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Entry 2021/02/23
Update

香港映画『レイダース 欧州攻略』ネタバレ感想と結末解説のあらすじ。トニーレオンの攻略シリーズ第3弾!

  • Writer :
  • 秋國まゆ

凄腕のエージェントが亡き友のためにCIAを欺くエージェント・アクション

ジングル・マが監督を務める、2018年製作の香港のエージェント・アクション映画であり、トニー・レオン主演による『東京攻略』『ソウル攻略』に続く「攻略」シリーズ第3弾『レイダース 欧州攻略』。

長年のライバルである凄腕のエージェントたちが、「神の右手」と呼ばれる秘密集積回路チップを盗んだ女性から取り戻そうとミラノへ渡りますが、事件の背後には巨大な陰謀が隠されていたというのは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。

困難な仕事もこなす凄腕のエージェントたちが、「神の右手」を盗んだ女性ハッカーを助けたことにより、巨大な陰謀に巻き込まれていく、香港のエージェント・アクション映画『レイダース 欧州攻略』のネタバレあらすじや作品情報をご紹介いたします。

映画『レイダース 欧州攻略』の作品情報


(C)2018 Block 2 Pictures Inc. All Rights Reserved.

【公開】
2019年(香港映画)

【脚本】
シャオ・ペン

【監督】
ジングル・マ

【キャスト】
トニー・レオン、クリス・ウー、ドゥ・ジュアン、ジージャー・ヤーニン、ジョージ・ラム、ティファニー・タン

【作品概要】
『ムーラン』(2009)や、『東京攻略』(2001)『ソウル攻略』(2004)の「攻略」シリーズ などを手掛けたジングル・マが監督を務める、香港のエージェント・アクション作品です。

そして、『のむコレ3』で2019年11月15日から上映された作品でもあります。

「攻略」シリーズや「レッドクリフ」シリーズ(2008・2009)、『モンスター・ハント 王の末裔(2020)』などに出演するトニー・レオンが主演を務めています。

トニー・レオンの他に、『バウンティ・ハンターズ』(2017)のティファニー・タンや、人気KPOPグループ『EXO』の元メンバーであるクリス・ウーら豪華キャスト陣が出演しました。

映画『レイダース 欧州攻略』のあらすじとネタバレ


(C)2018 Block 2 Pictures Inc. All Rights Reserved.

2006年12月24日、武術を嗜む天才ハッカーのマーキュリーは、世界平和のために悪人から金を巻き上げ、貧しい人々に金を配る義賊のような男でした。

そのせいで敵が多かったマーキュリーは、武装集団に雪山のロッジで拉致され、拷問を受けていました。

そこへ、全身にライトを搭載した防寒着で雪山を滑る凄腕のエージェント、リー・ザイフォンとその仲間たちが救出しにやって来ます。

ザイフォンの仲間は、銃弾を跳ね返すほどの強靭な肉体を持つ鋼のカラダと、一撃必殺のトウシン、足だけが武器じゃないメガフットと呼ばれた、男2人女1人のメンバーです。

ザイフォンたちの華麗な武術のおかげで、マーキュリーが無事救出され、人質にされていた幼い姉弟の元へ帰ることができました。

マーキュリーはそのお礼に、ザイフォンに自分がデザインした刑務所の図面を渡します。

マーキュリーは、自ら入る監獄を設計したのです。ザイフォンは、中央情報局(CIA)米国本部へその図面を渡します。

ザイフォンはCIA米国本部を立ち去る間際、マーキュリーはMI6やロシア人が会いたがるほどの、あるシステムを開発したとCIA長官に告げました。

マーキュリーは自分が設計した、『CIA 第6監獄』の中でひたすら数式を書きこんでいきます。

それから12年後、マーキュリーは第6監獄の壁にびっしり書き込んだ数式を基に、あるシステムを開発しました。

それは、テロリストや資金洗浄などの不正を見つけ出すことができる秘密集積回路チップが埋め込まれた、人工衛星を使った監視プログラム、通称「神の手」と呼ばれるものでした。

2018年、イタリア・ローマにあるCIAイタリア本部から、何者かによってその「神の手」が盗まれました。

犯人のハッカーはCIAのシステムにハッキングし、わざと停電した隙に神の手を盗み出したのです。

CIAはすぐさま犯人の確保に動き出しましたが、既に犯人は逃げており、パソコンのIPアドレスを辿って特定した居場所には、ニヒルな笑みを浮かべる髑髏マークが表示されているノートパソコンだけしかありません。

しかも、イタリア本部には指紋がないメガネが置かれており、指紋認証で奪われそうだった「神の手」を取り出した大使の手には、代わりにザイフォンの名刺が握られていたのです。

別の場所に移動した犯人は「神の手」を起動させ、イタリア系マフィアのピーター・ローソンという男の口座を調べ、そこから1億ドルを奪います。

「神の手」が盗まれてから18時間後の中国・上海、ザイフォンのライバルである美しき請負人のワン・チャオインの元へ、CIA職員のローソンが訪ねてきました。

ローソンがチャイオンの元を尋ねた理由、それは容疑者候補のザイフォンの居場所を突き止めるためです。

「神の手」を盗んだ犯人扱いされているとは気づかず、ザイフォンは世界各地からチャオインへ愛のメッセージを送り続けます。

CIAに協力することにしたチャオインは、それを利用してザイフォンに連絡を取り、イタリア・ミラノにあるレストランで会わないかと約束を取り付けました。

その事に薄々勘づいていたザイフォンは、仲間に頼んでレストラン前に停めた車の中で監視するローソンたちCIA職員を昏倒し、その隙に店員に扮してチャオインと3年来の再会を果たします。

一方、イタリアのマフィア本部にいたピーターは、1億ドル口座から奪っていった電話の主に怒鳴り散らしていました。

その電話の主である女性ハッカーは、ピーターが差し向けたローマの屈強な古代の殺し屋を返り討ちにします。

そして女性ハッカーは、ピーターに「悪事で稼いだ金でしょう?この私に奪われたこと、光栄に思うことね」と言って嘲笑いました。

さらに女性ハッカーは、電話の最後に「私に協力するなら、1億ドルを返してあげる」と取引を持ち掛けます。

翌日、意識を取り戻したローソンたちCIA職員によって、ザイフォンとチャオインはCIAイタリア本部へ連行されました。

チャオインはもう用済みだと言わんばかりにCIAから解放され、代わりにザイフォンがローソンに、ある依頼を持ち掛けられます。

かつてマーキュリーをCIAへ引き渡し、彼の死を見送ったザイフォンに、ローソンは犯人の女性ハッカーであるゾフィの捜索を命じました。

世界各地に置かれた7つの情報局は、盗まれた「神の手」システムが導入されており、互いに連動しています。

そしてゾフィは、テロリストの資金を追うCIA職員として、偽造カードを使って2年間潜入していました。

そんなゾフィの居場所は、起動した「神の手」によって世界中の700億の場所が表示され、分刻みでそれが200ずつ増えているため、追跡することができません。

犯行声明もないため、ゾフィの目的も分からず困ったCIAは、マーキュリー確保に貢献したザイフォンに依頼することにしたのです。

ザイフォンは現場に残された自分の名刺を見て、これはかつて、マーキュリーの娘に贈ったものだと気づきます。しかし、ザイフォンはCIAからの依頼は断りました。

ロビーにいたチャオインは、ザイフォンたちの会話から彼が依頼を断ったことを知り、自分が彼より優秀な人材だと証明するべく、代わりにこの依頼を引き受けると申し出ます。

この申し出を受け入れたCIAの目的は、ザイフォンが大事に想っているチャオインがやるとなれば、必然的に彼もこの依頼を引き受けることになると踏んだからです。

イタリア本部から出たザイフォンとチャオインは、帰りの車の中でお互いの最新の小道具を披露し合います。

チャオインが持っている色も味もないリップグロスは、最新のナノテクノロジーを使っており、標的とキスするだけで24時間、標的を追跡することができるものです。

これに負けじと対抗したザイフォンが持っている小道具は、最新のナノテクノロジーを搭載した追跡装置となっている、最新作のパッションフォーです。

それを口に吹きかけ、標的と深いキスを交わすことによって、標的の舌に3Dプリンターを施し、36時間追跡できるものでした。

ザイフォンたちは互いの小道具の実用性を確かめるためと言い訳し、熱いキスを交わします。

2人が2回目のキスをしようとしたその瞬間、ザイフォン宛にソフィから連絡が入りました。チャオインはすぐさま、ローソンに逆探知するよう要求します。

ソフィはザイフォンに、「賞金稼ぎのために、CIAにパパを売ったのでしょう?だから、あなたにも参加してもらう。(CIA以外にも狙っている敵がいる)この危険な状況を、皆で共有しましょう。72時間以内に、6番監獄にいるロッキーを釈放して。出来なければ、“神の手”のソースコードを一般公開する」と告げました。

ロッキーとは、CIAが1年前に極秘エリア51に侵入したため、6番監獄に収容している男でした。

ソフィの要求を聞いたザイフォンは、彼女が言うロッキーが、マーキュリーの息子で彼女の弟だと気づいていました。

ソフィの目的は、マーキュリーを利用し裏切ったCIAに対する復讐だと考えたザイフォンは、彼女に監視カメラ越しにロッキーの身柄を引き渡す場所の座標を見せます。

その場所は、ローマにあるCIAの隠れ家でした。CIA職員に連れられ、隠れ家にやって来たロッキーは、かつてザイフォンから貰ったポルトガル限定販売の水色のボールを弄んでいました。

ロッキーはクリンゴン語を話し、尋問してくるチャオインやローソンをからかいます。

唯一グリンゴン語が話せるザイフォンが、代わってロッキーに話しかけ、「姉を西に逃がすため、我々に協力しないか。見返りとして、君が会いたがっている恋人に会わせてやる」と取引を持ち掛けました。

ザイフォンたちが話し合っていると、表向きチョコやワインを販売する店にしている隠れ家へ、1人の老人が客として訪れます。

その老人は、店員に扮したCIA職員が離れた隙に立ち去り、代わりに鞄に仕込んだ時限爆弾を置いていきました。

時限爆弾が起爆したことを合図に、ソフィに協力するピーター率いるイタリアマフィアが隠れ家へ侵入し、チャオインたちに襲い掛かってきます。

激しい銃撃戦が繰り広げられる中、イタリアマフィアは手榴弾を使って、ザイフォンたちがいる透明なガラスで覆われた部屋を破壊しました。

ザイフォンはロッキーと協力し、襲い掛かってくるイタリアマフィアを迎撃していきます。

先に隠れ家を脱出したのは、ザイフォンとロッキーです。彼らを逃がすため、チャオインはローソンたちと協力して、イタリアマフィアを次々と倒していきます。

ザイフォンたちは、路上に停められたパン屋の車が鍵が差しっぱなしなのを利用し、車にチャオインも乗せてイタリアの中華街へ逃走しました。

この様子を隠れて見ていたソフィは、ピーターの金を人質に、イタリアマフィアにもう一度ロッキーを捕まえるよう命じます。

以下、『レイダース 欧州攻略』ネタバレ・結末の記載がございます。『レイダース 欧州攻略』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2018 Block 2 Pictures Inc. All Rights Reserved.

イタリアの中華街へ到着後、ロッキーはザイフォンに、世界平和を望んだ父親の夢を叶えたいと話しました。

その頃トウシンたちは、チャオインに、ザイフォンから聞いた良い評価も悪い評価も一緒に伝えます。

それに怒ったチャオインは、料理を大量に注文して憂さ晴らししようとしました。

そんなチャオインの姿を見て不安がるロッキーに、ザイフォンは「彼女は後悔を抱えているのだ」と言います。

それは今から3年と45日前の2015年、「最強の賞金稼ぎ」と呼ばれていたザイフォンとチャオインは、ライバルでありながら、お互いの実力を認めている者同士でした。

ザイフォンたちは命懸けのミッションに挑みながら、ある勝負をしていました。それは、自分の心を守り、相手の心を奪った方が勝ちというものでした。

ザイフォンたちは何度もデートを重ね、一緒にミッションをやり遂げてきました。

いつしかザイフォンは、世界各地を転々とする自分の居場所を教えるほど、チャオインに惹かれていました。

チャオインはザイフォンが自分の元から去った時、笑って見送りましたが、その心の中では心を奪われていたのは自分だったと、敗北を自覚します。

敗北を自覚したチャオインは、自慢の読唇術ができなくなりました。ここまで話したザイフォンは、やけ食いしているチャオインに近づき、他愛無い話をしながら一緒に食事をします。

ザイフォンと食事をしているチャオイン宛てに、ソフィから連絡が入りました。

ソフィはチャオインに、「12年前、父がCIAに連れ攫われてから家族は崩壊した。父は監獄の中で、心の痛みと裏切りを知った。私は世界を破壊して、彼の大事な人を奪う。父より大きな苦痛を与え、絶望させる」と告げます。

ソフィからの連絡が入った直後、ピーター率いるイタリアマフィアが襲撃してきました。

チャオインは店の箸を投げ、吊るされた店の照明を全て壊し、火花を散らせて敵を怯ませます。

その隙に車に乗り込み、ザイフォンたちは逃走しました。それを追いかけるイタリアマフィア、ロッキーはハッキングした使用停止中の衛星兵器を使って、敵にレーザービームを照射します。

これによってイタリアマフィアを退けたザイフォンたちは、少し離れた広場で停車しました。そこでザイフォンは、ロッキーに監獄で何をしていたのか聞きます。

するとロッキーはそれには答えず、「神の手には右手と左手が存在する。神の左手は位置や行動を瞬時に記録し、神の右手は世界中の軍事兵器に瞬時に侵入できる。両手をリンクさせれば、核爆弾・水爆弾・衛星兵器をいつでも簡単に取り出せる」と話しました。

2人が車を出る直前、チャオインはリップグロスを塗ってザイフォンに口づけます。そのおかげで、CIAとチャオインは2人の会話を盗聴できました。

平和主義のロッキーは、世界平和のために「神の手」をプログラムしました。それを知っているのは、姉のソフィただ一人だけです。

ロッキーは「神の手」を守るため、CIAへの復讐心を煮え滾らせるソフィの元から3年前に去りました。

ザイフォンたちは広場からミラノ駅へ移動します。ミラノ駅のコインロッカーに入っている、ザイフォンの武器や仕事用の小道具を調達するためです。

ザイフォンはロッキーに、「九死に一生 風船ガム」と書かれたチューイングガムを渡します。

ザイフォンたちがミラノ駅構内を移動していると、ローソン率いるCIA職員がエスカレーターを昇った先で待ち伏せていました。

ローソンたちに車で連行されていくロッキー、彼は車内でチューイングガムを噛み、トンネルを抜けたところで膨らましたガムを破裂させます。

その瞬間、車内に煙が充満してローソンたちはパニック状態に陥りました。ロッキーはその混乱に乗じて脱走し、道路下に待ち構えていたザイフォンたちと合流します。

ザイフォンは離れる直前、ロッキーにグリンゴン語で「ガムを噛み、トンネルの先で破裂させろ」と伝えていたのです。

残り24時間20分、ザイフォンたちは仲間が待つ、中華街にある隠れ家へ戻ります。そこでザイフォンは、ロッキーにマーキュリーの死後、彼をCIAに引き渡したことを後悔して賞金稼ぎを辞めたことを話しました。

ザイフォンはマーキュリーが死ぬ前、通称「巡礼者の道」と謂われているサンタンジェロ橋で、彼に最期に会いました。

そこでザイフォンは、マーキュリーから「私が完成させた世紀のハッキングプログラムは、神へのオマージュだと思っていたが、食いついたのは悪魔だった」と話します。

CIAは『神の手』を使って情報戦に大勝利した反面、テロリストを追跡して惨殺を繰り返し、罪なき人々の命までも奪っていたのです。

そのことが報道された新聞紙を読み、CIAの裏切りを知ったマーキュリーは、自分が作ったものは殺人の道具じゃないと訴えます。

しかし聞く耳を持たないCIA職員は、マーキュリーに暴力をふるいました。マーキュリーはCIAへの協力を拒み、脱獄します。

CIAから追われる身となったマーキュリーは、ザイフォンにある勝負をしようと言い出しました。それは、長く息を止めている方が勝ちというものでした。

マーキュリーはザイフォンに華美な装飾が施された鍵を渡した後、ベンチに座ったまま、静かに息を引き取りました。

マーキュリーを捕まえようとサンタンジェロ橋まで駆けつけていたCIA職員は、彼の死を確認後、ザイフォンには目もくれずその場を立ち去ります。

その鍵は何の鍵なのか、知っているのはソフィだけです。ソフィはロッキーに見つけてほしがっていますが、彼女のアジトには「EMP(電磁パルス)」が張り巡らされて容易には近づけません。

ロッキーからそう聞いたザイフォンは、CIA長官とある交渉をします。それは、一番大事なチャオインを担保としてCIAに預けるから、その代わりにどんな機械も壊せる兵器を貸して欲しいというものでした。

CIAが得る利益は、「神の両手」をザイフォンが取り戻してくれることです。交渉成立後、チャオインはローソンたちCIA職員にイタリア本部へ、車で連れて行かれます。

イタリア本部へ向かうチャオインたちの様子を、監視カメラから監視していたソフィは、「死神」と呼ばれた男女2人の刺客を送り込みました。

残り9時間28分、チャオインはソフィのアジトへ拉致され、骨しか残らない核の廃棄物の濃縮液が入った樽の上に、両手を拘束された状態で吊るし上げられていました。

ソフィのアジトには赤外線式の高速スキャンシステムと、圧力センサーが張り巡らされています。

侵入者を感知すると、レーザー誘導爆弾が稼働し、侵入者は瞬時に粉々にされるのです。

ローソンやCIA長官は、チャオインのスーツの上着のポケットに、拉致される直前に追跡装置を仕込んでいました。

しかしソフィにすぐに見破られ、破壊されます。ザイフォンたちは、チャオインの舌についた追跡装置を辿って、ソフィのアジトに辿り着きました。

ザイフォンたちは、CIAに借りた兵器を使ってEMPとセキュリティシステムと破壊します。チャオインは、ザイフォンの仲間に無事救出されました。

チャオインはソフィと、ザイフォンは死神の女と、ザイフォンの仲間は死神の女とそれぞれ戦っていきます。ロッキーはその間、ずっとソフィに復讐をやめるよう説得し続けました。

武術による死闘の末、ザイフォンの仲間は死神の男に濃縮液の中へ落とされます。死神の男女2人相手に、これまで敵を圧倒してきたザイフォンでも苦戦を強いられました。

そこでロッキーは、ザイフォンから貰った腕時計を使いました。ザイフォンは投げたボールを、発火装置となっていた腕時計に当て、火炎球にして敵を怯ませます。

ザイフォンは反撃に転じ、死神2人を濃縮液の中に落としました。チャオインを退けたソフィは、ロッキーの左肩を銃で撃って脅します。

「神の右手」を渡すよう要求してくるソフィに対し、ロッキーは「“神の右手”は渡せない、世界の破壊なんてパパは望んでない」と拒否しました。

じりじり後ろに下がっていたロッキーは、ソフィに最後に「大好きだよ」と告げ、自ら濃縮液の中へ落ちていきます。

ソフィは咄嗟に手を伸ばしますが、その手が握ったのはロッキーから渡された「神の右手」でした。ロッキーの死に泣くソフィは、チャオインに八つ当たりして殺そうとします。

それを庇ったザイフォンは、数発撃たれた後、ソフィと一緒に濃縮液の中へ落ちていきました。落ちる間際、ザイフォンはチャオインに、「俺の負けだ」と伝えます。

チャオインはザイフォンが自分を守った上に、ソフィと一緒に落ちていった姿を見て泣き叫びました。そんなチャオインの頭の中をよぎったのは、ザイフォンと過ごした幸せな日々でした。

ローソンたちがアジトに駆けつけた直後、ソフィが爆弾を起爆させ、アジトを爆発させます。

後日、間一髪のところでローソンたちと一緒にアジトから脱出したチャオインは、上海にあるピザ屋を訪れました。

そこで働いていたのは、ローソンとCIA長官でした。ローソンたちはあの日、「神の右手」を奪還して大喜びしましたが、思わぬハプニングに見舞われてクビになりました。

実は「神の右手」なんてものは最初から存在していません。ロッキーが持っていたのは、マーキュリーが作ったウィルスソフトだったのです。

「神の手」の端子をリンクさせた瞬間、「神の手」を初期化するアップグレードが始まり、プログラムを二度と再起動させなくなりました。

そんな大失態を犯したローソンたちは、CIAをクビにさせられたのです。ここまでチャオインに話したCIA長官は、ザイフォンが考えた作戦を伝えます。

まずザイフォンたちが落ちた濃縮液は、ただの塗料が入った水でした。樽の底に隠し扉があり、ザイフォンたちはそこからアジトを脱出していました。

天才的なハッカーのロッキーと、今回敵対したソフィと呼ばれた男女は、本物の彼らに扮した別人でした。

時を遡ること3年11か月半前、ザイフォンは中華街で本物のロッキーと再会し、彼に辞書を渡してグリンゴン語を覚えさせます。

ザイフォンは追加で、ロッキーに過去の情報を消すことと、6番監獄にいる衛星専門家の老人と仲良くなれと命じました。

その衛星専門家は、使用停止中の衛星兵器にアクセスできる人物だからです。

3年11か月前、ザイフォンは仲間の女性にソフィ役を演じるほか、2年間CIAに潜入してほしいとお願いしました。

1年前、ザイフォンはアジア最強の魔術師と呼ばれた男女2人組に、ソフィを守る刺客役を演じてほしいと依頼します。

ここまでザイフォンが、CIAを欺く作戦を立てられたのは、マーキュリーのおかげでした。

3年前、ザイフォンは本物のロッカーとソフィと一緒に、マーキュリーの隠れ家へ行きました。

ザイフォンたちが鍵で開けた金庫の中には、「神の手」を破壊できるウィルスソフトがありました。そして3年後のあの日、姉弟はイタリア本部へハッキングを仕掛けたのです。

ここまでのことを酒を酌み交わしながら話すザイフォンと仲間たち、ソフィ役をした女性はザイフォンに、何故真実をチャオインに話さなかったのか尋ねました。

それに対しザイフォンは、「チャオインの名誉を守るためと、彼女の心を奪うためだ」と答えます。

真実を知ったチャオインは、姉弟役を演じた男女を見送ったザイフォンとミラノ駅で再会しました。

そこでザイフォンは、チャオインに素直に「出会った時からずっと、心を奪われっぱなしだ」と負けを認めます。

チャオインはそれを聞いて嬉しそうに笑い、ザイフォンの手を引っ張ってミラノ駅から走り去っていきました。

映画『レイダース 欧州攻略』の感想と評価


(C)2018 Block 2 Pictures Inc. All Rights Reserved.

ザイフォンが仲間と協力して、亡きマーキュリーのためにCIAを欺くエージェント・アクション作品でした。

ザイフォンとチャオインの最強コンビと、姉弟役を演じた男女コンビ、魔術師コンビが繰り広げるアクション場面は、華麗だけど激しい中国武術のぶつけ合いが見られて興奮します。

特にソフィ役を演じた女性が、ローマの古代の殺し屋を返り討ちにした場面は、対格差とか関係なく鮮やかに倒したのでとても格好良いです。

世界平和を望むマーキュリーが、12年かけて完成させた「神の手」、それが彼の娘を演じた女性によってフル活用された場面は、近未来なSF要素を感じてテンション上がります。

それが皮肉にも、世界各地でテロリスト撲滅のために活躍しているCIAに悪用されるなんて、マーキュリーに感情移入すると胸が痛くなります。

マーキュリーがCIAに訴えたところは、劇中で一番切ない場面でした。

濃縮液の中に落ちて、死んだかと思ったザイフォンたちが、実は生きていたなんてCIA長官から種明かしされる時は驚きすぎて言葉が出ません。

物語の最後で、素直じゃないザイフォンたちが結ばれたのは、とても微笑ましかったです。

まとめ


(C)2018 Block 2 Pictures Inc. All Rights Reserved.

トニー・レオン演じるザイフォンが、賞金稼ぎ仲間や魔術師コンビと一緒になって、CIAを欺くエージェント・アクション作品でした。

トニー・レオンがCIAを欺くその華麗な手腕、観ているこっちまで騙されてしまい、物語をより楽しめます。

トニー・レオンらキャスト陣による華麗なアクション場面は、中国武術が好きな人にはたまらないものばかりです。

クリス・ウーとドゥ・ジュアンの2人が与えられた役を演じるだけでなく、さらに劇中の人物に成りすますという設定を、見事演じきれていたのが凄くて印象的でした。

CIAに引き渡すまでの間とはいえ、マーキュリーが死ぬ直前にザイフォンと会った場面には、これまでの帰還で築かれた友情や絆を感じました。

凄腕のエージェントや天才的なハッカー姉弟に慕われたマーキュリーが、静かに息を引き取ったところは本当に悲しくて涙が止まりません。

凄腕のエージェントと凄腕のハッカーが友情を築き、亡き友のためにCIAを欺いていくエージェント・アクション映画が観たい人には、とてもオススメな作品です。

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