第56回ゴールデングローブ賞最優秀主演男優賞ほか2部門受賞した名作コメディ!
ピーター・ウィアーが監督を務めた、1998年製作のアメリカのコメディドラマ映画『トゥルーマン・ショー』。
小さな離島で暮らす生命保険会社のセールスマンが、街で死んだはずの父親を見かけてから周囲の異常さに気づき、自分が生きる世界に違和感を抱き始めていく姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。
人生の全てを撮影され、世界中に生中継されていた男の姿を描いた奇想天外な物語で、第56回ゴールデングローブ賞最優秀主演男優賞ほか2部門受賞した映画『トゥルーマン・ショー』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
CONTENTS
映画『トゥルーマン・ショー』の作品情報
【公開】
1998年(アメリカ映画)
【脚本】
アンドリュー・ニコル
【監督】
ピーター・ウィアー
【キャスト】
ジム・キャリー、エド・ハリス、ローラ・リニー、ノア・エメリッヒ、ナターシャ・マケルホーン、ホーランド・テイラー、ブライアン・ディレイト、ブレア・スレイター、ピーター・クラウス、ハイジ・シャンツ、ロン・テイラー、ドン・テイラー、ポール・ジアマッティ、アダム・トメイ、ハリー・シェアラー、ウナ・デーモン、フィリップ・ベイカー・ホール、フィリップ・グラス、ジョン・プレシェット、ユージ・オクモト
【作品概要】
『いまを生きる』(1989)や『マスター・アンド・コマンダー』(2003)、『ようこそ映画音響の世界へ』(2019)などを手がける、ピーター・ウィアーが監督を務めたアメリカのコメディドラマ作品。
1999年、第56回ゴールデングローブ賞最優秀主演男優賞や最優秀助演男優賞、最優秀作品賞に受賞した作品です。
『エース・ベンチュラ』(1994)や『イエスマン “YES”は人生のパスワード』(2008)、『ソニック・ザ・ムービー』(2020)などに出演する、ジム・キャリーが主演を務めています。
映画『トゥルーマン・ショー』のあらすじとネタバレ
シーヘヴンという離島で暮らすトゥルーマン・バーバンクは、生命保険会社で働いています。
「おはよう! 念のため、こんにちはとこんばんは!おやすみ!」が口癖のトゥルーマンには、「いつか島を出て、広い世界を見て回る冒険旅行をしてみたい」という夢がありました。
実はトゥルーマンは、生まれてから一度も島の外に出たことがありません。
トゥルーマンは子供の頃、父カークと一緒にヨットに乗り、沖へ出たことがありました。その時、幼いトゥルーマンはカークの警告を無視しヨットを押し進めてしまったせいで、嵐の海に落ちてしまったカークは溺死。以来トゥルーマンは水恐怖症となってしまったのです。
そんなある日。トゥルーマンがいつものように出勤前に自分用の新聞と、看護師をしている美人な妻メリル・バーバンクが読む雑誌を買った後、街でホームレスの老人を見かけます。
何とそのホームレスの老人は、死んだはずのカークだったのです。トゥルーマンはカークに話しかけた瞬間、目の前にいた彼は突如ペットを連れた男女2人に連れて行かれてしまいました。
その後、トゥルーマンは近くで暮らす母親アンジェラと、メリルに父親が生きていたことを伝えましたが、2人とも信じてくれませんでした。
早く子供が欲しいと強く望むメリルと乾いた生活を送るトゥルーマンには、カークの他にもう1人、忘れられない人がいました。
それは、大学時代に出会った女性ローレン・ガーランドです。密かにローレンに想いを寄せていたトゥルーマンは、勇気を出して彼女をデートに誘いました。
その際、ローレンから謎の言葉を言われました。「皆があなたを見ている、あなたの前で芝居をしているの」
「ローレンというのは役名で、私の本名はシルヴィア」「この世界の空も海も全部偽物、番組の一部である舞台装置でしかない」
「ここにいる人たちの話は全部嘘なの」「本当の私を探しに来て」………そう話すローレンは、突如現れた彼女の父を名乗る男に、車で連れて行かれてしまいました。
映画『トゥルーマン・ショー』の感想と評価
人生の全てを撮影・生放送されていたトゥルーマン
小さな離島シーヘブンで生まれ育ち、妻と親友と一緒に平穏な生活を送ってきたトゥルーマン。しかし物語の後半では、彼の人生全てを24時間365日撮影・放送するリアリティー番組『トゥルーマン・ショー』が作り出した虚構の世界でトゥルーマンは生きていたことが明かされます。
忘れられない想い人シルヴィアにそれを言われた時は、トゥルーマンはいまいちピンときていませんでした。それも死んだはずの父を見かけた日以降、番組側のミスが重なったことで、トゥルーマンは徐々に違和感を覚えていきます。
妻だと思っていたメリルも、親友だと思っていたマーロンも、自分以外全員が俳優だったなんて真実を知った時、トゥルーマンは人間不信に陥ってもおかしくないほど苦悩し怒りを覚えたことでしょう。
それでもトゥルーマンは、最初に真実を教えてくれたシルヴィアのことを信じ、彼女に会うために虚構の世界から脱出する道を選びます。
物語ではトゥルーマンが画面から去ったところしか描かれていないため、シルヴィアと再会できたかは分かりません。
ただあの後、トゥルーマンとシルヴィアが無事再会できていたらと想像すると、トゥルーマンは初めて、本当の世界で本当の幸せを得られるのではないかと考察します。
虚構の世界を作った番組制作者の愛情
2週間の早産で生まれたトゥルーマンを見た時から、番組の制作者クリストフは彼にスター性を見出していました。
初めはトゥルーマンを、生まれながらのスター俳優を育てる感じで、世界最大のドーム型スタジオ「シーヘヴン」を作り撮影していたクリストフですが、彼をカメラ越しに見ているうちに心情に変化が起きたのでしょう。
いつしか会社名義の養子縁組で迎え入れたトゥルーマンを、クリストフは我が子のように想い始め、父親として愛情を持つようになったのだと考察します。
その証拠に父親と再会した後、笑みを浮かべて眠るトゥルーマンの寝顔を、クリストフは愛おしそうに眺め、カメラ越しに彼の顔を撫でていました。
もしも、クリストフが普通に養父としてトゥルーマンに接していたら、画面から去った彼の選択は変わっていたのかもしれません。
まとめ
人生の全てを撮影・生中継されていた男が、理想郷である虚構の世界に生きるか、現実世界に生きるか選択するアメリカのコメディドラマ作品でした。
本作の見どころは、衝撃的な真実を知る前のトゥルーマンの平穏な日常と、知った後のトゥルーマンの日常のギャップです。
虚構の世界だと知る前と後のトゥルーマンの感情・表情・言動を上手く演じ分け、最後までコミカルに演じた主演のジム・キャリーと。
また、番組制作者としての顔と、トゥルーマンに対する不器用な愛情を魅せたクリストフを演じたエド・ハリスの2人の演技力はとても素晴らしかったです。
カメラの内と外で生きるトゥルーマンたち2人の視点で描かれているからこそ、どちらにも感情移入できてより一層感動します。
ジム・キャリーとエド・ハリスが魅せる、人生全てが作られたものだったと知った男の姿を描いた、笑いあり涙ありの感動コメディ映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。