Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2022/11/24
Update

『アドレノクロム』ネタバレ結末あらすじと感想評価解説。トレバー・シムズ監督主演をするサイケデリックドラッグムービー|B級映画 ザ・虎の穴ロードショー84

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第84回

深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞することも可能です。

そんな気になるB級映画のお宝掘り出し物を、Cinemarcheのシネマダイバーがご紹介する「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」。第84回はアメリカの都市伝説を題材としたサイケデリックな映画『アドレノクロム』(2022)。

アメリカで広がり続ける都市伝説を題材とした本作は、内容に沿うかのような独特な映像表現によって強烈なインパクトが残る作品になっていました。

今回は狂気と幻覚が入り乱れる映画『アドレノクロム』をネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。

【連載コラム】「B級映画ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら

スポンサーリンク

映画『アドレノクロム』の作品情報


(C)2017 True Auteur Pictures Inc.

【原題】
Adrenochrome

【日本配信】
2022年7月29日(アメリカ映画)

【監督】
トレバー・シムズ

【キャスト】
トレバー・シムズ、トム・サイズモア、ラリー・ビショップ、アダム・ハス、ジャッキー・ホランド

【作品概要】
主人公のウォーカーを演じたトレバー・シムズが監督を務め、カルト的話題となったドラッグムービー。

プライベート・ライアン』(1998)や『ブラックホーク・ダウン』(2002)に出演し高い評価を得たトム・サイズモアが共演として本作に出演しました。

映画『アドレノクロム』のあらすじとネタバレ


(C)2017 True Auteur Pictures Inc.

カリフォルニア州ベニス。

帰還兵のウォーカーは少女ペニーに誘われるがままに着いて行ったカフェで「メスカリン」を飲まされ意識混濁に陥ります。

旅と称して海の中に飛び込んだ男に導かれ海に飛び込んだウエストは、人魚の様なヒレを持つ女性を襲う集団を蹴散らし、彼女を救出。

数時間後、ビーチで性行為に励むカップルが覆面をした男たちに襲われます。

覆面の男たちはカップルの男を刺殺すると副腎を取り出し容器に入れました。

その様子を目撃したウォーカーは覆面の男たちを攻撃し警察に通報しますが、「メスカリン」を飲まされていたウォーカーの証言は信用されず、逆に勾留されてしまいます。

翌日、ペニーに仕事を頼まれたウォーカーはベニスの麻薬組織のリーダーであるチャーリーから請け負った運び屋の仕事をします。

帰り道、少女ボニーがジャンキーに襲われている様子を目撃したウォーカーはボニーを救出。

一方、海岸では覆面の男たちがサーフィン中の男を刺殺していました。

夜、ウォーカーはボニーと再び「メスカリン」を服用します。

翌日、チャーリーのアジトを訪れたウォーカーはペニーたちを連れての運び仕事を依頼され、車で出掛けている間に警察に呼び止められます。

運んでいる品物を見られたことで警察に連行されるウォーカーは、刑事マーロウにトイレに連れ込まれ銃を突きつけられます。

マーロウはウォーカーに麻薬をベニスに流すチャーリーたちを殺すように命じるとウォーカーを解放。

一方で妙な幻覚を見始めたチャーリーはボニーを呼び出します。

街ではアドレナリンを分泌する人間の臓器「副腎」を使ったドラッグが流行り始めており、覆面の集団の殺戮も数を増していました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『アドレノクロム』のネタバレ・結末の記載がございます。『アドレノクロム』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

スポンサーリンク


(C)2017 True Auteur Pictures Inc.

ラリーの経営するクラブで暴れたウォーカーはラリーに殺害されそうになりますが、ウォーカーの素質を見込んだラリーは彼を暴力仕事に使います。

部下のブロックとペニーとボニーを連れて砂漠に来たチャーリーは、「イルミナティ」や「ピラミッド」と言うワードを呟きながら意味不明な行動を繰り返しており、呆れたボニーはチャーリーの金を奪いウォーカーのもとへと行きました。

戦地の米軍兵でありウォーカーの元上司ビッグ・リッチは捕虜を殺害しその副腎を食べていました。

ビッグ・リッチは集めた副腎がサーフギャングのチャーリーに取られていることに苛立つと、マーロウに連絡をとり事態をおさめることを命じますが、マーロウは既にウォーカーを動かしていることをビッグ・リッチに伝えました。

ベニスの街を歩くウォーカーとボニーは覆面の集団に襲われ、ウォーカーは刺され、ボニーは攫われてしまいます。

幻覚の中でウォーカーは、かつて戦地で殺した相手を言われるがままに食べたことを思い出していました。

ボニーを攫ったのは金を取り戻そうとするチャーリーであり、ウォーカーは奪った金でラリーからマシンガンを購入。

バスケス・ロックスがチャーリーの居場所だと知ったウォーカーは、チャーリーの部下である覆面の男たちを次々と射殺。

ボニーを人質に取るチャーリーとの揉み合いの末にウォーカーはチャーリーを殺害すると、ペニーからチャーリーが隠している金のありかを聞き出し、ボニーと共にベニスを去っていきました。

しかし、それら全ては入院中のウォーカーの妄想であり、頭を深い傷を負い病院内で介護されるウォーカーは、いつものように幻覚を見ていました。

スポンサーリンク

映画『アドレノクロム』の感想と評価


(C)2017 True Auteur Pictures Inc.

幻覚と活劇が入り乱れる作品

カリフォルニアのベニスビーチを訪れた帰還兵のウォーカーが「メスカリン」を飲まされる物語から始まる本作。

日本では麻薬にも指定されている「メスカリン」には、人の認知する色彩に対して強い幻覚作用があり、服用した人間は視覚的幻覚を伴う「トリップ」と呼ばれる状態に陥ります。

本作はそんな「トリップ」状態を映像で表現したような作品であり、カラフル過ぎる映像と支離滅裂な物語が繰り広げられています。

突然人魚が現れたにも拘らず物語は何事もなかったかのように進み、主人公の大活劇もあっさりとひっくり返される本作は、何がウォーカーの見ている「幻覚」で、何がこの物語の「真実」なのかも全く分からない、まさにサイケデリックな作品になっていました。

日本にも影響し始める陰謀論


(C)2017 True Auteur Pictures Inc.

作中には「メスカリン」を遥かに越える作用を持つ物質として人の副腎で生成される「アドレノクロム」が登場します。

「アドレノクロム」そのものは現実に存在する物質ではありますが、「Qアノン」と呼ばれる陰謀論の支持層によって若返りや他のドラッグを遥かに越える向精神薬としての効果が謳われ始めました。

効果を高めるために生きた人間を誘拐し、副腎を抜き取る組織の存在も主張され始め、アメリカではメジャーな陰謀論のひとつとなった「アドレノクロム」。

この陰謀論は海を渡り日本にも影響を与え始めており、東京ディズニーランドや富士フィルムが「アドレノクロム」工場を所持しているとする陰謀論もSNS上で拡散されています。

SNSの普及によってウイルス以上の驚異的な速度で出回る陰謀論は、現代社会を生きる上での避けることができないものですが、同時に文化のひとつであるとも言えます。

まとめ


(C)2017 True Auteur Pictures Inc.

トレバー・シムズ監督が日本での公開に向けて「気が狂った観客が突然席を立って人を殺し始めないことを心の底から願う」とコメントした本作。

最初から最後まで、とことんサイケデリックでジャンキーな映像作りに拘った『アドレノクロム』は、怪作であり奇作に仕上がっています。

万人受けする映画とは決して言えませんが、見たことのないような作品を観てみたい人は一度は鑑賞して欲しいと思える不思議な魅力を持った作品です。

【連載コラム】「B級映画ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら

配信状況などはU-NEXT公式サイトをご確認ください。


関連記事

連載コラム

映画『スキンウォーカー|寄生体XXX』あらすじネタバレと感想。最後までラストの意味を掘り下げた監督ジャスティン・マクコーネルの秀作とは⁈|未体験ゾーンの映画たち2020見破録38

連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2020見破録」第38回 「未体験ゾーンの映画たち2020見破録」の第38回で紹介するのは、恐るべき生態を持つ、謎の怪物を描いたSFスリラー映画『スキンウォーカー(寄 …

連載コラム

映画『ヘルボーイ(2019)』あらすじと感想レビュー評価。マイク・ミニョーラとニール・マーシャルが召喚するヒーローとは⁈|シニンは映画に生かされて19

連載コラム『シニンは映画に生かされて』第19回 はじめましての方は、はじめまして。河合のびです。 今日も今日とて、映画に生かされているシニンです。 第19回にてご紹介させていただくのは、ニール・マーシ …

連載コラム

韓国映画『野球少女』感想評価レビュー。イジュヨンは梨泰院クラスに続き“性別”の隔たりと向き合う|シニンは映画に生かされて27

連載コラム『シニンは映画に生かされて』第27回 2021年3月5日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷他にて全国公開予定の映画『野球少女』。 大ヒット韓国ドラマ『梨泰院クラス』(2020)で日本でも一躍 …

連載コラム

『フィンセント・ファン・ゴッホ:新たなる視点』感想と評価。画家の知られざる人生とは|映画と美流百科14

連載コラム「映画と美流百科」第14回 こんにちは、篠原です。 毎回、新作映画を取り上げ、その映画で扱われているカルチャーも紹介している本コラムですが、第1回目で取り上げたのが芸術家の人生と作品を約90 …

連載コラム

劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス|ネタバレ感想と考察評価。映画版に結集したウルトラ戦士が闇に支配された世界を救う|邦画特撮大全72

連載コラム「邦画特撮大全」第72章 今回の邦画特撮大全は『ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』(2020)を紹介します。 本作『ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』(2020) …

U-NEXT
タキザワレオの映画ぶった切り評伝『2000年の狂人』
山田あゆみの『あしたも映画日和』
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
【連載コラム】光の国からシンは来る?
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【KREVAインタビュー】映画『461個のおべんとう』井ノ原快彦の“自然体”の意味と歌詞を紡ぎ続ける“漁師”の話
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学