Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ヒューマンドラマ映画

Entry 2021/09/14
Update

映画『プライベート・ライアン』ネタバレ感想とあらすじ結末の考察解説。実話を基になぜミラー大尉が最後まで任務を全うしたかを描く

  • Writer :
  • 秋國まゆ

極限状態に置かれた兵士たちの絆と生き様を描いた戦争ドラマ。

スティーヴン・スピルバーグが製作・監督を務めた、1998年製作のアメリカの戦争ドラマ映画『プライベート・ライアン』。

第二次世界大戦時の1944年。フランス・ノルマンディーに上陸した連合軍のミラー大尉は、中隊から7人の精鋭を選抜し、最前線で行方不明になった兵士1人の救出に向かいます。

ノルマンディー上陸作戦を題材に、極限状態に置かれた兵士たちの絆と、その生き様を描いた戦争ドラマ映画『プライベート・ライアン』のネタバレあらすじと作品情報をご紹介いたします。

スポンサーリンク

映画『プライベート・ライアン』の作品情報


(C)2013 DREAMWORKS LLC AND TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.

【公開】
1998年(アメリカ映画)

【脚本】
ロバート・ロダット、フランク・ダラボン

【製作・監督】
スティーヴン・スピルバーグ

【キャスト】
トム・ハンクス、トム・サイズモア、エドワード・バーンズ、バリー・ペッパー、アダム・ゴールドバーグ、ヴィン・ディーゼル、ジョヴァンニ・リビシ、ジェレミー・デイヴィス、テッド・ダンソン、デニス・ファリナ、ポール・ジアマッティ、デイル・ダイ、マット・デイモン、ハリソン・ヤング、シェーン・ジョンソン、リーランド・オーサー、マクシミリアン・マーティーニ、ネイサン・フィリオン、ディラン・ブルーノ、アンドリュー・スコット、ジョン・シャリアン、ライアン・ハースト、ハーヴ・プレスネル、キャスリーン・バイロン、ロブ・フリーマン、ブライアン・クランストン、ロルフ・サクソン、ジョーグ・スタドラー、イアン・ポーター、ゲリー・セフトン、デヴィッド・ヴェーグ、ニック・ブルックス、デヴィッド・ウォール、アマンダ・ボクサー

【作品概要】
「ジュラシック・パーク」シリーズや『E.T.』(1982)、『シンドラーのリスト』(1994)などのスティーヴン・スピルバーグが製作・監督を務め、実話にインスパイアされた脚本を映画化した戦争ドラマ作品。アカデミー賞で11部門にノミネートされ、監督賞など5部門受賞した、今なお語り継がれる名作でもあります。

主演を務めるのは「トイ・ストーリー」シリーズや『ダ・ヴィンチ・コード』(2006)、『ハドソン川の奇跡』(2016)などに出演するトム・ハンクスです。

映画『プライベート・ライアン』のあらすじとネタバレ


(C)2013 DREAMWORKS LLC AND TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.

ある老人が家族と孫を連れて、ノルマンディー米軍英霊墓地を訪れるところから、物語は始まります。

老人は数ある墓の中から、1人の墓を見つけると感極まり、その場に座り込んでしまいます。駆け寄ってきた家族や孫が心配する中、老人は戦時中のある出来事を思い出します。

時は遡り、第二次世界大戦中の1944年6月6日、オマハ・ビーチのDグリーン区。連合軍はドイツ占領下の北西ヨーロッパ、フランス・ノルマンディーへ侵攻する作戦「ノルマンディー上陸作戦」を実行。

上陸の第1波を担うアメリカ軍は、ノルマンディー上陸作戦を成功させたものの、ビーチではドイツ国防軍から激しい迎撃を受け、多くの死傷者を出してしまいます。

浅瀬は死んだ兵士たちと魚たちの血で赤く染まり、ビーチには手足や体の半身を爆撃で吹き飛ばされ、銃撃されて死んでしまった兵士たちの死体が所狭しと横たわっています。幾多の戦場を駆け抜けてきたアメリカ軍とて、その光景は一生忘れることがないであろう惨状でした。

そんな中、アメリカ陸軍参謀総長のジョージ・マーシャル将軍の元に、同時期にビーチで死んだある兵士たちの戦死報告が届きます。

それは、ライアン家の4兄弟のうち3人が、戦死したというものでした。ライアン家の長男ショーンはオマハ・ビーチで、次男のピーターはユタ・ビーチでそれぞれ戦死。三男のダニエルもまた太平洋戦争のニューギニアで命を落としていました。

残る末っ子で、第101空挺師団第506落下傘歩兵連隊第1大隊に所属する一等兵であるジェームズ・フランシス・ライアンは、ノルマンディーでパラシュート降下したものの、彼の師団は半島にバラまかれてしまい行方が分かっていません。

既に3通の訃報が届いているライアン家に、これ以上の訃報を届けるわけにはいかない。そう思ったマーシャルは、敵地で行方不明になったライアンの救出を命じます。

ノルマンディー上陸作戦から3日目。アメリカ軍は、制圧したドイツ国防軍の砦に前線指揮所を設け、ノルマンディー内の地区に兵士を派遣。敵に占領されたノルマンディーの制圧にかかりました。

アメリカ陸軍中佐であり、第2レンジャー大隊指揮官のウォルター・アンダーソンは、アメリカ陸軍大尉であり、第2レンジャー大隊C中隊指揮官を務めるジョン・H・ミラーにある任務を与えます。それは、マーシャルから直々に命令が下った「ライアンを救出し本国に帰還させる」という任務でした。

上官のアンダーソンから任務を受けたミラーは、7人の精鋭を選抜。空輸部隊がライアンたちを降下させたという村ヌーディルに向かいます。

選抜された7人の内、1人目はミラーの右腕的存在である、熟練の下士官マイケル・ホーバス一等軍曹。2人目は自動小銃手として、分隊の火力支援を担任するリチャード・ライベン一等兵。3人目は卓越した技術を持つ狙撃手のダニエル・ジャクソン二等兵。

4人目はミラーやホーバスと最も付き合いが長い衛生兵であるアーウィン・ウェイド四等技能兵。5人目は通訳として第29歩兵師団から引き抜いた、ドイツ語とフランス語が話せるティモシー・E・アパム五等技能兵。ミラーの部下で通訳を担当していたビーズリーとタルボットが戦死した代わりです。

6人目は、ヨンカーズ出身のユダヤ系の小銃手スタンリー・メリッシュ二等兵。7人目は、イタリア系の大柄な人物であり、シカゴ出身の小銃手エイドリアン・カパーゾ二等兵。

7人の精鋭のうち、アパム以外は6人全員、ミラーが率いる中隊のメンバーでした。しかしアパムは、今まで師団で地図作成と情報処理を担当しており、実戦経験がありませんでした。

ゲリラ豪雨が降り注ぐ中、ミラーたち救助隊はヌーディルに到着。村では、アメリカ陸軍大尉であり、第101空挺師団502空挺歩兵連隊に所属する指揮官でもあるフレッド・ハミルとその部隊が、ドイツ国防軍の2個連隊と交戦中でした。

ミラーたちはハミル率いる部隊と合流し、彼らと協力してドイツ国防軍の2個連隊と戦うことに。ドイツ兵がいる西側へ移動中、彼らは保護を求めるフランス人家族と遭遇します。

ミラーは安全が保障できないことを理由に、アパム経由で保護を断ろうとしますが、カパーゾが「フランス人家族の娘が、姪に似ているから」という理由で保護しようとします。

フラン人家族の保護で揉める一同。その時カパーゾが、鐘楼に隠れているドイツ兵に狙撃されてしまいます。信心深いカトリック教徒であるジャクソンは、神への祈りを捧げたのち、カパーゾを撃ったドイツ兵を射殺。

「神よ、あなたを信じます。私を恥から救い、勝利をお与えください」……しかし、胸を撃たれて重傷を負ったカパーゾは、そのまま息を引き取ってしまいました。

カパーゾが保護しようとしていた娘は、無事家族の元に戻ります。ミラーはカパーゾの死を受け、部下たちに彼らの保護をしないよう厳命。その後、思わぬハプニングで見つけたドイツ兵たちを、小銃を構えたライベンとハミル他3人の米兵が集中砲火を浴びせ、射殺しました。


(C)2013 DREAMWORKS LLC AND TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.

戦闘が収束した後、ミラーはハミルの部隊からライアンを見つけ「お前の兄弟たちは戦死した。お前はこのまま我々と一緒に戻って、帰国する」と伝えます。しかしそのライアンは、小学生の弟たちがいるジェームズ・フレデリック・ライアン二等兵であり、捜しているライアンとは別人でした。

ミラーたちは、捜しているライアンと同じ部隊にいた兵士に情報を聞き出してから、出発前に村の教会で休息をとります。

教会で休息をとった際、ミラーはホーバスに、自身の部下が戦死してしまった時に、自身に言い聞かせていることがあると話します。

「俺は自分の部下が1人死ぬと、その10倍の数の部下を救うためだったと自分に言い聞かせ、割り切るようにしている」

「死んだカパーゾ10人分の価値が、ライアン1人にあるのだろうか?」

以下、『プライベート・ライアン』ネタバレ・結末の記載がございます。『プライベート・ライアン』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

スポンサーリンク


(C)2013 DREAMWORKS LLC AND TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.

それから3時間後、ミラーたちは前進した先で、第99空輸飛行隊327グライダー歩兵連隊の軍用グライダーの操縦士であるデウィンド少尉と彼が輸送した部隊に会いました。

ミラーがデヴィンドに事情を聞くと、彼らがいる場所に集まっているのは、第99空輸飛行隊327グライダー歩兵連隊と、別の場所に降下した他の部隊の兵士たちでした。

デヴィンドが操縦する軍用グライダーには、第101師団の副司令官アメンド准将も乗っていました。しかし、兵士の誰かがアメンド准将を地上砲火から守るため、独断で機体に鉄板を張り付けてしまったのです。

それを知らないデヴィンドは、重量オーバーとなった軍用グライダーの均衡を保ちつつ、軍用グライダーを操縦していました。デヴィンドと副操縦士は操縦桿と格闘し、母機から離れ高度を上げようとした途端、そのまま失速し墜落。

たった1人を守るために、軍用グライダーに搭乗していた22人の兵士が戦死し、副操縦士も、デヴィンドたちが守ろうとしていたアメンド准将も命を落としてしまいました。

ミラーたちとデヴィンドは、たった1人のために大勢の兵士が死んだことを「フーバー(FUBAR:「滅茶苦茶な、えらい災難だ」を意味するスラング)」と言い合います。

その後、ミラーたちは死んだ空挺師団員の認識票を調べたり、空挺師団の集合地点となったこの場所に集まった空挺師団員に、片っ端から聞き込みを行ったりしました。

その結果、ミラーたちはライアンの知り合いだという空挺師団員ジョーから「ライアンは(動ける空挺師団員たちで構成した)混成部隊に加わり、メルデル川沿いにある村ラメルに向かい、前線の橋を監視しに行った」という貴重な情報を入手することが出来ました。

連合軍はパリ奪還の前に、港町のシェルブールを確保したいのですが、それを阻止したいドイツ国防軍はメルデル川を越えて戦車を送り込み、側面から襲い掛かろうとしていました。

ドイツ国防軍にとって、無傷の橋は大きな価値を持つため死守したいところ。双方が狙うこの橋は、いまやドイツ国防軍との戦いにおける前線となっていました。


(C)2013 DREAMWORKS LLC AND TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.

ライアン捜索のため前進したミラーたちは、ラメルまでの道中、死んだ82師団の空挺師団員たちの死臭が漂う、ドイツ国防軍の対空レーダー搭載の警備陣地を発見。

メリッシュたち部下は、ミラーに「任務と関係ない敵地に乗り込む必要はない、迂回しよう」と提案します。しかしミラーは「次にここを通る兵士たちが殺されない為に、機関銃だけでも潰すべきだ」と言い、航空隊にレーダーの破壊を任せ、機関銃を持ったドイツ兵の掃討にうって出ます。

実戦経験がないアパム以外の7人が、右翼・中央・左翼に3つに分かれて突撃を開始。掩蔽壕にいたドイツ兵4人を殺し、機関銃を全て潰し目標を無事達成。しかし肩甲骨と肝臓を撃たれたウェイドは、治療を施すミラーたち仲間の腕の中で、息を引き取ります。

ウェイドの死に対して救助隊の中で一番憤慨したライベンが、生き残っていたドイツ兵を殺そうとしますが、ミラーに止められてしまいます。何故ならミラーは、部下を殺したドイツ兵を殺すのではなく、捕虜にすることを選択したからです。

ウェイドや空挺師団員の墓を掘らせたのち、ミラーはドイツ兵に目隠しをし、最初に出会った連合軍に投降するよう命じ、解放しました。

たった1人のために仲間が犠牲になるこの任務に、不満を募らせていたライベンは、ウェイドの死と捕虜の件でその不満が爆発。任務を放棄しようとするライベンと、ミラーに噛みついた彼を咎めるホーバスが衝突します。

部下たちに2人の仲裁を頼まれたミラーは、唐突に「今賞金の額はいくらになっている?」と言い出します。実はミラー率いる中隊では、着任する前のミラーの経歴が全く不明であることから、その謎がいつしか中隊内での「賭け」の対象になっていたのです。

ミラーは自身の経歴を、仲間割れが起きたこの場で語ります。

「ペンシルベニア州のアドレーって街で、11年間高校の作文の教師をしていた」「故郷では高校教師って言うと、たいていの人間が納得した。だが戦場では、俺は元教師とは思えないほど、顔つきが変わったんだろう」

「あまりの変貌っぷりに、故郷で待つ女房も見間違うだろう」「だが、ライアンを捜し帰還させることができれば、胸を張って女房の所へ戻れる」……そう語り終えたミラーは、ライベンたちに背を向け、ウェイドたちの遺体を埋葬します。

ミラーの告白を聞いたホーバスたちは、彼を手伝いに行き、それに続くようにライベンも一緒に、ウエイドたちを埋葬しました。


(C)2013 DREAMWORKS LLC AND TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.

ウェイドたちを無事埋葬した後、ミラーたちはラメルへ行き、橋のところで混戦部隊と一緒にいるライアンを発見。ミラーは彼に兄弟の戦死を報告し、「我々は君を本国に送還するために、君を捜しに来た」と伝えました。

しかしライアンは、「一緒に橋を監視してきた混成部隊、“戦場での兄弟”を見捨てるわけにはいかない」と言い、命令を拒否。それを聞いたミラーたちは葛藤の末、ライアンたち混戦部隊と共に、戦車で来るであろう敵を迎え撃つことにしました。

ミラーは敵の戦車を瓦礫が道路を塞いでいる村の広い道に誘い込み、目標物に投げるとくっつき爆破する自作の爆弾「くっつき爆弾」で立ち往生させ道を塞いだところで、側面から敵を叩くだけ叩く作戦を立てます。

ミラーはジャクソンに、機関銃1丁と弾1,000発ほど持たせ、混戦部隊の兵士を何人か連れて行き、広場が見渡せる鐘楼に待機するよう命じました。

皆が自分の持ち場につき、それぞれ思い思いに過ごし敵の襲来を待っていると、ついに村の東側から敵が接近。タイガー戦車2両と自走砲2両、歩兵50人ほどで橋に向かってくる敵との物量差は、ミラーたちの予想をはるかに超えるものでした。

それでもミラーたちは、地雷や機関銃で奇襲を仕掛け、広場に誘き寄せた敵戦車をくっつき爆弾で立ち往生させることに成功します。

その後、建物にいた兵士たちが火炎瓶を落とし、真下にいた自走砲1両の爆破に成功。しかし、立ち往生させた敵戦車を手榴弾で爆破しようとしたその瞬間、20ミリ機関砲を出してきた敵から集中砲火を浴びせられ、敵戦車の上に乗っていた混戦部隊の兵士複数名が死亡。

鐘楼にいるジャクソンは、弾が切れた混戦部隊のパーカーの代わりに、1人で鐘楼近くにいる敵戦車の周りにいるドイツ国防軍の歩兵を次々と狙撃していきました。

「神よ、手と指に戦う力を与えたまえ」「主は我が岩、我が城、我が救い、我が盾。あなたを信じます」

しかし敵戦車からの砲弾を受け、ジャクソンとパーカーは戦死。そして立て続けに、弾薬補給係のアパムの到着を待っていた、メリッシュと混戦部隊のヘンダーソン伍長が、ドイツ兵に襲われ戦死してしまいました。

ホーバスはロケットランチャーを使い、自走砲1両を撃破。アパムはメリッシュの元へ向かおうとしたものの、接近してくる敵に恐怖し足が竦んで動けないどころか、彼を殺した敵兵に見向きもされませんでした。

歩兵に腹を撃たれ負傷したホーバスは、そんなアパムを連れて橋の向こうまで撤退します。これに続いて、劣勢を強いられていたミラーたちも撤退し、橋を挟んで激しい銃撃戦を繰り広げていきました。

ミラーはライアンやホーバスたちを橋から遠ざけ、地雷を使って橋を爆破しようとします。

しかしその直後、敵戦車の砲弾によってミラーたちは吹き飛ばされ、橋に来るまでに重傷を負っていたホーバスが戦死。再び橋の爆破を試みたミラーでしたが、橋の前に詰めかけていたドイツ兵に撃たれ、身動きが取れなくなり、その場に座り込んでしまいます。

ミラーは座り込んだまま、拳銃を抜いて向かってくる敵戦車をひたすら撃ちまくりました。そんなミラーの目の前で、敵戦車が突如爆発。それは連合軍による援軍が到着し、上空を飛行する対地攻撃機P51が、敵戦車目がけて爆撃したからでした。

市街地側に取り残されてしまったアパムは、撤退しようとするドイツ兵たちの前に躍り出て、メリッシュとヘンダーソン伍長を殺したドイツ兵1人を射殺。他のドイツ兵たちは見逃しました。

ミラーたちがいる方角からも、援軍が到着。ライアンが必死に衛生兵を呼ぶも、ミラーはライアンに「人生を無駄にするな、しっかり生きろ」と告げたのち、息絶えてしまいました。

終戦後。冒頭に登場した老人ライアンは、座り込んでしまったミラーの墓前で、ミラーと彼の部下たちへの感謝を告げます。

ライアンは駆け寄ってきた妻に「私は、(ミラーが望んだ)良い人生を送れているか?」と尋ねました。そして妻から「もちろんよ」と答えてもらえたライアンは、ミラーの墓に敬礼を捧げました。

スポンサーリンク

映画『プライベート・ライアン』の感想と評価


(C)2013 DREAMWORKS LLC AND TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.

「地獄」を生き抜いてもなお続く戦争

第二次世界大戦、アメリカ軍は当時のヨーロッパ戦線の命運を分けた「ノルマンディー上陸作戦(正式作戦名:ネプチューン作戦)」を成功させましたが、それは多大なる犠牲を払ってもたらされた成功でもありました。

映画作中でも描かれた、戦死した兵士たちの死体と流血で溢れかえったビーチ。その光景はまるで、戦争が作り出す「地獄」そのものと言える惨状です。

ミラー率いる中隊が、ドイツ国防軍の砦を制圧したものの喜ぶに喜べず、大勢の味方の死に愕然とするしかなかったのも頷けます。

過酷な戦場を部下たちと共に戦い、生き抜いたミラーは心休まる暇もなく、7人の精鋭たちを連れて、ライアンの救出任務に旅立つことに。しかし「地獄」を生き残ったはずのその先でも、ミラーたちは再び戦争が作り出す残酷と無情に苦しめられることになるのです。

困難を極めたライアンの救出任務


(C)2013 DREAMWORKS LLC AND TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.

ミラーたちに課せられた、敵地で行方不明になったライアン一家の四兄弟の末っ子ジェームズ・フランシス・ライアン一等兵の救出任務。それはたった1人の兵士のために、仲間が犠牲になっていくという、葛藤を余儀なくされる任務となっていきます。

フランス人家族の娘を保護しようとして、敵に狙撃されたカパーゾ。ドイツ国防軍の警備陣地を制圧する際、掩蔽壕にいたドイツ兵に撃たれてしまったウェイド。

そして最後の市街地戦にて、ミラーたち4人もまた戦死。物語の終盤まで観続けてきたミラーたちの仲間同士の強い絆を想うと、涙が止まらなくなります。

しかし作中では同時に、彼らが任務を全うし続けるのは、戦場にて敵兵であれど他者を傷つけ、時には死に至らしめてしまう自分たちが、それでも戦争の残酷さに抗う「人間」としての意志を全うするためでもあることが描かれるのです。

まとめ


(C)2013 DREAMWORKS LLC AND TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.

敵地に行方不明になった1人の兵士を、ミラーたち8人の精鋭が救出に向かう姿を描いたアメリカの戦争ドラマ作品でした。

本作の見どころは、ライアンの救出任務と、戦争の「地獄」の光景の先にあった更なる戦い、そしてそれでも「人間」の意志を全うしようとする人々の想いが描かれた場面です。

ミラーたち救助隊の活躍のおかげで、ライアンは無事本国へ帰還。映画の序盤とラストにて、年老いたライアンは家族や孫を連れて、ノルマンディー米軍英霊墓地に眠るミラーの墓にやって来ます。

ミラーとライアンが最後に交わした会話と、年老いたライアンが戦死したミラーたちへ感謝を告げる場面では、ライアンが捧げた敬礼と共に、観ているこちらまで思わず敬礼を捧げたくなるほどの感動が訪れます。

死と残酷がはびこる戦場で、それでも「人間」として意志を貫こうとする人々に敬意を表したくなる戦争ドラマ映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。




関連記事

ヒューマンドラマ映画

映画『ルース・エドガー』感想レビューと評価。人権問題の闇に棲む青年ルースの正体

サスペンスフルなヒューマンドラマ『ルース・エドガー』が日本に上陸 アメリカ社会の根深い人権問題を炙り出すサスペンスフルなヒューマンドラマ『ルース・エドガー』が公開されます。 主演は『イット・カムズ・ア …

ヒューマンドラマ映画

映画『アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール』感想とレビュー評価。バンデラスの演技力と歌声を堪能

世界最高峰のテノール歌手であるアンドレア・ボチェッリの愛と半生。 2019年11月15日(金)より、新宿ピカデリーほかにて全国ロードショーされる映画『アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール』。 現在活 …

ヒューマンドラマ映画

映画『二ツ星の料理人』あらすじネタバレと感想!ラスト結末も

スポンサーリンク CONTENTS映画『二ツ星の料理人』作品情報映画『二ツ星のレストラン』あらすじとネタバレ新たな人生 裏切りからの再生 『二ツ星のレストラン』の感想と評価まとめ 映画『二ツ星の料理人 …

ヒューマンドラマ映画

実話映画『ソニア ナチスの女スパイ』ネタバレあらすじと感想考察。女優と工作員の顔を持ち極秘に情報を得ていたヒロインの数奇な半生

第二次世界大戦時、スパイとしてナチスに潜入した女優の数奇な実話ドラマ 映画『ソニア ナチスの女スパイ』が、2020年9月11日(金)より新宿武蔵野館ほかで全国順次公開されています。 第二次世界大戦中の …

ヒューマンドラマ映画

映画『ナポリの隣人』あらすじネタバレと感想。イタリアの名匠ジャンニ・アメリオがあなたに送る”絶望の一品”

映画『ナポリの隣人』は、2019年2月9日(土)より、岩波ホールほか全国順次公開。 「もうやめてくれ」、そう呟きたくなるほどの絶望と孤独。 人間と社会の闇がリアルに描かれた「21世紀のネオリアリズモ」 …

U-NEXT
CINEMA DISCOVERIES【シネマディスカバリーズ】
架空映画館 by ReallyLikeFilms Online
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
【連載コラム】光の国からシンは来る?
映画『哀愁しんでれら』2021年2月5日(金)より全国公開
映画『写真の女』
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【KREVAインタビュー】映画『461個のおべんとう』井ノ原快彦の“自然体”の意味と歌詞を紡ぎ続ける“漁師”の話
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学