Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

新作映画ニュース

Entry 2020/05/14
Update

映画『アングスト/不安』あらすじ/キャスト/公開日。ガチ怖すぎて上映禁止の実話スリラーが日本の劇場に初上陸!?

  • Writer :
  • 石井夏子

世界各国で上映禁止された常軌を逸した実話。
本物の《異常》がいま、放たれる。

あまりにも”異常“かつ、あまりにも”危険”な傑作映画が1983年、それまでジャンル映画が存在しなかったオーストリアで突然変異のように誕生。

(C)1983 Gerald Kargl Ges.m.b.H. Filmproduktion

1980年、同国で実際に起きた殺人鬼ヴェルナー・クニーセクによる一家惨殺事件を映画化した実録スリラー映画『アングスト/不安』が2020年7月3日よりシネマート新宿ほか全国順次公開することが決定しました。

公開情報に合わせましてチラシビジュアルも解禁。今回、解禁となったチラシビジュアルは、『U・ボート』(1981)、『アンダーワールド』(2003)の俳優アーウィン・レダー扮する殺人鬼K.が眼も口も大きく広げ、暗闇で何かを叫ぶ顔を紙面いっぱいのアップで捉えています。

その異様な表情から、本作の凄まじさを伝えるこの日本オリジナルのビジュアルをジェラルド・カーグル監督もたいそう気に入り、特に色合いを絶賛、「素晴らしい。見事だ」と表現しました。

また、予告編についてもご紹介します。

映画『アングスト/不安』特集記事はこちら

映画『アングスト/不安』について

(C)1983 Gerald Kargl Ges.m.b.H. Filmproduktion

実録スリラー映画『ANGST』が『アングスト/不安』の邦題でついに日本劇場初公開されます。

本作は、刑務所出所後の殺人鬼=狂人が感じる不安やプレッシャーによる異様な行動と心理状態を凶暴かつ冷酷非情なタッチと斬新なカメラワークを用いて表現。狂人自身のモノローグで綴る構造や全編に徹底された陰鬱なトーンなど、作品自体が“異常”であり、他に類を見ない芸術性を発揮した衝撃的作品です。

アメリカの映画サイト「Taste of Cinema」が選ぶ「史上最もダークなシリアルキラー映画」では、『ヘンリー』(1986)、『セブン』(1995)、『ハウス・ジャック・ビルト』(2018)などを抑え、堂々の1位を獲得。広義で“おそろしい映画”としては、『悪魔のいけにえ』(1974)が放つ存在感と同次元で語られ、世界的に唯一無二の傑作として捉えられています。

しかし、1983年公開当時はそのショッキングすぎる凄まじい内容により本国オーストリアでは1週間で上映打ち切り、他ヨーロッパでも上映禁止、イギリスとドイツではビデオの発売も禁止。アメリカではXXX指定を受けて配給会社が逃げたといいます。

日本でも劇場公開されず『鮮血と絶叫のメロディー/引き裂かれた夜』というタイトルで1988年にレンタル用VHSが発売されましたが、世の中に出回った数は極少、ほぼ誰にも観られることなく地下に埋もれ、以降観たくても観れない作品となり現在に至っています。

(C)1983 Gerald Kargl Ges.m.b.H. Filmproduktion

この早すぎた傑作の監督は、殺人鬼の心理を探るという崇高な野心のもと全額自費で本作を製作したジェラルド・カーグル。本作は唯一の監督作品です。

主演は『U・ボート』(1981)、『アンダーワールド』(2003)のアーウィン・レダー。殺人鬼K.役として、淡々と人を殺めていく姿に戦慄を覚えるはず。

観る者を冷徹な世界へ誘う、不穏なエレクトロサウンドを手掛けたのは、元タンジェリン・ドリーム、アシュ・ラ・テンペルの作曲家クラウス・シュルツ

また、狂人が内に秘めた”不安“をアーティスティックなカメラワークで映し出したのは、アカデミー賞最優秀短編アニメ賞を獲得した『タンゴ』(1981)やジョン・レノン、ミック・ジャガーらのMVで知られる世界的な映像作家ズビグニェフ・リプチンスキです。

映画『アングスト/不安』の予告動画

予告編は、イタリアの詩人ダンテによる長編叙事詩「神曲 地獄篇」より、「この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ」という一節が冒頭に映し出される場面から始まります。

これは、ジェラルド・カーグル監督の要望により今回日本版の予告のみに入れたもの。この門をくぐる者=この映画を観る者への警告ととれる言葉です。

そして、次に映し出されるのは『U・ボート』(1981)、『アンダーワールド』(2003)の俳優アーウィン・レダー扮する主人公 K.。

シャツにジャケットを合わせた一見普通の青年風ですが、瞬きひとつせずそわそわした様子である屋敷を訪ね、出てきた老婆を何の迷いもなく撃ち、刑務所へ収監。何やら危険な幻想を抱きつつ出所の日を迎えます。

その後、狂人が世に放たれてしまったことにより取り返しのつかない惨劇が起こる様子が疾走感溢れるタッチで切り取られました。

元タンジェリン・ドリーム、アシュ・ラ・テンペルの作曲家クラウス・シュルツによる冷たく脈打つようなエレクトロサウンドと、アカデミー賞最優秀短編アニメ賞を獲得した『タンゴ』(1981)やジョン・レノン、ミック・ジャガーらのMVで知られる世界的な映像作家ズビグニェフ・リプチンスキによる独特のカメラワークが予告からも感じられ、K.の不安な様子を観る者も一緒に感じるような予告編となっています。

本編では途方もない蛮行が展開され、痛恨の映画鑑賞体験となる可能性があるため、この予告編をじっくり見て鑑賞するかを判断してください。

映画『アングスト/不安』の作品情報

(C)1983 Gerald Kargl Ges.m.b.H. Filmproduktion

【日本公開】
2020年(オーストリア映画)

【原題】
ANGST(不安)
英題:FEAR(恐怖)/仏題:SCHIZOPHERENIA(統合失調症)

【日本VHS発売時題】
鮮血と絶叫のメロディー/引き裂かれた夜

【監督】
ジェラルド・カーグル

【キャスト】
アーウィン・レダー、シルヴィア・ラベンレイター、エディット・ロゼット、ルドルフ・ゲッツ

映画『アングスト/不安』のあらすじ

(C)1983 Gerald Kargl Ges.m.b.H. Filmproduktion

刑務所を出所した狂人が、とたんに見境のない行動に出ます。

映画『アングスト/不安』鑑賞前の注意事項

(C)1983 Gerald Kargl Ges.m.b.H. Filmproduktion

本作は、1980年にオーストリアで実際に起こった事件を描いております。当時の司法制度では裁ききれなかった為に発生した事象であり、本映画をきっかけとして以降大きく制度が変わりました。

劇中、倫理的に許容しがたい設定、描写が含まれておりますが、すべて事実に基づいたものであります。本作は娯楽を趣旨としたホラー映画ではありません。

特殊な撮影手法と奇抜な演出は観る者に取り返しのつかない心的外傷をおよぼす危険性があるため、この手の作品を好まない方、心臓の弱い方はご遠慮下さいますようお願い致します。またご鑑賞の際には自己責任において覚悟して劇場にご来場下さい。

まとめ

(C)1983 Gerald Kargl Ges.m.b.H. Filmproduktion

『CLIMAX クライマックス』(2018)、『カルネ』(1994)のギャスパー・ノエ監督は自身の作品にて本作のオマージュを捧げ、『ファニーゲーム』(1997)などのミヒャエル・ハネケ監督の初期作品とも類似性が高いと語られる本作。

近年増えてきつつあるシリアルキラー映画の大本命とも言っても過言ではありません。

世界各国で上映禁止となった映画史上最も恐ろしい映画でありながら、このまま隠しておくわけにはいかない、異様で危険すぎる唯一無二な傑作『アングスト/不安』は、2020年7月3日よりシネマート新宿ほか全国順次公開予定です。

映画『アングスト/不安』特集記事はこちら










関連記事

新作映画ニュース

トムホ映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』あらすじとキャスト。4DXエクストリーム版上映館情報も!

各キャラクターにフォーカスした“4DXエクストリーム版”、 マーベル単独映画として世界初! 2019年6月を締めくくる4DX映画はなんと、全世界待望のマーベルシリーズ最新作『スパイダーマン:ファー・フ …

新作映画ニュース

映画『AWAKE』公開日決定!吉沢亮主演最新作は2020年クリスマスでポスタービジュアルも解禁

最強将棋ソフト開発者VS若手強豪棋士。 実際の対局から生まれた、感動の青春物語。 吉沢亮が薄暗い部室で静かな情熱を燃やす!? (C)2019『AWAKE』フィルムパートナーズ プロ棋士とコンピュータ将 …

新作映画ニュース

【恵比寿映像祭2023】開催場所を東京都写真美術館にて内容テーマを発表!映像とアートの国際フェスティバルを渋谷・恵比寿で開く

15回目を迎える恵比寿映像祭2023 新進気鋭の作家4名が新作映像制作に取り組む注目のプロジェクト他、詳細を公開! 「恵比寿映像祭2023」 この度15回目を迎える恵比寿映像祭2023が、2023年年 …

新作映画ニュース

映画『瞬きまで』あらすじ/キャスト/公開日/上映館。池田良×舞木ひと美出演作は“望遠鏡で覗く光景”が生むサスペンス!

長谷川朋史監督&脚本作『瞬きまで』が2023年8月に期間限定ロードショー決定! ルネシネマ第4弾として企画・製作された映画『瞬きまで』。『あらののはて』(2020)で門真国際映画祭グランプリ、うえだ城 …

新作映画ニュース

【空母いぶき試写会】西島秀俊&佐々木蔵之介らキャストが映画完成披露に登壇!抽選で50組100名様をご招待

完成披露試写会のゲスト発表! 映画『空母いぶき』は西島秀俊、佐々木蔵之介、髙嶋政宏、玉木宏、中井貴一、そして佐藤浩市といった、日本映画界を牽引するオールスターキャストで贈る、超一級のエンタテインメント …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学