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Entry 2021/12/31
Update

レッドクリフ パート2|ネタバレあらすじ感想と結末ラスト評価。金城武が諸葛孔明を演じる三国志実写化作品

  • Writer :
  • 秋國まゆ

『三国志演義』を完全映画化した歴史スペクタクル・アクション巨編第2部!

ジョン・ウーが脚本・製作・監督を務めた、2009年製作のアメリカ・中国・日本・台湾・韓国合作の歴史スペクタクル・アクション映画『レッドクリフ PartⅡ-未来への最終決戦-』。

曹操の天下統一を阻むため、同盟を結んだ蜀の劉備軍と呉の孫権軍による連合軍5万は、80万の大軍を擁する曹操軍と中国・長江にある赤壁で激闘を繰り広げていく物語とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。

「赤壁の戦い」で決着をつける両軍の戦いを描いた、歴史スペクタクル・アクション巨編第2部『レッドクリフ PartⅡ-未来への最終決戦-』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。

映画『レッドクリフ PartⅡ-未来への最終決戦-』の作品情報


(C)2009, Three Kingdoms, Limited. All rights reserved.

【公開】
2009年(アメリカ・中国・日本・台湾・韓国合作映画)

【脚本】
ジョン・ウー、チャン・カン、コー・ジェン、シン・ハーユ

【監督】
ジョン・ウー

【キャスト】
トニー・レオン、金城武、チャン・フォンイー、チャン・チェン、ヴィッキー・チャオ、フー・ジュン、中村獅童、リン・チーリン、ユウ・ヨン、ホウ・ヨン、トン・ダーウェイ、ソン・ジア、ソン・ジア、ザン・ジンシェン、チャン・サン

【作品概要】
『ミッション:インポッシブル2』(2000)のジョン・ウーが脚本・製作・監督を務めたアメリカ・中国・日本・台湾・韓国合作の歴史スペクタクル・アクション。前作『レッドクリフ PartⅠ』の続編であり、『三国志演義』を完全映画化した作品です。

前作に引き続き、『非情城市』(1989)や『レイダース 欧州攻略』(2018)などに出演しているトニー・レオンが主演を務めるほか、『グリーン・デスティニー』(2000)のチャン・チェンや、『ピンポン』(2002)の中村獅童らアジア映画のトップスターが多数出演しています。

映画『レッドクリフ PartⅡ-未来への最終決戦-』のあらすじとネタバレ


(C)2009, Three Kingdoms, Limited. All rights reserved.

今から1800年前、世はまさに、乱世の時を迎えていました。天下統一の野望に燃える帝国の支配者・魏の曹操は、80万の大軍勢を率いて蜀の劉備と呉の孫権を討伐せんと動き出しました。

追い詰められた劉備率いる劉備軍と、孫権率いる孫権軍は敵国ながら同盟を結び、共に曹操軍に立ち向かおうと誓うのでした。

同盟を結んだ劉備軍と孫権軍による連合軍を率いるのは、若き君主・孫権の絶大なる信頼を得る孫権軍の大都督であり最高司令官・周瑜と、人望を厚い劉備に仕える天才軍師・諸葛亮孔明です。

さらには、劉備軍の勇猛果敢な武将たちである関羽と張飛、趙雲。勇気と結束を武器に、連合軍は中国・長江にある赤壁を拠点とし、一丸となって戦うのです。

そんな連合軍に対し、曹操は圧倒的な戦力をもって襲い掛かります。しかし、周瑜率いる連合軍は、天才軍師・孔明の奇策「八卦の陣」により、見事曹操軍を打ち破りました。

思わぬ大敗を喫した曹操は復讐に燃え、連合軍の拠点である赤壁の対岸に、2,000隻もの戦艦と共に大陣営を構えました。

逆襲の機会を窺う曹操の野望の裏に秘められた、もう1つの企み。それは、絶世の美女として知られる周瑜の妻・小喬を我がものにすることです。

一方、80万対5万という圧倒的な戦力差にも関わらず、連合軍の周瑜と孔明は、曹操軍を迎え撃つ覚悟を決めていました。また、孫権の妹・尚香は、1人密かに敵陣に乗り込み、ある計画を実行に移そうとしていました。

それぞれの思惑が交錯する中、三国志最大の激闘「赤壁の戦い」の火蓋が今、切られようとしています。

曹操軍が相次ぐ出兵で疲弊した兵の英気を養うため、しっかり休息をとった上で蹴鞠をして体を鍛え上げていく中、連合軍は曹操が兵法に背いてまで戦うことはないだろうと踏み、敵の戦法を先読みし虚を衝く作戦を練っていました。

身体能力が高く蹴鞠が格段に上手かった曹操軍の兵士・孫叔財は、曹操にその功績を讃えられ、千人部隊の長に任命されました。

孫叔財は敵軍の君主の妹とは知らず、男装し曹操軍の兵として潜り込んだ尚香と出会い、友情を育んでいきます。

そんな中、曹操軍にはある問題が起きていました。相次ぐ出兵で疲弊したせいで免疫力が落ち、且つ敵地である長江の風土に馴染めず、100人以上の曹操軍の兵が疫病を患い死んでしまったのです。

曹操軍内で疫病が蔓延していることを、孔明が飼っている1羽の鳩につけられた尚香からの便りで知った連合軍。「これを機に一気に攻め込もう」と言う張飛に対し「これは君子の戦いだから病を利用なんかしない」と、周瑜は反対しました。

しかし曹操はこの疫病を利用し、疫病で死んだ自軍の兵士をわざと火葬せず、その遺体を船に乗せて連合軍側に送りつけたのです。

疫病で死んだ曹操軍の兵は、連合軍が火葬しましたが、そうとは知らず死体に触れてしまった連合軍の兵は隔離し、村人は感染してしまいました。

連合軍の団結を乱すためとはいえ、自軍の兵に対してあまりにも酷い仕打ちをする曹操に、周瑜たちは憤りますが、戦意喪失してしまった劉備は自国の兵を守るために撤退すると決断。

これにより、蜀と呉の間に亀裂が生じてしまいます。自軍の兵と劉備が夏口まで撤退する中、孔明は1人、曹操軍との約束を守り通すため、赤壁に残ることにしました。

図らずも連合軍の団結を乱すことが出来た曹操の元へ、曹操軍の大将・曹洪が現れ、連合軍側にも疫病が蔓延したことと、劉備が戦場から去ったことを知らせます。これに気を良くした曹操は、元荊州の将軍・蔡瑁と張允が指揮を執る水軍の訓練を見に行きました。

尚香が戦艦に潜り込んでいるとは知らない曹操は、そこにいた周瑜の幼友達である蒋幹に、周瑜に降伏を勧めるよう命じます。

その頃孫権軍は、戦う上で必要な矢が不足していました。劉備軍が撤退する際、4万本の矢を持ち去っていったからです。そこで孔明は、食糧が尽きる10日後までに、10万本以上の矢を調達しに行くよう、周瑜から命じられました。

蔣幹は周瑜の元を訪れ、昔話に花を咲かせつつ、曹操軍への降伏を勧めるタイミングを窺っていました。

ところが、蔣幹が口にするよりも先に、周瑜の口からその話が出てきたのです。周瑜は突然訪問した蔣幹を疑い、劉備軍が去ったこの機を逃すまいとした曹操に、降伏するよう命じられたのではないかと推測しました。

その周瑜の読みは見事的中。周瑜に看破されてしまった蔣幹は焦りましたが、周瑜と彼に報告しに来た孫権軍の兵士の会話を盗み聞くことが出来ました。

「食糧と矢の不足か、孔明が出来なければ彼を斬れ」「敵側の“友人”に頼んでみては?」

「彼らには別の仕事がある」「蔡瑁と張允は、“曹操に手を出しかねている”と」

「案ずるな、2人からの手紙だ」「(周瑜から手渡された手紙を読んで)安堵しました」………周瑜邸の柱の影に隠れ盗み聞きをする蔣幹に、小喬が声をかけます。

それで柱の影に隠れていたのが周瑜にバレてしまった蔣幹ですが、気を取り直して周瑜に、「曹操は君の奥方が目当てで、今回兵を出したとか」と言いました。

その日の夜中。蔣幹は周瑜が酔いつぶれている隙をつき、彼の袖口に隠された2人からの手紙を盗み見ます。

「我ら2人はやむを得ず、曹操に降って機会を待っているのです」「逆賊・曹操の首を閣下に献上いたします。追ってご報告を」

2人からの手紙を音読してしまった蔣幹は、実は酔いつぶれたフリをしていた周瑜に全く気づきもしませんでした。


(C)2009, Three Kingdoms, Limited. All rights reserved.

孫権軍の食糧が尽きるまで残り7日。濃霧が辺り一面に立ち込める中、孔明は総参謀・魯粛を連れ、20艘の船で対岸を渡り、曹操軍側へ向かいました。

当然、太鼓の音を鳴り響かせて近づく孔明たちの船は、すぐに曹操軍の水軍にバレてしまいましたが、これも孔明の想定の範囲内。船を横向きに並べ、一斉に矢を放ちます。

これに対し、曹操軍はそれ以上の矢をもって迎撃。孔明たちの船に設置された案山子にどんどん矢が突き刺さっていきます。

「“敵側の友人に矢を都合させる”と聞いた」と言う蔣幹の報告を聞いた曹操は、たった20艘で敵陣営に近づいた孫権軍の思惑に気づきました。全ては孫権軍の矢の補充のために考えた、孔明と周瑜の奇策だったのです。

孔明は一晩かけて長江の気候を調べ、濃霧の兆しが出るのを待っていました。孔明はまだ矢が刺さっていない面に向けるため、船を反転。太鼓の音で、蔡瑁たちに船の位置を知らせます。

曹操が蔡瑁たちの裏切りに気づいた時には、もう既に敵軍の矢で補充した孫権軍の20艘の船が、赤壁へ凱旋してしまっていました。

濃霧を口実に曹操を言いくるめようとした蔡瑁たちと、裏切った彼らを問い詰めていた曹操の耳に、孫権軍の船が1艘漂っていると報告が入ります。

蔡瑁たちが裏切った挙句、敵に自軍の矢を10万本以上贈ったことに気づいた曹操は激怒し、すぐさま衛兵を呼び、2人を即刻斬首するよう命じました。

そこで待ったをかけたのは、曹操軍の大将・曹洪です。蔡瑁たちを殺してしまえば、水上戦に不得手な曹操軍の誰が、水軍を率いるのかと。

曹操が待ったをかけた時には、既に蔡瑁たちが斬首された後でした。赤壁に凱旋した孔明が、孫権軍の兵に開発した矢を連射できる「連弩」を見せていると、矢を数えていた孫権軍の老将軍・黄蓋の手が止まります。

赤壁へ凱旋する孫権軍の船から離れてしまった、400本の矢が刺さった1艘の船が、図らずも曹操軍に回収されてしまったからです。

孫権軍が補充した曹操軍の矢の数は、全部で9万9,600本。孔明が軍法に則り斬首されてしまうかと思いきや、そこに遅れて600本の矢を担いだ孫権軍の兵が登場。

これで孔明は首の皮一枚繋がりました。孔明に「蔡瑁と張允を始末する」と約束した周瑜が、今度は斬首の危機に陥りましたが、図らずも曹操が衛兵に斬首させたことで、周瑜も首の皮一枚繋がりました。

以下、『レッドクリフ PartⅡ-未来への最終決戦-』ネタバレ・結末の記載がございます。『レッドクリフ PartⅡ-未来への最終決戦-』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2009, Three Kingdoms, Limited. All rights reserved.

内通者を始末した曹操は、小喬の代わりとして寵愛する彼の愛姫・驪姫が淹れた茶を、手柄をあげた蔣幹に与え、自分まで愚か者にされた罰として彼を毒殺しました。

「2日のうちに長江を渡り、赤壁を奪え!」………そう腹心たちに命じた曹操。それは瞬く間に曹操軍の全体に広まり、曹操軍は全力で赤壁を奪おうと殺気立ちます。

しかし、そんな曹操軍に思わぬ向かい風が。曹操の医師・華佗によれば、曹操軍の兵が患った疫病が急速に広まり、拡大した感染を抑えるにはあと20日必要でした。

曹操は疫病で苦しむ曹操軍の若き兵士・満囤に、病弱な13歳の息子・曹沖と重ね合わせながら、華佗や曹洪たち曹操軍の兵にこう言いました。

「兵を挙げた時、私は誓いを立てた。“群雄を一掃し、天下を平定する”と」「赤壁を奪って、呉を攻め落とす」「そして、赤壁の土を持って故郷に凱旋し、待ちわびている家族に、“勝利した”と吉報を伝える」

「だからお前たちも耐えるのだ、私も共に耐える。お前たちが生きて、故郷の土を踏めるように」

曹操軍が2日のうちに長江を渡ると知った尚香は、孔明の鳩にそのことを記した書状を託して放ちますが、曹操軍の兵に間者だということがバレてしまいました。

追い詰められた尚香を救ったのは、孫叔財でした。孫叔財と彼が率いる千人部隊が助けてくれたおかげで、尚香は命からがら曹操軍の陣営から脱出。

その日の夜。赤壁へ無事帰還した尚香は、さらしの上に巻き付けていた長い布で書きとめておいた、曹操軍の陣形を孔明たちに見せます。

「曹操のいる曹操軍の本陣は、曹操軍の精鋭部隊が守ってる」「主力軍は東西両面に配置されているけど、裏山は防備が手薄」

「兵の3割は船上に駐屯し、大型船の背後に高速船、その間を小型船が往復してる」「船の安定と、兵の船酔い防止のために、船と船は繋がっている」

危険を承知で曹操軍に潜入してくれた尚香を、孫権は羽織を着せながら抱き締め、以前怒ってしまったことを詫びました。

一方曹操は、孫権軍が自軍との兵力差を補うため、兵法の常識である火攻めをしてくると読んでいました。しかし、生憎この日は、孫権軍にとっては逆風となる、西北へ風が吹いているため、火攻めは有効ではありませんでした。

そこで曹操は、自軍にとって追い風となる風を利用し、火攻めを行うことを決めます。「船に硫黄をつめ、明晩、火を放ちながら赤壁へ攻め込む」

翌日。孫権軍も進軍の位置にいる曹操軍が、今晩攻め入ってくることを読んでいました。曹操が読んだ通り、孫権軍は火攻めをしようと考えますが、孔明・孫権・周瑜は同時に風向きが西北であることに気づきます。

曹操軍こそ、火攻めをしてくるのではないかと周瑜は読みました。この時、孔明は空を観察し、風向きが変わる兆しが出ていることに気づきます。

「私の畑仕事の体験では、こういう現象が起きると、長江沿岸に陸湖風(西北に向けて吹く暖かな東南の風のこと)が吹く」

「それを知っていた蔡瑁は曹操に殺された」「風の変わり目は今夜か明日」

孔明の話を聞いていた周瑜は、孫権たちに「天候を掌握した者が、戦いを制す」と言いました。

周瑜の言葉を聞いた孫権は、彼らに「敵の進撃を遅らせれば、勝機が生まれる」と言いました。その話を、小喬が物陰に隠れ、聞いていたとは気づかずに………。

小喬がいなくなったことを侍女から聞いて知った周瑜は、彼女が残していった手紙を読みました。

「あなたがこの手紙を読まれる頃、私は曹操の陣を目指しています」「あなたの子を身籠って3ヶ月。あなたのお気を乱さぬよう、このことを黙っていました」

「呉の子供と共に育つように、必ずあなたの子“平安”と共に戻ります」

一方その頃、劉備軍の軍営地・夏口では、劉備・関羽・張飛・趙雲が、今日は冬至だからと言って手製の団子を作っていました。ただ関羽たち劉備軍の猛将は、共に戦った孫権軍を残して撤退してしまったことを悔やんでいました。

「長兄(劉備のこと)に反対したことはないが、今度だけは別だ。今の世の中、善悪のけじめはハッキリつけるべきだ」と言う張飛。

「私は命など惜しくありません」と言う趙雲は槍を携え、張飛と共に赤壁へ。それを見た関羽も槍を携え、劉備に何も言わず、赤壁へと向かいました。

1人残った劉備は、「周瑜殿、あなた側の計画が実を結ぶように、我々も全力で戦う」と誓います。劉備軍が夏口へ撤退したのは「敵を騙すにはまず味方から」という、周瑜が立てた戦略的撤退だったのです。

尚香も同じ団子を作り、出陣前の孫権軍に振舞いました。小喬が敵陣に行ったことで気に病んでいる周瑜の器に、尚香や甘興たち孫権軍の兵が1つずつ移し、彼を元気づけようとします。


(C)2009, Three Kingdoms, Limited. All rights reserved.

その日の夜、小喬は曹操の元を訪れました。風向きが変わる真夜中の丑の時まで、曹操の気を引き、曹操軍の進軍を遅らせるために………。

曹操は恋焦がれていた小喬が、幼い頃父に同行した小喬の生まれ故郷の里で、蝶と戯れていた時から心を奪われていたことを告白します。

曹操は初め、小喬のことを疑いましたが、小喬が自死も辞さない覚悟で、呉の民のために撤退を願い出たことを知って信じることにしました。

孫権軍と孔明、小喬が待ち焦がれた丑の刻。小喬が曹操の気を引いてくれたおかげで、孫権軍に有利となる東南に吹く風に変わりました。

「船10艘が敵船団に突撃し、曹操軍の正面を焼き崩す」「水軍の崩れに乗じて、趙雲が東から本陣を攻撃する」「劉備・関羽・張飛は、主力を率いて敵の西門を襲う」………周瑜が本作戦を告げている間に、劉備たちが赤壁へ戻り、各自決められた場所へ配置につきました。

周瑜たち夫婦の企みに気づいた曹操は、何日かぶりの頭痛に襲われますが、華佗が曹操軍の陣営地から去った後でした。


(C)2009, Three Kingdoms, Limited. All rights reserved.

今、連合軍と曹操軍の命運を決める戦い、「赤壁の戦い」が幕を開けました。まずは、船前方に積んだ魚油入りの藁の束に火をつけた、黄蓋率いる船10艘が敵船団に突撃。

曹操軍の兵が慌てて繋げていた船を切り離すも、攻撃を受けた船から次々と燃え広がっていき、先頭にいた船は全滅。なおも火の勢いは衰えることなく、後方の船を燃やしていきます。

予定通り、曹操軍の水軍の崩れに乗じて、趙雲たちが敵本陣と西門目掛けて突撃を開始。

これに対し、曹操軍は曹洪の合図で火をつけた石球を投下。さらに火を使って行く手を阻み、特攻してくる連合軍を迎撃します。

甘興は周瑜の命である、「大門を攻め落とす」ため、体中に矢が突き刺さっている状態で大門へ行き、自死する覚悟で手製爆弾を投下。曹操軍の大門を攻め落としました。

これに乗じて、連合軍は敵本陣へ総攻撃を開始。夜が明けた頃、さらに連合軍は連弩を使って、特攻してくる曹操軍の騎馬隊目掛けて一斉射撃しました。

連合軍の火攻めと周瑜たちの奇策により、曹操軍の水軍は全滅。さらに、主力軍がいる東西南の門を全て突破され、曹操は追い詰められてしまいました。

絶え間なく続く連合軍と曹操軍の攻防戦。先行する趙雲たち劉備軍と、曹操と彼の精鋭部隊がいる本陣で合流した周瑜たち孫権軍は、戦死した甘興の死を無駄にしないために、打倒曹操と小喬の救出へ向かいます。

激闘の最中、尚香は孫叔財と敵として相まみえましたが、すぐに曹操軍の兵が被っている帽子を頭につけ、男装時の名前「デブ助」だと教えました。

尚香が友であるデブ助だったと、孫叔財が気づいて笑いかけた瞬間、彼の体にいくつもの矢が突き刺さります。尚香と孫叔財が再会してすぐ、彼の死という形で別れてしまいました。

隠れている小喬に、曹操軍の敗因は小喬だと憤る曹操の腹心・夏侯雋の凶刃がふりかかろうとしている中、周瑜は曹洪に守られた曹操を発見。

周瑜に刃を突き立てられ、孫権に矢を向けられ、趙雲・関羽・劉備・黄蓋に囲まれてもなお、余裕綽々の曹操が「剣を捨てろ」と周瑜に命じた瞬間。

周瑜は頭上の櫓に、夏侯雋に剣先を突き立てられた小喬を目にします。先の戦いで周瑜たちに煮え湯を飲まされたのもあり、夏侯雋の連合軍に対する怒りは強いです。

「小喬を突き落とせ!」と曹操が命じた瞬間、槍を使って上に上がり夏侯雋の背後についていた趙雲が、逆に夏侯雋を突き落とします。

趙雲と周瑜の連携プレイで小喬を無事奪還。転落死した夏侯雋に曹操が気を取られている隙をつき、孫権が矢を放ち、曹操の髪紐を吹っ飛ばします。

遅れて張飛が合流した後、周瑜は「お前の地に去れ。この戦いに勝者はいない」と曹操に告げ、小喬たちと共に赤壁へ撤収していきました。連合軍が立ち去る中、曹操・曹洪・生き残った曹操軍の兵は、数多の両軍の兵の屍を見ながら歩いていました。

後日。赤壁へ無事帰還した周瑜と小喬は、難産で生まれた子馬・萌萌を、孔明へ贈りました。

周瑜と孔明は、最後にこんな言葉を交わします。「“国は分かれ、また合する”。劉備殿は人の下に付かぬ。次に相対するのは戦場だ」

「未来は誰も読めません。この先、英雄がいくら出ようとも、私が恐れるのはあなた(周瑜)だ」「それは私もだ」

「この同盟で、私は真の友を得た。私の心に永遠に刻まれる宝だ」「私も忘れません」

そう言って互いの故郷へ戻った2人の姿を最後に、物語は幕を閉じました。

映画『レッドクリフ PartⅡ-未来への最終決戦-』の感想と評価


(C)2009, Three Kingdoms, Limited. All rights reserved.

連合軍の団結力

赤壁の戦いの開戦前、連合軍の団結を乱すためにした曹操の策略により、戦意喪失した劉備軍が自軍を撤退させてしまったのはとても衝撃的でした。

このまま孫権軍の2万の兵だけで、曹操率いる80万の大軍勢と戦うのかと誰もが思ったその時、周瑜と孔明の奇策で曹操軍の戦力を上手く削いでいったのです。

さらに開戦直前、盟友が来るのを信じて待っていた周瑜の元へ、劉備たちが登場した場面は驚きと喜びで心が震えあがります。劉備軍の撤退は、周瑜が曹操にそう思わせるために味方をも騙した作戦にすぎなかったのです。

何があっても盟友を信じ戦ったからこそ、連合軍は勝利をおさめられたのではないかと考察します。

尚香と孫叔財の敵対関係を超えた友情


(C)2009, Three Kingdoms, Limited. All rights reserved.

連合軍の間者として、赤壁の対岸に構える曹操軍の陣営地に潜入した尚香。彼女の目的は、赤壁の戦いで曹操軍がどう陣形を組むのか、どんな策略で攻撃を仕掛けてくるのか調べるためです。

ですが潜入中、蹴鞠のうまさが功を奏して千人部隊の長となった孫叔財と出会い、尚香は彼と友情を育んでいきます。

あちらこちらで激闘が繰り広げられている戦場で再会した2人の友情は、いくつもの矢で射抜かれてしまった孫叔財の死という形で終わってしまうのでとても悲しいです。

まとめ


(C)2009, Three Kingdoms, Limited. All rights reserved.

天下統一するという野望に燃える曹操率いる大軍勢と、曹操の野望を打ち砕くために手を組んだ劉備軍と孫権軍による連合軍が、長江・赤壁で激闘を繰り広げていく歴史スペクタクルアクション作品でした。

前作『レッドクリフ PartⅠ』(2008)同様、周瑜と孔明という天才軍師コンビの奇策ももちろん素晴らしいですが、尚香と小喬の活躍も見逃さないでほしいです。

元々連合軍の兵士として戦うと自ら名乗り出ていた尚香が、まさか物語の序盤から間者として潜入しているとは驚きですし、彼女が得た情報のおかげで周瑜たちは敵の陣形を知ることができました。

また、曹操が狙う小喬が、敵の進軍を遅らせるため、自ら曹操に会いに行くだなんていう大胆な行動。どちらもいつバレてしまうのかハラハラドキドキさせられます。

そして何といっても、物語の後半に描かれる赤壁の戦いでは、三国志最大の激闘と称されるのも頷けるほどの、両軍の腹の探り合いと火攻めという大迫力で壮絶な闘いばかりでした。

戦う前の両軍の腹の探り合い、天才軍師コンビが魅せる奇策の数々、心躍るアクション場面が描かれた歴史スペクタクル・アクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。





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