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映画『そらのレストラン』あらすじネタバレと感想評価。家族や仲間の大切さと食材への感謝

  • Writer :
  • もりのちこ

『しあわせのパン』『ぶどうのなみだ』と、人と食を描いてきた北海道映画シリーズに『そらのレストラン』が加わりました。主演はお馴染み北海道出身の大泉洋。

今回の舞台は、北海道せたな町。

海の見える牧場で酪農を営む亘理は、家族と楽しい仲間に囲まれ、チーズ作りに励んでいました。

師匠のチーズに追いつきたい。チーズ作りは、日々奮起したり落ち込んだりの繰り返しです。

実際に、せたな町で循環農業に取り組む自然派農民ユニット「やまの会」をモデルに描かれた『そらのレストラン』

生きるうえで不可欠な「食」を通して、人生の幸せとは何かを問います。

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映画『そらのレストラン』の作品情報


(C)2018「そらのレストラン」製作委員会

【公開】
2019年(日本映画)

【監督】
深川栄洋

【キャスト】
大泉洋、本上まなみ、岡田将生、マキタスポーツ、高橋努、石崎ひゅーい、眞島秀和、安藤玉恵、庄野凛、鈴井貴之、風吹ジュン、小日向文世

【作品概要】
大泉洋主演の北海道映画シリーズ『しあわせのパン』『ぶどうのなみだ』に続く第3弾。

北海道せたな町を舞台に、自然に寄り添った食を追求す人々の暮らしを描いています。前作までは三島有紀子監督でしたが、本作の監督は、『白夜行』『神様のカルテ』などヒューマンドラマを多く手掛けてきた深川栄洋監督。

キャストには大泉洋をはじめ、妻役の本上まなみ。食にこだわった農業仲間に、岡田将生、マキタスポーツ、高橋努、石崎ひゅーい、ジャンルの幅広いキャスティングとなりました。

映画『そらのレストラン』のあらすじとネタバレ


(C)2018「そらのレストラン」製作委員会

凍てつく北海道の冬。牧場を営む亘理(大泉洋)の元へ、ひとりの女性、こと絵(本上まなみ)が凍えながらやって来ます。

手には「北海道の海の見える牧場」という雑誌の記事を握りしめていました。

「ここで働かせて下さい」という、こと絵。「人は雇ってないけど、僕のお嫁さんになれば居れるよ」と冗談で返す亘理。

こと絵は、あまりの寒さにその場に倒れてしまいます。

亘理は、こと絵に温かい牛乳を差し出します。その牛乳の美味しさに、こと絵は「よろしくお願いします」一目ぼれならぬ、一味ぼれでした。

こうして、ママとパパは出会って、潮莉(しおり)が産まれたんだよ。

ここは、北海道せたな町の設楽牧場。海の見える牧場では、放し飼いの牛たちが、緑の牧草をのんびり食べています。

亘理は、自分の娘・潮莉に、妻・こと絵との馴れ初めを聞かせていました。

「ごはんですよー。」家の方から、こと絵の声が聞こえます。

食卓には、新鮮な野菜とピザトースト、設楽牧場の牛乳がのっています。

潮莉をイスに乗せ、3人家族は窓から外の牛たちに向け「いただきます」と挨拶をします。設楽家のお約束です。

ピザトーストのチーズが、ビヨーンとどこまでも伸びます。

食事の後、亘理はいつものように、チーズ作りの師匠・大谷(小日向文世)の工房へ、牛乳を届けに出かけます。

途中に立ち寄った牧羊「NIJIIRO FARM」では、新人の羊使い、神戸(岡田将生)が羊を相手に四苦八苦していました。

帰りに再び立ち寄ると、羊が一匹逃げたと言うではありませんか。

半ば諦める神戸に、地域のファーマー仲間が手を差し伸べます。一匹でも大事な羊、他所の畑を荒らしても困ると、農業は自分勝手が許されない仕事だと学びます。

設楽牧場の亘理、亘理の同級生でトマト・野菜農家の富永(高橋努)、米・大豆農家の石村(マキタスポーツ)、漁師の野添(石崎ひゅーい)の4人は、せたな町で自然に寄り添った食を追求している生産者の仲間たちです。

東京でエリートサラリーマンだった神戸は、馴染めずにいました。

「かんべちゃーん。遊ぼう」ある日の朝、亘理と娘の潮莉ちゃんが神戸を誘いに来ます。

「農業は一人でやっても楽しくないよ」と話す亘理に、「仕事ですから」と神戸。「へぇーへぇー」「へぇーへぇー」と面白おかしく返す亘理と潮莉ちゃん。


(C)2018「そらのレストラン」製作委員会

連れて行かれたのは朝市でした。地域の生産者が集まり開催される朝市は、新鮮な野菜に果物、丁寧に作られた総菜、そしてチーズ職人の大谷のチーズも売られていました。

陽気な仲間たちのペースに飲み込まれ、店の手伝いをさせられる神戸。いつの間にか仲良しです。

その朝市にひと際目立つ客がやって来ました。都会から来たような出で立ちにサングラスをした男は、試食の度に大袈裟に感動し、生産者にお礼を言って歩いています。

たくさんの食材を買い込み上機嫌な男は、帰り際には草まで食べる始末です。

「しおちゃん、見ちゃだめよー。変な人もいるからねー」。

しかし彼は、札幌の有名ビストロのカリスマシェフ・朝田(眞島秀和)でした。

食材探しの旅をしていた朝田は、せたな町の素晴らしい食材に出会い感動。生産者の皆さんに町の食材を使った料理を振る舞うことにします。

招待された亘理たちは、彩り豊かに美しく変身した料理に大喜び。自分たちの作った食材が、プロの手を通すとより美味しくなることに驚きます。

神戸の育てた羊の料理が出てきました。神戸は牧羊を始めてから、羊の肉を食べられなくなっていました。連れて行かれる子羊を複雑な気持ちで送り出す神戸。あの子羊だと思うと、とても手を付けられません。

亘理も皆も、自分のところで育てた動物を食べています。それが生きるということです。

頑張って一口食べてみます。「うまい」ボロボロ泣きながら食べる神戸に、石村が声をかけます。「わかったか。これが世界平和だ」

なぜかシェフの朝田が大泣きをしています。漁師の野添は、せたな町はUFOがたくさん見られるとUFOを呼ぶ踊りを始めます。笑い声が止むことはありませんでした。

そこで亘理はひとつのアイデアを思いつきます。他のみんなにも、この美味しさを味わって欲しい。そして、自然に寄り添った食を追求している自分たちのこだわりを分かって欲しい。


(C)2018「そらのレストラン」製作委員会

「そうだ!一日限定のレストランを開こう!」。

朝田シェフという強い味方を得て、皆もやる気になります。

食材の厳選、メニュー決め、ウエイターの修行までレストラン開店に向けて準備が進みます。

亘理はそのレストランで師匠の大谷のチーズを使用したいと考えていました。

いつものようにチーズ作りを教わりにやってきた亘理に、大谷は「お前は何でチーズを作っているんだ」と聞きます。

父を亡くし途方に暮れていた亘理に、大谷のチーズが希望を与えてくれました。大谷のようなチーズを作りたいという亘理に「お前には無理だ。もう来るな」と言う大谷。

その直後、大谷は倒れてしまいます。

以下、『そらのレストラン』ネタバレ・結末の記載がございます。『そらのレストラン』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)2018「そらのレストラン」製作委員会

大谷の葬儀の日。ずっと寄り添ってきた妻・佐弥子(風吹ジュン)は、亘理に大谷チーズ工房の備品を好きなように使って欲しいと工房を開けます。

しかし工房に入ることが出来ない亘理。悲しみが襲います。そんな亘理を静かに見守ること絵。周りの仲間も亘理を元気づけようとします。

予定であれは一日限定のレストラン開店の日。メンバーは庭でバーベキューを開き、亘理夫婦を囲みます。そこに出されたのは、大谷のチーズでした。

チーズを食べられない亘理。「10年教わっても彼のようなチーズは俺には作れない。もう潮時。牧場をたたもうと思っている」

こと絵にも皆にも相談せず決めた亘理の決断に、苛立ちを隠せない仲間たち。とうとう喧嘩になってしまいます。

大谷の死後、札幌に移り住んだ佐弥子から、こと絵あてに手紙が届きます。手紙には大谷チーズ工房の鍵が同封してありました。

喧嘩をしても仲間、皆お節介が取り柄です。亘理と一緒に農業を続けたい仲間たちは、それぞれのやり方で亘理に寄り添います。

「牧場を辞めたら一生枕元で鳴いてやる。モォーモォー」亘理にこっそり近付き囁く神戸。

東京で外資系商社で勤めていた過去を話します。トップを目指し走り続けた結果、気付けば誰もいなくなっていました。仲間だと思っていた同僚も上司も。何を食べても味がしない。生きている気がしませんでした。ここには、仲間がいます。寒い冬だって怖くありません。

石村は緑が広がる草原へと亘理を連れ出します。「実はお前に隠していたことがあるんだ。俺は昔、ミュージシャンだった」苦笑いの亘理。

若かったミュージシャンの石村はアレルギーに悩まされ、食べ物が大事なことに気付き、無農薬の食材作りを始めました。まだまだ無農薬の取り組みが珍しい時代に、応援してくれ土地まで与えてくれたのが大谷でした。

恩人の大谷から石村は、病気のことを亘理に隠していて欲しいとお願いされていました。頭を下げる石村に、亘理は大谷の気持ちが少しづつ解けていくようでした。

野添はひたすらUFOを呼ぼうとしてくれます。沈む夕日を眺める亘理は、癒されていました。

同級生の富永は、ブルドーザーのシャベル部分に亘理を乗せ連れ去ります。着いた先は、大谷チーズ工房でした。

まだ工房に入れない亘理の背中を仲間たちが押します。工房で亘理は大谷からのプレゼントを受け取ります。

そこには亘理がいつか食べてみたいを言っていた、カビをまとった年期物のチーズが残っていました。

手に取り日付を確認してみると、ちょうど10年前、亘理が初めて大谷に牛乳を届けた日の日付が入っていました。

その日の記憶が思い起こされます。「お前はお前の、自分のチーズを作るんだ」大谷は亘理にそう教えていました。

10年物のチーズの味は、最高の味でした。チーズが生きている。死んで失くなるものばかりじゃない。生き続けるもの、受け継ぐものがあるということを教えてくれました。

自分のチーズを大事な家族に、仲間に、そして皆に食べてもらいたい。亘理は、チーズを作る理由を見つけることが出来ました。


(C)2018「そらのレストラン」製作委員会

予定より遅れたものの、改めてレストラン開店に向けて準備を始める亘理たち。場所は、海の見える牧草地、名付けて「そらのレストラン」です。

いよいよ限定レストランのオープンの日です。集まってくるゲストの中には、大谷の妻・佐夜子の姿もありました。

シェフ朝田の手でさらに美味しくなった食材が次々と登場します。新鮮で体に優しい、安全安心な食材を生産者が自ら説明を加えます。

亘理がこの日のために作り上げたチーズ。まずは、佐弥子に試食を頼みます。

亘理のチーズを口にした佐弥子は涙ぐみながら「美味しい」とこぼします。空で笑っている大谷の姿が浮かびます。

最後の一品は、「空と海と大地のミルフィーユ」その上から大谷の10年もののパルメザンチーズがかけられます。

残された者が出来ることは生きることしかない。どうせ生きるならいっぱい考えて遠回りして、人生を謳歌しよう。

そらのレストランからは、美味しいものを食べて笑いあう、幸せの声が響いていました。

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映画『そらのレストラン』の感想と評価


(C)2018「そらのレストラン」製作委員会

北海道せたな町の海の見える牧場を舞台に、豊かな自然が育む、チーズと仲間の物語『そらのレストラン』大泉洋主演の北海道映画シリーズ第3弾となります。

第1弾の『しあわせのパン』は、洞爺湖を舞台にパンを通して人生の幸せとは何かを描いています。

パンを分け合う人がいるということは、人生を豊かにしてくれます。家族でも友達でも恋人でも、自分以外に大事に思う人がいるということは、幸せなことだと気付かせてくれます。

第2弾の『ぶどうのなみだ』は、空知を舞台にワインを通して人生の幸せとは何かを描いています。

ワイン作りを通して、心に抱えた傷の癒し方を教えてくれます。辛抱強く、少しづつでも前に進む気持ちが大切だと教えてくれます。

第3弾となる今回の『そらのレストラン』は、せたな町を舞台にチーズを通して人生の幸せとは何かを描いています。

安心安全な食材。そこには愛情があり、育ったものを頂く感謝の気持ちがあります。美味しいものを皆で食べる幸せ。「いただきます」をする楽しみを感じます

生きるうえで不可欠な「食」ですが、ただ口にすれば良いというものではありません。

好きな人と食べる食事は、何倍も美味しく感じるはずですし、大勢でたべる食事は賑やかでしょう。悲しみの中での食事は味もせず、ひとりでの食事は適当になるかもしれません。

同じ「食」なら、幸せを感じて食べたいものです。

全3作で主演を務める北海道生まれの大泉洋。その中でも『そらのレストラン』の亘理役が一番彼らしい陽気な一面が多く、他の個性派共演者とのやり取りもコメディ映画のようなテンポの良さで笑いがいっぱいです。

人気バラエティー番組「水曜どうでしょう」のミスターでもお馴染み、鈴井貴之が友情出演しているのも見どころです。

まとめ


(C)2018「そらのレストラン」製作委員会

大泉洋主演の北海道映画シリーズ『しあわせのパン』『ぶどうのなみだ』に続く第3弾『そらのレストラン』を紹介しました。

最近では、健康な食生活のために食品選びや安全性、栄養のバランスなど「食育」という言葉をよく耳にします。

この北海道映画シリーズでは、食の大切さはもちろん、誰と食べるのか、どんな気持ちで食べるのか、食を通して心の幸せの大切さを描いています。

体にも心にも良い「食」とは何か?「食」の質を問います。

家族や仲間の大切さ、食材への感謝の気持ち、暮らしを楽しむヒントが『そらのレストラン』にはあります

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