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中村友則映画『ケイタネバーダイ』あらすじと感想。大迫茂生の演技力が輝く個性的な存在感

  • Writer :
  • 田中比奈

映画美学校出身である中村友則監督の映画『ケイタネバーダイ』は、12月15日から池袋・シネマロサにて初上映となります。

暴力と不条理に満ちた現世、夢も希望もない来世、漂流し続ける主人公ケイタが選んだ道は?

バイオレンスコメディ映画『ケイタネバーダイ』のあらすじと、その魅力をご紹介します。

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映画『ケイタネバーダイ』の作品情報


(C)2017 Nakamura Tomonori

【公開】
2017年

【監督】
中村友則

【キャスト】
大迫茂生、西山真来、中村友則、あらい汎、篠田竜、青木佳文、大瀬誠、竹之下桃、竹下かおり、山田ヒロシ、綱木謙介

【作品概要】
借金の為、恋人とともに苦しい生活を強いられていたケイタは、恋敵の奸計によってリンチされダムに捨てられてしまいます。

流れ着いたのはなんとあの世。ケイタは父親・満男と出会い現世に蘇ろうとしますが…?

本作『ケイタネバーダイ』は、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2018、カナザワ映画祭2018などで上映されました。

期待の新人監督として期待される中村友則監督が脚本・主演を務めます。

ほか『戦慄怪奇ファイルコワすぎ!』大迫茂生、『へばの』西山真来、“汎マイム工房”主催のあらい汎など、監督が「活きのいい」とコメントした俳優陣が揃いました。

映画『ケイタネバーダイ』のあらすじ


(C)2017 Nakamura Tomonori
主人公・ケイタ(中村友則)は恋人のアキラ(篠田竜)とふたり、姉・アキ(西山真来)の家に居候しています。

ケイタは大きな借金を背負っており、やくざ・木村組の取り立てに怯えながらアキラと一緒に昼は清掃業、夜は身体を売って働いていました。

アキも同様に、自宅で身体を売って生計を立てています。

ある日、ケイタは木村組組長(あらい汎)の娘・サチ(竹之下桃)を強姦したと、濡れ衣を着せられてしまいます。

それはアキラに横恋慕していたサチの企みでした。

木村組からリンチを受けた挙げ句に陰部を切り取られ、ダムに捨てられるケイタ。

ケイタの体はダムから川を漂流し、やがてあの世の岸辺に辿り着きました。

そこでケイタはかつての父・満男(大迫茂生)と出会い、体を鍛えながら再び現世への蘇生を目指します。

一方、アキのもとには木村組が押し掛け、死んだケイタの借金を肩代わりするよう迫っていました。

アキラはいったんはサチのものになりましたが、ケイタの魂がまださ迷っていることを知り、ある決心をします。

ケイタは無事に生き返り、姉とアキラに再会できるのか…。

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映画『ケイタネバーダイ』の感想と評価


(C)2017 Nakamura Tomonori

「死に救済はあるのか」を考察したシニック・コメディ

主人公ケイタは、なんの力も持たない故の鬱々とした不自由な人物として行動し、いつの間にか罠に嵌められ三途の川を渡ります。

浮世常世とはよく言ったもので、あの世とこの世はしばしば伝承でコンテンポラリー・テンポラリーとして区別されてきました。

この世は儚く、魂が一時的に留まるところ。あの世はこの世にはない絶対的な真理があり、魂の結着がつくところです。

ところが本作『ケイタネバーダイ』では、天国でも地獄でもない、ある意味奇妙な他界が描写されます

「無や、無!考えるな」と言い放つケイタの魂を象徴するかのように、あの世もこの世もまるでいい加減で、実態が掴めません。

搾取される側の人間は世界に興味も持たれず、ただひたすらに時間を消費します。

まさに死ぬも地獄、生きるも地獄。このぬるま湯で満ちた奈落に翻弄されるケイタは、思わず同情し、そして笑ってしまうほどに卑小です。

ところが、そんな全編に流れるおぼろげな空気とは裏腹に、物語はゲリラ的な急展開で二転三転。

ケイタとアキラもただ流されるだけではありません。

理不尽な世界に一矢を報いようと決意していくその姿に、観客は不意をつかれ目が離せなくなっていきます。

個性的なキャスト陣と大迫茂生の存在感

本作では中村監督自身をはじめ、それぞれの役に不思議な味わいを持たせるインパクトの強い俳優が多数出演しています。

なかでも満男を演じる大迫茂生は、キーパーソンの役割も相まって強烈な存在感です。

大迫茂生については、出演作『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』でファンになった方もいるかもしれません。

『コワすぎ!』では口裂け女に金属バットで襲いかかるなど、尖りきったキャラを演じて話題となった俳優。

幽霊譚にバイオレンスの切れ味が乗った本作でも、型破りな活躍で観客を楽しませてくれます。

満男はケイタに暴力もためらわず(素手も凶器も問いません)、必要なら神様も出し抜こうとする危険人物です。

かと言って無鉄砲な性格ではなく、世の中の理不尽さを十分に理解し、息子への愛情を持っていることも徐々に明らかになってきます。

では彼はなぜ、息子を再び生かそうとするのでしょうか?そして父として何を伝えたいのでしょうか?

そんな疑問に答えるような満男の行動も本作の見どころの一つ。

まさにケイタネバーダイ!と力強く叫ぶような彼の背中は、観客の心に静かに染み込んでいきます。

まとめ


(C)2017 Nakamura Tomonori

渋谷を舞台に繰り広げられるバイオレンスノワールと、黄泉がえりを目指す男のドタバタ喜劇が融合した『ケイタネバーダイ』

更に個性豊かなキャラクターの思惑も絡まって予測不可能なストーリーを生み、最後まで好奇心をかき立ててくれる構成となっています。

ファンタジーでもホラーでもない、ユニークな幽霊映画が観たい!という方にオススメです。

映画『ケイタネバーダイ』は、池袋シネマ・ロサにて12月15日より公開です。

池袋シネマ・ロサでは新人監督特集として『たまゆらのマリ子』、『クマ・エロヒーム』の2作とともにピックアップされていますので、ぜひご注目下さい。

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