Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

サスペンス映画

Entry 2021/11/02
Update

韓国映画『スティール・レイン』あらすじ感想と考察解説。潜水艦ミリタリーサスペンスはNetflix鋼鉄の雨の“姉妹編”

  • Writer :
  • 松平光冬

韓国公開7日連続興行収入No.1大ヒットのミリタリーサスペンス!

韓国にて「公開7日連続興行収入No.1」という大ヒットを記録した映画『スティール・レイン』が、2021年12月3日(金)よりシネマート新宿ほか全国ロードショーとなります。

韓国・北朝鮮・アメリカの首脳が、北朝鮮高官のクーデターに巻き込まれたことにより、歴史を揺るがす恐ろしい危機に直面するさまを壮大なスケールで描いた、本作の見どころをご紹介します。

スポンサーリンク

映画『スティール・レイン』の作品情報

(C)2020 YWORKS ENTERTAINMENT & LOTTE ENTERTAINMENT & STUDIO GENIUS WOOJEUNG All Rights Reserved.

【日本公開】
2021年(韓国映画)

【原題】
강철비2:정상회담(英題:Steel Rain 2:Summit)

【監督・脚本】
ヤン・ウソク

【撮影・音楽】
キム・テソン

【美術】
ヤン・ホンサム

【キャスト】
チョン・ウソン、クァク・ドウォン、ユ・ヨンソク、アンガス・マクファーデン、白竜

【作品概要】
南北に分断されたまま長く冷戦状態が続く朝鮮半島を舞台に、韓国・北朝鮮・アメリカの3カ国の首脳たちが巻き込まれる陰謀を描く軍事サスペンス。監督・脚本を務めたのは、監督デビュー作『弁護人』(2013)が観客動員数1,100万人突破の大ヒットを記録したヤン・ウソク。

WEBコミック作家でもあるヤン・ウソクが自身の手がけた「鋼鉄の雨」シリーズを自ら映画化した『鋼鉄の雨』(2018)でも主演を務めた、チョン・ウソンとクァク・ドウォンを本作にて再び主演に起用。『鋼鉄の雨』からさらにスケールを広げて物語が展開されていきます。

北朝鮮の最年少指導者役に『愛を歌う花』(2017)のユ・ヨンソク、アメリカ大統領役に『クレイドル・ウィル・ロック』(2000)のアンガス・マクファーデンが出演しているほか、日本からは白竜も参加。韓国では「公開7日連続興行収入No.1」という大ヒットを樹立しました。

映画『スティール・レイン』のあらすじ


(C)2020 YWORKS ENTERTAINMENT & LOTTE ENTERTAINMENT & STUDIO GENIUS WOOJEUNG All Rights Reserved.

全世界が注目する「平和協定」の締結に向け、韓国大統領ハン、北朝鮮委員長チョ、アメリカ大統領スムートによる首脳会談が北朝鮮で開催されることに。

しかし、米朝間の意見が割れる中、核兵器放棄と国交正常化に強く反対する北朝鮮の護衛司令部パク総局長による軍事クーデターが勃発。三首脳は弾道ミサイルを搭載した原子力潜水艦「白頭号」に拉致監禁されてしまいます。

今にも核戦争に発展しうる危機的状況のなか、国家の威信と野心をかけた者たちの思惑が交戦し、逃げ場のない潜水艦は戦場さながらの激闘へと突入していくのでした…。

スポンサーリンク

映画『スティール・レイン』の感想と評価


(C)2020 YWORKS ENTERTAINMENT & LOTTE ENTERTAINMENT & STUDIO GENIUS WOOJEUNG All Rights Reserved.

韓国人気WEBコミックを映画化!

本作『スティール・レイン』は、韓国で2011年に発表されたWEBコミック「STEEL RAIN(スティール・レイン)」が原作です。

WEBコミック作家のヤン・ウソクによる同原作は、北朝鮮で発生したクーデターを軸に描いた軍事サスペンスとして瞬く間に人気を博し、日本でも書籍版が小学館から刊行されました(現在は絶版)。

2018年には、ソン・ガンホ主演の『弁護人』ですでに映画監督デビューしていたウソクが、自作「STEEL RAIN」を『鋼鉄の雨』として実写映画化(Netflixで配信中)しました。

本作は、原題こそ『강철비2:정상회담(鋼鉄の雨2:首脳会談)』となっているものの、ストーリーに直接のつながりはなく、前作『鋼鉄の雨』の世界観を深めた姉妹編といったところ。したがって、『鋼鉄の雨』を未見でも楽しめるようになっています。

『鋼鉄の雨』で北朝鮮の元工作員を演じたチョン・ウソンと韓国の大統領秘書官役のクァク・ドウォンが再び主演を務めますが、本作ではウソンが韓国大統領ハン役ドウォンが軍事クーデターを主導する北朝鮮のパク総局長役と、南北朝鮮の立場を逆転させたキャラクターに扮しています。

緊張と緩和が入り混じる三首脳会談

(C)2020 YWORKS ENTERTAINMENT & LOTTE ENTERTAINMENT & STUDIO GENIUS WOOJEUNG All Rights Reserved.

軍事クーデターを企てた北朝鮮のパク総局長により、原子力潜水艦「白頭号」の狭い艦長室に監禁されてしまう韓国・北朝鮮・アメリカの三首脳。

何事においてもアメリカが一番と豪語するスムート米大統領に、核を切り札に国際舞台に立ちたい北朝鮮のチョ委員長。言うまでもなくドナルド・トランプと金正恩がモデルの両者は、利害をめぐり激しく対立します。

そんな2人の調停役を必然的に務めることとなる韓国大統領のハン。ですが英語力が乏しいために両者の対話に上手く入れず、コミュニケーションを取るのに四苦八苦します。

実は本作の一番の見どころは、原題が示す通り、3人の“首脳会談”にあります。

実直すぎるハン、短気でヘビースモーカーなチョ、そしてジョーカーのように周囲をかき回すスムートという3人の人物像がスパイスとなり、密室での会談というシチュエーションながらも、緊張とユーモアのバランスが取れた展開が、観る者を飽きさせません。

さらにはクーデター首謀者のパクや、事態を把握していない白頭号の乗組員たち、政治的にも軍事的にもイニシアチブを取ろうとするアメリカ政府や日本(白竜が日本側のフィクサーを怪演!)の思惑も絡み、ドラマは予期せぬ展開へと転がっていきます。

(C)2020 YWORKS ENTERTAINMENT & LOTTE ENTERTAINMENT & STUDIO GENIUS WOOJEUNG All Rights Reserved.

もちろん、安易な物音が命取りとなるスリリングな潜水魚雷戦や、「白頭号」内で繰り広げられる激しい銃撃戦など、潜水艦映画ならではな醍醐味もしっかりと抑えています。

撮影にあたり、「白頭号」の内部のセットだけでも「北朝鮮ならば、ロシアの潜水艦をモチーフに自主的な変形を加えて作ったであろう」という想定をベースに、丸々2ヶ月もの日数を要して製作。また、実際に韓国海軍で艦長を務めたキム・ヨンウの監修により、リアリティを追求した出来映えとなっています。

まとめ

(C)2020 YWORKS ENTERTAINMENT & LOTTE ENTERTAINMENT & STUDIO GENIUS WOOJEUNG All Rights Reserved.

最初こそ衝突し合っていたものの、徐々に首脳ではなく一人の人間としての素顔を見せていく3人の関係は、一種のバディ・ムービーの様相を呈していきます。

紆余曲折を経ての三首脳による会談が着地する、一つの結論のゆくえは?

『U・ボート』(1982)、『レッド・オクトーバーを追え!』(1990)、『K-19』(2002)、『ハンターキラー 潜航せよ』(2019)などなど、秀作揃いの潜水艦映画において、本作『スティール・レイン』もその一本に連なるのは間違いないでしょう。

映画『スティール・レイン』は、2021年12月3日(金)よりシネマート新宿ほか全国ロードショー


関連記事

サスペンス映画

高良健吾映画『アンダーユアベッド』あらすじネタバレと感想。結末ラストはホラーか愛か!?

映画 『アンダー・ユア・ベッド』は2019年7月19日公開。 名前を呼ばれたことすらなかった孤独な男が11年間想い続けた相手は結婚して、そしてDVを受けていた。 男の思いは暴走し、ストーカー、盗撮、盗 …

サスペンス映画

映画『復讐者たち』ネタバレ結末感想と考察評価。“復讐プランA”とユダヤ人旅団ハガナーとは⁈

ホロコーストを生き延びたユダヤ人たちによる復讐計画の行方を描いたサスペンス映画『復讐者たち』 “目には目を、歯には歯を”家族を殺されたユダヤ人たちの癒えない苦しみと、驚くべき復讐計画「プランA」。 実 …

サスペンス映画

映画『サンセット』あらすじ感想と考察。ネメシュ監督が誘う“解けない謎”とは

『サウルの息子』のネメシュ・ラースロー監督が贈るミステリー 映画『サンセット』は、2019年3月15日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかで公開! 初の長編映画『サウルの息子』( …

サスペンス映画

映画『鵞鳥湖の夜』ネタバレ結末の解説と内容考察。ラストの心象がシスターフッドという意外性も相まって忘れがたい秀作

『鵞鳥湖の夜』は2020年9月25日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町&渋谷ほかにて公開! 『薄氷の殺人』(2014)でベルリン国際映画祭金熊賞、銀熊賞(男優賞)をダブル受賞した中 …

サスペンス映画

悪と仮面のルール新木優子(ホステス香織役)の演技評価と感想!

芥川賞作家の中村文則によるサスペンス小説『悪と仮面のルール』を玉木宏主演で映画化。 ヒロインのホステス香織役に、テレビドラマ『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』『100万円の女たち』『コード・ブルー …

U-NEXT
CINEMA DISCOVERIES【シネマディスカバリーズ】
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
【連載コラム】光の国からシンは来る?
タキザワレオの映画ぶった切り評伝『2000年の狂人』
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【KREVAインタビュー】映画『461個のおべんとう』井ノ原快彦の“自然体”の意味と歌詞を紡ぎ続ける“漁師”の話
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学