Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

ラブストーリー映画

Entry 2020/04/20
Update

大人の恋愛映画の名作『ひまわり』感想とレビュー評価。“あの悲しさ”と音楽が【50周年HDレストア版】で蘇る!

  • Writer :
  • 松平光冬

初公開から50年、多くの日本人に愛された不朽の名作が鮮明によみがえる

多くの映画ファンの心をつかんだ名作メロドラマが、初公開から50年経った今年2020年に、『ひまわり 50周年HDレストア版』として6月1日より全国順次公開されます。

イタリアン・ネオ・レアリズモの名匠ヴィットリオ・デ・シーカ監督による、戦争によって引き裂かれた夫婦の悲哀を描いた1970年製作の映画『ひまわり』。

現時点で世界最高の状態となってスクリーンに帰ってくる、本作の見どころをご紹介しましょう。

スポンサーリンク

映画『ひまわり 50周年HDレストア版』の作品情報

(C)1970 – COMPAGNIA CINEMATOGRAFICA CHAMPION(IT) – FILMS CONCORDIA(FR) – SURF FILM SRL, ALL RIGHTS RESERVED.

【日本公開】
1970年(イタリア映画)
※50周年HDレストア版は2020年公開

【原題】
I Girasoli

【監督・脚本】
ヴィットリオ・デ・シーカ

【製作】
カルロ・ポンティ

【撮影】
ジュゼッペ・ロトゥンノ

【音楽】
ヘンリー・マンシーニ

【キャスト】
ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ、リュドミラ・サベーリエワ

【作品概要】
ヴィットリオ・デ・シーカ監督、ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ主演による、1970年製作のイタリア映画。

第二次世界大戦で引き裂かれた男女の悲しい愛を描いたこの作品は、映画史上初めて、外国映画が旧ソ連のウクライナで撮影を敢行したことも話題になりました。

日本では1970年の洋画興行ランキング5位を記録するヒットとなり、以来何度もリバイバル公開されるなど、長らく親しまれてきました。

初公開から50周年にあたる2020年に、最新技術を駆使して修正を施したHDレストア版が公開となります。

映画『ひまわり 50周年HDレストア版』のあらすじ

(C)1970 – COMPAGNIA CINEMATOGRAFICA CHAMPION(IT) – FILMS CONCORDIA(FR) – SURF FILM SRL, ALL RIGHTS RESERVED.

第二次世界大戦下のイタリア・ナポリ。陽気な性格のアントニオは、情熱的な性格の女性ジョバンナと恋に落ちます。

徴兵され、戦地に赴くことになっていたアントニオは、結婚すれば12日間の休暇が取れると知り、すぐさま式を挙げます。

夢のような新婚旅行を瞬く間に終えてしまった2人は、どうしても離れがたく、アントニオが精神病であると偽り、兵役を逃れる策に。

でも、その嘘がバレてまったことで、アントニオは極寒のソ連戦線に送られてしまいます。

数年経ち、終戦を迎えるも、アントニオは帰還しません。やがて彼が行方不明になったと知らされるジョバンナですが、必ず生きていると信じるあまり、ついに単身ソ連へ向かいます。

アントニオの写真一枚を手に、ひたすら探し続けるジョバンナは、やがて、モスクワ郊外の住宅地で少女のように可憐なロシア人女性マーシャと出会います。

写真を見て動揺するマーシャは、瀕死の状態だったアントニオを救い、後に彼と結婚して子どもをもうけていたのです。

傷心のジョバンナは、追い求めていたアントニオを目にした途端、衝動的に1人イタリアへと帰国。

それから空虚な日々を送るジョバンナの前に、一人の男が姿を現します…。

スポンサーリンク

イタリア映画界のスーパートリオによる不朽の名作が復刻


(C)1970 – COMPAGNIA CINEMATOGRAFICA CHAMPION(IT) – FILMS CONCORDIA(FR) – SURF FILM SRL, ALL RIGHTS RESERVED.

1910年代に俳優としてイタリア映画界に入り、1940年の『赤い薔薇』で監督デビューしたヴィットリオ・デ・シーカ。

ファシスト体制時は正当に評価されなかったものの、第二次大戦後に発表した『靴みがき』(1946)『自転車泥棒』(1948)で、敗戦で荒廃したイタリア庶民の生活をリアルに描いた”イタリアン・ネオレアリズモ”を代表する監督として、世界的に知られることとなります。

やがて、イタリア国内が復興を遂げていくにつれ、映画も陽気なコメディやメロドラマが製作されるように。

デ・シーカもその流れに乗り、ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニを迎えて製作したコメディ『昨日・今日・明日』(1963)『あゝ結婚』(1964)を連続ヒットさせます。

ローレンとマストロヤンニが共演し、デ・シーカも俳優として参加したコメディ『バストで勝負』(1955)で開花した、イタリア映画界のスーパートリオ。この3人が集大成的に放ったのが本作『ひまわり』です。

世界でも、とりわけ日本での人気が高い本作が、1970年の初公開から50年目にあたる2020年に、日本のイマジカにより、フィルムにあった細かい傷の修復、画像処理、ノイズの除去、さらに経年劣化に伴う色味調整を施したHDレストア版として公開となります。

陽気なユーモアと哀愁ネオレアリズモの融合


(C)1970 – COMPAGNIA CINEMATOGRAFICA CHAMPION(IT) – FILMS CONCORDIA(FR) – SURF FILM SRL, ALL RIGHTS RESERVED.

作品序盤、アントニオがジョバンナのイヤリングを飲み込んで大慌てするシーンや、新婚旅行で巨大オムレツを作って食べるシーンといった、陽気でユーモアなやり取りは、スーパートリオによる過去作『昨日・今日・明日』や『あゝ結婚』を思わせます

しかしながら、アントニオがソ連に出兵していく中盤以降は、デ・シーカの源流とも言えるネオレアリズモな展開へと、作品のトーンが変わっていきます。

あんなにも楽しく、熱烈に愛し合っていたのに、戦争によって引き裂かれてしまう2人。

そんな彼らの哀愁を誘うのが、『ティファニーで朝食を』(1961)や「ピンク・パンサー」シリーズ(1963~93)のテーマ曲を手がけた、ヘンリー・マンシーニのメロディです。

本作自体を観ていなくても、どこかで一度は耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。

デ・シーカはこの後も、『悲しみの青春』(1970)や『旅路』(1974)といった映画史に残る作品を発表していきますが、本作は、彼のキャリアの到達点と言っても過言ではありません。

スポンサーリンク

劇中を彩るさまざまな「ひまわり」


(C)1970 – COMPAGNIA CINEMATOGRAFICA CHAMPION(IT) – FILMS CONCORDIA(FR) – SURF FILM SRL, ALL RIGHTS RESERVED.

ソフィア・ローレン演じるジョバンナは、人目を惹く美貌を持つ女性。

性格も情熱的でバイタリティにあふれており、夫アントニオを戦地に行かせたくないばかりに、狂言芝居を打ったりもします。

さらに、行方不明となったアントニオの生存を信じて、ロシア語も分からないのに単身でソ連に向かうたくましさも。

その姿はまさしく、本作タイトルでもある花の「ひまわり」のようでもあります。


(C)1970 – COMPAGNIA CINEMATOGRAFICA CHAMPION(IT) – FILMS CONCORDIA(FR) – SURF FILM SRL, ALL RIGHTS RESERVED.

かたや、リュドミラ・サベーリエワ演じるロシア人のマーシャは、可憐で繊細な雰囲気を持つ、一見はジョバンナとは正反対な女性です。

しかし、雪原で瀕死状態のアントニオをたった一人で救い出した上に、ジョバンナとの再会で心が揺れる彼の背中を押すかのように、イタリア行きを勧めます。

芯が強くて気丈さを持ち合わせているという点では、マーシャもやはり「ひまわり」。

花言葉である「あなただけを見つめる」を体現するかのように、2人の女性は、1人の男を見つめます

そして何よりも、「ひまわり」はロシアの国花です。にもかかわらず、本作では、悲しい歴史を土台に咲いていることが明らかとなります。

劇中を彩るさまざまな「ひまわり」が、時代を超えて観る者の心を揺さぶることでしょう。

(C)1970 – COMPAGNIA CINEMATOGRAFICA CHAMPION(IT) – FILMS CONCORDIA(FR) – SURF FILM SRL, ALL RIGHTS RESERVED.

“マエストロ”デ・シーカの魅力に迫る特典DVD『ヴィットリオ・D』も必見

(C)1970 – COMPAGNIA CINEMATOGRAFICA CHAMPION(IT) – FILMS CONCORDIA(FR) – SURF FILM SRL, ALL RIGHTS RESERVED.

なお、映画『ひまわり 50周年HDレストア版』の公開を記念して、デ・シーカ監督のパーソナルな面に迫った日本未公開のドキュメンタリー映画『ヴィットリオ・D』のDVDが、劇場入場者先着1,000名にプレゼントされます。

ソフィア・ローレン、クリント・イーストウッド、ウディ・アレン、ケン・ローチといった著名な映画人たちがデ・シーカの功績について語りつつ、デ・シーカ作品の名場面や貴重映像が満載となっています。

「偉大」「特別な人物」「ナポリの劇場のような大きな存在」「優れた調教師」……『ヴィットリオ・D』で、デ・シーカを称える言葉は十人十色です。

15歳の頃からデ・シーカに自らを売り込み、『昨日・今日・明日』でメインキャストに初起用されて以降、国際的名声を得ていくマルチェロ・マストロヤンニは、自伝でこう振り返ります。

ああ、デ・シーカ!すばらしい人物でした。そりゃもういい男で、まるで教皇のように見えましたね。一緒にいさせてもらって、どれほど楽しい時を過ごしたことか。なんと機知にあふれる人だったことか。まさに巨匠(マエストロ)でしたね。
――『マルチェロ・マストロヤンニ自伝 わが映画人生を語る』(小学館)

マエストロが手がけた珠玉の一作『ひまわり』と、マエストロの魅力が詰まった『ヴィットリオ・D』を、この機会にぜひ。

映画『ひまわり 50周年HDレストア版』は、2020年6月1日より全国順次公開

関連記事

ラブストーリー映画

アムール愛の法廷あらすじネタバレと感想!ラスト結末も

「大人のラブストーリー」と「法廷劇」という、2つのプロットを巧みに絡み合せたストーリー展開。 2015年ベネチア国際映画祭で脚本賞を受賞した、『アムール、愛の法廷』をご紹介します。 ​ スポンサーリン …

ラブストーリー映画

Netflix映画『マリッジストーリー』ネタバレ評価レビュー。大人のラブストーリーは何度も見たくなる深い味わい

2019年、第76回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品『マリッジ・ストーリー』 Netflix映画『マリッジ・ストーリー』は、知り合って10年になる30代半ばの夫婦が離婚するまでを描いた物語。 …

ラブストーリー映画

映画『君の名前で僕を呼んで』あらすじとキャスト。公開日と上映館は

“誰もが胸の中にある柔らかな場所を思い出す…。” 1980年代のイタリアを舞台に、17歳と24歳の青年が織りなすひと夏の恋の行方を描いたラブストーリー。 映画『君の名前で僕を呼んで』がいよいよ4月27 …

ラブストーリー映画

『きみに読む物語』フル動画を無料視聴!PandoraやDailymotion紹介も

認知症が進み自分のことすら思い出せない妻に、物語としてこれまでの人生を読み聞かす夫。 彼らが体験した純愛のラブストーリー。 観る人全てに感動をそして愛の素晴らしさを伝えてくれます。涙なしでは見られない …

ラブストーリー映画

映画『愛唄 約束のナクヒト』あらすじネタバレと感想。GReeeeeN自ら脚本に参加!

映画『愛唄 約束のナクヒト』は2019年1月25日(金)より全国公開。 2017年の『キセキ‐あの日のソビト‐』に続く人気グループGReeeeeNの楽曲映画化プロジェクト第2弾。 前作がGReeeee …

U-NEXT
架空映画館 by ReallyLikeFilms Online
【Cinemarche】今週のおすすめ映画情報
凱里(かいり)ブルース|2020年6月6日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかにて全国順次ロードショー予定!
映画『異端の鳥』TOHOシネマズ シャンテほか近日公開予定
映画『朝が来る』TOHOシネマズ 日比谷ほか近日公開予定
ドラマ『そして、ユリコは一人になった』
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学
国内ドラマ情報サイトDRAMAP