美を、カオリは突き落としました。来美は亡くなり、学校は大騒ぎ。カオリは、親友の死を悲しむふりをしてやり過ごします。

来美の葬儀が終わって帰宅した咲良とカオリ。あまりにあっけらかんとした様子のカオリに、咲良は違和感を抱き、孝太に相談しますが、孝太は咲良の無神経さに怒りを露わにします。

カオリは、咲良の前では「いい子」の顔をしなくなります。咲良がそんなカオリのことを幸太に訴えても、咲良の言葉は孝太の耳には入りません。

孝太は咲良を怒鳴り散らし、家から追い出しました。そこでカオリは、自分自身の寂しさと、咲良に甘えたかったという真実に気づきます。

咲良も、泣きながら追いかけてきたカオリを、幼い日に母を失った自分と重ね合わせ、胸が締め付けられながらも、家をあとにしました。

咲良は横断歩道の真ん中で転び、道路に横たわったまま、自分の幸せにのことしか考えていなかったと後悔します。

車に轢かれそうになった咲良を、カオリと孝太が助け出しました。3人はお互いの今までのことを謝り、これからは3人で幸せを築いていこうと誓い合います。

翌日、学校に向かったはずのカオリが、全身泥だらけで帰宅します。クラスメイトに突き飛ばされたと言うんです。

咲良は幸太を連れ、すぐに学校へ乗り込みますが、校長も担任も迷惑げな様子。

いつまで経っても対応する気配が無かったため、咲良たちは放送室のマイクを使って、クラスメイトのカオリへの仕打ちや、学校のずさんさを訴えます。

慌てた校長が、咲良たちを校長室へ案内しました。そこへ、渉をはじめとするクラスメイトがやってきて、「来美を殺したのはカオリだ」と責め立てます。

学校が責任を持って調査をするということでその場は収まりましたが、孝太の家には石が投げ込まれ、今後のことが危ぶまれました。

カオリを守りたいという一心から、咲良は幸太にある提案をします。

学校の校医でもある孝太。翌日は集団予防接種の日でした。咲良を助手にして、生徒だけではなく、教職員全員に注射をしていく孝太。

打たれたものはみんな、命を落としました。予防接種の中身は、咲良の提案でインシュリンにすり替えていたんです。

静かになった教室。授業を受けるのは、カオリただひとり。

咲良は教壇に立ち、授業を始めます…。

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小説『哀愁しんでれら もう一人のシンデレラ』の感想と評価

登場人物の歪んだ心情にぐいぐいと迫っていく本著。咲良、孝太、カオリのそれぞれの視点からストーリーが展開していくため、かれらの多面性が鮮やかに切り取られます。

王子のように爽やかに登場した孝太がモラハラ男だったり、悪魔のように見えたカオリの言動が寂しさの裏返しだったり。

そして、咲良は、シンデレラのように清廉潔白な悲劇のヒロイン…と思わせておいて、実は「幸せ」に固執している自己中心的な人物として描かれているのも興味深かったです。

父をかばうという形をとりながらも飲酒運転を隠蔽しようと企て、また、孝太が大事にしている人形を壊してしまった時には、目撃者であるカオリを口止めするといった小狡さがあります。

この咲良のアンバランスさは、母親に捨てられたことがきっかけとなっているんでしょう。「いい子でいなければ必要とされない」という思いから、「いい子」でいるために自分の悪を嘘で塗りつぶしていきます。

そんな咲良がやっと手に入れた「幸せ」とは、家族3人だけが笑顔でいられる道を探すことでした。

カオリを守るために、邪魔者を排除する咲良。彼女の隠蔽体質は改められることはなく、孝太の財力と立場という強大な力を手に入れたがために、凶悪事件を涼しげにやってのけるモンスターに成長していきました。

映画『哀愁しんでれら』の作品情報

(C)2021「哀愁しんでれら」製作委員会

【日本公開】
2021年(日本映画)

【監督・脚本】
渡部亮平

【キャスト】
土屋太鳳、田中圭、COCO、山田杏奈、ティーチャ、安藤輪子、金澤美穂、中村靖日、正名僕蔵、銀粉蝶、石橋凌

【作品概要】
「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2016」でグランプリを獲得した企画をもとに、『かしこい狗は、吠えずに笑う』(2012)の渡部亮平監督がオリジナル脚本で映画化。

主人公の小春を演じるのは、数々の青春映画のヒロインを演じてきた土屋太鳳。

彼女の夫となる大悟に扮するのは、「おっさんずラブ」で大ブレイク以降、最も忙しい俳優として走り続けている田中圭。

娘のヒカリ役でスクリーンデビューを飾るのは、8歳で63万人以上のフォロワーをもち、国内外から注目を集めるファッションインスタグラマーのCOCO。

小春の妹を山田杏奈が、父を石橋凌が演じ、大悟の母に銀粉蝶が扮しています。

映画『哀愁しんでれら』のあらすじ

児童相談所で働く⼩春は、⾃転⾞屋を営む実家で⽗と妹と祖⽗と4⼈暮らし。母に捨てられた過去を抱えながらも、幸せでも不幸せでもない平凡な毎⽇を送っていました。

しかしある夜、怒涛の不幸に襲われ⼀晩ですべてを失ってしまいます。そんな彼女に手を差し伸べたのが、8歳の娘・ヒカリを男⼿ひとつで育てる開業医の⼤悟。

優しく、裕福な⼤悟は、まさに王⼦様。「ただ幸せになりたい」と願う小春は、出会って間もない彼のプロポーズを受け⼊れ、不幸のどん底から⼀気に幸せの頂点へ駆け上がりました。

シンデレラの物語ならここで“めでたしめでたし”。

しかし小春の物語はそこでは終わりませんでした…。

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まとめ

映画『哀愁しんでれら』を鑑賞した秋吉理香子が、別のヒロインの物語として描いた本著『哀愁しんでれら もう一人のシンデレラ』。

ノベライズではなく、コラボレーション・ブックということですので、どこまで映画と本著が異なるのか、興味が湧いてきますね。

『哀愁しんでれら もう一人のシンデレラ』はメリーバッドエンドでしたが、映画のラストはどのような締め括り方をするんでしょうか。

また、土屋太鳳、田中圭、COCOといったキャストたちが、登場人物の複雑な心情の変化をどう演じてみせるのか、期待が高まります。

特に、子役にも踏み込んだ演技が要求される作品になるのは確かですから、娘役のCOCOに注目したいですね。

映画『哀愁しんでれら』は2021年2月5日(金)より全国ロードショーです。







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