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『たしかにあった幻』あらすじ感想と評価解説。河瀨直美監督が“愛のかたち”ד命のつながり”を繊細に映し出す珠玉の人間ドラマ

  • Writer :
  • 谷川裕美子

映画『たしかにあった幻』は2026年2月6日(金)テアトル新宿ほかロードショー!

『あん』(2015)『朝が来る』(2020)の河瀨直美監督によるオリジナル脚本映画『たしかにあった幻』が、2026年2月6日(金)テアトル新宿ほかにて公開となります。

日本の失踪者と心臓移植の現実を重ねて描いた珠玉のヒューマンドラマです。

ルクセンブルク出身のヴィッキー・クリープスが主演を務め、寛一郎、尾野真千子、北村一輝、永瀬正敏ら実力派が共演します。

先進国の中でもドナー数が最下位という日本の臓器移植医療、そして年間数万人にのぼる日本の行方不明者問題。これらの重いテーマに河瀨直美監督が正面から向き合った本作の魅力をご紹介します。

映画『たしかにあった幻』の作品情報


(C)CINÉFRANCE STUDIOS – KUMIE INC – TARANTULA – VIKTORIA PRODUCTIONS – PIO&CO – PROD LAB – MARIGNAN FILMS – 2025

【公開】
2026年(日本映画)

【監督・脚本】
河瀨直美

【編集】
河瀨直美、ティナ・バス

【キャスト】
ヴィッキー・クリープス、寛一郎、尾野真千子、北村一輝、永瀬正敏、中野翠咲、中村旺士郎、岡本玲、松尾翠、小島聖、平原テツ、早織、利重剛、中嶋朋子

【作品概要】
河瀨直美監督にとってオリジナル脚本としては8年ぶりとなる作品。「愛のかたち」と「命のつながり」をモチーフに、日本の失踪者問題と臓器移植問題を重ねて描きます。時を超えて運命が交差する珠玉のヒューマンドラマです。

「死」が終わりではないという気づきの先に、移植医療が人の命を繋ぎ「生」の意味を問いかける本作は、第78回ロカルノ国際映画祭でワールドプレミア上映され、河瀨監督の傑作と評されました。

主演は『ファントム・スレッド』(2018)『蜘蛛の巣を払う女』(2019)などで知られるルクセンブルク出身のヴィッキー・クリープスが務めます。

謎めいた恋人・迅を寛一郎が演じるほか、尾野真千子、北村一輝、永瀬正敏、小島聖、岡本玲、利重剛、中嶋朋子が共演。

映画『たしかにあった幻』のあらすじ


(C)CINÉFRANCE STUDIOS – KUMIE INC – TARANTULA – VIKTORIA PRODUCTIONS – PIO&CO – PROD LAB – MARIGNAN FILMS – 2025

フランスから来日したコリーは、神戸の臓器移植医療センターで働きながら、小児移植医療の促進に取り組んでいました。

西欧とは異なる日本の死生観や倫理観の壁は思った以上に厚く、医療現場の体制の改善や意識改革は困難でもどかしい思いを抱えています。

そんなコリーの心の支えは、屋久島で運命的に出会った恋人の迅でした。しかし、彼の誕生日でもある7月7日の七夕に突然、彼は姿を消してしまいます。

それから一年後、迅が失踪するはるか前に、彼の家族からも捜索願が出されていたことがわかります。コリーは岐阜にある迅の実家へと向かいました。

そこで明かされた事実から、迅との出逢いが宿命的だったと知ってコリーは愕然とします。

一方、心臓疾患を抱えながら入院していた少女・瞳の病状が急変し……。

映画『たしかにあった幻』の感想と評価


(C)CINÉFRANCE STUDIOS – KUMIE INC – TARANTULA – VIKTORIA PRODUCTIONS – PIO&CO – PROD LAB – MARIGNAN FILMS – 2025

命の重さと尊さにただただ圧倒される作品です。

異国フランスから来た医師のコリー、日常の業務に追われ押しつぶされそうになっている日本人の医師達、臓器移植を長年待ち続ける子供とその親、子供の突然死によって臓器提供を決心する親、そしてコリーの謎多き恋人の迅。

さまざまな人達が見つめる「生」と「死」が、複雑に絡まり合います。

目の前で見ることのできる「生」と異なり、別に誰かの体の中で生き続ける「生」や、記憶の中に生き続ける「生」は、とても「死」に近い場所にあります。もっと言うなら、「死」の中に存在する「生」といえるでしょう。

しかし、それらは本作のタイトルの通り、「たしかにあった」ものです。人は皆、もう会えない人達との出会いによって、以前とは違う自分へと少しずつ変化していくのではないでしょうか。コリーが迅によって、森のすべての音を聞ける術を身につけたように。

コリーを演じるヴィッキー・クリープスの、穏やかで美しい立ち姿や、やさしく響く声がしみじみと胸を打ちます。コリーの感情の底には常に静かな悲しみがたゆたっており、だからこそ彼女はこんなにも強くやさしくいられるのだということが伝わってくるのです。

森を上空からハイスピードで撮った映像を見る内に、まるで自分の魂が自由になって森を駆け抜けているかのような錯覚を覚えます。自分の「生」をこれまでとは違った感覚で見つめられる一作です。

まとめ


(C)CINÉFRANCE STUDIOS – KUMIE INC – TARANTULA – VIKTORIA PRODUCTIONS – PIO&CO – PROD LAB – MARIGNAN FILMS – 2025

河瀨直美監督が「生」と「死」を多角的にみつめ、繊細に紡ぎ上げた傑作『たしかにあった幻』。

喜び、悲しみまでも複雑に絡み合う現実を丁寧にすくい取ります。スクリーンを見つめながら、何度も心が震えることでしょう。

時代と共に移り変わる「死生観」のもと、自分がどのような生を選び取るべきか考えさせられる一作です。

映画『たしかにあった幻』は2026年2月6日(金)テアトル新宿ほかロードショーです。




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