全てを失ったアイルランド人脱走兵の壮絶な復讐劇を描く歴史アクション
ランス・デイリーが監督・脚本を務めた、2018年製作のアイルランド・ルクセンブルク・ベルギーの歴史アクション映画、『リベンジャー・スクワッド 宿命の荒野』。
イギリス軍から脱走したアイルランド人兵士が、家族を殺された恨みを晴らすべく、家族を殺した圧制者たちを血祭りにあげていく復讐劇とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
19世紀中盤、英国に支配されたアイルランドを舞台に繰り広げられる、アフガン帰りの脱走兵の壮絶な復讐劇を描いた歴史アクション映画、『リベンジャー・スクワッド 宿命の荒野』のネタバレあらすじと作品情報をご紹介いたします。
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CONTENTS
映画『リベンジャー・スクワッド 宿命の荒野』の作品情報
(C)Black 47 Limited 2018
【公開】
2018年(アイルランド・ルクセンブルク・ベルギー合作映画)
【脚本】
ランス・デイリー、P・J・ディロン、ピアース・ライアン
【監督】
ランス・デイリー
【キャスト】
ヒューゴ・ウィーヴィング、ジェームズ・フレッシュヴィル、スティーヴン・レイ、フレディ・フォックス、バリー・コーガン、モー・ダンフォード、セーラ・グリーン、ジム・ブロードベント
【作品概要】
ランス・デイリーが監督・脚本を務めた、アイルランド・ルクセンブルク・ベルギー合作の歴史アクション作品です。
「マトリックス」シリーズのヒューゴ・ウィーヴィングが主演を務め、『アニマル・キングダム』(2010)のジェームズ・フレッシュヴィルや、『クライング・ゲーム』(1992)のスティーヴン・レイらが共演しています。
映画『リベンジャー・スクワッド 宿命の荒野』のあらすじとネタバレ
(C)Black 47 Limited 2018
19世紀中盤の1847年。イギリスの支配下に置かれたアイルランドは、深刻なジャガイモ飢饉に見舞われ、1845年から数年の間に、国民の4人に1人が姿を消してしまいました。
姿を消した国民は、イギリスや北米に逃れたか、あるいは飢餓や熱病で死んだのです。
男たちは、イギリス国王のために、戦争に駆り出されていました。そして、男たちが故郷に戻ると、死と破滅が広がっていることを知りました。
彼らの多くは、故郷で「裏切り者」と見做されたため、大英帝国の圧政に苦しむ人々を、ただ諦観するしかありませんでした。
イギリス軍から脱走したアイルランド人の伍長、マーチン・オフィーニーは、生まれ故郷の村に戻りました。
この領地を治める領主領主キルマイケル卿が、小作人を立ち退かせてしまった挙句、採れた穀物を搾取するため、村人は皆貧困にあえいでいました。
さらに、不作続きでろくに穀物も取れなくなってしまい、救貧税という税金も取り立てに来るようになり、村人全員飢餓状態に陥っていました。
そんな変わり果てた村に驚きつつ、帰路に急ぐマーチン。しかし彼の家は、屋根が取り払われ、母親の従兄弟バートラ・オニャクトンによって、家畜の小屋に変わり果てていました。
愕然とするマーチンに追い打ちをかけるように、偶然彼と再会したバートラは、彼の母親が去年熱病で死んだこと。キルマイケル卿が寄越した取り立て人を刺した罪で、彼の弟が絞首刑に処されたことを話します。
マーチンの弟の嫁エリーは、彼の自宅を私物化しているバートラを追い払い、彼を自分たちの家に招きました。
エリーとその娘2人、息子のミハルは、取り立て人やアイルランド警察によって家を追い出され、空き家となった場所に身を寄せ合って暮らしていました。
しかしエリーたちもまた、不作続きのこの村で当然ろくな食事をとっておらず、飢餓に苦しんでいたのです。
そんな中、ミハルがどこかから盗んできた作物を持って帰宅。さらに、マーチンから食料を分けて貰ったエリーたちは、久々にまともな食事ができて嬉しそうでした。
しかし翌日、マーチンがエリーたちと離れた隙に、アイルランド警察の巡査部長フィッツギボンやその部下たち、取り立て人が彼女たちの家を取り壊しに来たのです。
家に戻ってきたマーチンは、エリーたちに外へ出てくるよう促しつつ、屋根が壊され始めた家から彼女たちを救おうとします。
しかし、そんなマーチンを、フィッツギボンの部下たちは取り押さえます。さらにフィッツギボンたちは、キルマイケル卿の領地から作物を盗んだミハルが、取り立て人を刺したことで、彼をその場で射殺したのです。
マーチンは、ミハルの死に嘆き悲しむエリーたちに駆け寄ることも許されず、そのままアイルランドのコマネラ警察署に、治安妨害の罪で連行されてしまいました。
マーチンは取り調べを受けた際、警官から押収された自身のマスケット銃と所持品、短剣を強引な手段を使って取り戻し、警官たちを殺しながら脱出。
しかし無事脱出し、エリーたちの元に戻った彼が見たのは、極寒の中、屋根が取り壊された家で身を寄せ合って死んでいる彼女たちの姿でした。
マーチンはエリーたちを含め、自分の家族を死に追いやった者たちへの復讐を決意します。
(C)Black 47 Limited 2018
一方イギリス軍は、3カ月前に上官をカルカッタで殴り脱走した挙句、コマネラ警察署を襲撃し燃やしたマーチンを、何としてでも捕まえることを決意します。
そこでイギリス軍は、マーチンとアフガニスタンで戦った彼の戦友であり、アイルランド警察の元警部補で死刑囚のハナを釈放。
彼にイギリス軍の将校ポープ大尉の下で、マーチンを捜し出し捕まえるよう命じます。その頃マーチンは、バートラの自宅に押し入り、短剣を突きつけ彼を尋問しました。
バートラは、敬虔なカトリック教徒であったマーチンの母親は、キリスト教に入ればスープが与えられると言われても、頑なに拒絶し熱病で死んだこと。
マーチンの自宅を私物化しているのは、他の誰かに使われるよりも、彼の母親の従兄弟である自分が、動物のために有効活用した方が良いと思ったこと。
マーチンの弟に、絞首刑を言い渡した判事は、ボルトンという男だということを、ペラペラと話しました。
マーチンは家族を追い出した家を私物化した、バートラに詰め寄ります。バートラは咄嗟に銃を手に取り、マーチンを殺そうとしますが、湿気のせいで不発に終わってしまいました。
そんなバートラを、マーチンは短剣で殺害。さらに彼は、ボルトン判事がいる裁判所に忍び込み、1人になった彼を待ち伏せして殺します。
その翌日、ハナとポープ大尉、彼らが乗る馬の世話係として同行するアイルランド人兵士、ホブソン一等兵が裁判所へ到着。
その時彼らは、2階の窓から首を太い縄で吊るされている、ボルトン判事の死体を発見しました。
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映画『リベンジャー・スクワッド 宿命の荒野』の感想と評価
(C)Black 47 Limited 2018
マーチンとホブソン一等兵が見せた“真”の正義
母親と弟、弟の家族さえも死に追いやった者たちへの復讐に燃えるマーチン。彼の復讐劇は、サスペンス要素満載で、観ているこちらがゾッとするほど恐ろしいです。
しかしキルマイケル卿や彼に従う取り立て人、アイルランド警察がマーチンの家族、そしてアイルランド人にした行いは、どれも恨まれても仕方ないことばかりでした。
破産寸前に追い込まれていた領地を立て直すためとはいえ、小作人を追い出した挙句、ただでさえ不作なところを、やっとこさ収穫できた穀物でさえ搾取するのは酷いです。
しかもキルマイケル卿たちは、ただでさえ食べるものに困って飢餓に苦しむエリーたちから、税金を取り立てて住処を奪い、極寒の中外に放り出すようなこともしています。
そんなことを平気で強いるキルマイケル卿たち、悪いイギリス人による圧政。復讐のためとはいえ、それを打破しようとしてくれるマーチン。
そして、圧政に苦しむ人々を救おうとしたホブソン一等兵。この2人がやったことは、多くの人に讃えられるべき“真”の正義です。
マーチンに協力したハナ
ハナがマーチンと密会できた理由は、劇中では明かされていません。しかしハナ自身、アフガニスタンで戦った際、マーチンに敵の奇襲から救われた1人でした。
だからこそ、ハナはマーチンの本音を聞いた際、彼に協力することを決めたのでしょう。マーチンも、窮地に陥ったハナを救います。
そしてハナもまた、恩返しするかのように、窮地に陥ったマーチンを救い出し、彼と一緒にキルマイケル卿の屋敷から脱出しました。
これから、ハナとマーチンの旅が始まるかと思いきや、マーチンはポープ大尉に撃たれたのが致命傷となり、命を落としてしまいます。
そんなマーチンの最期を看取ったハナの悲しげな姿に涙が止まりません。ハナとマーチンの、戦友同士の強い絆もまた、感動します。
まとめ
(C)Black 47 Limited 2018
全てを失ったアイルランド人脱走兵が、家族を死に追いやった者たちへ復讐する、アイルランド・ルクセンブルク・ベルギー合作の歴史アクション作品でした。
本作の見どころは、主人公マーチンによる復讐劇と、マーチンvsハナたち追跡者による銃撃戦です。
マーチンが、家族を死に追いやった取り立て人バートラ、弟を絞首刑の判決を下したボルトン判事、領地の管理人クローニンを追い詰め殺していくところ。
そして、正しい行動を取ったホブソン一等兵が惨殺された場面は、どれも背筋が凍るほど残虐で恐ろしいものばかりです。
しかし、マーチンによる復讐劇の中で、キリスト教に入るよう強要した神父たちが殺されたのかどうかだけ、劇中で明らかにされていません。
そして映画のラスト、ホープ大尉がどこへ向かおうとしているのか、またそれをハナが追いかけるのかどうかも、明らかにされていませんでした。
そんな謎が深まる結末と、アイルランド人脱走兵による復讐劇、アイルランド人に圧政を強いるイギリス人領主の姿が描かれた歴史アクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。