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Entry 2019/05/08
Update

映画『レプリカズ』のクローン技術をめぐる倫理観。類似SF作品の比較から紐解く|SF恐怖映画という名の観覧車48

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile048

1996年、クローン技術により哺乳類初の人工的なクローン羊「ドリー」が生み出されました。

その後もクローンの技術は発展を続け、現在の技術では「ヒト」すらも複製可能とすら言われています。

今回はそんな「クローン」を主題とした最新SFサスペンス映画『レプリカズ』(2019)と、クローンを題材とした映画をご紹介させていただきます。

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映画『レプリカズ』の作品情報


(C)2017 RIVERSTONE PICTURES (REPLICAS) LIMITED. All Rights Reserved.

【日本公開】
2019年(アメリカ映画)

【原題】
Replicas

【監督】
ジェフリー・ナックマノフ

【キャスト】
キアヌ・リーブス、アリス・イブ、トーマス・ミドルディッチ、ジョン・オーティス、エムジェイ・アンソニー

映画『レプリカズ』のあらすじ


(C)2017 RIVERSTONE PICTURES (REPLICAS) LIMITED. All Rights Reserved.

自動車による交通事故で最愛の家族を全員失った神経科学者のウィリアム・フォスター(キアヌ・リーブス)。

彼は家族との再会を果たすため、知識を総動員させ、ある研究を成功させます。

それは家族の「クローン」を作成し、頭脳を移し替えると言う倫理を超越したもので…。

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何気ない生活を取り戻すため戦う男


(C)2017 RIVERSTONE PICTURES (REPLICAS) LIMITED. All Rights Reserved.

人の別れの種類は数多くあり、悔いの残らない別れ方が出来ることはほとんどないと言えます。

本作の主人公ウィリアムは、人生の中で死別した家族を持つ人間の誰もが思う「もう一度話したい」と言うささやかな、それでいて「神の領域」とも言える願いを自身の力で叶えようと動き始めます。

「クローン」技術と言う禁断の方法に手を出し、その技術を奪おうとする政府関係者たちに命を狙われても、一度失ったものを守るため動く彼の姿が徐々に「狂気的」に見える本作。

普段過ごしていた「何気ない生活」を取り戻すだけの行為が、いかに困難なことなのかが分かり、日々の生活を考えさせられます。

『シックス・デイ』(2000)


(C) 2000 Phoenix Pictures Inc. All Rights Reserved.

「自身とまったく同じ容姿をした人間が自分の生活を乗っ取っていたら」と言うプロットで始まる映画『シックス・デイ』。

アーノルド・シュワルツェネッガーのクローンが生み出される物語が話題となった本作ですが、アクション映画としてだけでなくSF映画としても魅力的な作品でした。

「ある人間と同じ記憶と性格、そして容姿を持った人間」、対面することで不幸が訪れるとされる「ドッペルゲンガー」の都市伝説と重なり、本人からしたら不気味でしかないクローン人間ですが、彼等も同じく「感情」を持っています。

「人工的に産みだされたクローン人間は果たして同じ人間なのか」と言う倫理的側面と、何者かの陰謀によって自身の生活を奪われた男が見せる戦いが熱い、SFアクション映画の秀作です。

「クローン技術」と「倫理」


(C)2017 RIVERSTONE PICTURES (REPLICAS) LIMITED. All Rights Reserved.

日本には「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」と言うクローン人間の作製を禁止する法律があるように、アメリカを始めとした諸外国でもクローン人間の作製は禁じられています。

その理由はクローン人間の「人権」にまつわる倫理的な理由が多く、政治的または軍事的にクローン人間を利用する危険な思想の芽を摘む意味もあります。

映画『レプリカズ』のウィリアムは「倫理」や「法律」に縛られることなく、自身の目的のためだけに亡き家族のクローンを作成します。

死んだ人間と話しが出来ないことは誰にでも分かるように、そこに故人の意思はなく、またウィリアムによって作られた「レプリカ」は亡き家族と同じ容姿と性格をしていても「同一人物」ではありません。

最先端の技術では不可能とされた「自然の摂理」を覆すことが可能になって来ています。

しかし、生命の「生死」と言う絶対的な掟を覆そうとした時、どんなしっぺ返しが来るのか、「倫理」の意味を思い知ることとなります。

『アイランド』(2005)


(C) 2005 Dreamworks LLC and Warner Bros. Entertainment Inc.

実写版「トランスフォーマー」シリーズでお馴染みのマイケル・ベイ監督が2005年に製作した映画『アイランド』。

徹底管理された「ディストピア」を舞台に、主人公たちがおぞましい世界の真実を知ることになるこの映画では、クローン人間が認められた際の「倫理的問題」を学べる映画と言えます。

「何故、クローン人間の作製は禁じられたのか」に疑問を覚える方にこそオススメしたい本作は、映画としてのクオリティも高く、ユアン・マクレガーやスカーレット・ヨハンソンなど名だたる多くの俳優が出演。

近未来SFサスペンス映画として「ディストピア」の不穏さと、技術の進歩の裏側を体験出来ます。

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まとめ


(C)2017 RIVERSTONE PICTURES (REPLICAS) LIMITED. All Rights Reserved.

倫理的問題がある一方で、「iPS細胞」のように人工的に臓器を複製することによって拒絶反応の起きにくい臓器を作ることが出来るなど、再生医療の未来が期待されるクローンの技術。

そんな「神の領域」ともされるクローンの世界の光と闇を真っ向から描いた最新映画『レプリカズ』は、2019年5月17日より全国でロードショー。

キアヌ・リーヴスの狂気の演技と、家族愛の行方をぜひ劇場でご覧になってください。

次回の「SF恐怖映画という名の観覧車」は…


(C)2019 LOTTE ENTERTAINMENT & DEXTER STUDIOS All Rights Reserved.

いかがでしたか。

次回のprofile049では、「死者の裁判」を描いた韓国産ファンタジー映画『神と共に』(2019)をご紹介させていただきます。

5月15日(水)の掲載をお楽しみに!

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら

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