連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第101回
深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞することも可能です。
そんな気になるB級映画のお宝掘り出し物を、Cinemarcheのシネマダイバーがご紹介する「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第101回は、バルタザール・コルマウクル監督が演出を務めた、映画『2ガンズ』です。
巨額の金を押収するために麻薬カルテルに潜入したアメリカ麻薬取締局(DEA)の特別捜査官ボビーは、同じ目的で組織に潜入していたアメリカ海軍情報局のスティグ海軍兵曹と出会い手を組み、見事大金の押収に成功。
しかしスティグはボビーを裏切り、突如大金とともに姿を消してしまうという物語とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
汚れた約4300万ドル(40億円)をめぐってDEAと海軍、CIAとマフィアが激闘を繰り広げていく、2013年製作のアメリカのサスペンスアクション映画『2ガンズ』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
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CONTENTS
映画『2ガンズ』の作品情報
(C) 2013 Georgia Film Fund Fifteen, LLC and Universal Pictures, a division of Universal City Studios, LLC. All Rights Reserved.
【公開】
2013年(アメリカ映画)
【原作】
スティーヴン・グラントのグラフィックノベル『2ガンズ』
【監督】
バルタザール・コルマウクル
【キャスト】
デンゼル・ワシントン、マーク・ウォールバーグ、ポーラ・パットン、ビル・パクストン、ジェームズ・マースデン、フレッド・ウォード、エドワード・ジェームズ・オルモス、ロバート・ジョン・パーク、パトリック・フィッシュラー
【作品概要】
『ハードラッシュ』(2012)のバルタザール・コルマウクルが監督を務めた、アメリカのサスペンスアクション作品。
原作は、グラフィックノベル作家のスティーヴン・グラントのグラフィックノベル『2ガンズ』です。
『トレーニング デイ』(2001)のデンゼル・ワシントンと、「テッド」シリーズのマーク・ウォルバーグが主演を務めています。
映画『2ガンズ』のあらすじとネタバレ
(C) 2013 Georgia Film Fund Fifteen, LLC and Universal Pictures, a division of Universal City Studios, LLC. All Rights Reserved.
メキシコ・ソノラ州。麻薬の売人とその相棒としてコンビを組んで活動しているボビー・トレンチとマイケル・スティグマン(愛称スティグ)は、メキシコの麻薬王パピ・グレコから注文された偽造パスポートを問題なく納めました。
しかしその見返りとして渡されたのは、約束の10万ドル分のコカインではなく現金でした。
グレコは、ボビーたちの仲間トロが自分の金に手を付けたことで警戒心が強くなっていたからです。
ボビーは「コカイン以外は受け取るつもりはない」と金を突き返し、スティグと共に帰路につきます。
その道中、ボビーはスティグからトロの生首が入った鞄があったと聞き、「トロの仇討ちとしてグレコの金を奪おう」と提案されました。
ボビーが難色を示していると、通過しようとしていた国境検問所で、ボビーたちは取り調べを受けることになってしまいました。
「弁護士」とだけ言って頑なに口を閉ざしていたボビーですが、取り調べに立ち会ったアメリカ麻薬取締局(DEA)の捜査官ジェサップと2人きりになった瞬間、態度を改めます。
実はボビーの正体は、3年前からグレコがボスを務める麻薬カルテルに潜入捜査をしているDEAの特別捜査官で、グレコからコカインを押収できれば、それをグレコ逮捕の決め手にするつもりでした。
その作戦が失敗したことを知ったボビーの上司ジェサップは、彼の身を案じて2週間の期限を設け、トロを味方につけることを条件に作戦続行を許可します。
その日の夜。ボビーは自身の潜入捜査を監督しているDEAの捜査官であり、元恋人のデビーと一夜を共にしました。
その際ボビーは、トロが死んだことを打ち明け、「俺はスティグの提案通り、グレコが金を預けている銀行を襲う。そこの貸金庫に入っている金の出所を洗いだせば、グレコ逮捕の糸口が掴めるはずだ」と言い、協力を求めました。
それから1週間後。ボビーたちはグレコの愛人と息子が暮らしている家に向かいました。
というのも、グレコは2週間に一度、300万ドルという大金を持ってアメリカに入り、愛人宅を訪れること。愛人宅で一週間過ごしたグレコは、彼の手下であるフェレット・ノーズ・ジュリオに金を銀行に預けに行かせるという、2つの情報をスティグが入手していたからです。
愛人宅前で張り込んでいたボビーたちは、グレコの金を積んだジュリオの車を尾行します。
グレコが金を預けている銀行「トレス・クルーシス銀行」に到着後、ボビーは貸金庫を借りに来た客を装って下見を行いました。
それが終わると、ボビーは向かいのダイナーで待っていたスティグと合流。スティグが持つライターの火で火災報知機を作動させたうえで、火事を起こします。
その日の夜、ボビーはデビーに、「明日の午後3時、銀行を襲うとスティグが決めた」と伝え、銀行襲撃から5分後に銀行の前に捜査官を配備させておくよう指示しました。
その頃スティグは、アメリカ海軍の情報機関「アメリカ海軍情報局」に所属するハロルド・クインス少佐とその部下ティーモと会っていました。
実はスティグの正体は、300万ドルの金を押収し、グレコと彼の組織を一網打尽にするべく、10ヶ月前から潜入捜査の任務に就いていたアメリカ海軍情報局所属の海軍兵曹でした。
ボビーに銀行強盗を提案したのも、この作戦のためでした。翌日、互いの正体を知らぬまま、ボビーたちは予定通り銀行強盗を決行します。
すると貸金庫の中には、300万ドル以上の金が預けられていたことが発覚。困惑するスティグに、ボビーは全ての金を運び出すよう指示します。
約束の3時5分。ボビーはスティグを先に行かせ銀行を出るも、デビーたちDEAの捜査官は一向に姿を見せません。
街の外にある砂漠で車を停め、トランクに積んだ大量の札束を目にしたスティグは、「盗んだことがバレれば地の果てまで追いかけられるヤバい金だ」と頭を抱えました。
その直後、ボビーが腰にさしてある銃を取り出すより先に、スティグは彼に銃を突きつけ、彼の左肩を撃ち抜きました。
倒れたボビーに水の入ったペットボトルを渡したその時、スティグは彼が持っていたバッジから、DEAの特別捜査官であることを知ります。
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映画『2ガンズ』の感想と評価
(C) 2013 Georgia Film Fund Fifteen, LLC and Universal Pictures, a division of Universal City Studios, LLC. All Rights Reserved.
麻薬カルテルに潜入したボビーとスティグ
互いの正体を知らぬまま、グレコがボスを務める麻薬カルテルに潜入捜査していたボビーとスティグ。
彼らは10ヶ月しかコンビとして活動していないというのに、まるで長年コンビをしていたかのように仲睦まじく、息の合ったプレイを魅せてくれます。
しかし物語の中盤、互いの正体を知ったボビーたちは、盗んだ4312万5000ドルとグレコを狙う敵同士として争うことに。
自他ともに認める優れた射撃の腕前を持つスティグと、これまで麻薬カルテル相手にいくつもの修羅場を潜り抜けてきたであろうボビーによる腹の探り合い、殴り合いにカーチェイスを繰り広げていく様はハラハラドキドキしますし面白いです。
そして物語の後半、互いに味方に裏切られ切り捨てられてしまったことを知ったボビーたちは再び手を組み、今度こそ本物の仲間として共に戦います。
2人だけで海軍とCIA、麻薬カルテルを相手に臆することなく戦い、全員潰していくボビーたちの姿は、観ている人の胸を熱くさせるほどとても格好良いです。
恋人の誘いに乗りボビーを利用したDEAの捜査官デビー
(C) 2013 Georgia Film Fund Fifteen, LLC and Universal Pictures, a division of Universal City Studios, LLC. All Rights Reserved.
スティグが忠誠を誓った海軍に切り捨てられたように、ボビーもまた、味方だと思っていた人物に利用されていました。
ボビーを利用したのは、彼の元恋人であり、麻薬カルテルへの潜入捜査をしている彼の監視役でもあるDEAの捜査官デビーでした。
ですが、大金に目が眩んでスティグを利用し容赦なく切り捨てたクインス少佐に対し、デビーにはボビーに対して罪悪感を抱いていることが窺えます。
事実、デビーは作中でボビーに真実を話そうとしたり、グレコに殺される前にボビーに何度も謝り、早くこの電話を切って逃げるよう促したりしていました。
元恋人のボビーへの情があったからこそ、デビーは彼を利用したことに罪悪感を抱き、グレコの手でその報いを受ける覚悟を決めたのではないかと考察できます。
まとめ
(C) 2013 Georgia Film Fund Fifteen, LLC and Universal Pictures, a division of Universal City Studios, LLC. All Rights Reserved.
メキシコの麻薬王の逮捕と、麻薬カルテルの撲滅を目的とした潜入捜査を行ったDEAの特別捜査官とアメリカ海軍情報局所属の海軍兵曹がコンビを組み、CIA・アメリカ海軍・麻薬カルテル相手に激闘を繰り広げていくアメリカのサスペンスアクション作品でした。
本作の見どころは、汚れた金4312万5000ドルを巡るDEAvsアメリカ海軍vsCIAvs麻薬カルテルによる四つ巴の戦いと、味方から敵へ、敵から味方へと目まぐるしく変化していくボビーとスティグの関係性です。
また作中では、ボビーが銀行の下見に行った時、アールがCIAの裏金が盗まれたと知って銀行に駆けつけた時に、「ドーナツが美味い店の向かいにある銀行は襲うな」という格言を持ち出していました。
これはアメリカの警官はよくドーナツを食べるという印象から、「ドーナツが美味い店には警官が出入りするため、その近くで犯罪を行うとすぐに警官がやってくる」という意味だと考えられます。
デンゼル・ワシントンがDEAの特別捜査官、マーク・ウォールバーグがアメリカ海軍情報局所属の海軍兵曹となって、汚れた金を巡った壮絶な戦いに巻き込まれ身を投じていく、終始ハラハラドキドキさせられるサスペンスアクション映画が観たい人にとてもオススメな作品です。