Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2020/12/26
Update

2020年映画ランキングベスト5:新型コロナ感染の影響で危機に見舞われた年に記憶に残った作品を厳選!《シネマダイバー:松平光冬選》

  • Writer :
  • 松平光冬

2020年の映画おすすめランキングベスト5
選者:シネマダイバー松平光冬

新型コロナウィルス感染拡大の影響により、あらゆる業界がダメージを受けた2020年。作品上映の延期・中止や劇場の休館・閉館など、映画業界も激動の渦に巻き込まれました。

劇場公開が2021年以降へと延期された作品も多数存在する中、この度の2020年映画おすすめランキングベスト5では「観て記憶に残った5本」という意味を込めて作品を選びました。

【連載コラム】『2020年映画ランキングベスト5』一覧はこちら

スポンサーリンク

第5位『オーバー・ザ・リミット/新体操の女王マムーンの軌跡』

【おすすめポイント】
ロシアの新体操選手マルガリータ・マムーンが、リオデジャネイロ五輪で金メダルを獲るまでの過程を追ったドキュメンタリー。

とにかく、コーチとしてマムーンを指導するイリーナ・ヴィネルの凄まじい罵詈雑言にア然。パワハラ・モラハラといった概念が通用せず、あるのは国家の威信と勝利への執念だけ。

ロシアが他国を寄せ付けない体操強豪国である理由が、本作にあります。

第4位『ワンダーウーマン 1984』

【おすすめポイント】
やはり本作のような超大作は、大スクリーンで観たいもの。ワンダーウーマン役のガル・ガドットの美しさはスクリーンだとより映えます。

幾度の延期を経てようやく12月に公開を迎えた本作でしたが、この時期の公開になったのは結果的には良かったのだとラストを観て認識しました。

『TENET テネット』同様に、配信より先に劇場公開を実現させたワーナー・ブラザースに敬意を表します。

スポンサーリンク

第3位『イップ・マン 完結』

【おすすめポイント】
ストーリーとしては前作『イップ・マン 継承』(2016)での幕引きが綺麗だった分、完結編となった本作はカーテンコール的な意味合いが強いです。それでも「イップ・マン」ブームを築いた始祖として、分かりやすい勧善懲悪で幕を閉じ直す意味はあったはずです。

ブルース・リーへのオマージュも行き届いた、贅沢すぎるアクション映画に仕上がりました。

第2位『Mank/マンク』

【おすすめポイント】
『市民ケーン』(1941)チックな『ソーシャル・ネットワーク』(2011)を撮ったデヴィッド・フィンチャーが、ついに『市民ケーン』そのものを手がけてしまいました。

主人公の脚本家マンクは、権力者の意向一つで製作体制が変わるハリウッド業界に抗うフィンチャー自身。そんな彼が自由な環境で映画が撮れるNetflixを選んだのは、自然の理だったのかもしれません。

過去のフィンチャー作品と比べて、笑えるシーンが多めなのも注目です。

スポンサーリンク

第1位『娘は戦場で生まれた』

【おすすめポイント】
内戦激しいシリアに暮らす女性監督が、生後間もない娘の成長と、緊張を強いられる市民たちの日常を並行してカメラに収めたドキュメンタリー。

生命を存続させる場の病院が空爆され、亡骸になった子どもを抱えて「全部撮ってちょうだい!」とカメラに泣きながら訴える母親……報道されない市民の悲痛な叫びは、フィクションではなく、すべて現実なのです。

2020年注目の監督とキャスト


(C)2020 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved

監督賞:クリストファー・ノーラン
女優賞:マリア・バカローヴァ
男優賞:ゲイリー・オールドマン

【コメント】
『TENET テネット』の劇場公開に強くこだわったクリストファー・ノーランが監督賞。あえて難解な作品を作る理由は、何回も劇場に足を運んでもらうという意図の他に、彼が抱いている劇場への愛着にあることが、今回のコロナ禍でよく分かりました。

女優賞は、『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』にて、一般人や要人たちにドッキリを仕掛けまくったマリア・バカローヴァ。主演のサシャ・バロン・コーエンと共に迷惑やりすぎ演技を披露していますが、これがデビュー作というのだから末恐ろしいです。

そして男優賞は、『Mank/マンク』のゲイリー・オールドマンに。クライマックスでの大演説は白眉。かつては「個性派俳優」「怪優」と呼ばれていた彼も、いまや「名優」の肩書が似合う存在になりました。

まとめ

(C)Channel 4 Television Corporation MMXIX

コロナ禍により、劇場の上映スケジュールが大幅に狂ってしまった2020年の映画業界。そんな未曽有の危機的状況の中、偶然とはいえその危機を救うかのように、鮮明な4Kリマスター映像となった名作映画の公開が目立った年でもありました。

『ひまわり』(1970)や『エレファント・マン』(1980)、『トータル・リコール』(1990)といった往年の話題作・ヒット作のリバイバル公開で、新規ファンとなった方、あらためてその面白さを認識した方もいたはずです。

いつの日かコロナウイルスは廃れるでしょうが、映画が廃れることは絶対にありません。

【連載コラム】『2020年映画ランキングベスト5』一覧はこちら


関連記事

連載コラム

『アントマン』一般人のスコットはアベンジャーズシリーズを変えた⁈映画『アントマン&ワスプ』はどうなるか|最強アメコミ番付評2

連載コラム「最強アメコミ番付評」第2回戦 こんにちは!野洲川亮です。 毎年のように新作が製作され、2018年もこれまで『ブラックパンサー』、『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』が公開、いずれも大 …

連載コラム

映画『鏡の中にある如く』ネタバレ感想と考察解説。ベルイマンが“神の沈黙三部作”で描く父の物語|電影19XX年への旅7

連載コラム「電影19XX年への旅」第7回 歴代の巨匠監督たちが映画史に残した名作・傑作の作品を紹介する連載コラム「電影19XX年への旅」。 第7回は、『叫びとささやき』や『仮面/ペルソナ』など、数多く …

連載コラム

映画『ブレイブ・ロード 』あらすじネタバレと感想。実話「名もなき英雄」のトルコ軍兵士と戦災孤児の少女の交流|未体験ゾーンの映画たち2019見破録58

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2019見破録」第58回 ヒューマントラストシネマ渋谷で開催された“劇場発の映画祭”「未体験ゾーンの映画たち2019」。全上映作品を劇場で観て、連載コラムで紹介するこ …

連載コラム

映画『ブラックスワン』ネタバレ解説。ラストに向かう悪夢の先はハッピーエンド|偏愛洋画劇場12

連載コラム「偏愛洋画劇場」第12幕 今回の連載は様々な話題を呼んだサイコ・スリラー映画『ブラック・スワン』(2010)です。 監督は低予算ながら斬新な映像とアイディアで数々の賞を受賞した『π』(199 …

連載コラム

映画『ブラック・クローラー』ネタバレあらすじと感想評価。ラスト結末の人喰いワニのパニックムービーを語る|未体験ゾーンの映画たち2021見破録11

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2021見破録」第11回 公開の危ぶまれる映画から、奇抜なものからお約束映画までそろえた「未体験ゾーンの映画たち2021見破録」。第11回で紹介するのは、お馴染みの& …

U-NEXT
CINEMA DISCOVERIES【シネマディスカバリーズ】
架空映画館 by ReallyLikeFilms Online
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
【連載コラム】光の国からシンは来る?
映画『哀愁しんでれら』2021年2月5日(金)より全国公開
映画『写真の女』
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【KREVAインタビュー】映画『461個のおべんとう』井ノ原快彦の“自然体”の意味と歌詞を紡ぎ続ける“漁師”の話
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学