Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2021/01/21
Update

『30デイズナイト』ネタバレ感想と結末解説のあらすじ。ホラー映画のカルト的人気のサムライミが描くヴァンパイア作品|B級映画 ザ・虎の穴ロードショー9

  • Writer :
  • 秋國まゆ

連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第9回

深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信サービス【U-NEXT】で鑑賞することも可能です。

そんな気になるB級映画のお宝掘り出し物を、Cinemarcheのシネマダイバーがご紹介する「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第9回は、デヴィッド・スレイド監督が演出を務めた、映画『30デイズ・ナイト』です。

デヴィッド・スレイド監督が、スティーヴ・ナイルズによる同名のコミックを原作として描く、2007年製作のアメリカのヴァンパイア・ホラーアクション映画『30デイズ・ナイト』。

太陽が24時間昇らない日々が30日間続く、アラスカ州バローに現れたヴァンパイアに、保安官夫婦率いる住民が立ち向かう壮絶なサバイバルものである本作は、具体的にどういった内容なのでしょうか。

今回は、大人気映画「スパイダーマン」シリーズを手掛けたサム・ライミが製作した、映画『30デイズ・ナイト』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。

【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら

映画『30デイズ・ナイト』の作品情報


(C) 2007 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

【公開】
2009年(アメリカ映画)

【原作】
スティーヴ・ナイルズによるコミック『30デイズ・ナイト』

【監督】
デヴィッド・スレイド

【キャスト】
ジョシュ・ハートネット、メリッサ・ジョージ、ダニー・ヒューストン、ベン・フォスター、マーク・ブーン・ジュニア、マーク・レンドール、アンバー・セインズベリー、クレイグ・ホール、マヌー・ベネット、ミーガン・フラニック、ジョエル・トベック、エリザベス・ホーソーン、ナサニエル・リーズ

【作品概要】
『ブラックホーク・ダウン』『ハロウィンH20』『マイナス21℃』などに出演する、期待の若手俳優ジョシュ・ハートネットと、「スパイダーマン」シリーズを手掛けたサム・ライミ監督がタッグを組んだ、究極のヴァンパイア・ホラーアクション映画です。

サム・ライミ監督は本作の製作を担当し、同名のコミック『30デイズ・ナイト』の原作者であるスティーヴ・ナイルズが本作の脚本を務めます。

映画『30デイズ・ナイト』のあらすじとネタバレ


(C) 2007 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

膝ぐらいの高さまで降り積もった雪の中を歩く謎の男は、険しい顔で見つめる、ある街を目指して歩き続けます。

その街とは、アメリカ最北の居住区であるアラスカ州バロウ、隣町まで128kmも離れている人跡未踏の荒れ地です。

152人の住民が住むバロウは、毎年の冬に30日間に及んで太陽が沈む「極夜」があり、その期間中は街から出られなくなってしまいます。

太陽が拝める最後の日、バロウを守る保安官のエバン・オルソンは、相棒であり友人のビリー・キトカ副保安官と一緒に、四駆のパトカーに乗ってパトロールをしていました。

すると雪の中に燃やされた携帯電話が埋もれていたり、配管路で事故があったり、住民のジョン・リースとその妻アライが飼っている犬ぞり用の飼い犬が全て惨殺されていたり、ヘリコプターの操縦士ウィルソン・ブロが所有するヘリコプターの操縦桿とプロペラが盗まれていたりと不審な事件が相次いで起きます。

一方、エバンの元妻で保安官のステラ・オルソンは、消防の仕事をしにこのバロウを訪れていましたが、飛行機の最終便へ乗るために空港へ急ぐ途中で事故に遭ってしまうのです。

それは住民のマレカイが運転する重機が、突如ブレーキが故障してステラの車に衝突してしまったというもので、2人とも無事でしたが、ステラの車が壊れてしまいました。

そこでステラは、仕方なく元夫のエバンに連絡を取り、空港まで送って欲しいと言うと、エバンからビリーに送らせると返答されます。

ビリーが運転する四駆のパトカーに乗り、空港まで辿り着けたステラでしたが、最終便には間に合わず、渋々バロウでビリーかエバンの家に泊まって30日間過ごすことにしました。

エバンは一先ず、弟のジェイクと祖母のヘレン・マンソンが留守番をしてくれている保安官事務所へ戻ったあと、ルーシー・イゴスが営む「イゴス・ダイナー」へ向かいます。

そこでは、物語の冒頭で登場した謎の男が、ルーシーに血が滴る生肉を強引に要求しており、エバンは駆けつけたステラと協力して男を逮捕しました。

その頃街中では、観測所にいた住民のガス・ランバートや、女友達と歩いていたゲイブとアーロンが、謎の集団に襲われて、首に咬みつかれて死亡する事件が起きます。

保安官事務所の牢屋に男を閉じ込めたあと、エバンたちはいきなりパソコンが動かなくなったり、電話が不通になるアクシデントが起きて困惑しました。

すると不敵な笑みを浮かべる男は、「最悪な奴らが来るぞ、まずはガスを。窓を塞げ。今度こそ仲間になるぞ」と意味深な言葉を告げてくるのです。

エバンがその言葉の意味を問いかけた瞬間、今度は街全体が停電となってしまい、とりあえずエバンは男が言うガスの安否を確かめるために観測所へ急行します。

しかしそこには、夥しい量の血痕の先に、棒のようなものにくし刺しにされているガスの生首が晒されていました。

エバンはすぐさま街を巡回し、住民に「戸締りをして外出はしないてくれ。銃には念のため弾丸の装填を。発電機が家にない住民はとりあえずダイナーに集まってくれ」と、警告と共にそう促します。

その間にも夕食の準備をしていたアライが、ジョンの必死の救出もむなしく、突如キッチンの窓を突き破って襲ってきた敵に、隣家の軒下に引きずり込まれて殺されてしまいました。

エバンの帰りを、ステラたちとボードゲームをしながら待っていたジェイクは、奇妙な言葉を話し続ける男に苛立ってゲームの駒を投げつけます。

すると男は、その駒を鍵代わりにして脱走を企み、それを阻止しようと近づいたジェイクの首を絞めてきたのです。

そこへ保安官事務所へ戻ってきたエバンが、躊躇なく男の肩を銃で撃ち、ジェイクを救出してから、男を檻に手錠で拘束してから尋問します。

しかし男は、「この街を襲う襲撃者を意味する奴ら」が誰かは答えず、ただ「お前は死ぬ、もうここから逃げられない」としか言いません。

エバンはこのままじゃ埒が明かないと思い、ステラと一緒にまだ外にいるビリーの元へ四駆のパトカーを走らせますが、その道中で敵に襲われてしまい、慌てて来た道をバックして引き返します。

そんなエバンの元へ、ヘレンから助けを呼ぶ無線が届き、エバンたちはすぐに保安官事務所へ帰りますが、部屋の隅に大量の血痕があるだけでジェイク達の姿はありません。

一方、外には住民たちを襲う謎の集団がおり、その中心にいるマーローという男は、独自の言葉で「首は胴体から切り離せ、仲間にしてはならぬ。探し求めた絶好の狩場だ」と話していました。

そう、バロウの住民やジョンの飼い犬を殺し、ヘリを壊して逃げ道を塞いだのは、この暗闇の中を人間の血を吸って生きるヴァンパイアたちだったのです。

ヴァンパイア集団のリーダーであるマーローは、襲った住民の家にあったレコードを、蓄音器の針の代わりに自らの鋭い爪で音を奏でたことを合図に、暗闇に潜ませた仲間に住民を襲うよう仕向けます。

大勢の住民がヴァンパイアたちに殺されていくなか、何とかダイナーに逃げ込めたダグ・ヘルツやジェイクら住民たち、そこへエバンたちが駆けつけてきました。

エバンたちは話し合った結果、防壁で囲った屋根裏部屋がある住民のゲイルの家が安全かもしれないと考え、エバンとステラがヴァンパイアたちを引きつけている隙に、住民たちはその隠れ家へ向かうことに決めます。

ところが、クマ用の罠と発煙筒を積んだ四駆のパトカーを走らせた途端、エバンたちはヴァンパイアたちに襲われ、横転させられた車から引きずり出されて殺されそうになってしまうのです。

そんな2人を助けたのは、除雪車で敵に突っ込んできた住民のボウ・ブロワーであり、彼は2人を除雪車に乗せて隠れ家へ向かいます。

無事に隠し扉にある階段を登って、ジェイクたちと合流できたエバンたち、そこでエバンはジェイクから、ヘレンがヴァンパイアに殺された話を聞きました。

以下、『30デイズ・ナイト』ネタバレ・結末の記載がございます。『30デイズ・ナイト』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C) 2007 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

一瞬ショックで言葉を失うエバンでしたが、住民たちを守ることに気持ちを切り替えて、とりあえずダグやボウたち男性陣と保安官で交代で見張り番をし、その間に仮眠をとることにします。

エバンたちが交代で見張り番をし、束の間の休息を少し緊張がほぐれていると、外から若い女性の助けを求める声が聞こえてきました。

しかしそれは、エバンが予想したとおり、マーローたちが隠れている住民たちを外に誘き寄せようと仕掛けた罠であり、失敗した女性はヴァンパイアたちに嬲り殺されてしまいます。

マーローたちに脅されて味方した者は他にもおり、エバンたちに逮捕された男は、このバロウを陸の孤島にしようと、ヴァンパイアたちを街へ手引きしていたのです。

その男はマーローに首をへし折られたのち、マーローのそばにいる女ヴァンパイアに血を啜られて絶命します。

そしてヴァンパイアに咬まれた人間は、ヴァンパイアへと変貌してしまうようで、アライを助けようとした際に咬まれたジョンがそうなってしまいました。

女性を助けようと、単身隠れ家から出て外にいたエバンは、家の軒下から助けたジョンに襲われてしまい、近くの公園で揉み合いになります。

その際に持っていた銃を取りこぼしてしまったエバンは、ジョンがブランコの鎖にから待っている隙に、落ちていた斧を手に取って彼の首に何度も打ちつけて殺しました。

その頃隠れ家では、老人のアイザックが息子のウィルソンを連れて、隣町へ逃げようと隠れ家から出かけた事態が起きてしまいます。

必死にステラとウィルソンが説得したおかげで、アイザックが外へ出るのを踏みとどまってくれたと思っていましたが、彼はトイレに行った際に窓から外へ出てしまったのです。

遅いアイザックを心配したステラたちは、トイレにいないアイザックに気づき、ウィルソンはアイザックを探しに外へ飛び出してしまい、彼の大きな声に引き寄せられたヴァンパイアに殺されてしまいました。

隠れ家に戻ってきたエバンは、2人が襲われたのは自分のせいだと嘆くステラを、「家族の為なら誰だってそうする、君だってそうだろう?」と言って慰め、失った家族の絆を取り戻します。

それから数日後、エバンたちは外に敵がいないか確認したうえで隠れ家を出て、食料と敵を倒す武器になる道具を求めて店に駆け込んでいきました。

しかしその店の奥には、死体を弄ぶヴァンパイアの女の子がおり、数人がかりで彼女の両腕を壁に押しつけて拘束したのち、斧を拾ったジェイクがトドメを刺して殺します。

危険を回避したエバンたちは、その店を新たな隠れ家にして籠城すること18日後、配管路を使って隣町へ逃げようと考えました。

その話し合いのなかで、ステラは「ヴァンパイアたちがもし、映画のように太陽や光に弱いならば、保安官事務所にある栽培用の紫外線ランプで弱体化させる。その隙に配管路を目指そう」という作戦を思いつきます。

ステラの作戦を実行するため、エバンはヴァンパイアたちを引きつける囮役として外に飛び出し、ステラ率いる住民たちは保安官事務所へ向かうも、その道中でダグが殺されてしまいました。

マーローたちを引きつけたエバンは、逃げ込んだ家にあった栽培用のランプの灯をつけて、一目散に家へ侵入してきた女ヴァンパイアに向けて照射すると、光を浴びた女ヴァンパイアは半身が黒く焦げる激痛に悶えます。

やはりステラの読み通り、ヴァンパイアたちの弱点は太陽や光だと気づいたエバンでしたが、その女ヴァンパイアを殺したマーローたちに発電機を壊されてしまうのです。

命からがらマーローたちを撒いたエバンは、ステラと繋がった無線機から、ボウに「ロジャー通りへ行け、溝堀機が目印だ」と言われました。

ボウはこれまで、自分たち住民を守るために何度も囮役を買って出てくれたエバンに恩返しするため、溝掘機を使って引きつけた敵もろとも、ダイナマイトで爆死しようとするのです。

溝掘機を巧みに操作し、ショットガンも使ってヴァンパイアたちを殺していったボウは、民家に溝掘機を突っ込んだのち、発煙筒に火をつけてダイナマイトを起爆させます。

ボウの決死の爆散作戦により、複数の敵を火だるまにさせて撃退できましたが、そのボウは重傷を負いながらも這いずって外へ出たところを狙われ、マーローの足で首をへし折られて絶命しました。

152人もいた住民が、エバンとステラを含めて6人だけになってしまった現状に、保安官事務所で誰もが絶望するなか、おもむろに立ち上がったカーターが「じきに5人になる」と告げるのです。

ヴァンパイアの女の子に咬まれ、ヴァンパイアになってしまったカーターは、飲酒運転した人によって殺された妻と子供たちの元へ行きたい旨を皆に話し、「家族がみんな俺を待っている。だからエバン、俺を家族の元へ行かせるために殺してくれ」とエバンに懇願します。

エバンは涙を堪えながら、別室に連れていったカーターをジョン同様、首に斧を打ちつけて殺しました。

極夜になってから27日目、エバンたちは向かいの家から懐中電灯の光をチカチカと照らす住民がいることに気づき、もしかしたらビリーかもしれないと思い、エバンとステラは救出に向かいます。

懐中電灯で助けを求めていたのは、衰弱したビリーでしたが、彼は自分に助けを求めた妻と子供を、弾づまりを起こした銃で殺してしまっていました。

そう話すビリーをエバンが泣きながら責めますが、彼をステラと一緒に抱えて保安官事務所へ戻ります。

しかしジェイク・デニース・ルーシーの姿はなく、彼らが行ったであろう配管路を目指して、再び外へ出たエバンたちの前に、血だらけの女の子ゲイル・ロビンズが現れたのです。

ステラはゲイルを救出し、エバンとびりーはそれぞれヴァンパイアを引き付け、3人がそれぞれ別行動を取って配管路を目指すことにしました。

エバンは無事、配管路でジェイクたち3人と合流できましたが、後から配管路に来たビリーは、後ろからつけてきていたヴァンパイアに気づかず、背後から首を咬まれてしまいます。

エバン・ビリー・ジェイクの3人で力を合わせ、稼働していた破砕機の中にヴァンパイアを入れて撃退し、その過程で破砕機に巻き込まれて右手を失ったビリーはヴァンパイアへ変化を遂げ、エバンは斧で友人の首を切断する羽目になってしまうのです。

太陽が昇るまであと1日、配管等に籠城したエバンたちは、無線機でゲイルを保護したステラと連絡を取っていると、2人が隠れる車の近くを囲んだマーローたちがパイプラインを壊して街中に石油を垂れ流し始めます。

マーローは石油に火をつけて、自分たちヴァンパイアがこの街を襲った証拠を揉み消し、隣町へ侵攻しようと行動し始めたのです。

このまま配管等にいれば焼死、ステラの元へ助けに行けばヴァンパイアに殺される絶望的状況の中、エバンはジョンたちが咬まれても人間の意志を保っていたことを思い出し、注射器で取り出したビリーの血を自分の体内に取り込んでいきます。

皆で生き延びるためには、自分がヴァンパイアとなってマーローたちと戦うしかないと考えたエバンを、ジェイクは涙を流しながら見つめ、エバンを殺そうとするルーシーたちを制止しました。

エバンはジェイクたちの元から離れ、ヴァンパイアになってマーローに戦いを挑み、力の扱い方ができていない状態で苦戦した末、飛び掛かってきたマーローの口に腕ごと突っ込んで殺します。

この事で怯んだヴァンパイアたちは街から去っていき、それを見て今まで姿を見せなかった住民たちがステラとエバンたちの元へ駆け寄っていきました。

夜が明けて太陽が昇り始める頃、エバンが自分たちを救うためにヴァンパイアになってしまった事を悟ったステラは、エバンが太陽光に焼かれて死ぬまでずっと、泣きながら彼を抱きしめていたのでした。

映画『30デイズ・ナイト』の感想と評価


(C) 2007 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

30日間に及ぶ極夜の生活、毎年の冬に訪れるその生活が、ヴァンパイアたちによって生きるか死ぬかのサバイバル生活に変えられてしまうのです。

いつどこからヴァンパイアたちに襲われ、住民が殺されるか分からない恐怖だけでもとても怖く、謎の男がバロウを陸の孤島にしようとした目的が明らかにされていないのが余計に恐怖心を煽ってきます。

一瞬も気を抜くことが出来ないのは、エバンたちだけでなく観る人もそうなってくるほど、他のヴァンパイア映画よりもさらにホラーテイストに仕上がった作品でした。

銃で撃っても殴っても死なないマーロー達ヴァンパイア、彼らが住民を惨殺するシーンは観ているこちらもゾッとするほど怖く、グロテスクな死に様ばかりなのでR15+指定がかかるのも頷けます。

恐怖心を押し殺して皆を助けるために敵と戦うエバン、その勇気に感化されたボウの決死の作戦シーンは感動するほど格好良かったので、このシーンで彼の事を好きになったファンも多いことでしょう。

感動したり怖かったりする本作の中には、エバンがヴァンパイアになってしまった住民のジョンとカーターを、友人のビリーさえも斧で殺さなくてはいけない辛く悲しいシーンも描かれていて、とても切ないです。

しかも主人公のエバンが最後、住民を守るために自らヴァンパイアとなって敵と戦い、誰も襲わずステラに抱きしめられたまま、太陽光に焼かれて死んでいく様は必ず号泣します。

まとめ

本作はヴァンパイア対人間の30日間に及ぶ極夜の中でのサバイバルバトルが描かれており、気づいた時にはもう敵に襲われてしまうという恐怖とスリルが盛り沢山の作品でした。

一瞬も気が緩められない、瞬き禁止のサバイバルアクション、エバンたちと同じ恐怖が観る人すべてに襲い掛かってきて、時間が経つにつれて少しの物音もビクついてしまうほど恐怖が増していきます。

その中でホッと心が温まるのは、エバンとステラの保安官夫婦が家族の絆を取り戻すシーンと、ボウが決死の覚悟でマーローたちに挑むシーン、住民たちがお互いを思いやり助け合うシーンです。

強い絆で結ばれた住民たちとエバンに負けず、マーローだって人間には無慈悲で残酷なものの、仲間のヴァンパイアがやられた際は悲しむ素振りを見せるなど、仲間想いな一面が見られてヴァンパイア側に好感が持てるシーンもありますよ。

ヴァンパイア映画の中で最もスリリングで恐ろしいほど怖く、なおかつ人間同士の絆も観たいと求める人へ、このR15+指定がかかったホラー作品をオススメします。

【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら




関連記事

連載コラム

WELCOME TO JAPAN日の丸ランチボックス|感想と評価。藤田恵名が西村喜廣のバイオレンスな世界で歌う|SF恐怖映画という名の観覧車67

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile067 2012年から日本の一部劇場で開催されている「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション」。 このイベントは、スペインのリゾート地 …

連載コラム

映画『別れるということ』あらすじ感想と評価解説。渡邉高章監督が描く別れの喪失感と出会いからの始まり|インディーズ映画発見伝15

連載コラム「インディーズ映画発見伝」第15回 日本のインディペンデント映画をメインに、厳選された質の高い映画をCinemarcheのシネマダイバー 菅浪瑛子が厳選する連載コラム「インディーズ映画発見伝 …

連載コラム

ヘルレイザー|ネタバレ結末感想とあらすじの考察解説。ラストでピンヘッドら魔導士が“与えるもの”とは|B級映画 ザ・虎の穴ロードショー50

連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第50回 深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞す …

連載コラム

映画『彼女の生きる道』あらすじ感想と解説評価。‟自由な女性の戦い方”をセシル・デュクロック監督が描く|2022SKIPシティ映画祭【国際Dシネマ】厳選特集4

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022国際コンペティション部門観客賞受賞のセシル・デュクロック監督作品『彼女の生きる道』 2004年に埼玉県川口市で誕生した「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」は、映 …

連載コラム

【ネタバレ】ロッキーVSドラゴ ROCKY Ⅳ|あらすじ結末感想と評価解説。1986年版『ロッキー4』との変更点を徹底検証!|すべての映画はアクションから始まる31

連載コラム『すべての映画はアクションから始まる』第31回 日本公開を控える新作から、カルト的に評価された知る人ぞ知る旧作といったアクション映画を時おり網羅してピックアップする連載コラム、『すべての映画 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学