Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

サスペンス映画

Entry 2018/09/26
Update

映画『searchサーチ』あらすじと感想レビュー。SNSの恐怖とアジアの映画進出とは

  • Writer :
  • 村松健太郎

映画『search サーチ』は、10月26日より全国順次公開!

SNS=ソーシャルネットワークサービスによる人と人の交流・交際、ネットショッピングによる買い物、ネットバンキングによる資産管理などなど、日常の総ては今やPCの画面上で進んでいると言って現在。

ある意味必然的に誕生した“すべてのシーン・ストーリーがPCの画面上だけで進む映画です。

監督はこれが初監督となるインド系アメリカ人アニーシュ・チャガンティ。Googleに招かれて二年間GoogleのCMを作ってきた才人が初監督作品から大きなインパクトを残しています。

『ナイトウォッチ』『デイウォッチ』『リンカーン秘密の書』のティムール・ベクマンベトフ監督がプロデューサーになっているのも注目!

映画『search/サーチ』の作品情報

【公開】
2018年(アメリカ映画)

【原題】
Searching

【監督】
アニーシュ・チャガンティ

【キャスト】
ジョン・チョウ、デブラ・メッシング、ジョセフ・リー、ミシェル・ラー

【作品概要】
すべてパソコンの画面上を捉えた映像でストーリー展開が進行していくサスペンス・スリラー映画。

映画『search/サーチ』のキャラクターとキャスト

デビッド・キム(ジョン・チョー)
シングルファーザーとして娘のマーゴとを支える父親。

ヴィッグ(デブラ・メッシング)
マーゴット失踪事件の担当となる女性捜査官。

ピーター(ジョセフ・リー)
デビッドの弟、マリファナが止められない

マーゴット(ミシェル・ラー)
突如として失踪した女子高生。

映画『search/サーチ』のあらすじ

愛する妻パムを3年前に癌で亡くしたデビッド。

今は16歳の高校生マーゴットのことが大地位の生活のシングルファーザーです。

ところがある週末、そのマーゴットが友人と、宿題をするので帰りが遅くなるというメッセージを残して忽然と姿を消します。

その真夜中にマーゴットの携帯電話から、2回デビッドの携帯電話に着信があったようですが、眠りこけていたデビッドは、それに気が付くことはありません。

翌朝、着信に気が付きデビッドは電話をかけなおしますが、マーゴットにはつながりません。

それ以降、マーゴットとは一切連絡がつかなくなってしまいます。

マーゴットのSNSやそのクラスメイトの“ともだち”経由で娘の行方を探しますが、実はマーゴットが学園内で孤立していたことを知ります。

宿題を共にするのもチームを組まなくてはいけないからマーゴットが中に入っていただけでした。

昔からの幼馴染だと思っていた男子生徒の家に電話をすると、キャンプに行っているから電話も通じないのではと言われます。

しかし。このキャンプへの誘いも形だけのもので、実際にはマーゴットは行っていませんでした。

そんな時デビッドは毎週のピアノレッスンの日だということに気が付き、ピアノ教室に連絡します。

すると、マーゴットは半年前に教室をやめていました。

そして、渡していたレッスン料の2000ドルを行方不明になった夜に、マーゴットは口座から全額おろしていました。

ここへきて、デビッドは警察に通報。すると女性捜査官のヴィック刑事が担当捜査官としてやってきます。

ネット上のニュースを見ると、刑事は捜査官としても有能でさらに元犯罪者の更生などにも尽力している人でした。

直接、会って話をすると実はシングルマザーということで、デビッドは様々な面で信頼を置いていくようになります。

街中の防犯カメラをくまなく調べていくとマーゴットは、偽造免許で車を運転し待ちの外へ向かっていったことが分かりました。

マーゴットは果たしてどこへ行ってしまったのか。そんななか、SNSのtumblerでマーゴットは1人になれる場所として、ある湖が何度も登場していることに気が付きます。

デビッドが地図で調べるとそれは防犯カメラの車の行った先にあることが分かりました。

デビッド、そしてヴィック刑事が現地に駆け付けるとそこにはマーゴットの持ち物が、さらに調べていくと湖底から車が発見されました。

マーゴットが行方不明になってから5日。ヴィック、デビッドの弟はボランティアを募って周囲を捜索し始めますが、行方はようとして知れません。

そんな中、ある元犯罪者がマーゴットの殺害を自供した映像を残し、自死するという事件が起きます。

絶望的な状況になったデビッド。ぼんやりとPCの前にたたずみますが…。

映画『search/サーチ』の感想と評価

実は本格ミステリー作品

名探偵ファイロ・ヴァンスを生み出した『僧正殺人事件』『グリーン家殺人事件』のヴァン・ダインは、本格ミステリーの鉄則・フェアであるべきという“ヴァンダインの20則”というものを発表しました。

およそ100年前の1920年代に設定されたものなので、今の時代にはそぐわないモノも多くありますが、それでも少なくとも証拠は全て見ているものに披露されていなくていいとはならないのです。

偶然に発生したもの、発見したものによって事件が解決されてはならないということです。

読唇術や降霊術などの超常現象で事件が解決されてはならないなどなど、今の時代にも通じるものがあります。

もちろんこれを守らなくて名作となったミステリーの傑作はあります。

しかし、映画でもこれを完全にスルーしたうえで、誰もが納得せざるを得ない傑作もあります。

そんななか、本作『search サーチ』です。

すべてPCの画面の中でストーリーが展開するという、映画の“外観”の奇抜さに目を奪われがちですが、これがびっくりするほどのフェアな本格ミステリー作品

本格ミステリー小説の読み方にメモを取りながらというのがありますが、さすがに映画館の暗がりでメモを取りながらというのは難しいと思いますが、頭の中にメモを残しながら見ていってほしい映画です。

字幕もちゃんとそのあたりを心得ていて、必要な情報を我々に漏らさず教えてくれます。

犯人・動機・ラスト、その後にある真のラストまですべて根拠となる情報は提示されています。

あなたは見逃さず居られるでしょうか。

ハリウッドも無視できないアジアの存在

今、ハリウッドで大注目作品となっているのが二本でも間もなく公開の『クレイジーリッチ』。

メインキャストがすべてアジア系の俳優で固められている作品として、異例の大ヒットを記録している作品です。

しかもカンフーアクションもオタク要素もない作品で大ヒットを記録しているといいます。これはハリウッドにおけるアジア人映画の在り方の新しい形を示す一本です。

本作『search サーチ』も主演が韓国出身のジョン・チョー、これにジョセフ・リー、ミシェル・ラーなどなど、メインキャストは韓国系のアメリカ人が占めています

ハリウッドの大型企画を進めるレジェンダリーピクチャーズが中国資本の傘下に入ったこともあってか、『ゴジラ』『キングコング髑髏島の巨神』というモンスターユニバース作品や「パシフィックリム」シリーズ、ドゥエイン・ジョンソンの『スカイスクレイパー』の舞台もアジア圏となっています。

『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』でも韓国が登場したりとハリウッド映画作品のアジアン圏での興行収入が占める割合(特に中国市場)が年々大きくなっていることもあって、ハリウッド映画も無視できない状況になりつつあります。

まとめ

アジア圏やアジア人が旬といえば、日本でもサプライズヒットとなった、『MEG ザ・モンスター』でリー・ビンビンがヒロインを熱演しています。

韓国発のゾンビエクスプレス映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』のハリウッドリメイクをアジア系のジェームズ・ワンがプロデュースとなる話も出ています。

日本勢が一時期ほどの勢いがないのが寂しい話ですが、この流れはまだ止まりそうもありません。

そんなひとつに本格ミステリー作品『search サーチ』に注目ですよ!

初監督となるインド系アメリカ人アニーシュ・チャガンティ。そして主演は韓国出身のジョン・チョー。

映画『search サーチ』は、10月26日より全国順次公開!

お見逃しなく!

関連記事

サスペンス映画

『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』あらすじ感想評価と最新作解説。佐藤刑事は過去のトラウマを乗り越えられるか!

映画『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』は2022年4月15日(金)に公開 青山剛昌の人気コミックをアニメ化したシリーズ「名探偵コナン」の劇場版25作目は『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』。 舞台はハロ …

サスペンス映画

映画『レッドドラゴン』ネタバレ感想解説と結末あらすじ評価。レクター博士と共に殺人鬼の思考に潜り込む

「ハンニバル・レクター博士」シリーズ第三作目『レッド・ドラゴン』 『ラッシュアワー』(1998)や『天使のくれた時間』(2000)のブレット・ラトナーが監督を手掛けた『レッド・ドラゴン』は、トマス・ハ …

サスペンス映画

『眼の壁』原作小説ネタバレとラスト結末の解説。松本清張の犯罪ミステリーで手形詐欺を扱った真犯人とは⁈

小説『眼の壁』がドラマ化され、2022年6月よりWOWOWにて放送・配信スタート! 推理小説界に“社会派”の新風を生みだし、生涯を通じて旺盛な創作活動を展開した大作家松本清張。 彼の代表作『点と線』や …

サスペンス映画

映画『9人の翻訳家』ネタバレ感想と結末まで考察解説。実際に文学界で起きた事件“囚われたベストセラー”の犯行動機を解説

実話に基づく前代未聞の翻訳作業。 文学の自由を守るため、立ち上がった人物とは。 映画『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』は、ダン・ブラウン著書のベストセラー小説『インフェルノ』の出版秘話を基に描かれ …

サスペンス映画

映画『ある閉ざされた雪の山荘で』ネタバレあらすじ感想と結末の評価解説。ラストシーンの芝居セリフの意味とは⁈

これは演技か、それとも事件か。 役者は皆、嘘を付く。 作家・東野圭吾の1992年に発行されたミステリー小説「ある閉ざされた雪の山荘で」を、飯塚健監督が、重岡大毅を主演に迎え豪華キャストで映画化。 演じ …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学