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Entry 2019/11/09
Update

HIKARI監督映画『37セカンズ』東京国際映画祭リポート【光がきらめく】FILMINK-vol.28

  • Writer :
  • FILMINK

FILMINK-vol.28「The Light Shines on 37 Seconds」

オーストラリアの映画サイト「FILMINK」が配信したコンテンツから「Cinemarche」が連携して海外の映画情報をお届けいたします。


(C)37Seconds filmpartners

「FILMINK」から連載28弾としてピックアップしたのは、映画『37セカンズ』で監督を務めたのHIKARIの東京国際映画祭でのティーチイン・リポートです。

日本では2020年2月より、新宿ピカデリーほか全国公開される本作に込めた想いを語っています。

【連載レビュー】『FILMINK:list』記事一覧はこちら

HIKARIの大胆な長編デビュー作


(C)37Seconds filmpartners

すでに多数の受賞歴がある作家、プロデューサー、そして監督のHIKARIによる長編デビュー作『37セカンズ』がベルリン国際映画祭にて初上映され、パノラマ部門にて観客賞を受賞しました。

観客を驚嘆させた他にも数々の賞を獲得し続けているHIKARI監督による本作。

成人漫画のゴーストライターとしての活動や抑圧的な家庭生活から逃れようともがく、脳性麻痺を患った若いアーティストの物語です。

また『37セカンズ』は第32回東京国際映画祭のJapan Now部門で紹介され、約20年間アメリカで暮らしていた日本人監督の凱旋を賞味しました。

『フルートベール駅で』『ブラックパンサー』の監督ライアン・クーグラーと共に南カリフォルニア大学で映画製作を学んだHIKARIの大胆な長編デビュー作は、ハリウッドと日本の両方で注目を集めています。

処女である主人公のユマが描く成人漫画を、編集者が「説得力がない」と拒否したあと性的経験をさせるべく連れ出すというはプロットを含む、珍しい“Coming Of Age(成長/青春譚)”。ラブホテルで悲惨な出会いをするユマですが、彼女は舞や俊哉という友人を得て、今まで予想もしていなかった旅を始めることになります。

映画へのインスピレーション


(C)37Seconds filmpartners

HIKARI監督は、19歳の時に高校時代の友人が脳性麻痺となった経験からの映画へのインスピレーションについて私たちに語ってくれました。

以前HIKARI監督は、友人の甥を救うため米国を横断する3,000マイルの車椅子トレッキングに連れ出したある対麻痺患者を追ったドキュメンタリー『Roll with Me』を共同制作しました。

彼女は性的な影響についても率直に語る障害を持つ役者たちに会ったと言います。

「はじめは、二人の男性の友情の物語、男性が主役の物語として脚本を完成させました」

そう、HIKARI監督こと、大阪府出身の本名ミツヨ・ミヤザキは語りました。

しかし童貞喪失のためにセックス代理人を雇った首から下が動かない障害を持つ男性の物語、ジョン・ホークスとヘレン・ハント主演の2012年の映画『セッションズ』にインスピレーションを与えた女性と出会ったあと、HIKARI監督は女性が主人公の物語を作ろうと決めたと言います。

「麻痺患者の女性は出産する可能性もオーガズムに達する可能性も持っていると事実に私は大変感銘を受けました。それから私は自分の脚本を丸ごと修正し、若い女性が社会のどこに所属しているのかについての物語にしました。彼女は自分に問いかけるんです。私は人間。だけれどセックスや恋愛関係の経験がない場合、性的関心はどこで替えられるものなの?って」

健常者の俳優が主役を演じることを拒否したHIKARI監督は次のように述べています。

「私が執筆したのは車椅子の少女についての脚本です。ですから車椅子に乗った彼女たちとだけ会いました。ハリウッドは通常障害者を演じる美しい俳優たちを見たいと望んでいます。でも私はインディペンデントの製作者ですし、そんなことに合わせる必要はありません」

主人公ユマを演じる女優を見つけるために東京、名古屋、大阪を回り50人以上オーディションをした中で見つけたのが、最後に出会った佳山明でした。

「明は完璧で、彼女の純真さにすぐ恋に落ちました。その前に会った女優たちは結婚している方が多かったので、求めるユマのイメージには理想的ではありませんでした」

東京を舞台にした理由


(C)37Seconds filmpartners

ロサンゼルスに拠点を置いているにもかかわらず、『37セカンズ』の舞台を東京に設定したHIKARI監督。

「東京は本当にせわしなく忙しい街で、障害を持つ人々にとっては困難な場所です。ここには人助けの精神がある人々が多くいるとは思わないので…。ユマにより多くの壁をもたらすことになります」

5年前、埼玉県のとある駅で盲目の女子高生が乗客に蹴られたというニュースを聞き、HIKARI監督はさらに東京を舞台にするという意思を固めました。

「これは不寛容の大きな問題だと思うので、私は映画により強く呼びかけたかったのです」

さらに『37セカンズ』は日本映画至上三番目の障害者に焦点を当てた作品という事実を指摘します。

「多様性は私にとって重要なことです。日本では彼らが何か行動を起こさなかったとしても、有名人ばかり注目される傾向にあります」

障害を持つ人々に向けて何度も上映され、HIKARI監督は観客がその後自分に語った物語に胸を打たれたと言います。

「私は多くの人々、特に自らの人生を自分で作ることができないと感じている人々にインスパイアされてきました。『37セカンズ』はポジティブな作品なので、前向きなリアクションを頂いたのです」

HIKARI監督のこれまでとこれから

(C)FILMINK東京国際映画祭にて

高校時代パフォーマーであったHIKARI監督はユタ大学で演劇を学び、自国では馴染みのない場所を探索したいと考えていました。

「子供時代、大阪ではいじめられた経験があります。私は生徒会の会長で、とても率直な子供だったんです。いつも海外へ移り住みたいと思っていました」

彼女は大学卒業後ロサンゼルスに移り、コマーシャルやNasやエミネム、ア・トライブ・コールド・クエストなどhip-hopミュージックのビデオ制作に取り組みました。

20代後半までUSCに在籍していた彼女はライアン・クーグラーと今も連絡を取り合っていると言います。

「ライアンは私にクレイジーなハリウッドの世界にいることのアドバイスをくれました。私は現在ライアンと同じようにエージェンシーと契約し、マネージャーもいます。
今ユニバーサルで、イギリスのアーティストによるグラフィック・ノベルに基づいたラブストーリーを制作途中です。それから『エレナーとパーク』というヤングアダルト向け物語をブラッド・ピットの次の出演作、ディズニー作品として脚本に書き直しているところです」

『37セカンズ』が革新的な作品と評価された今、HIKARIはますます躍進中です。

彼女が名前を“HIKARI”に変えたのは数年前のこと。

「私の本名はとても長いから皆覚えてくれなくて。HIKARIは日本語で光を意味します。それに言葉の力を信じているので人々が光や明るいエネルギーを口にするたびに、世界は微笑むように思うのです」

FILMINK【The Light Shines on 37 Seconds

英文記事/Gill Pringle
翻訳/Moeka Kotaki
監修/Natsuko Yakumaru(Cinemarche)
英文記事所有/Dov Kornits(FilmInk)www.filmink.com.au

本記事はオーストラリアにある出版社「FILMINK」のサイト掲載された英文記事を、Cinemarcheが翻訳掲載の権利を契約し、再構成したものです。本記事の無断使用や転写は一切禁止です。

映画『37セカンズ』の作品情報

【日本公開】
2020年(日本映画)

【原題】
37Seconds

【監督・脚本】
HIKARI

【キャスト】
佳山明、神野三鈴、大東駿介、渡辺真起子、熊篠慶彦、萩原みのり、芋生悠、渋川清彦、宇野祥平、奥野瑛太、石橋静河、尾美としのり、板谷由夏

映画『37セカンズ』のあらすじ


(C)37Seconds filmpartners

生まれた時にたった37秒間呼吸が止まっていたことが原因で、手足が自由に動かない脳性麻痺となった主人公・貴田ユマ(佳山明)。

親友の漫画家のゴーストライターとして働いて自分の作品として出せないことへの寂しさや歯がゆさ、そしてシングルマザーでユマに対して過保護になってしまう母・恭子(神野三鈴)との生活に息苦しさを感じていました。

自分にハンディ・キャップがあることをつきつけられ、それでも23歳の女性として望んでいいことだってあるはず。そんな思いの狭間で揺れる日々を送っています。

そんな時、ある出来事をきっかけに、ユマの人生は大きく変わり、自らの力で『新しい世界』を切り開いていくことになり…。



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