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若手映画監督(20代・次世代・学生ら)の登竜門!SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019が閉幕【国内外の各賞受賞者のコメント収録】2019SKIPシティ映画祭10

  • Writer :
  • 桂伸也

第16回を迎えるデジタルシネマのイベントが閉幕、受賞者堂々の発表!

7月13日に開幕したSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019が閉幕。最終日の21日にはそのクロージング・セレモニーと各賞の表彰が行われました。


(c)Cinemarche

開催期間中には国際コンペティション部門10作品、国内コンペティション長編部門5作品、同短編部門9作品が上映されたこの映画祭。

国際コンペティションでは最優秀作品賞、観客賞、監督賞、審査員特別賞の4部門、国内コンペティション長編、短編でそれぞれ優秀作品賞、観客賞の2部門を発表。

さらに特別賞である「SKIPシティアワード」1作品が発表されました。今回はこの様子をお届けします。

受賞作品と、受賞コメントは以下の通りです。

【連載コラム】『2019SKIPシティ映画祭』記事一覧はこちら

国際コンペティション

最優秀作品賞・観客賞(W受賞)

映画『ザ・タワー』(マッツ・グルードゥ監督)パトリス・ネザン プロデューサー

※現在グルードゥ監督は都合により欠席。代理としてプロデューサーのパトリス・ネザンさんががトロフィーを受け取りました。


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「この作品を日本の観客のみなさんに見ていていただき、また素晴らしい賞を受賞することができて光栄です。上映後には多くの反響や熱意を感じることができ、嬉しく思います。

日本ではパレスチナの難民問題は縁遠いかもしれませんが、人間性は世界共通の普遍的なもの。世界中の難民キャンプで起こっていることも、誰もが理解し共感できるのではないかと思います。

アニメーション制作は時間がかかるもので、この作品も完成まで8年もの月日を費やしました。しかし監督のマッツと私がやりたいことははっきりしていました。

彼は子どもの頃、NGOの「セイブ・ザ・チルドレン」で看護師をしていた母親とともに毎夏には難民キャンプで過ごしました。そして現実をできるだけ忠実に描き、ここに暮らす人々の愛や尊敬、ユーモアを描きたいと思っていました。

監督は繊細で人間性あふれる作家です。誰もが持つ人間性に訴えようとする監督に寄り添うことは、プロデューサーにとっても贅沢な経験でした。

ヨーロッパ、特にフランスは、日本のアニメーションやグラフィックノベルから多大な影響を受けています。

特に大人向けのアニメーション作品を作る私たちは、日本の作品に多くのインスピレーションをいただきました。この作品が互いの架け橋となれることを非常に光栄に思います。」


監督賞(2作品を選出)

『イリーナ』(ナデジダ・コセバ監督)ステファン・キタノフ プロデューサー

※来日がかなわなかったナデジダ・コセバ監督にかわり、プロデューサーのステファン・キタノフさんが受賞の喜びを語りました。


(c)Cinemarche

「とても光栄です。監督のかわりに感謝を伝えたいと思います。

今回、日本で素晴らしい時を過ごした一方で、京都で起きた火災事件にはとても心を痛めています。気持ちは遺族の皆さんとともにあり、世界が平和になることを願っています。

日本のみなさんは、ブルガリアというとヨーグルトや琴欧州を連想すると思いますが、今後は映画もそのひとつになって欲しいと思います」


監督賞(2作品を選出)

『陰謀のデンマーク』ウラー・サリム監督


(c)Cinemarche

「人を敬う日本の文化から、世界が学ぶべきことはたくさんあると思います。この作品は“起こりうる最悪の事態”を描いていますが、最悪の事態と同時に考えるべきは、いかに“起こりうる最良の事態”を見出すかだと考えます。

映画にはそういう力があります。デンマークでこの映画を作り、いまここに立って、日本の皆さんに作品を認めてもらえるとは、数年前には想像もできませんでした。

だから映画作家として希望をいただきましたし、次の作品はもっといいものにしよう、という気持ちになりました」


審査員特別賞

『ミッドナイト・トラベラー』ハサン・ファジリ監督


©Hassan Fazili

※来日がかなわず、欠席となりました。

国際コンペティション部門の審査委員長を務められた三池崇史監督は、『ザ・タワー』の受賞に関し「レバノンに暮らすパレスチナ人の少女ワルディと心を通わすことができました。

それをノルウェー出身の監督が撮ったということに、映画の希望や可能性、すごさを感じました。子どもも大人も、自分の失った優しさを取り戻す、いま日本人が最も見るべき映画だと思います」と受賞に対する賛辞を語ります。

三池崇史監督(国際コンペティション部門の審査委員長)


(c)Cinemarche

また「国際コンペティション部門の長編10本、いずれも素晴らしく、キャリアの浅い新人が作ったとはとても思えない、技術的にも、志もレベルも高い作品ばかり」と秀作ぞろいの作品群に対し「審査するうえで戸惑ったのは、ジャンルがそれぞれ違うこと」と審査の苦労をコメント。

しかし同時に「これぞDシネマ映画祭。普通はジャンルでくくるものですが、この映画祭はフリーで作品に垣根がない。この映画祭らしさはそこにあると感じました」と多様性あふれる映画祭の特色に好評を語ります。

一方で映画祭の運営の苦労をねぎらいながら「この映画祭で賞をとったことがいつまでも誇りになるよう、高いレベルを保ち、願わくばあまり商業的にもならず、忖度もせずに続けてほしい」と更なる発展を願われている旨をコメントされました。

国内コンペティション長編部門

優秀作品賞[長編部門]

『サクリファイス』壷井濯監督


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「平成の終わりに多くの凶悪殺人犯と呼ばれる人たちが死刑になって、何も語られないまま令和になり、近日では登戸の事件、先週は京都アニメーションの事件が起きて、改めて物語にできることはなに何もない、ともどかしく思いました。

3.11の時もずっとそう思っていて、押し寄せる津波に対してできることは何もないですが、これから来る第2波、第3波に対しては、物語にできるもの、守れるものがあると思います。ここに一緒に参加できた若い人たちと一緒に物語を紡いでいきたいと思っています。

本当にSKIPシティは多様性に満ちた場所です。(映画祭マスコットの)デジたるくんの色がごちゃごちゃしてるのも、多様性を表しているんじゃないかと思います。ここから色がひとつでも欠けたらいけない。その色をすべて守っていくことが映画の役割だと思うので、とにかく若い人と頑張りたい。

いまある既成の権威とか、そういうものを壊して、明日はもっと良くなるとみんなが思える社会を作っていきたいです」



観客賞[長編部門]
『おろかもの』鈴木祥監督(写真右)、芳賀俊監督(写真左)


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鈴木監督:
「映画関係者、本作品を観てくれた観客の皆様、映画を一緒に作った俳優陣、しっかり仕事に集中してくれたスタッフ、支えてくれた家族に感謝します。

大学を卒業して約10年ぶりに芳賀君と一緒に映画を撮ったんですが、映画を作っている最中は時間を忘れるくらい楽しかった。今後も機会があれば続けていきたいと思います」

芳賀監督:
「自分の子どものような作品が、観客の皆様に愛されたことが本当に嬉しいです。ありがとうございました」

国内コンペティション短編部門

優秀作品賞[短編部門]

『遠い光』宇津野達哉監督


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「僕の叔母さんがガンになったことをきっかけに脚本を書き出すという、すごく個人的なスタートをした作品です。

映像化にあたっては、居酒屋でたまたま会った材木店の社長さんに『映画を作りたいんだ』と言ったら、(いきなり)300万円ほどポン!と出してくれたんです。

そんな始まりだったのですが、まさかこんな素晴らしい賞をいただくことになるとは。普段は映画やドラマのメイキングを作ったり助監督として活動していますが、これからは監督として長編や商業デビューできるよう、一歩ずつ頑張っていきたいと思います」


観客賞[短編部門]

『歩けない僕らは』佐藤快磨監督


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「この作品は回復期リハビリテーション病院を舞台にした、脳卒中で突然歩けなくなった方々の物語です。脚本を書いていく中で、歩ける自分がこの映画を撮る意味をずっと考えていました。

一年弱、取材したり話を聞いたんですが、今回上映する直前までその思いは消えませんでした。上映後、観客の皆さんからご質問やご感想をいただいたことで、この映画に対する向き合い方が一歩前に進めた気がします。

映画は観客に見てもらって初めて映画になることを感じました。このような機会を与えていただき、また映画祭に温かく迎えていただいたことに感謝します。

またこの映画祭に帰ってこられるよう、面白い脚本を書いて精進します」

SKIPシティアワード

『ミは未来のミ』磯部鉄平監督


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「昨年、短編部門で優秀作品賞をいただいて、『長編を撮って早くSKIPに帰ってきたい』とこの場で言ったんですが、一年後に戻ってこられて、賞までいただいて本当に嬉しいです。

初長編では自分の高校三年生の時の話をやろうと決めていたので、その話で賞を獲れたことも嬉しいです」


荻上直子監督(国内コンペティション部門の審査委員長)


(c)Cinemarche

また、国内コンペティション部門の審査委員長を務められた荻上直子監督も今回の感想をコメント。「デジタル化が進んでクオリティがアップし、このまま劇場でかけられるんじゃないかという作品もいくつかありました」と作品レベル向上に対して好評を語ります。

一方で「本当に作りたくてしようがない、パッションの満ちた、ほとばしるような、狂ったような映画は、近年なかなか見せてもらえない。それは、ちょっと残念に思います」と若干インパクトの薄さを残念がる様子も見せられていました。

そして最後に「私も自主映画出身で、みなさんがどれだけ映画を作りたくてしょうがないかはわかっているつもりです。10年後、20年後もずっと作り続けてください!」と映画祭に参加された方々に向けてのエールを送り、言葉を締めくくりました。

【連載コラム】『2019SKIPシティ映画祭』記事一覧はこちら

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