山田洋次監督が倍賞千恵子×木村拓哉で贈る奇跡と希望の物語
「男はつらいよ」シリーズや「釣りバカ日誌」シリーズで知られる名匠・山田洋次監督の91本目の監督作となる映画『TOKYOタクシー』。
この作品は、2022年製作のフランス映画『パリタクシー』を原作にした、人生の喜びを描いたヒューマンドラマです。
タクシー運転手の宇佐美浩二は、85歳の高野すみれを東京・柴又から神奈川の葉山にある高齢者施設まで送ることになり、2人は東京を車で走るのですが……。
高野すみれに倍賞千恵子、タクシー運転手の宇佐美に木村拓哉を迎え、2人の人生を乗せたタクシーが走り出します。
すみれがどんな人生を歩んできたのか、浩二のこれからの人生にどんな影響を与えるのか。映画『TOKYOタクシー』をネタバレありでご紹介します。
映画『TOKYOタクシー』の作品情報

(C)2025映画「TOKYOタクシー」製作委員会
【日本公開】
2025年(日本映画)
【監督】
山田洋次
【脚本】
山田洋次、朝原雄三
【原作映画「パリタクシー」監督】
クリスチャン・カリオン
【編集】
杉本博史
【音楽】
岩崎太整
【キャスト】
倍賞千恵子、木村拓哉、蒼井優、迫田孝也、優香、中島瑠菜、神野三鈴、イ・ジュニョン、マキタスポーツ、北山雅康、木村優来、小林稔侍、笹野高史、明石家さんま(声の出演)、大竹しのぶ(声の出演)
【作品概要】
2022年製作のフランス映画『パリタクシー』を原作に、人生の喜びを描いたヒューマンドラマ『TOKYOタクシー』。監督は、「男はつらいよ」シリーズをはじめ、本作が91本目の監督作となる名匠・山田洋次。
主役である客の老婦人役を倍賞千恵子、タクシー運転手に木村拓哉。蒼井優が若き日の老婦人を演じ、老婦人の結婚相手役を迫田孝也、タクシー運転手の妻役を優香がそれぞれ演じています。中島瑠菜、神野三鈴、イ・ジュニョン、笹野高史らも出演しています。
本作は、第38回東京国際映画祭でセンターピースで上映され、山田洋次監督は「特別功労賞」を受賞しました。
映画『TOKYOタクシー』のあらすじとネタバレ

(C)2025映画「TOKYOタクシー」製作委員会
毎日休みなく働いているタクシー運転手の宇佐美浩二(木村拓哉)。
妻の薫(優香)、娘の奈菜(中島瑠菜)と3人でつつましく暮らしてますが、私立高校への推薦入学を希望する娘の入学金や、車検代、家の更新料など、次々とのしかかる出費に頭を悩ませていました。
そんなある日、浩二のもとに友人のタクシー運転手(声・明石家さんま)から85歳のマダム・高野すみれ(倍賞千恵子)を東京・柴又から神奈川・葉山にある高齢者施設まで送るという依頼が舞い込みました。
浩二は仕事に向かう途中、姉(声・大竹しのぶ)に電話をしてお金を貸してくれるように頼みますが、すげなく断られてしまいます。
お客さんとの待ち合わせは柴又帝釈天の山門前。そこからタクシーに乗り込んだ高野すみれは、ちょっと気位高そうなおばあさんでした。
上品な身なりでネイルも綺麗に手入れをしているすみれですが、高齢のため一人暮らしは無理だと感じ、終の棲家として高齢者施設への入居を決めたのだと言います。
走りだしたタクシーの中で、最初は互いに無愛想だった宇佐美とすみれですが、次第に心を許し始めます。
すみれは「東京の見納めに、いくつか寄ってみたいところがあるの」と浩二に寄り道を依頼しました。
最初は言問橋。東京大空襲の際、この橋で父親を亡くしたというすみれ。
「あなたはあの時どこにいたの?」「俺はまだ生まれていません」。苦笑したすみれは、次に行ってみたい場所を指示します。
上野恩賜公園、カトリック碑文谷教会など、東京のさまざまな場所を巡りながら、すみれは自らの壮絶な過去を語り始めました。
映画『TOKYOタクシー』感想と評価

(C)2025映画「TOKYOタクシー」製作委員会
ひとりのタクシー運転手と乗客の老婦人の物語『TOKYOタクシー』。
タクシーという閉鎖的な空間の中で、乗客の老婦人・すみれはタクシー運転手・浩二に自分の人生を語ります。
父を亡くした幼少期、イケメン青年に胸を熱くした初恋、子育てをしながらも恋をした20代、出所後ネイルの仕事を始める40代と、高野すみれの85年の人生には、戦後日本の歴史も色濃く反映しています。
特に注目すべきは、女性軽視の風潮が強かった時代で、夫の血の繋がらない息子に対する理不尽な暴力に腹をたてたすみれが事件を起こしたこと。
殺人未遂の罪で刑務所に入るも、出所後は勉強をしてネイルアーティストの先駆けとして立派な実業家となったこと。
戦後をたくましく生き抜いたすみれのリアルな体験談に、浩二は驚くばかりでした。
一方、葉山に向けて走るタクシーから見える景色は、車内で語られるすみれの過去の話とリンクするように、目まぐるしく映し出されます。
柴又帝釈天、言問橋、鳩の街、浅草、皇居周辺、神宮外苑いちょう並木、渋谷のスクランブル交差点、横浜ベイブリッジ、横浜の街……。
東京・横浜の著名な観光地巡りのようですが、すみれの過去をリアルに反映する風景に釘付けになることでしょう。
本作の主人公は、タクシー運転手と乗客。どこにでもありそうな一瞬の出会いが、心温まる物語へと発展するとは想像も出来ませんでした。
木村拓哉演じる疲れ切った感じで仕事に臨む浩二が、倍賞千恵子演じるすみれの物語に引き込まれ、感情豊かな聞き役になっていく様子は見ものです。
また、横浜の街で倍賞千恵子が口ずさむ童謡『赤い靴』が、しみじみと胸に響きました。
まとめ

(C)2025映画「TOKYOタクシー」製作委員会
山田洋次監督が、『パリタクシー』(2022)を基にして制作した『TOKYOタクシー』をご紹介しました。
お客である老婦人の思い出の場所を巡りながら、彼女の辿った壮絶な過去を聞いていくうちに、浩二も生きる元気をもらっていきます。そして最後に素敵な贈り物が用意されていました。
本作は、すみれと浩二の心の交流に感動する大人のおとぎ話でした。このような奇跡があることを、誰もが願うことでしょう。




































