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Entry 2018/11/15
Update

映画『ビリオネアボーイズクラブ』ネタバレ感想レビュー。実話結末の転落人生に好青年ジョーは何か見たか

  • Writer :
  • 金田まこちゃ

1983年のロサンゼルスを舞台に、実在した投資クラブと、若者たちの成功と破滅を描いた、犯罪サスペンス『ビリオネア・ボーイズ・クラブ』。

若手実力派俳優の共演でも話題になっている、本作をご紹介します。

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映画『ビリオネア・ボーイズ・クラブ』の作品情報


(C)2017, BB Club, LLC. All rights reserved.

【公開】
2018年(アメリカ映画)

【監督・脚本】
ジェームズ・コックス

【共同脚本】
キャプテン・モズナー

【原題】
Billionaire Boys Club

【キャスト】
アンセル・エルゴート、ケビン・スペイシー、タロン・エガートン、エマ・ロバーツ、ジェレミー・アーバイン、トーマス・コックレル、ライアン・ロットマン、ボキーム・ウッドバイン、スキ・ウォーターハウス、ロザンナ・アークエット、ケイリー・エルウェス、ジャド・ネルソン

【作品概要】
1980年代初頭に、「西のウォールストリート」と呼ばれた街で、実際に起きた事件を題材に、ジェームズ・コックス監督が映画化。

主演に『ベイビー・ドライバー』のアンセル・エルゴートと、『キングスマン』シリーズのタロン・エガートンという、若手実力派俳優が初共演を果たしている。

映画『ビリオネア・ボーイズ・クラブ』あらすじとネタバレ


(C)2017, BB Club, LLC. All rights reserved.

1983年のロサンゼルス。

ディーンは、自ら自動車販売の事業を立ち上げ、商談を成立させていました。

その商談の場で、偶然にもハリウッド・スクールの同級生だったジョーと再会します。

ジョーは貧しいながらも、教育熱心な両親に育てられ、奨学金でハリウッド・スクールへ入学した秀才でしたが、クラスメートに馴染めなかった事から、イジメの対象にされていました。

自信を失ったジョーは、現在は金融関係の仕事に就いていましたが、安い給料で働いています。

ディーンは、ジョーの天才的な頭脳に学生時代から一目置いており「ジョーの頭脳と、自分のコネクションで成功者になろう」と持ちかけます。

その夜、ディーンに誘われたジョーは、気乗りしないままセレブ達が集まるパーティーへ参加します。

そこでジョーは、ディーンに紹介され、資産家の息子である、チャーリーとビルトモア兄弟に金の投資を持ちかけますが、チャーリーやビルトモア兄弟は乗ってこないばかりか、ジョーが、学生時代にいじめられっ子だった事を思い出します。

逃げるように会場を後にしたジョーは、失意のまま自宅に戻ります。

自宅にあったニュース雑誌を手にするジョー、そこには「パラドックスの哲学」という、ビジネスに必要な考え方が書かれていました。

次の日、ジョーは「パラドックスの哲学」にヒントを得た、金儲けの方法を考え出します。

ジョーに呼び出されたディーンは「ビルトモア兄弟から融資された」という、1万ドルを持っていました。

ジョーとディーンは早速、1万ドルを元手に金の取引を開始します。

そして、取引結果が出るまで、ディーンの顧客である資産家のロン・レヴィンの邸宅へ向かい、ジョーはロンを紹介されます。

ロンは、ジョーの取引の知識を試すような悪戯を仕掛ける、癖のある性格でした。

ロンの邸宅を後にしたジョーとディーンは、チャーリーとビルトモア兄弟に、金取引の結果を報告する為、会合を開きます。

しかし、会合が開かれる直前、利益が出ていた金は暴落し、資産は半分の5千ドルになっていました。

ジョーは機転を利かして、残金の5千ドルを「利益分の5千ドル」と嘘を吐き、ビルトモア兄弟に利益として5千ドルを渡します。

ジョーは、チャーリーとビルトモア兄弟に、1週間で50%の利益を生んだと思い込ませ、信用を勝ち取ります。

そして、ジョーとディーン、資産家の息子たちは自らの会社「BBC」を立ち上げます。

「BBC」は当初、BMWの「M5」や「M3」を安く輸入し高く販売する事で利益を出していましたが、資産家の息子たちのコネクションで「投資の50%を利益にする会社」として広まり、「BBC」は資産家達からの融資を受けるようになります。

そして、特に意味の無かった会社名「BBC」に、ロンから「ビリオネア・ボーイズ・クラブ」という名称を付けられます。

また、ロンから多額の融資があった事を、金融会社の担当者から報告を受けた「BBC」は、派手に資金を使うようになります。

ですが、出資される額が多くなるほど、利益の50%を還元させる事は難しくなっていきます。

ロンから受けた融資は、書類上のお金にすぎず、ロンが小切手を切らないと実際には使えません。

次第に「BBC」の借金は膨れ上がっていくようになります。

この状況にジョーとディーンは、焦りを感じるようになります。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ビリオネア・ボーイズ・クラブ』ネタバレ・結末の記載がございます。『ビリオネア・ボーイズ・クラブ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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ジョーは、芸術家を目指す女性シドニーと出会い、お互いに惹かれ合い恋人関係になります。

シドニーは、ディーンを「腹黒ディーン」と呼んで嫌っており、ジョーに「ディーンを信用しない方が良い」と忠告します。

ジョーは、シドニーと知り合った事をキッカケに、ロンから受けた融資を宛てにして、豪邸に住むようになります。

そして、派手なクリスマスパーティーを開催したジョーは、イラン人の富豪の息子イジーと知り合います。

イジーは「BBC」へ入る事を希望していました。

ジョーは「BBC」で利益を出す為に、炭鉱会社を買収する計画を立ち上げます。

ロンから受けた、出資金が必要になり、小切手をせがむようになります。

ロンから小切手を切ったという報告を受けたジョーは、金融会社の担当者に確認の電話をします。

そこで告げられたのは、ロンから受けた融資の話は全て嘘で、担当者は、テレビ番組の撮影だと思って協力していたという事でした。

実際には、多額の資金は存在せず、逆にロンは「BBC」の利益を担保に、銀行から多額の融資を受ける事を計画していた詐欺師でした。

「このままでは、全てを失う」焦りを感じたジョーは「BBC」のメンバーと報復を計画。

ジョーは、チャーリーのボディーガードを務めているティムと共に、ロンを襲撃、ロンが受けた融資の50%を「BBC」に渡すように、書類へサインさせます。

計画は上手くいったように思われましたが、ロンがティムを馬鹿にして挑発した事で、ティムが発砲、ロンを射殺してしまいます。

ジョーは、ロンの死体を放置したまま、約束していたシドニーと、シドニーの家族との食事会に参加します。

ですが、気持ちが落ち着かないジョーは、食事会を途中で退席し、その場にいたディーンにロンを殺害した事を報告します。

ディーンの忠告で、ジョーはティムと共にロンの死体を焼却し、事件を隠そうとします。

さらに、資金を失った「BBC」は、利益を還元する事が不可能になり、投資家が押しかけるようになります。

この状況に恐怖を感じたビルトモア兄弟は、「BBC」から脱退します。

ジョーはロンがサインした、銀行の融資の半分を宛てにしますが、不渡りとなってしまいます。

追い詰められたジョーは、次第にシドニーとも不仲になっていきます。

ジョーとディーンは、イジーの父親が持つ資産を融資してもらう事を望みますが、イジーの父親は拒否します。

ですが、ジョーとディーンは、イジーの父親が麻薬で気を失った隙を突いて、ロサンゼルスに拉致します。

ロサンゼルス到着後、目を覚ましたイジーの父親は、ジョーとディーンに襲いかかります。

ジョーとディーンは、暴れるイジーの父親を止める為に、電気コードで首を絞め、そのまま殺害してしまいます。

イジーの父親の死体を2人で処分した、ジョーとディーン。

ディーンは「何があっても、俺たちは親友だ」とジョーに伝えます。

帰宅したジョーは、シドニーからロンが行方不明になった事に、ジョーとディーンが絡んでいると気付かれ、別れを告げられます。

ジョーはイジーの父親が所持していた、多額の資金をおろす為に、イジーと付き添いのジョーの父親と共に、銀行へ向かいます。

しかし、そこでジョーは、一連の殺人事件の容疑で警察に逮捕されます。

それは、シドニーの告発によるものでした。

ジョーと共に逮捕されたディーンは、ロンとイジーの父親殺害に関して「自分は止めた、全てはジョーの命令だった」と供述し、検察側の証人に寝返ります。

一方、ジョーは終身刑を言い渡され、資産や名声だけでなく、人生も失ってしまいます。

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映画『ビリオネア・ボーイズ・クラブ』感想と評価


(C)2017, BB Club, LLC. All rights reserved.
1980年代に、ロサンゼルスに実在した投資グループの栄光と転落を描いた本作。

前半は何も無かったジョーとディーンが、アイデアと行動力で登り詰める成功物語として展開し、ロンを殺害して以降、歯止めが利かない人生の転落を描いたサスペンスに変わるという、二重構造の作品です。

人生の絶頂から、ドン底まで転がり落ちる様子はジェットコースターのようであり、観賞中は終始ハラハラしていました。

これが実話だという事を考えると、本当に恐ろしいです。

ジョーを『ベイビー・ドライバー』のアンセル・エルゴートが演じており、ディーンを『キングスマン』シリーズが大ヒットしたタロン・エガートンが演じるという、ハリウッドの若手俳優2人が初共演したという点も注目です。

アンセル・エルゴートは、序盤では好青年、中盤では成功者、後半では転落していくジョーを、表情や仕草などを変化させる事で巧みに演じています。

特に、ジョーが豪邸を購入する際には、自信たっぷりな表情を浮かべ、肩で風を切るように歩いており、序盤の好青年だったジョーはもういない、という印象を観客に与えています。

そしてロンに騙された事が判明した瞬間に、自信たっぷりだった笑顔は消え、一瞬で余裕の無い、今にも泣き出しそうな表情を浮かべる小者の印象へと変わります。

この場面から「BBC」の崩壊と、ジョーの転落が始まる為、ここでの一瞬の表情の変化は、二重構造となっている展開の切り替えを印象づける、素晴らしい演技です。

対するタロン・エガートンは、ジョーのサポートに徹したディーン同様、アンセル・エルゴートの演技を陰ながら支えているという印象です。

いきなりの成功を手にして、明らかに振る舞いが変わったジョーとは対照的に、ディーンは常に冷静で、一歩引いた立ち位置にいます。

しかし、ラストでは「腹黒ディーン」と呼ばれる本領を発揮し、結果的に作品の美味しい所はタロン・エガートンが全部持っていっています。

ラストのディーンの表情は、これまでとは違い、目を剥きだして、早口で嘘の証言を平気でするという、嫌悪感しか感じない表情となっており、ここも印象的な場面となっています。

若手俳優2人を、ロンを演じたケビン・スペイシーが曲者ぶりを発揮して翻弄しています。

ただ、全米公開時はケビン・スペイシーのスキャンダルが影響し、本作は興業的に大失敗となりました。

しかし、これは作品の評価が悪かった訳ではなくケビン・スペイシーが悪いのです。

作品の完成度は非常に高く、若手俳優2人も本当に良い演技をしているので、このまま埋もれてしまうのは勿体ない、お勧めの1本です。

まとめ


(C)2017, BB Club, LLC. All rights reserved.
優秀な頭脳を持ち、好青年だったはずのジョーが、なぜ人生を転落したのでしょうか?

「自分を信じてくれた人の資産を増やしたい」と考えたジョーが思いついた方法は「利回り50%」を宣伝文句に資産を集める方法でした。

これは「ポンジ・スキーム」という、最も有名な詐欺の手口です。

もし、ジョーが本物の詐欺師なら、ある程度の資金が集まった所で逃げていたでしょう。

しかし、ジョーは逃げなかった、最初から詐欺を働くつもりは無く、偶然思いついた方法が皮肉にも詐欺の手法だったのです。

「ポンジ・スキーム」で資金を集める方法が長く続く訳もなく、ジョーはその事も分かっていましたが、冷静な判断をするには、ジョーは若すぎたのです。

1年で、2億5000万ドルの取引をするまでに「BBC」を成長させた代償は、あまりにも大きく、若者の特権であるはずの「新たにやり直す」という選択肢すら、ジョーは失ってしまいました。

「この街が悪いんだ、成功すると思わせて破滅に導く」という、ジョーのセリフが印象的です。

人生において、何かしらの転機を迎えて、動かなければならない事もあるでしょう。

そんな時に「本当に求める事は何なのか?自分に合った戦い方とは?」と、いろいろな事を考えさせてくれる作品です。

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