極秘部隊と映画館館主がナチスに復讐していく戦争アクション!
クエンティン・タランティーノが脚本・監督を務め、クエンティン・タランティーノ監督自らも作品に出演した、2009年製作のアメリカのR15+指定の戦争アクション映画『イングロリアス・バスターズ』。
ナチスに家族を殺された映画館館主と、ナチス軍人を標的とする連合軍の極秘部隊が、ナチス根絶の復讐計画を実行していく姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
物語を5章に分けて、連合軍の極秘部隊と映画館館主によるナチスへの復讐劇を描いた、戦争アクション映画『イングロリアス・バスターズ』のネタバレあらすじと作品情報をご紹介いたします。
CONTENTS
映画『イングロリアス・バスターズ』の作品情報
【公開】
2009年(アメリカ映画)
【脚本・監督】
クエンティン・タランティーノ
【キャスト】
ブラッド・ピット、メラニー・ロラン、クリストフ・ヴァルツ、イーライ・ロス、ダイアン・クルーガー、ダニエル・ブリュール、ティル・シュヴァイガー、B・J・ノヴァク、サム・レヴァイン、マイケル・ファスベンダー、ポール・ラスト、ギデオン・ブルクハルト、オマー・ドゥーム、マイケル・バコール、アウグスト・ディール、ジュリー・ドレフュス、シルヴェスター・グロート、ジャッキー・イド、ドゥニ・メノーシェ、マイク・マイヤーズ、ロッド・テイラー、マルティン・ヴトケ、リチャード・サメル、アルンドゥト・シュヴェリング=ゾーンレイ、ザック・フォルカー・ミヒャロウスキ、ケン・デュケン、クリスチャン・ベルケル、アン=ソフィー・フランク、レア・セドゥ、ティナ・ロドリゲス、レナ・フリードリヒ、ルドガー・ピストール、ボー・スヴェンソン、エンツォ・G・カステラッリ、ジャナ・パラスキー、ハーヴェイ・カイテル、ソンケ・モーリング、ヒルマー・アイヒホルン、アレクサンダー・フェリング、クエンティン・タランティーノ
【作品概要】
『デスペラード』(1995)や『シン・シティ』(2005)、『ワンス・アポン・ア・タイム・ハリウッド』(2019)などを手掛けた、クエンティン・タランティーノが脚本・監督を務めただけでなく、クエンティン・タランティーノ監督自らも出演したアメリカのR15+指定の戦争アクション作品です。
「オーシャンズ」シリーズや『ワールド・ウォーZ』(2013)、『フューリー』(2014)、『デッドプール2』(2018)などに出演するブラットピットが、主演を務めています。
映画『イングロリアス・バスターズ』のあらすじとネタバレ
第1章 その昔…ナチ占領下のフランスで
1941年、第二次世界大戦中のナチス・ドイツ軍占領下のフランスの田園地帯。
この地に赴任した国家社会主義ドイツ労働者党「ナチス親衛隊(SS)」のハンス・ランダ大佐は、党の指導者アドルフ・ヒトラー総統の特命により、この地に隠れているユダヤ人酪農家のドレフュス一家を捕まえるべく、彼らを知るフランス人酪農家のペリエ・ラパディットの家を訪ねました。
ユダヤ人の目線に立って考え行動を読み、ユダヤ人を確実に捕らえ始末する死刑執行人「ユダヤ・ハンター」の異名を持つランダは、魅力的な妻子を持つラパディットを1人にして尋問した結果、床下にドレフュス一家を匿っていることを突き止めます。
2人が話す英語が分からないドレフュス一家は、ランダがうった芝居にまんまと騙され、彼が家に呼び寄せた部下たちに床板越しにマシンガンで射殺されてしまうのです。
ただ1人、生き残っていた娘のショシャナは床下から脱出し、田園地帯を駆け抜け逃走。ランダは走り去る彼女の背中目掛けてピストルを構えましたが、何を思ってか引き金は引かず、代わりに「達者でな!ショシャナ!」と叫びました。
第2章 名誉なき野郎ども(イングロリアス・バスターズ)
アメリカ陸軍中尉アルド・レインは、ユダヤ系アメリカ人8名からなる連合軍の極秘部隊、「名誉なき野郎ども(イングロリアス・バスターズ)」を組織します。
イングロリアス・バスターズ(以後、バスターズと表記)の任務とは、大編成部隊がフランスに送り込まれる前に、民間人に成りすましてフランスへ向かい、敵地に潜り込み国家社会主義者「ナチ」を始末することです。
猟師ジム・ブリシャーの直系の子孫で、インディアン部族(アパッチ)の血が混ざっているレインは、バスターズもアパッチのように敵と戦うことを指示します。
さらにレインは部下たちに、「俺に死んだナチ100人の頭の皮を剝いで持ってこい」と命じるのです。
その後、バスターズはフランスへ向かい、見つけたナチを次々と血祭りにあげていきました。
そしてレインの狙い通り、ナチはバスターズへの恐怖に震え上がり、狂乱状態に陥りました。
ナチに広がるバスターズの噂を聞いて、ヒトラーは顔を真っ赤にして大激怒。彼は唯一の生存者、SSの偵察隊ブッツ二等兵から、バスターズの所業を聞くことにしました。
ブッツの話によると、彼とSSの偵察隊ラハトマン軍曹とルートヴィヒは、死んだナチの頭の皮を剝いでいるバスターズと遭遇。
バスターズの中に通訳として、ドイツ警察の中にある秘密国家警察「ゲハイメ・シュターツポリツァイ(通称ゲシュタポ)」の将校を13名殺害したことで有名な元ドイツ軍兵士、ヒューゴ・スティーグリッツ軍曹がいることが判明したのです。
ナチス・ドイツ軍の司令部はヒューゴを銃殺刑にはせず、ドイツ・ベルリンに移送することで彼を排除しようとしましたが、彼の噂を聞きつけたバスターズが牢屋を襲撃し級須臾したことで、彼はベルリン行きを免れました。
そしてバスターズは、ナチを始末することが目的であるため、捕まえたナチを捕虜にはしません。
レインはラハトマン軍曹に、ある提案をします。「お前の始末は2つに1つ、殺すか逃げるかだ。ここから生きて戻れるかはお前次第だ」
「この先にある果樹園に、お前らの他にナチの偵察隊がいるんだろう?奴らが隠れている場所、奴らの人数と持っている火器の種類を教えてもらおう」
ラハトマン軍曹は強気に協力を拒んだ結果、野球のバットでドイツ兵の脳みそを叩き潰し殴殺する「ユダヤの熊」の異名を持つバスターズのメンバー、ドニー・ドノウィッツ軍曹の手で葬られてしまいました。
その直後、ルートヴィヒが他のバスターズのメンバーに射殺され死亡。唯一生き残ったブッツは、バスターズのもう1人のユダヤ系アメリカ人通訳、ドイツから逃亡したものの復讐のために戻ってきた元オーストラリア系ユダヤ人のウィルヘルム・ウィキを介して、レインに味方の位置を教えます。
レインはナチに自分たちの存在を知らしめるため、ブッツの額にナイフでナチ党のシンボル「ハーケンクロイツ」を刻んでから解放しました。
第3章 パリにおけるドイツの宵
1944年6月、フランス・パリ。家族を惨殺されてしまったショシャナは、亡くなった伯父夫婦から映画館の経営を引き継ぎ、「身寄りのない若きフランス人女性映画館館主、エマニュエル・ミミュー」という別人に成りすまし、この街で暮らしていました。
ナチス・ドイツ軍の狙撃兵フレデリック・ツォラー国防軍一等兵は、ショシャナがユダヤ人とは知らず、同じ映画好きの彼女に想いを寄せていました。
第二次世界大戦のイタリア戦線において、フレデリックはただ1人街の鐘楼から、敵兵300人を迎え撃ち、たった3日間で250人狙撃し撤退まで追い込んだ功績がある有名人でした。
ナチス・ドイツ軍のナンバー2であり、SSのヨーゼフ・ゲッベルス宣伝大臣は、そんなフレデリックの活躍をもとにプロパカンダ映画『国家の誇り』を製作し、彼自身を出演させ「戦争の英雄」として祭り上げたのです。
フレデリックはショシャナを、無理矢理ゲッベルスに引き合わせ、自身が主演を務める映画のプレミア上映会「ドイツの宵」を彼女の映画館でやるよう、一緒にゲッベルスに説得させようとします。
その会合の場に、「ドイツの宵」で警護を担当するランダが突如現れ、ショシャナの体に緊張が走りました。
ゲッベルスがSSのフランス語通訳フランチェスカ・モンディーノと次の会合へ向かった後、ランダは自身の権限を利用してフレデリックを無理矢理退席させ、会合の場にショシャナ1人だけを残し尋問します。
ランダはフレデリックとの出会いや、ショシャナが何故映画館館主になったのか、フランス人の黒人従業員マルセルの映写の腕は確かかと尋ねてきただけで、最後まで彼女の正体に気づきもしませんでした。
ランダが去り、極度の緊張から解放されたショシャナは、家族を酸雑された復讐として、「ドイツの宵」に集うSSとゲシュタポの高官を殺そうと企みます。
そこでショシャナは、自分の正体を知る恋人でもあるマルセルに協力を仰ぎ、SSとゲシュタポの高官を殺す方法として、可燃性フィルム「ニトロセルロースフィルム」を使って映画館もろとも焼き尽くすことを思いつきました。
映画『イングロリアス・バスターズ』の感想と評価
ナチを血祭りにあげていくバスターズ
レインが組織した連合軍の極秘部隊、「名誉なき野郎ども(イングロリアス・バスターズ)」。レインとユダヤ系アメリカ人たちのナチへの復讐心は、ただ殺すだけではおさまりません。
ユダヤを毛嫌いし大量殺戮したナチに対し、レインたちはアパッチのように戦い、冷酷で残忍に殺した上で頭の皮を剥いでいきました。
今までナチに虐げられ、多くの仲間の命が葬られてきたレインたちの目線に立って考えると、彼らの怒りと殺意がこもった復讐劇は、敵以上に残忍に殺せてスカッとした気持ちになります。
地下酒場での銃撃戦では、ヒコックスと共にハマーシュマルクへの接触を図ったバスターズのメンバー、スティーグリッツとウィキが戦死。
けれどスティーグリッツにとっては、ドイツ軍時代のことを思い出させるSSのヘルシュトロームを、自らの手でめった刺しにして恨みを晴らせて満足したことでしょう。
ナチへの復讐心に燃えるショシャナ
ランダはピストルの射程範囲外にショシャナが逃げ去ったからか、もしくはショシャナ1人取り逃がしても問題ないと思ったからなのか、ショシャナ1人だけ殺しませんでした。
恐らく後者を選択したであろうランダも、ショシャナがずっと自分やナチへの復讐心を抱き、仇を討つチャンスを窺っていたとは思いもしなかったのでしょう。
ショシャナの正体を最後まで気づかぬまま、ランダはバスターズによって討たれ、彼がアメリカへの亡命のために売ったヒトラーたちはショシャナの作戦通り、映画館ごと燃やされて死んでしまいました。
ずっと復讐を遂げる日を待ち望んでいたショシャナが、フレデリックによって殺されてしまうのは予想外の展開で衝撃を受けます。
ただショシャナの死後であるものの、結果的にナチへの復讐は遂げられたので、死んだ彼女の気持ちも浮かばれることでしょう。
まとめ
連合軍の極秘部隊「イングロリアス・バスターズ」と、家族をナチに殺された映画館館主が繰り広げる、ナチへの復讐劇を描いた戦争アクション作品でした。
ブラッド・ピット演じるレインが、バスターズを率いて冷酷で残忍にナチを血祭りにあげていく姿は、甘いマスクを持ちセクシーなスター俳優の顔とのギャップがあり、観る人は彼の意外な一面に魅了されること間違いなしです。
ただバスターズによるナチへの復讐劇は、一部頭の皮を剥ぐというグロイ描写があるので、15歳以上の人は心の準備をしてから、本作を鑑賞するようにしましょう。
物語が5章に分けられていることによって、水面下で同時進行で行われるバスターズとショシャナの復讐劇が、より分かりやすくなっているため、本作の世界観にどっぷり没入できます。
連合軍の極秘部隊と家族を殺された映画館館主が、命懸けでナチへ復讐を遂げようとする戦争アクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。