「今際の国」を生き残るため命を賭けたデスゲームが始まる
2021年、Netflixで独占配信された「デスゲーム」を題材とした韓国産ドラマ『イカゲーム』が全世界で視聴ランキング1位を獲得する快挙を成し遂げました。
このように世界中で「デスゲーム」を題材とした作品の需要は特に高く、独特の発想力を持つ「日本」もこのジャンルで高い評価を受けてきました。
今回は2020年にNetflixで独占配信され、全米で3位の視聴ランキングを取得し高い評価を受けた和製「デスゲーム」ドラマ『今際の国のアリス』(2020)を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
CONTENTS
ドラマ『今際の国のアリス シーズン1』の作品情報
【配信】
2020年(日本ドラマ)
【監督】
佐藤信介
【脚本】
渡部辰城、倉光泰子、佐藤信介
【キャスト】
山﨑賢人、土屋太鳳、村上虹郎、森永悠希、町田啓太、三吉彩花、桜田通、朝比奈彩、水崎綾女、金子ノブアキ、青柳翔、仲里依紗
【作品概要】
麻生羽呂による同名漫画を『アイアムアヒーロー』(2016)の佐藤信介が全8話のドラマ作品として映像化した作品。
映画『キングダム』(2019)など、様々な実写映画で主演を務めてきた山﨑賢人が主演を務めました。
ドラマ『今際の国のアリス シーズン1』のあらすじとネタバレ
大学の中退後、無為な日々を過ごす有栖(アリス)には、勢川(チョータ)と苅部(カルベ)と言う親友が居ました。
カルベは落ちこぼれの自分とは違い、アリスは非凡な才能を持っていると確信していましたが、優秀な頭脳を持つ弟と比べられ卑屈になっているアリスはカルベの言葉を信じてはいません。
ある日、渋谷で落ち合った3人が駅のトイレへと駆け込むと突如として街は静寂に包まれ、渋谷から人が消えてました。
夜、突如電気の着いたビルに足を踏み入れた3人は自分たち以外の人間を発見。
シブキと名乗る女性は、このビルでゲームが開催され、生き残るためにはクリアしなければならないと伝えます。
一度敷地内に足を踏み入れるとゲームのクリアまで敷地の外に出ることは出来ず、脱走者はレーザーによって殺害されると知り、アリスたちはゲームに挑むことを余儀なくされます。
トランプの「クローバーの3」と表示されたゲームは、複数の扉の中からハズレの扉を開けないように正解の部屋を目指すゲームでした。
ハズレの扉を開けた参加者がレーザーによって死ぬ様子を目撃したアリスたちはゲームが真実であることを知ります。
アリスはハズレの扉の先に見えた風景から部屋の構造を把握し、扉を率先して開け4人を正解の部屋へと導きます。
ゲームクリアと共に3日分の「びざ」が発行され、「クローバーの3」と書かれたトランプが出現。
この世界は「今際の国」と呼ばれており、ゲームをクリアすることでトランプの数字分の「びざ」が発行され、「びざ」が切れた人間は0時に降り注ぐレーザーによって死亡するとのことでした。
翌日、生き残るための感覚が鈍らないうちに続けてゲームに参加することをカルベは提案。
しかし、ゲームで怪我を負ったチョータとシブキは反対し、アリスとカルベだけで次のゲームに参加することになります。
参加者が集う団地に足を踏み入れた2人はトランプの数字が難易度、絵柄がゲームのジャンルを示していると聞きます。
「スペード」が体力、「クローバー」が協力、「ダイヤ」が知力が重要になるゲームで、最も恐ろしいものは「ハート」であるとのことでした。
すると、スピーカーが鳴り響き、「スペードの5」の「おにごっこ」が開始。
団地内でサブマシンガンを所持した「おに」をかいくぐり、正解部屋のスイッチを時間制限内に押すゲームであり、狭い階段と通路のみの団地で参加者たちは次々と射殺されます。
アリスとはぐれたカルベは、部下を連れた大柄な粟国(アグニ)に誘われ、人間である「おに」の殺害を目論みます。
カルベは「おに」との戦いで負傷しますが、部下の命を捨て駒にする非情なアグニが「おに」を殺害。
カルベはアグニたちの無線から「ビーチ」と呼ばれる生存者の組織があることを知ります。
一方、アリスは「おに」が強く警戒していた部屋を特定し、スイッチを押すため部屋に侵入しますが、実は「おに」は2人居て窮地に追い込まれます。
そこに驚異的な身体能力を持つ宇佐木(ウサギ)と、参加者たちの動きを観察していた苣屋(チシヤ)が現れ、協力しスイッチを押すことに成功。
「おに」は被っていた面を取るとゲームオーバーとして死亡し、「おに」もまたゲームの参加者であったことを知りアリスは苦悩します。
アリスはウサギを仲間に誘いますが、彼女は「いずれ裏切らなければいけない時が来るかもしれないから」と拒否し去っていきました。
チョータとシブキと合流したのも束の間、数日後には2人の「びざ」の期限が迫り、4人は次なるゲームへの参加を余儀なくされます。
植物園を訪れた4人を待ち構えていたのは「ハートの7」のゲーム「かくれんぼ」でした。
爆弾の着いたゴーグルを装着した4人のうち1人が「おに」になるこのゲームは、制限時間が終了した際に生き残るのは「おに」だけであり、「おに」の座を奪い合う異常なルールでした。
混乱する4人は暴力で「おに」の権利を奪い合いを始めます。
大きな怪我を負っていないアリスは「おに」を手に入れ、誰もいない場所に身を隠すと4人全員で生き延びるためルールの穴を探しますが、ルールに穴は見つかりません。
アリスはカルベやチョータ、そしてシブキと生きた時間のことを思い出し、生きる権利を誰かに託そうとしますが、冷静さを取り戻した3人はアリスを生き残させるために必死で隠れます。
制限時間が目前となった時、カルベはアリスのゴーグルに映らないように現れ、「ビーチ」を探すことと自分の力を信じることを話し3人は死亡。
慟哭するアリスはその場に倒れ込むと生きる気力を失ってしまいました。
ドラマ『今際の国のアリス シーズン1』の感想と評価
拒否も離脱も出来ない理不尽なゲームの国での壮絶なサバイバル
昨今、増え続ける「デスゲーム」作品ですが、その中でも作品として様々な方向性があります。
『イカゲーム』のようなゲームの主催者が人間である作品と、『神さまの言うとおり』(2014)のように人知を越えた者が黒幕と言う作品。
前者はゲームを生き延びながら「主催者の目的」や「組織の全貌」を探るサスペンス要素が強調されますが、後者は相手が人知を越えた存在であるがゆえに「理不尽」さを強く感じる構成となっている作品が多い印象があります。
ドラマ『今際の国のアリス』は後者に該当する作品であり、命懸けのゲームを強要する「今際の国」に対する「理不尽さ」を強調する一方で、作中のさまざまな伏線が「裏のルール」へと繋がっていくサスペンス性の強い作品でもありました。
生き残るために参加しなければならない危険なゲームの裏にある、「今際の国」の秘密に挑んでみてはいかがでしょうか。
海外でも絶賛される和製「デスゲーム」
「デスゲーム」を始めて描いた作品は諸説あり、その原点はスティーヴン・キングがリチャード・バックマン名義で執筆した小説『死のロングウォーク』であるとする説もあります。
スティーヴン・キングのように世界でも名だたる名作家や名監督が製作する「デスゲーム」と言うジャンルにおいて、日本の存在はひときわ輝きを放っています。
1999年に高見広春が執筆し、翌年に深作欣二が映画化した『バトル・ロワイアル』(2000)はクエンティン・タランティーノを始めとした多くの映画関係者から絶賛されました。
その後も、大金や命を賭けたゲームを題材とした漫画および映画の「カイジ」や、「ライアーゲーム」は中国や韓国でリメイクされるなど、「デスゲーム」作品において日本は世界から常に注目を集めています。
本作『今際の国のアリス』も全世界で1800万人もの視聴世帯数を記録しただけでなくその評価はすべからく高いものであり、日本の「デスゲーム」人気をさらに高める一躍を担った作品となり、今後さらにシリーズの発展が期待されています。
まとめ
高い評価と人気から既に続シーズンの制作も決まった『今際の国のアリス』。
続シーズンでは「今際の国」の正体が明かされるだけでなく、解放を求め主催者サイドとの戦いが開催されます。
人の死を残酷に描きながらも、「何のために生きるのか」を問う哲学性を含めたメッセージが人気の本ドラマをぜひNetflixで鑑賞してみてください。