Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

【ネタバレ感想】『ワンダーウーマン』映画と原作コミックとの比較解説。新たな女性ヒーローのアイコン|最強アメコミ番付評22

  • Writer :
  • 野洲川亮

連載コラム「最強アメコミ番付評」第22回戦

こんにちは、野洲川亮です。

『アベンジャーズ エンドゲーム』に続いて『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』の予告がアップされましたね。

2019年公開のアメコミ映画情報が続々と解禁されはじめ、各作品の公開までのワクワクが高まってきています。

今回は、DCEUシリーズ第4作となる『ワンダーウーマン』を考察していきます。

女性ヒーロー映画の新たな境地を切り開いた本作の魅力を探っていきます。

【連載コラム】『最強アメコミ番付評』記事一覧はこちら

『ワンダーウーマン』のあらすじとネタバレ

(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

フランスの美術館で働く女性ダイアナ(ガル・ガドット)の元に、ブルース・ウェインからある写真が届けられます。

その写真に映っていたのは、100年前の第一次世界大戦当時、兵士たちと共にいるダイアナの今と変わらぬ姿でした。

ダイアナは女戦士アマゾン族だけが住むセミスキラ島に生まれ、育ちました。

ヒッポリタ女王(コニー・ニールセン)の娘に生まれ、戦士に憧れるダイアナでしたが、ヒッポリタはダイアナに戦いを教えることに反対し、ある伝説を聞かせます。

かつて神ゼウスは自分たちの姿に似せて人間を作りますが、ゼウスの息子、戦争の神アレスはその人間たちに嫉妬し、人間同士が争うように仕向けました。

ゼウスにより追放されたアレスですが、いつか復活した時に備え、アレスを倒すための聖剣ゴッドキラーを保管し、立ち向かう役目をアマゾン族は担っていました。

伝説を聞かされたダイアナは戦士への思いを深め、ヒッポリタの妹、最強の女戦士であるアンティオぺ将軍(ロビン・ライト)から直接教えを請うようになります。

強く成長したダイアナはある日、海に墜落する飛行機を目撃し、乗っていた男を救出します。

すると男の後を追うように、武装した兵士たちが島に上陸し、駆けつけたアマゾン族の戦士たちと戦闘になります。

弓、槍、剣で次々と兵士たちを倒していくアマゾン族でしたが、島にはない銃で数人が撃たれ、ダイアナをかばったアンティオぺも撃たれ、息絶えてしまいます。

戦闘を終え、ヒッポリタは初めに救出された男、スティーブ・トレバー(クリス・パイン)を、縛られた者に真実をしゃべらせる力を持つヘスティアの縄で尋問します。

スティーブはスパイとしてドイツに潜入していたアメリカ軍兵士で、ドイツ軍が開発した殺人ガスの情報が書かれたノートを奪って逃走しているところでした。

外の世界で世界規模の戦争が起こっていることを知ったダイアナは、この戦争はアレスの仕業でそれを止めるために島を出ることを主張しますが、ヒッポリタは聞き入れません。

それでもスティーブと話し決意を固めたダイアナは、ゴッドキラーと盾、ヘスティアの縄を手にし、彼女の決意をみたヒッポリタも、二度と島に戻れないことを告げ、彼女を送り出します。

島を出た二人はロンドンに到着し、スティーブはドイツと停戦交渉を行っている、モーガン卿(デヴィッド・シューリス)を始めとするイギリス軍首脳部に毒ガスのノートを見せ脅威を伝えますが、首脳部は前線の兵士たちを使い捨てにするような発言をします。

これを聞いたダイアナは激怒し、スティーブにも不信感を抱きますが、彼はヘスティアの縄を使い、毒ガス攻撃を止めようとしていることを証明します。

ドイツ軍のルーデンドルフ大佐こそがアレスだと疑うダイアナは、スティーブが集めた仲間たちと共に、前線へと向かいます。

最前線に到着したダイアナたちが目にしたのは、延々と続く塹壕と、断続的な戦闘を長期間繰り広げ、敵味方共に疲弊し、膠着しきった様子でした。

敵陣の先に自分たちの村がある民間人も塹壕に取り残されており、見かねたダイアナはスティーブの制止も振り切って、単身で戦場の中へと進んでいきます。

敵の一斉放射を、手甲と盾だけで防ぎ前進していくダイアナの姿に感化され、共に突撃したスティーブとイギリス兵たちはドイツ軍を壊滅させます。

さらにドイツ軍に占拠された村もダイアナの活躍で解放し、村の喝さいを浴びた一同はそこで記念の写真を撮ります。

そして、近くの城でドイツ軍の舞踏会が開かれ、そこにルーデンドルフ大佐が現れるという情報を手にした一同は、城へと潜入します。

ダイアナはそこで出会ったルーデンドルフ大佐がアレスであると確信し、ゴッドキラーで殺そうとしますがスティーブに止められてしまいます。

すると、轟音が鳴り響き、ドイツ軍が村に向けて毒ガスを発射してしまいます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ワンダーウーマン』ネタバレ・結末の記載がございます。『ワンダーウーマン』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

村は全滅してしまい、ダイアナはショックを受けますが、スティーブはルーデンドルフ大佐を殺していれば毒ガス工場が破壊できなかったと慰めます。

その時、毒ガス工場のある基地が見つかり、ダイアナは馬に乗って基地へと単身で突撃していきます。

そこでルーデンドルフ大佐と対峙したダイアナは、ガスで身体を強化し襲い掛かってきた大佐を倒し、ゴッドキラーで串刺しにします。

アレスを倒したと思ったダイアナでしたが、兵士たちは毒ガスの準備を止めず、戦争が止まる気配はありません。

がく然とするダイアナを横目に、スティーブたちはロンドンを攻撃するためのガス弾を積んだ輸送機を阻止するために奔走します。

すると、ダイアナの前にパトリック卿が突然現れ、彼こそがアレスだったことが判明します。

ゴッドキラーでアレスに立ち向かうダイアナですが、アレスの力で刀身は消滅してしまいました。

アレスはダイアナこそがゼウスに作られた本物のゴッドキラーであると告げ、共に人間を滅ぼそうと協力を持ちかけます。

ダイアナはその誘いを拒否し、再び戦いを挑みますが、アレスの力の前に動きを封じられてしまいました。

その時、ガス弾を搭載した爆撃機に飛び乗っていたスティーブは、乗っていた兵士たちから機体を奪い、自らの命と引き換えに、上空でガス弾を爆発させます。

人々を救うために犠牲となったスティーブの高潔さを理解したダイアナは、神の力を覚醒させ、拘束を振りほどき、ドイツ兵たちをなぎ倒していきます。

怒りに支配されたダイアナに地上を破壊させようとするアレス、その時スティーブとの最後の会話「僕は今日を救う。君は世界を救え」「愛してる」を思い出したダイアナは、アレスに愛を信じると言い放ち、親のゴッドキラーの力でアレスを消滅させました。

アレスが消滅したことで、戦争は終結へと向かいます。

現代のダイアナは、ブルース・ウェインに写真のお礼をメールします、「また彼に会えた」と。

原作コミックを踏襲した作風とガル・ガドットの魅力

(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

『ワンダーウーマン』のコミックが創刊されたのは1941年、ウィリアム・マーストンの手によって生み出されました。

劇中の舞台となる1910年代当時、学生時代のマーストンは女性の講演が禁止されていたハーバードで、学生たちが招いた女性参政権運動家の講演をキャンパスの外で聞き入りました。

女性の社会進出という背景を持ったコミックの要素は、本作にも色濃く反映されています。

その背景を、まずはダイアナが外界に初めて触れる無垢なリアクションと、その周囲の人々のオタオタという、異文化ギャップコメディ演出で表現してみせます。

さらに、軍事会議にダイアナが紛れ込んで揉め事となる場面では、現代的な視点から女性たちが強いられる不当な扱いに、文字通り異議を申し立てて、観客の溜飲を下げてくれます。

一つの時代背景の要素で、複数のエピソードを紡ぎ出す脚本、演出の妙は、目を見張るものがあります。

そして、なんといっても本作最大の魅力と言えば、ワンダーウーマンを演じたガル・ガドットのビジュアルと肉体、キャラクターが放つカッコ良さでしょう。

『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』でスクリーンデビューを飾ったワンダーウーマン、DCヒーローの2大巨頭であるバットマン、スーパーマンを上回る存在感を見せ、大きな話題を呼びました。

男女問わず、観客がガル・ガドット=ワンダーウーマンを支持したのは、その美しさ、逞しさという外的要因に加えて、不当な現実を強いられる女性、それ以外の全ての弱者に手を差し伸べ、身を挺して苦難、困難に立ち向かっていきます。

本作では、身体一つで機関銃の群れに突っ込んでいく塹壕戦のシーンが、そのキャラクターを象徴するもので、テーマ曲がかかる演出にテンションは最高潮に上がります。

外界から閉ざされた女性だけの島で育った最強の女戦士、いかにもコミック的な設定を持つキャラクターを成立できたのは、ガル・ガドット本人が軍隊経験を持ち、ネイティブではなく独特な英語の発音をしていることで、どこか浮世離れした印象を与えたことも要因でしょう。

新たな女性ヒーローのアイコンとなったワンダーウーマン、今後のDCEUシリーズでも主役として活躍していくことは間違いありません。


(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

『ワンダーウーマン』を観た人へのオススメ作品

参考映像:『モンスター』(2003)

ガル・ガドットは「ワイルド・スピード」シリーズで映画デビューし、その後も同シリーズ数作に出演したことでブレイクします。

彼女の美貌とスタイルの良さは、「ワイルド・スピード」シリーズでも随所に見ることができ、加えてドライビングを始めとするアクションも披露しています。

監督を務めたパディ・ジェンキンスは本作が監督2作目、デビュー作はシャーリーズ・セロン主演の『モンスター』(2003)で、実在した元娼婦の連続殺人犯の生涯を描きました。

現代的な女性の目線を的確に映画に取り入れているジェンキンスは、2020年公開予定の『ワンダーウーマン』続編も監督することが決定しています。

また共演のクリス・パインは、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のJ・J・エイブラムスや「ワイルド・スピード」シリーズのジャスティン・リンが監督を務める、2009年「スター・トレック」シリーズの第11作目から第13作まで、3作の主演を務めています。

次回の「最強アメコミ番付評」は…

(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC AND RATPAC ENTERTAINMENT, LLC

いかがでしたか。

次回の第23回戦は、DCヒーローが勢ぞろいしたシリーズ第5作、『ジャスティス・リーグ』を考察していきます。

お楽しみに!

【連載コラム】『最強アメコミ番付評』記事一覧はこちら

関連記事

連載コラム

『Her/世界でひとつの彼女』あらすじと考察 。なぜ彼らは孤独なのか|偏愛洋画劇場11

連載コラム「偏愛洋画劇場」第11幕 テクノロジーが発達した現代、社会には欠かすことのできない存在、人工知能。私たちをサポートしてくれる実態のない“彼ら”と、肉体のある人間同士のような関係を作ることはで …

連載コラム

『ブラックパンサー』感想と考察。黒人ヒーローはワカンダから差別の歴史は塗り替える|最強アメコミ番付評7

連載コラム「最強アメコミ番付評」第7回戦 こんにちは!野洲川亮です。 2018年に公開され、全米興行収入歴代第3位、世界歴代第9位と異例の大ヒットを記録した『ブラックパンサー』。 今回は、作品から垣間 …

連載コラム

映画『バッド・ヘアー』ネタバレあらすじと感想。ラスト結末の解説も【ホラー”呪いの髪”の奇妙な恐怖】|未体験ゾーンの映画たち2021見破録15

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2021見破録」第15回 世界各国から発掘された映画、特にホラー映画が次々登場する「未体験ゾーンの映画たち2021見破録」。第15回で紹介するのは、呪われた&#822 …

連載コラム

【ヤバイが面白いB級映画】2020年ランキングベスト5:隠れた名作からトンデモホラーまで紹介《シネマダイバー:増田健選》

2020年の映画おすすめランキングベスト5 選者:シネマダイバー増田健 格差社会をテーマにした映画、『パラサイト 半地下の家族』と『ジョーカー』が世界を席巻した2019年。その一年後の2020年がこん …

連載コラム

映画『17歳の瞳に映る世界』あらすじ感想と評価解説。エリザヒットマン監督の“大人になる旅路”の少女を追ったロードムービー|映画という星空を知るひとよ71

連載コラム『映画という星空を知るひとよ』第71回 ベルリン国際映画祭銀熊賞、サンダンス映画祭2020ネオリアリズム賞を獲得した『17歳の瞳に映る世界』が、2021年7月16日(金)より、TOHOシネマ …

U-NEXT
【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学