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Entry 2021/01/29
Update

ホラー映画『RUN (2020)』ネタバレあらすじと結末の感想解説。車椅子の新人女優キエラ·エレンの抜擢とサラ·ポールソンの演技力に注目!

  • Writer :
  • ジンリナ

アニーシュ・チャガンティ監督の2020年公開の映画『RUN』。

2018年公開の映画『Search/サーチ』の演出と脚本を担当し、感覚的で驚くべきジャンル演出力を見せてくれたアニーシュ·チャガンティ監督の2作目となる長編映画『RUN(原題)』。

体の具合が悪くてホームスクーリングを受けている女子学生が、自分を過度に保護する母親に釈然としない事を感じ、その秘密を暴く内容で、2020年11月20日に世界中にて封切られたスリラーの映画です。

『アメリカン・クライム・ストーリー』でゴールデングローブ主演女優賞を受賞したサラ·ポールソンが、今回の映画『RUN』では、愛する娘クロイを育てる母ダイアン役で出演しています。

娘クロイ役には、実際に車いすを使用する障がいのあるキエラ·アレンです。

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映画『RUN』の作品情報

【公開】
2020年(アメリカ映画)

【原作】
RUN

【監督】
アニーシュ·チャガンティ

【キャスト】
サラ·ポールソン、キエラ·エレン、パット·ヒーリー、サラ·ソーン、エリック·アタヴェール、オナーレ·アメス

【作品概要】
生まれつき障害を持った娘を愛で世話する母親、この二人の間で起きた予期せぬ日常の揺れの正体が何かを探るミステリー・スリラー作品。強いて言うなら、間違った母性愛が生んだ映画です。

2018年の『Search/サーチ』を通じて、歴代外国映画スリラーの中で興行1位になった、アニーシュ·チャガンティ監督の次回作という事実だけでも期待を集めます。

今度は、<信じた全ての場所を疑え>というコピー文句で見せてくれる全く新しいミステリースリラー映画『RUN』を演出しています。

映画『RUN』のあらすじとネタバレ

病院の分娩室でダイアンが出産します。そして、一人の赤ちゃんを出産するのに緊急を要する状況になります。

産まれて来た赤ちゃんは不整脈、血色素症、喘息、糖尿病、下肢筋無力症などにより、心臓の鼓動が不規則で、気管支炎症による呼吸困難の原因となり、インスリンの作用がある場合があります。

筋肉異常に感じられ、動けない状況でした。ダイアンは赤ちゃんが助かるかどうか尋ねます。そして、それでもその赤ちゃんは、クロイとして名付けられ、元気に母親の信頼と愛情の中でよく育ってくれました。

幸い、気も丈夫に育ってくれたクロイは、自分が欲しがっていた大学に願書を出した後、合格郵便物を毎日待っていました。

朝には自分で痰を吐き出さなければならず、1日1杯の薬を飲む人生でしたが、自分のせいで母親がとても苦しがるのではないかといつも心配する善良な娘でした。

娘のクロイは、足が使えず、歩いたり走ったりする事が出来ない為、車椅子に頼る障がい者として出て来ます。

そして、毎日のように薬を飲むようになりますが、ある日ダイアンが買い物をして、食べ物も几帳面に食べなければならないクロイは、ダイアンが買って来た買い物袋を探しながら、その年頃の女の子のようにチョコレートをもう一握り持って来たかったようです。

たまたま買い物かごに入っている薬箱から、クロイの好きなチョコレートを探していると、トリヘキシンと書かれた緑色の一つの薬を発見する事になりますが、その薬にはダイアンの名前があるので不思議に思うようにはなります。

夕方、ダイアンはその薬をクロイに与えます。クロイは気になるので聞いてみますが、ダイアンは不思議な程に話を変えています。

翌日、薬筒を確認するクロイです。すると、嘘のように、母親の名前ではなく自分の名前が付けられていました。

しかし、少し浮かれている薬瓶のラベルを取ってみると、自分が見た母親の名前が隠されていました。クロイの疑念はますます大きくなります。

その薬がどんな薬なのか分からない為、ダイアンが眠った夜に、インターネットで検索してみたけれど、インターネットが繋がりませんでした。

甚だしくはダイアンはこのようなクロイの姿を静かに見守っていました。その頃から、クロイは薬を飲まないで集め始めます。

色々な方法を通じて調べていき、ある日クロイとダイアンは、映画を一緒に観に行きました。映画を見ている最中に、クロイはダイアンにそぶりを見せず、トイレに行くと言って出ます。

薬局へ行って調べてみたら、その薬は動物に使う薬で動物の筋肉弛緩剤だと言います。

その薬は犬が足の感覚が無くなったり火傷をした時の痛みを軽減させる薬ですが、人が飲むと足の感覚が無くなるという親切な薬剤師の話を聞く事になりました。

そう考えると、母親ダイアンがクロイの足が良くならず麻痺しては、足の使用を続けられないように周期的にクロイに服用するようにしたという事になります。

受け入れがたいこの事実に、衝撃を受けたクロイは呼吸困難に陥り、その場へ絶妙にマッチしたタイミングでダイアンが現れます。

ダイアンは「大丈夫」と言いながらクロイを落ち着かせるようにして、注射をしてクロイを眠らせた後に、家に連れて帰ります。

もうこの時点で、ダイアンもクロイが何処まで知っているのか知らなければならない為、状況整理も必要です。

クロイは既に沢山の薬を飲んでいた為、ダイアンはクロイを精神が不安定な状態に追い込みます。

目が覚めたクロイは、自分の部屋のドアの鍵がかかっていることに気付き、ダイアンが外出している事を確認します。

今が逃げるチャンスだと捉えたクロイは、何とか窓を通して家を脱出する事に成功します。

その時、普段から自分の家に配送していた宅配員のトラックを見て前に出てきて止めさせた後、助けを求めます。すると、ダイアンは車でクロイを見つけます。

宅配員はクロイの助けを受けた事もあり、ダイアンの脅迫及び感情の訴えを聞いて不審を感じ、病院に一緒に行こうと言った後、クロイの頼み通り警察署に連れて行く準備しますが、ダイアンが宅配員の首に注射器を押し込んで倒し、クロイを地下室に監禁します。

再び気がついた時は、地下に閉じ込められたままです。しかも、車椅子も縛られたままです。クロイは、ダイアンのこの秘密の空間でダイアンの素顔を見ます。

以下、『RUN』ネタバレ・結末の記載がございます。『RUN』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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そして、自分が幼い頃、健康だった姿の写真とダイアンの娘クロイの死亡診断書、その上に、新生児を失ったというある親の新聞記事も一緒に目にします。

その事から、様々な疑問が生じて、その隠された真実を探し出す為に、クロイはダイアンを疑います。

ある日、クロイは一人で家に居ます。ダイアンの書類を偶然目にする事になりますが、そこで自分が望んでいた大学入学に対するワシントン大学の入学許可書が出て来ます。

なんとそれをダイアンは、自分に知らせたり見せたりしていなかったのです。

ニュース誌のようなシートには、ある赤ちゃんが様々な病気を抱えて病院の分娩室で生まれたが、数時間で死を迎え、またもう一人の赤ちゃんが誰かに拉致されたという事が書かれています。

母親のダイアンは、自分の娘クロイが出生直後に死亡すると、新生児病棟の赤ちゃんを拉致し、自分の娘クロイにしようとしていました。

元気な赤ちゃんとして生まれながら、多くの病気を抱えて生まれたクロイのようにです。

クロイには、今では一番安全だと穏やかに感じていたこの家が、クロイにとって一番危険で恐怖な空間になって来ます。

直後、地下室に降りてきたダイアンは、全てはクロイの為の行動であり、今まで全てを忘れて新しく始めようと、宅配員の血のついた手を差し伸べながら和解を提案しますが、怒ったクロイが拒否するとクロイの体に、それまで製造していた家庭用神経毒を注
射器で注入しようとします。

クロイは怯えながら色んな薬品を保管する倉庫に入り、ドアに鍵をかけます。
ダイアンを避けてここから逃れる方法として、思い付いたクロイは、その時に毒薬で自殺を図ります。
結局クロイを死なせる事が出来ないダイアンは、クロイを大きな病院に連れて行き、クロイは胃洗浄をして入院する事になります。

クロイの思い通りに、ダイアンを避けて病院に逃げる事が出来ます。意識は取り戻しましたが、後遺症で話す事が出来ず、助けを求める事が出来ない状態です。

病院で看護婦が居ない間に、母親のダイアンはクロイを病院の外に連れ出します。しかし、ダイアンが来る前に、クロイがスケッチブックにというメモを残しておき、これを見た看護師が不審を感じ、病院の警備員に連絡します。

ダイアンは逃げようと階段の方へ行くが、エスカレーターが故障している為、傾斜路に逃げようとすると、クロイが必死になって足で床をついて突っ張ります。

そして「私はあなたは必要ない」と言います。この時、警備員達と出くわしてダイアンを包囲した際、ダイアンは銃を警備員達に向かって「私達は家に帰る」と叫びますが、その直後に警備員が銃を発射し左肩に被弾し、その衝撃で階段の下に転落してしまいます。

クロイは不思議そうな不気味な表情でその光景を眺めます。

そして、7年後です。クロイは、大学医学部を出て、刑務所に居るダイアンを訪ねます。

しかし、クロイはダイアンによって、沢山の薬を服用して来た為、足の回復はうまくいかないままです。

そのように、相変わらず車椅子に乗ってはいるものの、立ち上がった時に、松葉杖一本で少しずつ歩いたりするクロイの姿が見られます。

病棟監護所のような所に横たわっているダイアンを見て、クロイは、自分の生みの親に会った事をダイアンに話します。

憤りを感じても結局、母娘の情を完全になかった事にする事は出来なかったのか、普通の娘のように話すクロイを見て、ダイアンは話します。

「凄い。育ての親があんなに怖いのよ。でも育ててくれたのよ。お母さんのお見舞いに行ったのよ。 本当に怖いわ。怖い」それでも、平穏な自分の日常を語るクロイとは違って、恐怖なダイアンの目つきです。

その後、去る時間になると、クロイは突然、自分の口の中を漁って口の中に隠していた、以前ダイアンが自分に食べさせようとしたトリヘキシンを取り出します。

そして、非情な表情で、「口開けて。大きく」と言い、微笑みます。

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映画『RUN』の感想と評価

映画『RUN』の没入も良い反転スリラーで、母親と娘の表情演技が本当に圧巻でした。疑いから恐怖へ、また恐怖から復讐へ…。

自分が生んだ娘が病気で死ぬと、他の赤ちゃんを自分の娘のような状態にして、自分の傍にいつも捕まえておく為に、薬ではなく毒を飲ませて何処にも行かないように、つまり自分の傍にいつもいるようにさせる不安な執着を見せる行動をする。

その心理学的には、ある現象の一つだろうが、人間心理の誤った表出だというのか、多くの疑問を抱かせます。

自分が産まなかった他の赤ちゃんを、本当に自分の赤ちゃんのように支えておきたいのなら、健康によく面倒を見ながら、成長させるのが正しいのではないかと思いますが、自分が産んだ赤ちゃんにやられた不幸を、とんでもない他の赤ちゃんにそのままさせる誤った行動が、結局は全て露になっており、決して幸せに行くことが出来ず、不幸の沼に陥るのではないでしょうか。

多くの疑問や考え方が、映画ジャンルのミステリーのように、人の中身はその深みは分からないようです。

そして、多くの俳優が登場しないにもかかわらず、残忍な場面もなく、そのような緊張感を維持するアニーシュ·チャガンティ監督の力量が、素晴らしいです。

ミステリーらしくない予想出来る展開ですが、最後の反転は全く予想出来ませんでした。

音楽も邪魔にならないように溶け込み、各自の役割の俳優の演技もとても優れています。

​主人公である母役のサラ·ポールソンは、あるインタビューで「この映画は薄氷の上を歩くようにハラハラする為、観客の目を虜にするだろう」とし、映画の緊張感と完成度に自信を表したように、始まりから最後まで退屈する暇がありませんでした。

また、母役のサラ·ポールソンは、娘に向けた愛らしい母親の姿の裏に隠されたまた違った反転キャラクターを通じて、爆発する演技力を見せてくれます。

ミスター・ガラス』(2019)、『オーシャンズ8』(2018)、『キャロル』(2015)などの映画で見せたキャラクターとは違う強烈なキャラクターへの演技変身がどの映画よりも期待を集めています。

更に、娘役のクライの孤軍奮闘が目立ち、キエラ·アレンの演技がとても引き立っています

​アニーシュ·チャガンティ監督はオーディション映像を見ながら、自然で飾らない彼女の姿にキャスティングしたといいます。

没入感溢れる卓越な演技力で、キエラ·アレンの初の長編映画デビュー作でもあります。

本作『RUN』は、最小限の空間で最大の効率を引き出す特色ある映画として、見応えのあるスリラー作品といえるでしょう。

まとめ

実の母娘でない状態で、自分が死によって別れた娘の全てを、とんでもない他の赤ちゃんに被せて、自分の傍に閉じ込めておこうとする強迫観念とでも言いましょうか。

そのような間違った執着に、結果はいくら隠そうとしても結局は露になることが分かる。どんなに隠そうとしてもそれに対する真実は明らかになる。ということをこの映画では語っているのです。

全般的に、観客と評論家の両方から良い反応を得ています。アニーシュ·チャガンティ監督の演出力と俳優たちの演技が抜群で、十分なスリルが感じられるという評価です。

ただストーリー自体が定型化されており、その部分については好き嫌いが分かれるでしょう。

反転の場合、映画の前半部からほぼ露骨に暗示し、甚だしくは予告編でも描写されています。

つまり、反転させる為の映画というよりは、スリラー映画の定型化された公式の中で高い完成度を見せる事を目標としている作品だと言えるのです。







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