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Entry 2019/07/15
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三池崇史、荻上直子監督ら登壇!SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019のオープニングイベント開催|2019SKIPシティ映画祭2

  • Writer :
  • Cinemarche編集部
  • 桂伸也

第16回を迎えるイベントが、2019年も開幕!

7月13日に埼玉・川口のSKIPシティにて『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019』が開催オープニングセレモニーには各部門のノミネート作品を手掛けた監督や、審査員らが集まり、華々しく開幕しました。

オープニングセレモニーでは、審査員長の三池崇史監督、荻上直子監督らをはじめ審査員や気鋭の映画監督らが登壇

さらにオープニング上映では、2018年に『カメラを止めるな!』で話題を集めた上田慎一郎監督が、同イベントで親交を深めた浅沼直也監督、中泉裕矢監督らとともに作り上げた新作『イソップの思うツボ』が上映され、三監督とともに出演した俳優陣が舞台挨拶登壇しました。

今回はこの様子をお届けします。

【連載コラム】『2019SKIPシティ映画祭』記事一覧はこちら

『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019』オープニング リポート

気鋭の映画監督と、審査員長の三池崇史監督、荻上直子監督ら審査員が登場

(c)Cinemarche

 今回で16回目の開催となるこの『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019』。今回は世界から861本の作品応募が集まり、イベント中に国際コンペティション部門10本と、国内コンペティション部門の長編、短編を合わせた14本が上映されます。

 オープニングセレモニーでは、上田清司埼玉県知事、奥ノ木信夫川口市長、八木信忠総合プロデューサーらが登壇、今年も盛大にこのイベントを開催することができたことに対し、深い感謝の思いを表されました。

(c)Cinemarche

 また、合わせてノミネート作品を手掛けた監督一同を紹介。国内短編部門は『multiple』の永治ミユキ監督、『遠い光』の宇津野達哉監督、『歩けない僕らは』の佐藤快磨監督、『スカーフ』の的場政行監督、『ぜんぶ東京のせいだ』の村木雄監督が登場しました。

(c)Cinemarche

 同長編部門では『ミドリムシの夢』の真田幹也監督、『おろかもの』の芳賀俊監督、『サクリファイス』の坪井雄濯監督が登壇、国際コンペティション部門では『バッド・アート』のタニア・レイモンド監督、『陰謀のデンマーク』のウラー・サリム監督、『ザ・タワー』のパトリス・ネザン・プロデューサー、『旅愁』の呉沁遥(ご・しんよう)監督が登場しました。

(c)Cinemarche

 さらに国内コンペティション部門の審査員長である荻上直子監督、国際コンペティション部門の審査員長である三池崇史監督らをはじめとした審査員も登壇し、イベントのスタートを盛り上げました。

個性的な3監督の出会い、そして新たな挑戦へ


©︎Cinemarche

 そして初日となったこの日、浅沼直也監督、上田慎一郎監督、中泉裕矢監督という三監督が手掛けた新作映画『イソップの思うツボ』がオープニング上映されました。

 オープニングに先駆け三監督とともに、映画に出演した石川瑠華、井桁弘恵、紅甘、斉藤陽一郎、佐伯日菜子ら俳優陣も登壇、初披露となるこのプレミア上映画の思いと合わせて、撮影などを振り返りました。

 元々は2012年に行われたこの映画祭で知り合ったという三監督。その後様々な企画で仕事を共にすることで距離を縮めていかれたとのこと。浅沼監督は「今は親友、マブダチになったなという感じですね」と、今はすっかりツーカーの様子。

 一方で上田監督、浅沼監督からは、初対面では中泉監督の印象はちょっと近づきがたい雰囲気があったと。しかし、2014年に撮影を行った短編オムニバス『4/猫 -ねこぶんのよん- 』で仲を深め、以後今日まで友人、仕事仲間としての信頼関係を築き上げたと振り返ります。


©︎Cinemarche

 今回披露された『イソップの思うツボ』は、実は2014年のプロジェクトスタートでしたが、以後2年くらい企画が固まらず苦労。締め切りギリギリのスケジュールでようやく企画が固まり、今日上映までこぎつけたといいます。

 浅沼監督は、その2年間で行われた3人による議論の程を振り返り「非常に濃厚な2年間を過ごしました。僕には長い夏休みみたいな感じで」と、苦労のひと時をしみじみと振り返ります。

 すると、上田監督は「その夏休みの終わりの日に、ガッとやった、ってね。そういうことを(浅沼監督は毎回)、取材では言っていますけどね」などとボケで返し場内を笑いに包んでいました。

3人の監督に戸惑いながらも楽しんだ撮影

(c)Cinemarche

 そして浅沼監督は「それぞれ成長して、また再会して。そして作品を作れて、皆さんに届けられるのを嬉しく思っています」と、作品を完成につなげられたことに感謝の言葉をあらわされていました。

 また上田監督は、この3人の監督共同作という形態が、周囲の人からは無理だといわれ止められていたのを「言われれば言われるほどやりたくなった」と、あくまで無理に挑戦したことを告白。一方で「今の時点でも、この映画を作れてよかったと思う瞬間があって、そう思えたことがうれしかった」と初公開の喜びを語ります。

 そして中泉監督は「3人のヒロイン魅力的に撮っているので、そこは注目していただければと思います」とおススメポイントをアピールされました。

(c)Cinemarche
 一方、俳優陣もユニークな現場を回想。井桁さんが「わからないことを誰に聴けばいいのかがわからず、誰に聴けばいい?と相談に乗ってくれる人を最初に探しました」などとコメント、紅甘さんも「(あの状況は)よくわからなかったです。監督が3人いるけど、もはや一人もいないという感じで…」と語りながらも、楽しい現場を振り返ります。

 また、石川さんは三監督が現場で本領発揮したときのことを回想。「あるシーンで、3人とも熱量がバーっと合わったところがあったんですね。その熱量を感じて、いい経験になりました」と三監督の存在感に圧倒された様子。

 さらに斎藤さんが「我が強い3人だけにお話をいただいたときには大変だなと思いましたが、(実際に)当然物凄く大変で」などと現場を振り返ると、佐伯さんは「監督として初めてだったけど、お三方ともマブダチだけあって仲良く、いいチームワークで作られていたので良かったと思います」と有意義な現場であった様子を回想されていました。

(c)Cinemarche

映画『イソップの思うツボ』の作品情報

【公開】
2019年8月16日(日本映画)

【監督】
浅沼直也、上田慎一郎、中泉裕矢

【脚本】
上田慎一郎

【キャスト】
石川瑠華、井桁弘恵、紅甘、斉藤陽一郎、藤田健彦、高橋雄祐、桐生コウジ、川瀬陽太、渡辺真起子、佐伯日菜子、大沢真一郎

【作品概要】
交わることのないはずの三人の少女と、その家族が繰り広げる奇想天外な騙し合いを描いたサスペンス・コメディ。

2018年に異例の大ヒットを記録し、『カメ止め』ブームを日本に巻き起こした映画『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督。そんな彼は、短編『冬が燃えたら』『七年目の化石』の浅沼直也、『君がまた走り出すとき」』の中泉裕矢と2012年のSKIPシティ国際Dシネマ映画祭で出会い、3年の月日をかけてトリオによる映画制作を企画。

「オムニバス形式ではなく、三人の映画監督が一本の映画を撮る」という世界的にもあまり類を見ないスタイルで制作され、その結果生まれたのが、映画『イソップの思うツボ』です。

また、現在各方面から注目されている期待の女優である石川瑠華、井桁弘恵、紅甘の3人がトリプル主演を務めています。

映画『イソップの思うツボ』のあらすじ


(C)埼玉県/SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ

大学生活になじめず、優しい母とカメだけが友だちの女子大生・亀田美羽。

「日本一の仲良し家族」と評判の大人気タレント一家の一人娘で、恋愛体質な兎草早織。

父と二人で仲良く復讐代行業を営む一方で、密かにファッション業界への夢を抱く戌井小柚。

「ウサギ」と「カメ」、そして「イヌ」の名前を持ち、決して交わることのなかったはずの三人とその家族は、有名童話さながらの奇想天外な騙し合いを繰り広げますが……。

まとめ

(c)Cinemarche

今回は、13日に行われた『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019』のオープニングセレモニーなどの様子をお送りしました。

初日に上映される映画『イソップの思うツボ』は、昨年大ブレイクした作品『カメラを止めるな』を手掛けた上田慎一郎監督が、同映画祭で知り合った友人とともに作り上げた渾身の一作ということもあり、多くの方が会場に足を運びました。

プレミア上映は満席となり、この日訪れたお客様方々の、イベントや作品に対する関心の強さを表す一幕となりました。

【連載コラム】『2019SKIPシティ映画祭』記事一覧はこちら



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