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Entry 2021/12/25
Update

映画『ボーン・スプレマシー』ネタバレあらすじ解説と結末最後の感想。ヒロインの死がジェイソン・ボーンを新たな戦いへ導くシリーズ第2弾!

  • Writer :
  • 秋國まゆ

ロバート・ラドラム作の「ジェイソン・ボーン」シリーズ第2章

ポール・グリーングラスが監督を務めた、2004年製作のアメリカのサスペンスアクション映画『ボーン・スプレマシー』。

記憶喪失の元CIA工作員ジェイソン・ボーンは、恋人マリーと幸せに暮らしていましたが、突如現れた謎の襲撃者に彼女を殺されてしまいます。

ボーンの失った記憶を求めて全ての真実を知るために新たな戦いに挑んでいく姿とは、具体的にどんな内容だったのでしょうか。

前作「ボーン・アイデンティティー」(2002)から2年後の世界を舞台に描かれた、「ジェイソン・ボーン」シリーズ第2章『ボーン・スプレマシー』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。

映画『ボーン・スプレマシー』の作品情報


(C) 2004 Universal Studios – All Rights Reserved

【公開】
2005年(アメリカ映画)

【原作】
ロバート・ラドラムのベストセラースパイ小説『殺戮のオデッセイ』

【監督】
ポール・グリーングラス

【キャスト】
マット・デイモン、フランカ・ポテンテ、ジョーン・アレン、ブライアン・コックス、ジュリア・スタイルズ、カール・アーバン、ガブリエル・マン、マートン・ソーカス、トム・ギャロップ、ジョン・ベッドフォード・ロイド、カレル・ローデン、ミシェル・モナハン、イーサン・サンドラー、ショーン・スミス、クリス・クーパー

【作品概要】
『ブラディ・サンデー』(2002)や『ボーン・アルティメイタム』(2007)、『ジェイソン・ボーン』(2016)などを手掛ける、ポール・グリーングラスが監督を務めたアメリカのサスペンス作品。

前作「ボーン・アイデンティティー」(2002)から2年後の世界を描いた続編です。ロバート・ラドラムのベストセラースパイ小説『殺戮のオデッセイ』が原作となっています。

主演を務めるのは前作に引き続き、「ジェイソン・ボーン」シリーズや「オーシャンズ」シリーズ、『フォードvsフェラーリ』(2019)などに出演するマット・デイモンです。

映画『ボーン・スプレマシー』のあらすじとネタバレ


(C) 2004 Universal Studios – All Rights Reserved

前作「ボーン・アイデンティティー」から2年後。記憶喪失の元CIA工作員ジェイソン・ボーンは、恋人マリー・H・クルーツと一緒に、インド・ゴアでひっそりと暮らしていました。酷い頭痛によって蘇る記憶の断片を、2年間ノートに書き記しながら………。

2人の幸せな日々は、ある日突然終わりを迎えます。ゴアの街にシルバーの車に乗る謎の襲撃者に現れ、その男を二度見かけて不審に思ったボーンは、マリーを連れてその場から逃走。

しかしその道中、席を交換して運転席にいたマリーは、ボーンが運転席にいると思った男に背後から撃たれて殺されてしまいました。

車ごと橋から落ちたボーンは、マリーの死後、家にあるマリーの写真やパスポートを焼却。ただ、2人で撮った思い出の写真だけは、ボーンは捨てられませんでした。

マリーの仇をとると誓ったボーンは、失った記憶の謎を解き明かすべく、旅に出ました。

時を同じくして、ドイツ・ベルリンにいるCIAの諜報員パメラ・ランディ率いる調査チームは、不正送金事件の調査を行っていました。

しかし、突如現れた謎の襲撃者の襲撃を受け、ベルリンでの取引を行っていたCIA諜報員と情報屋が殺されてしまいました。

さらに300万ドルの大金を盗まれ、調査チームが得るはずだったファイルも盗まれてしまいました。

現場には2つの爆発物がケーブルにつけられており、不発に終わった1つの爆発物から指紋が検出されました。

パメラたちがその指紋をCIAのデータベースで照合した結果、該当する者が見つかったものの、トレッドストーン計画という最高機密へのアクセスとなるため、アクセス権限がない彼女たちはこれ以上調べられません。

そこでパメラは、一度アメリカ・ヴァージニア州にあるCIA本部に戻ることに。CIAのマーティン・マーシャル次官に、CIA諜報員と情報屋を殺し、300万ドルの金とファイルを盗んだ犯人の手掛かりを掴んだと話し、それが知りたければ最高機密へのアクセス権限をくれないかと要求します。

襲撃者の手掛かりとなる指紋を手に入れたと話すパメラに、マーシャルは「全てを報告すること」を条件に、最高機密へのアクセスを許可しました。

この間、ボーンを狙った男は雇い主であるロシアの大富豪、石油会社「ぺコス石油」のCEOグレツコフに、「ボーンを始末した」と報告していました。

最高機密へのアクセス権限を得たパメラが、指紋の該当者を調べた結果、現場に残された指紋はボーンのものであることが判明。

さらにトレッドストーン計画と書かれた資料には、CIAのアレクサンダー・コンクリンは、作戦中に死亡したと記されていました。


(C) 2004 Universal Studios – All Rights Reserved

そこでパメラは、CIA長官ワード・アボットを問い詰めることにしました。「トレッドストーン作戦とは?」

「暗殺集団、闇の部隊のことだ。2年前に終わったことだ」

「トレッドストーン計画と記されたファイルで、記録を調べたら、コンクリンが作戦中に死んだことになっているけど、どういうこと?」

「コンクリンはジェイソン・ボーンたちに厳しすぎた」「No.1の実力を誇るボーンは任務に出て、そのまま消えた」

「コンクリンは事態を収拾できず混乱した」「だから始末したのね?」

「…私はCIAに30年、4大陸で苦労をしてきて、来年引退だ。こんなことで私を責めるなら、次官と共に地獄に送ってやる」

アボットの尋問後、ボーンがCIA諜報員と情報屋を殺した犯人だと睨んだパメラは、英国にあるCIAのロンドン支部と連携し、ボーンの行方を追いました。

さらにパメラは、マーシャルやアボットたちCIAの上層部にこう言いました。「7年前、モスクワ経由の送金途中に、CIAの2,000万ドルが消失」

「ロシアの政治家ネスキーから電話があり、盗んだ犯人はCIA内部のスパイだと言っていた」

「事実かどうか確かめるべく、ネスキーに直接会おうとしたが、会う前に彼は妻に殺された」

「ひと月前に情報屋が現れ、“殺しに関するファイルをベルリンで渡す”と言われた」「だがその情報屋と会う日、ジェイソン・ボーンの襲撃に遭い、諜報員と情報屋を殺されてしまった」

「コンクリンの個人のPCには、彼のトレッドストーンに関するファイルには、他部の情報がぎっしり入っており、スイスの銀行口座も見つかりました」

「コンクリンが殺された時、彼の個人口座には76万ドル送金されていました」「彼はボーンと前に組んでいて、情報を恐れたボーンが殺しに現れた」

そう話したパメラの元に、イタリア・ナポリでボーンを発見し、捕まえたとの報告が入ります。

米国領事館の調査官ジョン・ネビンスがボーンを尋問しましたが、黙秘を続ける彼に手を焼いていました。そこへ、CIA本部のトム・クローニンから1本の電話が。

「勾留したボーンは重要容疑者だ、どんな手段を使ってもそのまま勾留しておけ」

ネビンスがその電話を切った直後、ボーンは瞬時に警備員とネビンスを昏倒させ、彼の携帯電話に盗聴器を仕込み、ネビンスの車を盗んで逃走します。

車を運転しながら、ネビンスの携帯にかかってきたパメラとの会話を盗聴したボーンは、自分がCIA諜報員と情報屋を殺した犯人にされていることを知りました。

ネビンスにイタリアの地域を封鎖するよう頼んだパメラは、マーシャルからの指示でアボットと一緒に、ボーンを始末しに行きます。

以下、『ボーン・スプレマシー』ネタバレ・結末の記載がございます。『ボーン・スプレマシー』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C) 2004 Universal Studios – All Rights Reserved

翌日。オランダ・アムステルダムに到着したパメラたちは、そこにいたパリの調査員ニコレット”ニッキー”・パーソンズを尋問しました。

「君は3年、“トレッドストーン”に関わっていた。当時の身分は何だった?」「パリのアメリカ人留学生」

「パリで何の任務をしていた?」「任務は2つ。1つは戦略の管理と、工作員の精神面での健康チェック。みんな抑鬱や怒り、強迫観念という問題を抱えていて、身体的症状は酷い頭痛や光の過敏症。記憶喪失はボーンが初めて」

そこでナポリへ飛ぶ飛行機の準備が整い、パメラはコンクリンが殺された夜、彼と一緒にいたニッキーに同行を求めます。

パメラたちがナポリにいる調査チームと合流した頃、ボーンはドイツ・ミュンヘンにいる暗殺者マンハイムの元を訪れていました。

コンクリンやトレッドストーンについて尋ねるボーンの問いに対し、マンハイムはこう答えました。

「お前が消えた夜、コンクリンはパリで撃たれて死んだ。トレッドストーンの関係者は誰もいない、あれは終わったんだ。残ったの(人間兵器)は俺たちだけ」

ボーンはマンハイムに、パメラのことやベルリンで何が起きたのか尋問するも、マンハイムは何も知りませんでした。

つまり、ボーンが再び命を狙われているのも、そのせいでマリーが殺されてしまったのも、トレッドストーンとは無関係ということかと推測するボーン。

その隙にマンハイムはCIA本部へ通報し、両手を拘束されているとは思えないほどの動きで、ボーンと死闘を繰り広げていきます。

自力で両手の拘束を解いたマンハイムとの死闘の末、ボーンはテーブルランプのケーブルを使い、マンハイムを絞殺。

ガス管とトースターを使って家が爆発するよう仕掛けた後、ボーンは家の裏手に停められていたマンハイムの車を使って逃走します。

ベルリンにあるオスト駅で車を乗り捨てたボーンは、パメラの居場所を特定するべく、駅構内の公衆電話を使って、ベルリンのホテルに片っ端から電話をかけていきました。

その結果、ボーンは「ウェスティン・グランド」というホテルに、パメラが宿泊していることを突き止めました。

タクシーでウェスティン・グランドへ向かったボーンは、直接ロビーでパメラを呼び出して貰い、かけた部屋番号を瞬時に記憶。ホテルから出てきたパメラを尾行します。

パメラと彼女が率いる調査チームがいる建物を突き止めた後、ボーンは向かいの建物の屋上から、狙撃銃のスコープ越しに彼女を監視。奪ったマンハイムの携帯で彼女に電話をかけました。

「出頭したい。俺たちトレッドストーンを管理していた女(ニッキーのこと)を呼べ。アレクサンダー通りにある“世界時計”の下に、今君の横にいる彼女1人で来させろ」

その後、パメラたちは世界時計の下に向かわせたニッキーを守るため、ひいては非常時にボーンを撃ち殺すため、監視班と狙撃手を彼女の近くに配備させました。


(C) 2004 Universal Studios – All Rights Reserved

そんな中、ボーンはニッキーが持つ携帯に電話をかけ、市電に乗るよう指示を出します。

アレクサンダー駅へ到着後、市電に乗っていたボーンはニッキーを連れ出し、乗り込んできた監視班とすれ違うように市電から降りて、デモ隊に紛れてその場から離脱。歩きながらニッキーを尋問しました。

「パメラとは誰だ?」「特殊任務のチーフよ、“トレッドストーン”とは関係ないわ」

「何故俺を狙う?」「先週、諜報員が情報屋から、CIA内部にいるスパイの情報が載ったファイルを買おうとした。その諜報員と情報屋をあなたが殺したから」

「現場に残された指紋を調べたら、あなただったから。どうして戻ってきたの?」「先週、俺はインドにいてマリーが死んだ。俺が狙われ、彼女が殺された。だから今度こそカタをつける」

そこでボーンは、電波が届かず会話が盗聴されない地下鉄構内の場所へ入り、ニッキーにさらに詰め寄ります。

「なぜ俺を犯人に仕立てる?」「私はアボットに呼ばれただけ。アボットは“トレッドストーン”の責任者であり、コンクリンのボスよ。彼が仲間の解散を指示した」

「買おうとしたファイルとは?」「コンクリンのファイル。ロシアの政治家が…」

ここでボーンは、知らないはずのネスキーの名前を口にします。そしてボーンは、ベルリンで一度、トレッドストーンの任務をやったことを断片的に思い出し、ニッキーにそのことを問い詰めましたが、「それはボーンではなく、ジュネーブよ」と言われてしまうのです。

ニッキーをその場に置き去りにし、再び姿を消したボーンの行方を追うパメラ。アボットはそんな彼女に、こんな忠告しました。

「奴はベルリンにいたが、奴の記憶は壊れている」「奴を追い続けるなら、君自身を守るために手を考えろ」

その直後、コンクリンの部下であったダニー・ゾーンがアボットに声を掛け、彼を事件現場であるビルへ連れ出します。

「ここに爆弾を仕掛ければ、ビルの電気は飛びます」「だが、爆弾を2個仕掛けた。この2個目は爆発しなかった」

「ボーンのように爆弾に詳しければ、ブレーカー用の線に2個目の爆弾を仕掛ける必要がないことくらい分かるはず」

「誰かがコンクリンとボーンに、罪を擦りつけようとしているのではないかと」………そう言ったダニーを、アボットは背後から襲い掛かり、隠しナイフで斬りつけ殺害しました。

この間、ロシアの改革派の政治家ネスキーについて調べたボーンは、彼が石油私有化を批判していたこと。ドイツでネスキーを射殺した彼の妻は、その直後に自殺したことを知りました。

ネスキーのことを記した記事の中で、ボーンはで記憶の断片にあった「ホテル・ブレッカー」というホテルを発見。

そこに行けば記憶を取り戻す手掛かりが掴めるかもしれないと思い、ボーンはホテル・ブレッカーに向かうことにしました。

644号室に部屋を取ったボーンは、記憶を断片的に思い出しながらホテル内を歩き、断片的に思い出した記憶にあった645号室へ侵入。

そこでボーンは、今のように645号室に忍び込み、そこにいたネスキーを射殺。続いて彼と一緒にいたネスキーの妻を射殺し、凶器として使った銃をネスキーの妻の手元に残したこと。

ホテル・ブレッカー前に停められた車に戻ったボーンに、助手席に座っていたコンクリンが、「おめでとう、訓練は終わりだ」と告げていたことを思い出します。

その直後、パメラによって指名手配されてしまったボーンの元に、ホテルの従業員による通報を受けたベルリン警察の警官たちが駆けつけてきました。

間一髪のところでホテルから脱出したボーンは、執拗に追ってくるベルリン警察を何とか振り切り、最寄りの駅から電車に乗り込みその場から逃走。

ボーンを取り逃がしたパメラたちは、彼がいた645号室を訪れていました。ネスキーの妻が夫を射殺した部屋であると思い出したパメラは、本当にネスキーの妻が夫を殺したのか疑問に思います。

そんなパメラの元に、ダニーの死体が発見されたとのベルリン警察からの知らせが届きました。

宿泊先のホテルに戻ったアボットは、グレツコフに連絡を取り、彼にボーンの始末を依頼しましたが、断られてしまいます。

「君はCIAの2,000万ドルで石油権を手に入れた、私に貸しがあるはずだ」「その分け前はもう払った。お互いに金持ちになったことだし、もうお前に借りはない」

グレツコフとの通話後、アボットの背後にボーンが現れます。ボーンに銃口を突きつけられたアボットは、マリーではなくボーンを殺すつもりでインドに刺客を放ったこと、情報屋が渡そうとしていたファイルには自分につながることが書かれてあったため、ファイルが消えてボーンが疑われれば幽霊が犯人で済むはずだったことを明かしました。

さらにアボットは、自分を殺すなら早く殺せとボーンを急かします。ボーンが立ち去った後、入れ違うようにパメラがアボットの元へ向かいましたが、アボットは彼女の目の前で拳銃自殺しました。

アボットの死後、パメラ宛にボーンから小包が届きます。実はボーンは、アボットの自白をこっそり録音しており、その録音テープをパメラに送ったのです。

ボーンはロシア・モスクワへ飛び、ネスキーの娘を探していました。そんなボーンを、パメラがロシア内務省に手配させたシークレット・サービスと、アボットからボーンの生存を聞かされたグレツコフが放った暗殺者が、同時に追いかけてきます。

駅近くのタクシー乗り場でタクシーを盗んだボーンは、暗殺者に撃たれた傷に応急処置を施しつつ、シークレット・サービスと暗殺者の追跡を振り切るべく、激しいカーチェイスを繰り広げていきました。

途中、ロシア連邦保安庁(FSB)の応援が加わり、ますます追手が増えてしまったボーン。高速道路のトンネルに入った彼は、車を運転しながら低い姿勢を取り、暗殺者が乗る車のタイヤをパンクさせ、さらに分離帯に押し付け激突させます。

ボーンは警戒して激突させた車に近づきますが、運転席にいた暗殺者は瀕死状態。その直後、FSBはモスクワにいたグレツコフを逮捕しました。

何とか追手を振り切ったボーンは、ネスキーの娘の居場所を突き止め、彼女に会いに行きました。

ボーンはネスキーの娘に会いに行ったのは、彼女に両親の死の真相を伝えるためです。「君のお父さんは1人でいると聞かされていたが、そこに君のお母さんが現れ、計画が狂ってしまった」

最後に両親を殺してしまったことを詫び、その場から立ち去ったボーン。後日、ニューヨークにいるパメラに電話した彼は、アボットの自白テープのおかげで事件は解決したことと、自分の本名はデビッド・ウェッブ、1971年4月15日生まれでミズーリ州ニクサ出身であることを知らされました。

それを聞いたボーンは、再びCIAの前から姿を消していきました。

映画『ボーン・スプレマシー』の感想と評価


(C) 2004 Universal Studios – All Rights Reserved

愛する人を失くした元CIA工作員の新たな戦い

物語の序盤、前作で結ばれたボーンとマリーが仲睦まじく生活している姿が描かれており、前作で2人を観ていたファンとしては微笑ましい光景でした。

ただ次の場面では、ボーンを殺そうとした暗殺者が「運転席にいるのはボーンに違いない」と思い込んだせいで、直前に席を変えていたマリーが撃たれてしまう羽目に。

物語が始まって早々のヒロインの退場に、誰もが予想できず衝撃を受けたことでしょう。また、いきなりマリーを失ってしまったボーンの悲しみを考えると、涙が止まりません。

もうCIAとは決着がついたはずと思っていたのに、まだ自分の命を狙う者がいるということは、トレッドストーンや失われた記憶になんか関係があるのではないかと考えたボーン。

彼の推測は的中し、アボットはトレッドストーンのことを闇に葬るべく、今度こそ始末しようと画策しており、ボーンが以前任務で殺したネスキーに関係がある男グレツコフが暗躍していました。

記憶の断片を繋ぎ合わせ、失われた記憶を取り戻そうとするボーンが、国境を越えてCIAと暗殺者と戦っていくサスペンスアクション場面は、手に汗握るスリルが味わえます。

暴かれたアボットの悪事


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ボーンが失くした記憶を取り戻していくにあたって、全ての黒幕であったアボットがどんな悪事を仕出かしたのかが明かされていきます。

まずアボットは、グレツコフに盗んだCIAの2,000万ドルを渡し、彼に石油権を手に入れさせ、その分け前を貰うという不正送金事件の犯人でした。

次にアボットはその事実を隠すためでしょう。不正送金事件を起こしたCIA内部スパイの罪をコンクリンに、ファイルを渡す情報屋と受け取ろうとしていたCIA諜報員を殺害した罪をボーンにそれぞれ被せたのです。

最後にアボットは、ボーンが犯人ではないことに気づいたコンクリンの部下ダニーを殺害。「愛国心故に邪魔者を排除しただけ」と言うアボットは、ボーンがなかなか死なないことに次第に焦燥感に駆られていきます。

そのせいで、7年間ありとあらゆる罪を他人に被せ排除したことで、隠していたことをアボットはボーンに素直に白状してしまうのです。

アボットの自白を聞く限り、コンクリンやボーンたちトレッドストーン関係者とトレッドストーン自体、彼にとっては私腹を肥やすために利用した隠れ蓑ではないかと考察できます。

まとめ


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失くした記憶の謎を解き明かすため、再び暗殺者とCIAと戦うことになった元CIA工作員の姿を描いた、アメリカのサスペンスアクション作品でした。

本作の見どころは、再び暗殺者に命を狙われたボーンの戦い、人間兵器として育て上げられた元CIA工作員同士の死闘、モスクワの街で繰り広げられるカーチェイスです。

前作より記憶を取り戻したボーンは、前作以上の身体能力の高さを活かしたアクション、事件の黒幕・真相に辿り着けたほどの頭脳明晰なところを魅せており、観た人はますます彼に魅了されることでしょう。

物語の途中までボーンが犯人だと思っていたパメラたちCIAが、ボーンより先にアボットに疑いの目を向けたからこそ、ボーンが送ったアボットの自白テープをすんなり信じることが出来たのだと考察します。

再びCIAと暗殺者を退け、姿を消したジェイソン・ボーンを演じるマット・デイモンが、次回作の「ボーン・アルティメイタム」(2007)ではどんな活躍を見せてくれるのか楽しみですね。

記憶喪失の元CIA工作員が国境を越え、失くした記憶の謎を解き明かしつつ、再び戦いに身を投じていくサスペンスアクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品となっています。

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