連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第40回
2021年5月21日(金)にNetflixで配信された、アメリカのゾンビアクション・アドベンチャー映画、『アーミー・オブ・ザ・デッド』。
大量のゾンビで埋め尽くされたラスベガスに、究極の一獲千金を狙って足を踏み入れた傭兵集団の姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
ザック・スナイダー監督が、ラスベガス地下の巨大金庫に眠る大金を狙う命知らずな傭兵集団と、屈強で俊敏なゾンビたちとの死闘を描いたゾンビアクション・アドベンチャー映画、『アーミー・オブ・ザ・デッド』のネタバレあらすじと作品情報をご紹介いたします。
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CONTENTS
映画『アーミー・オブ・ザ・デッド』の作品情報
【公開】
2021年(アメリカ映画)
【脚本】
シェイ・ハッテン、ザック・スナイダー、ジョビー・ハロルド
【原作・監督】
ザック・スナイダー
【キャスト】
デイヴ・バウティスタ、エラ・パーネル、アナ・デ・ラ・レゲラ、ギャレット・ディラハント、ラウル・カスティーロ、オマリ・ハードウィック、ティグ・ノタロ、ノラ・アルネゼデール、マティアス・シュヴァイクホファー、コリン・ジョーンズ、テオ・ロッシ、ヒューマ・クレシ、真田広之、マイケル・キャシディ、アテナ・ペランプル、リチャード・セトロン
【作品概要】
『ジャスティス・リーグ』(2017)や「ワンダーウーマン」シリーズ、『スーサイド・スクワッド』(2016)などのDCコミックス作品と、『ドーン・オブ・ザ・デッド』(2004)や「300 スリーハンドレッド」シリーズなどを手掛けるザック・スナイダー監督が原作を書いた、アメリカのゾンビアクション・アドベンチャー作品です。
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズのデイブ・バウティスタが主演を務め、『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013)『モータルコンバット』(2021)の真田広之や、『100日間のシンプルライフ』(2020)のマティアス・シュバイクホファーら豪華キャスト陣が出演しています。
映画『アーミー・オブ・ザ・デッド』のあらすじとネタバレ
ネバダ州の砂漠地帯。アメリカ軍はエリア51(ネバダ州レイチェルに位置する、アメリカ空軍ネリス試験訓練場内の一地区のこと)から、未知の生物を載せたコンテナを輸送していました。
しかし、気が散っていた新婚夫婦が運転する車とアメリカ軍の車が衝突事故を起こし、地面に投げ出されたコンテナから超人的なゾンビが解き放たれてしまい、その場にいた兵士が次々と襲われてしまいます。
超人的なゾンビと、そのゾンビに噛まれてゾンビ化した兵士2人がラスベガスへ向かい、あっという間にラスベガスは大量のゾンビに埋め尽くされてしまうのです。
大量のゾンビが埋め尽くされたラスベガス。そこではアメリカ軍と、傭兵のスコット・ウォードとその仲間のマリア・クルスとヴァンデルローエ、生き残った市民がゾンビと死闘を繰り広げていました。
死闘の末、スコットたちは地上で戦ったアメリカ兵と、娘を守ろうと戦っていた女性市民による犠牲のもと、積み上げたコンテナを使ってラスベガスを封鎖します。
ゾンビたちから逃れたスコットたちと市民は、コンテナのそばに設けた隔離キャンプで、それぞれボランティアから支援を受けながら細々と暮らしていました。
人喰いゾンビから国防長官を救い出し、自由勲章を受章したスコットは、隔離キャンプ内にあるハンバーガー屋で働き、静かに暮らしていました。
そんなスコットの元へ、ブライ・タナカと名乗る男がSPを伴って現れ、ある仕事を依頼します。
「大統領がラスベガスへ核爆弾を投下させるまでの96時間。アメリカ軍が隔離区域から駐留中の部隊を撤退し、ラスベガスの警備が手薄になる。
その間にチームを編成し、ラスベガスのストリップクラブ“ラスベガスストリップ”の金庫に眠る、非課税の現金2億ドルを盗ってきて欲しい。
その見返りとして、君とそのチームには5000万ドルをあげよう」と。
その夜、スコットは愛娘のケイトと不仲になった原因、ゾンビに感染した最愛の妻を殺した日のことを、悪夢として思い出していました。
夜が明けた頃、スコットはまず、信頼できるマリアと哲学修士号を持つヴァンデローエに声をかけ、3人で1500万ドルずつ山分けすることを条件にチームを組みます。
そしてスコットとマリアは、ヘリの操縦士マリアンヌ・ピーターズに200万ドル、ゾンビをハントする動画を配信するギャングのマイキー・グーズマンとその仲間のチェンバーズとデイモンに50万ドル。
鍵師のルドウィック・ディーターに25万ドル山分けすることを条件に、仲間に引き入れました。
スコットが率いるチーム、即席の傭兵団は、依頼者のタナカから具体的な仕事内容を皆で聞くことにしました。
「ターゲットは飛行禁止区域にあるホテル“ベガスブライ”。そこの北タワーの屋上に、置き去りにされた救急ヘリがある」
そう言うタナカの話を遮ったのは、ディーターです。ディーターとチェンバーズは、スコットたちと違ってゾンビと戦った経験がありません。
そんなディーターたちに、スコットは淡々と「ゾンビを殺すなら、奴らの脳天を狙うんだ」と教えます。
タナカはスコットの説明が終わった後、気を取り直して自分が考案した作戦を告げました。
「ベガスブライには、1Fのカジノフロアに発電機が、ラスベガスストリップの金庫前には致死性がない複数のトラップがある。
金庫の扉を開けるには、ランダムで開錠方法が変わる4つのダイヤルを、カチッと音が鳴るまで回して探るしかない。
その間に壊れているであろう救急ヘリを修理し、燃料を満タンにしておく。鍵師が金庫を破った後は、2億ドルを鞄に詰め込んでヘリで脱出するだけだ。」
ゾンビと戦うことに現実味を帯びて、怖気づいてしまったデイモンは辞退。
代わりに、タナカの警備責任者でカジノ経験があるマーティンと、隔離されたラスベガスへの潜入方法を知る案内人、通称「コヨーテ」と呼ばれるリリー・ノラ・アルネゼデールが仲間に加入しました。
リリーをスコットに紹介した、隔離キャンプでボランティアをしているケイトは、自分が面倒をみている子供の母親ギータがいなくなったことを知ります。
実はギータは、お金に困っている女性2人と一緒にリリーに案内してもらい、子供たちのために隔離生活から脱却しようと、カジノのスロットのお金を盗もうとしていたのです。
ケイトはギータを置き去りにしたのかとリリーを責め、彼女を殴った後、スコットに自分も同行すると志願。
スコットは当然反対しましたが、頑なにギータを助けると言って聞かないケイトに根負けし、絶対に自分から離れないことを条件に、仲間に加えることにしました。
そこでリリーは、隔離区域で女性にセクハラやパワハラをしている、隔離キャンプの衛兵バート・カミングスを仲間に入れようと提案します。
武器の扱い方に詳しいヴァンデルローエから、ディーターが戦い方を教わった後、リリーの案内でラスベガスへ突入を開始。
アメリカ軍による度重なる空爆と、ゾンビとの死闘によって荒廃したラスベガス。
そこでスコットたちが目にしたのは、太陽光を浴びて干からびたゾンビの死体の山と、隔離区域を縄張りとしている、「ヴァレンタイン」と呼ばれるゾンビ化した1頭の虎の姿でした。
スコットたちは物陰にすかさず隠れ、ヴァレンタインをやり過ごした後、ゾンビの王国となったラスベガスに詳しいリリーに説明を求めました。
リリー曰く、突然変異したゾンビ「ザ・ブライド」と呼ばれる女王と、彼女に噛まれて屈強で俊敏なゾンビに生まれ変わった、「アルファゾンビ」がラスベガスを縄張りにしていました。
ザ・ブライドとアルファゾンビの王「ゼウス」と、彼らに付き従うアルファゾンビとヴァレンタインは組織化し、ラスベガス内のホテル「オリンパス・ホテル」を根城にしています。
そんなザ・ブライトたちの巣窟を歩き回るには、彼女たちに捧げる貢ぎ物が必要なのです。
リリーはその貢ぎ物、悪く言えばゾンビたちへの生贄に捧げたのは、前々から不満を抱いていたカミングスでした。
カミングスは必死にスコットたちに助けを求めましたが、リリーによって両手を縛られた状態で放置され、そのまま現れたザ・ブライトに拉致されました。
一方、認識票を首からぶら下げ、棒状のものを武器として持つゼウスは、ザ・ブライトからカミングスを取り上げます。
ゼウスはカミングスに腕に噛みつき、咆哮をあげた後、カミングスを他のアルファゾンビたちにどこかへ連れて行くよう指示しました。
同時刻。アルファゾンビとの無駄な戦闘を避けるべく、スコットたちは冬眠中のゾンビがいる暗い建物内へ侵入。
冬眠中のゾンビたちは、触れたり光を目に当ててしまったりすると起きてしまいます。
そのため、スコットたちは自分たちの足元だけを懐中電灯で照らしながら、慎重に歩いていくことにしました。
しかし、チェンバーズに疑いの目を向けられたマーティンは、一番後方にいる彼女にゾンビを差し向けるべく、わざとペンライトを地面に置いて立ち去ります。
チェンバーズはそれを取るためにしゃがみ、立ち上がろうとした際に冬眠中のゾンビと接触。
次々と冬眠中のゾンビたちが目覚めていき、チェンバーズは持っていたマシンガンを手に、有無を言わさずゾンビの集団と1人で戦わなければならなくなってしまうのです。
先にスコットたちと合流したマーティンは、チェンバーズが発する銃声で目覚めたゾンビたちと戦うスコットたちの目を盗み、彼女がいる部屋を封鎖。
閉じ込められてしまったチェンバーズでしたが、何とか生き延びて通路側の窓から脱出し、偶然そこにいたグーズマンと合流しようとします。
しかし、あと一歩のところでゾンビたちに捕まってしまい、噛まれたチェンバーズは、グーズマンに自分ごとゾンビを殺すよう指示しました。
グーズマンは葛藤の末、涙を堪えながらチェンバーズが背負っていた燃料タンク目掛けて銃を発砲。それによって辺り一帯は火の海と化しました。
映画『アーミー・オブ・ザ・デッド』の感想と評価
犠牲になった仲間たちの死
一攫千金を狙って、ラスベガスのストリップクラブの金庫に眠る2億ドルを狙う強盗計画を実行するスコットたち10人。
カミングスと裏切り者のマーティンの死は、悪者らしく制裁が下ったと思えばスカッとしますが、それ以外の仲間たちの死は、本当に辛く悲しい場面ばかりです。
仲間のグーズマンと合流できるかと思いきや、あと一歩のところでチェンバーズがゾンビ集団に嬲り殺されていく姿。そんな彼女を泣く泣く殺さなきゃいけなかったグーズマンの姿は、観ているこちらまで胸が痛くなります。
特に悲惨な死を遂げたのが、スコットへ愛の告白をした直後に殺されたクルスと、娘と和解した直後にゾンビ化したスコットです。
2人の浮かばれない気持ちを考えると、その死に思わず愕然し、号泣するほど泣きたくなります。
強盗計画の裏に隠されたタナカたちの計画
実はタナカや政府は、独自のゾンビ集団を作るために、ラスベガスにいるザ・ブライドの血液を欲していたのです。
リリーは事前に、マーティンからその計画を聞いていましたが、ザ・ブライドの血液ごと生首を手に入れた彼によって、物語の終盤で裏切られてしまいます。
カジノフロアにあった金庫の設計図、スコットたちが身につけている物と同じ装飾品を身につけた白骨体。
これらを見る限り、スコットたちが推測したように、タナカたちはゾンビと戦った経験がある誰かを、このラスベガスに送り込んだことが考えられます。
そこまでしてアルファゾンビの血液を、ゾンビ集団を作るサンプルとして欲したタナカたちは、アメリカ軍に頼んで自分たちの研究所に運びたかったのでしょう。
しかしその計画は、予想外の事故によって頓挫し、仕方なくラスベガスに潜伏するゾンビの血液採取を目的に、強盗計画をスコットたち傭兵団に持ち掛けられたのです。
ところが、スコットたちの活躍によってその計画も頓挫。タナカたち悪者の計画を食い止められたことに、観ているこっちまで安心します。
まとめ
一攫千金を狙って強盗計画を実行するスコットたち即席の傭兵団が、知能があり強靭で俊敏なアルファゾンビと死闘を繰り広げる、アメリカのゾンビアクション・アドベンチャー作品でした。
その強盗計画の裏には、タナカと政府による、独自のゾンビ集団を作るために必要な、ゾンビの血液を採取するという恐ろしい計画が隠されていました。
それを見抜いたスコットたちが、決死の覚悟で挑み計画を阻止したことは、観ているこちらまで嬉しくなります。
ただ、白骨体の謎と、アルファゾンビに感染したヴァンデルローヌが今後どうなるのかは、劇中で明らかになっていません。
もしかしたら、『アーミー・オブ・ザ・デッド』の続編に向けた伏線なのかもしれないと考えると、期待に胸が膨らみます。
タナカや政府のゾンビ集団創設計画を阻止するべく、命懸けで強盗計画に挑んだ傭兵団とアルフェゾンビの死闘が繰り広げられる、ゾンビアクション・アドベンチャー映画が観たい人には、とてもオススメな作品です。