Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2019/03/20
Update

ホラーSFの近年「VS映画」おすすめ4選。人気キャラクター対決の魅力から争いを超えた共闘まで|SF恐怖映画という名の観覧車41

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile041

映画ではしばしば、映画の主軸となる「物語」よりも、「キャラクター」に人気が集まることがあります。

キャラクターデザインや行動理念などその理由は様々ですが、映画業界が人気となったキャラクターに目を付け次々と続編を製作する中、“あるジャンル”も急速に成長を遂げていきました。

今回は、「キャラクター」の魅力を限界までつぎ込んだ人気ジャンル「VS映画」について、「ホラー」と「SF」両ジャンルから検証を進めていきたいと思います。

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら

スポンサーリンク

恐怖の大盛全部乗せ「VS映画」ホラー編

「VS映画」は熱狂的なファンのいるジャンルの1つであるため、多くの作品が様々な製作会社によって世に放たれています。

しかし、権利的に怪しいキャラクターの利用であったり、CGや特撮技術が他作品より劣るなど、どちらかと言えば「B級」と言うイメージの強い作品が多いジャンルでもありました。

楽しみ方によってはそのB級感こそが最大の魅力となるのですが、ある大物映画が登場しこのジャンルが大きく変わっていく事になります。

『フレディVSジェイソン』(2003)


© 2003 New Line Productions, Inc. All rights reserved.

「13日の金曜日」シリーズに登場する殺人鬼ジェイソンと、「エルム街の悪夢」シリーズに登場する殺人鬼フレディがぶつかり合う衝撃の「VS映画」。

パラマウント社が「13日の金曜日」の製作権を、「エルム街の悪夢」シリーズを受け持つニューラインシネマ社に売却する形で権利関係をクリアした本作は、両シリーズのファンにとって歓喜の作品でした。

シリーズを通し殺人鬼フレディを演じてきたロバート・イングランドを起用するなどファン向けのサービスを大量に作品内に散りばめる一方で、ジェイソンの殺戮シーンや、2人の一騎打ちなどシリーズを未見の人にも楽しんでもらえるシーンが次々と登場。

30億円以上もの製作費がかけられた大作「VS映画」として公開され、その人気と完成度から、大作映画界での「VS映画」の火付け役として君臨することとなります。

『貞子vs伽椰子』(2016)


(C)2016「貞子vs伽椰子」製作委員会

『フレディVSジェイソン』の衝撃から13年がたった2016年、日本で待望の邦画ホラー「VS映画」が誕生することになりました。

呪いのビデオを見た人間を呪い殺すことでお馴染みの「リング」シリーズの貞子と、家に足を踏み入れた人間を確実に呪い殺す「呪怨」シリーズの伽椰子。

『フレディVSジェイソン』と違い直接攻撃がメインではなく「呪い」で人を殺す2人が、まさかの直接対決を行うプロットで話題となった本作。

公開前までは安藤政信演じる常盤経蔵の「バケモノにはバケモノをぶつけんだよ」と言う「呪い」相手に斬新すぎる台詞も相成って、「おバカ映画」として別の意味での期待がされていた本作ですが、公開されるや否やその評価は覆ることになります。

「呪いのビデオ」と「呪いの家」、2つの「恐怖」が充分すぎるほど描かれ「おバカ映画」を期待した多くの鑑賞者を「恐怖」の渦に引きずり込みました。

「リング」シリーズと「呪怨」シリーズ、双方の良さを極限まで引き出した作品として、邦画界にホラー「VS映画」の楔を打ち込むことになりました。

絶妙なさじ加減が光る「VS映画」SF編

「VS映画」にはいくつかの決まり事が存在します。

その中でも特にファンが厳しく判断する重要な要素は、「2つのキャラクターの魅力を公平に描くこと」です。

しかし、それによって「共通の敵が現れ共闘する展開」と言うある意味テンプレート的な物語展開を強いられ、展開が先読みできてしまうことが足枷となり脚本製作を苦しめています。

ですが、王道的な展開ももちろん悪い物ではなく、双方のキャラクターを魅力的に描くことで王道展開に「熱さ」を感じることもまた確かです。

この項ではそんな脚本の匙加減が難しい「VS映画」の中で、見事な完成度を見せつけたSF「VS映画」をご紹介させていただきます。

『エイリアンVSプレデター』(2004)


(C)TWENTIETH CENTURY FOX ALL RIGHTS RESERVED.

SF「VS映画」として外すことが出来ない作品が、2004年に公開された『エイリアンVSプレデター』。

大作映画シリーズとして「SF」映画界を牽引する両作のクリーチャーが熾烈なバトルを繰り広げます。

本作の最大の魅力は、物語の中心はあくまでその地に足を踏み入れてしまった調査隊であり、サバイバルに焦点が当てられている部分です。

2つの作品に共通する「生き残りのための戦い」に主軸を置いた本作は、戦士としてのプレデターの格好良さや、人体の内部で成長するエイリアンの恐ろしさを最大限に取り込み、この1作を観るだけで両シリーズにハマること間違いなしの設計になっています。

両シリーズの本編にも密接に物語が繋がり、スピンオフではなくあくまで「本筋」。

SF「VS映画」の代表作として胸を張ってオススメできる作品です。

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)


(C)2016 Marvel All rights reserved.

2019年4月26日(金)にシリーズの1つの区切りとなる『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)が公開の大人気シリーズMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)。

そんなMCUの13作目として製作された『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』は「VS映画」の範疇であり、それでいて前述した王道展開を見事な形で利用した秀逸な作品でした。

MCUシリーズの顔として本国で高い人気を誇るアイアンマンと、決してブレない正義の心を持つ本作の主人公キャプテン・アメリカ。

友人でありながらも同じ方向を向けない2人の正義が、ある爆破テロ事件を巡り完全に対立することになります。

爆破テロ事件の真相、両者の戦いの着地点など、2人のキャラクターを一切ブラさず「正義」同士の潰しあいを描きながら、それでいて王道展開に乗り切らない卓越した脚本作り。

「スーパーヒーロー映画」が「子供向け」作品と侮っている人にこそ観て欲しい、大人から子供にまで人気があることが頷けるSF「VS映画」の大作です。

スポンサーリンク

まとめ


(C)2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.

「キングギドラ」や「モスラ」などが登場するハリウッド版「ゴジラ」最新作『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)の公開が迫り、「VS映画」への興奮が高まる近年。

来年には「キングコング」と「ゴジラ」が戦う『Godzilla vs. Kong』(2020)の公開も決まり、もう心穏やかではいられない人も多いと予想されます。

大好きなキャラクターが自作の垣根を越え、他作の人気キャラクターと戦うことが何故こんなにも嬉しいのでしょうか。

お祭り騒ぎが嬉しいのか、色々な人に自分の好きな作品を知ってもらえることが嬉しいのか、その理由は人によって違いますが、その映画の存在だけで元気を貰える不思議な映画ジャンルと言えます。

次回の「SF恐怖映画という名の観覧車」は…

いかがでしたか。


(C)2018yukajino

次回のprofile042では、新進気鋭の映画監督である楫野裕が世に放つ何もかもが異色の作品『阿吽』(2019)をご紹介させていただきます。

3月27日(水)の掲載をお楽しみに!

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら



関連記事

連載コラム

映画『ロード・インフェルノ』ネタバレ感想と評価考察。ラスト結末で待っていた煽り運転の罰則以上のヤバ過ぎホラー!|未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】見破録9

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】見破録」第9回 様々な国籍・ジャンルの佳作から怪作・珍作まで、世界のあらゆる映画を紹介する「未体験ゾーンの映画たち2020【延長戦】見破録」。第9回 …

連載コラム

映画『恋する遊園地』あらすじ感想と解説評価。ノエミ・メルランの恋のお相手はテーマパークのアトラクション!|映画という星空を知るひとよ45

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第45回 遊園地のアトラクションとの奇想天外なラブストーリー映画『恋する遊園地』。 本作は、エッフェル塔に恋をし、実際に法的手続きを経てエッフェル塔と結婚したと …

連載コラム

映画『インシテミル』ネタバレ感想と結末解説のあらすじ。“ 7日間のデスゲーム”原作との謎の違いを考察する|SF恐怖映画という名の観覧車141

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile141 『バトル・ロワイアル』(2000)や『カイジ 人生逆転ゲーム』(2009)などの映画に主演し、他人との命や大金の取り合いを強要される「デ …

連載コラム

映画『お姉ちゃん、弟といく』あらすじ感想と評価解説。江口のり子主演で描く“個性派女優”に相応しい青春ドラマ|インディーズ映画発見伝14

連載コラム「インディーズ映画発見伝」第14回 日本のインディペンデント映画をメインに、厳選された質の高い映画をCinemarcheのシネマダイバー 菅浪瑛子が厳選する連載コラム「インディーズ映画発見伝 …

連載コラム

映画『ゼイカム 到来』あらすじネタバレと感想。彼らはテレビを通じて支配する|未体験ゾーンの映画たち2019見破録16

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2019見破録」第16回 1月初旬よりヒューマントラストシネマ渋谷で始まった“劇場発の映画祭”「未体験ゾーンの映画たち2019」にて、ジャンルも国籍も何でもありの、貴 …

U-NEXT
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
【連載コラム】光の国からシンは来る?
タキザワレオの映画ぶった切り評伝『2000年の狂人』
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【KREVAインタビュー】映画『461個のおべんとう』井ノ原快彦の“自然体”の意味と歌詞を紡ぎ続ける“漁師”の話
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学