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【ネタバレ】コナンvsキッド(映画2024)あらすじ結末感想と評価解説。“100万ドルの五稜星”に続く名探偵と大怪盗の頭脳戦の軌跡

  • Writer :
  • 糸魚川悟

劇場版第27作『100万ドルの五稜星』へ続く
コナンと怪盗キッドの戦いの軌跡!

毎年の定番作品となったテレビアニメ『名探偵コナン』の劇場版シリーズも、2024年で27作目を迎えます。

原作漫画は100巻を超え、テレビアニメも1100話を突破した『名探偵コナン』ですが、毎年公開される劇場版のクオリティの高さから、劇場版だけを鑑賞する方も少なくはないはずです。

そんな劇場版のみを鑑賞する方にも配慮の深い本シリーズは、『名探偵コナン 緋色の不在証明』(2021)から劇場版作品に先駆けて、関連エピソードを再編集した総集編も劇場で公開するようになりました。

今回は、2024年4月12日に公開される劇場版第27作『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』(2024)へとつながる総集編作品『名探偵コナン vs. 怪盗キッド』を、ネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。

映画『名探偵コナン vs. 怪盗キッド』の作品情報


(C)青山剛昌/小学館・読売テレビ・TMS 2024

【公開】
2024年(日本映画)

【原作】
青山剛昌

【構成・脚本】
宮下隼一

【音楽】
大野克夫

【テーマソング】
WANDS『大胆』(D-GO)

【キャスト】
高山みなみ、山口勝平

【作品概要】
青山剛昌によって生み出された人気キャラクター「怪盗キッド」こと黒羽快斗とコナンの頭脳戦を描いたテレビアニメの名エピソードを再編集した特別総集編。

一部に新規カットも挿入された本作では、総集編作品初のテーマソングとして「WANDS」の楽曲『大胆』が本作のために書き下ろされました。

映画『名探偵コナン vs. 怪盗キッド』のあらすじとネタバレ

鈴木財閥によって米花町で飾られることとなった宝石「ブラック・スター」。

その宝石を「怪盗1412号」と呼ばれる世界的怪盗が狙っていること聞いたコナン。またアガサ博士から、怪盗1412号には父・工藤優作が名づけた「怪盗キッド」という愛称があることも知ります。

コナンは予告状の謎をいち早く解き明かし、キッドが現れる場所に先回りすると、その場に白づくめの衣装を身に纏ったキッドが現れました。

コナンは18年前に活動していたキッドを老人だと考えていましたが、現れたのは工藤新一の姿と瓜二つの少年でした。

現在の「怪盗キッド」……黒羽快斗はある日、亡き父親・盗一の隠し部屋を見つけたことで、父が「怪盗キッド」その人であることを知りました。また同時に、父の死が事故死ではなく何者かに殺害されたことにも気づきました。

父の死の真相を知るべく、快斗は「怪盗キッド」の名を受け継ぎ、父を死に追いやったとされる謎の組織と、その組織が欲する「伝説のビッグジュエル」を探し求めることを決意しました。

コナンと出会う数分前、キッドはかつての父の付き人であり、自身を陰ながら支える寺井に忠告を受け「高校生探偵」と遭遇したある事件のことを思い出します。

【過去】

「米花町の時計台を0時に奪う」という犯行予告がなされ、町中はキッドの話題で持ちきりでした。中でもキッド……快斗の幼馴染であり、父に捜査二課の刑事・中森銀三を持つ青子はキッドの予告に憤慨していました。

その時計台はすでに移築が予定されてはいましたが、青子には時計台に対してある大切な思い出があり、奪われることに納得がいっていなかったのです。

夜、時計台の下にはキッドのファンの民衆が押し寄せ、空には警察のヘリが飛び回っていましたが、キッドは警察官に変装することで難なく潜入。中森警部の考えを手玉にとるキッドにとって、この仕事は余裕のように思えました。

ところがキッドは、警察官の身元確認に免許番号を求められ、本人すら覚えていないであろう番号を答えてしまったことで変装を見破られます。さらに逃げる場所までも正確に先回りされた彼は、警察の裏に何者かの存在を感じ始めていました。

0時、ヘリに目暮警部とともに乗る「高校生探偵」こと工藤新一は、時計台の麓から炊かれたスモークが晴れると、宝石が埋め込まれていた時計台の短針がなくなっていることに気づきます。

新一は時計がわずかに揺れたことを目にすると、時計の表面に巨大なスクリーンが張られていることを看破。目暮警部の拳銃でスクリーンの片端を撃ち落とすと、スクリーンの裏に隠れていたキッドが姿を現しました。

ハンググライダーでの逃亡もできずキッドは追い詰められますが、トランプ銃でスクリーンを完全に切り離し、地上に舞い降りたスクリーンとともに民衆の中に紛れることで逃げおおせました。

その後新一は、時計塔に残されていたキッドによる暗号を発見。キッドの真の目的は、皆がそうだと思い込んでいた時計台の短針の宝石ではなく、時計台の移築の阻止であったことを知ります。

実はこの時計台は快斗と青子が初めて会った場所であり、二人の思い出の場所なのでした。

【現在】

オーナーが短針の宝石を横流ししていたことが発覚した時計台は米花町によって安値で買われ、今も町に残されていました。

またキッドは時計台の事件とは別の、ある事件のことを思い出していました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『名探偵コナン vs. 怪盗キッド』のネタバレ・結末の記載がございます。『名探偵コナン vs. 怪盗キッド』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

【過去】

ある日、鈴木園子がひったくりに遭ったところを鈴木財閥の相談役・鈴木次郎吉が愛犬とともに現れ犯人を確保します。

次郎吉はキッドに対し強い執念を抱いており、キッドをこの手で捕らえるべくビッグジュエル「大海の奇跡(ブルー・ワンダー)」を自身の博物館の屋上に設置し、朝刊に一面広告を載せキッドを挑発します。

するとキッドは「前日に下見をした上で、徒歩で宝石を盗りに行く」と宣言し、その挑戦を受けました。

指定日前日、ヘリが上空を舞う中、ビルとビルの間の空中に現れたキッドは、宙に浮いたまま博物館に向かって歩き始めます。

キッドが上からバルーンのようなもので吊られているのだと推理した次郎吉は、近くのヘリにキッドの真上を飛ぶように命じますが、上空を飛ぶヘリはキッドの上にはバルーンも何もないことを確認。

一方で中森警部は「ビルとビルの間に通されたワイヤーでキッドは吊られている」即座に考えて捜査員を向かわせますが、そんなワイヤーも発見することはできませんでした。

キッドはそのまま優雅に宙を歩き続けると博物館の屋上に迫り、次郎吉は緊急装置として屋上の宝石を偽物とすり替える装置を起動。するとキッドは「下見はここまで」と宣言し、煙幕とともにその場から身を消しました。

コナンですら、キッドの《空中歩行》の謎を解けずにいました。

次郎吉も、翌日にはさらに警備員とヘリを増員し待ち構えることを宣言。うっかりコンタクトレンズまで落としてしまった次郎吉は、あらゆる分野で活躍し新聞の一面を飾ってきた自分から一面を奪ったキッドに怒りを燃やします。

翌日、園子によって特等席を用意されたコナンたちは、またも同じ場所に現れ空中歩行を始めたキッドを目撃。次郎吉もバイクで駆け付け、本物の宝石を別の場所に移すよう部下に命じます。

一方、コナンは二つのビルの屋上に残された真新しいひっかき傷から、キッドによる空中歩行の謎を見破っていました。

「自分自身で宝石を隠す」と宝石を持ってバイクで走り去ろうとする次郎吉。ところがサイドカーからコナンが姿を現し、次郎吉を「キッド」と呼びます。

コナンは普段コンタクトレンズを使用している次郎吉が、ゴーグルもせずにバイクに乗っていたためにキッドの変装だと見破っていました。そして、空中歩行を行っている今のキッドの正体が「人形」であることも気づいていました。

また犯行前日の空中歩行も、上部に位置取っていたヘリの操縦者がキッドの共犯者(寺井)であり、ビルの間に通されたワイヤーとヘリ共犯者のヘリから伸びたワイヤーをタイミングよく切り替えることで、キッドの空中歩行を維持したまま2種のワイヤー説を両方否定するトリックでした。

コナンは時計型麻酔銃をキッドに向けますが、キッドは「今回は喧嘩を売られたから受けただけだ」と告げ、件の宝石をコナンに託すとサイドカーを切り離し逃走しました。

宝石を守り抜いたコナンでしたが、その手柄が新聞の一面を飾ったことで次郎吉から敵対心を燃やされることになってしまいます。

【現代】

寺井の忠告によって嫌な事件を思い返したキッドは、「ブラック・スター」を奪うため博物館へと向かっていきます。

それから月日が経ち、コナンはかつて自身の父・優作が《初代》怪盗キッドとライバル関係であったことも知りました。

そのころ、キッドは次の狙いを函館に決め、父・盗一の遺した隠し部屋へと入っていきました。

映画『名探偵コナン vs. 怪盗キッド』の感想と評価


(C)青山剛昌/小学館・読売テレビ・TMS 2024

コナンよりも歴史の長い「怪盗キッド」の物語

今や「名探偵コナン」シリーズ屈指の人気キャラクターとなっている「怪盗キッド」。

しかし、実はその歴史は1994年に連載が始まった『名探偵コナン』よりも長い『まじっく快斗』というタイトルで1987年に掲載された漫画の主人公こそが黒羽快斗こと「怪盗キッド」でした。

『まじっく快斗』と『名探偵コナン』は登場人物を共有する漫画とし連載が続けられ、両作ともに現在もなお完結はしていません。

初代怪盗キッドである父を殺害した謎の組織を追う黒羽快斗と、世界で暗躍する「黒の組織」を追うコナンこと工藤新一

二つの組織の関係性の有無は不明ではあるものの、「怪盗と探偵」という水と油の二人がどう真相に立ち向かっていくのか、両作ともに目が離せないシリーズです。

名探偵と大怪盗の「頭脳戦」

本作『名探偵コナン vs. 怪盗キッド』は、『まじっく快斗』の「ブラック・スター」のエピソードと『名探偵コナン』のエピソード「怪盗キッドの驚異空中歩行」と再構成した内容となっています。

この二つのエピソードはキッドの「売られた喧嘩を買う」という怪盗としてのプライド、「できるだけ派手に盗む」という流儀が明確に描かれていると同時に、キッドすらも驚愕させる工藤新一の鮮やかな推理力も披露されており「大怪盗と名探偵の頭脳戦」の魅力が特に強いエピソードでもあります。

それぞれに組織を追う二人という構図ではなく、敢えてお互いがお互いの心情ゆえにぶつかるエピソードを中心としたことで、純粋な頭脳戦を楽しめる総集編作品となっていました。

まとめ


(C)青山剛昌/小学館・読売テレビ・TMS 2024

『名探偵コナン 世紀末の魔術師』(1999)や『名探偵コナン 業火の向日葵』(2015)、『名探偵コナン 紺青の拳』(2018)などなど劇場版作品でも怪盗キッドの登場は多く、2024年4月12日公開の劇場版第27作『100万ドルの五稜星』でなんと7作目の登場となります。

今回はコナンだけでなく「西の高校生探偵」服部平次との対決も予告されており、期待は膨らむばかり。

『100万ドルの五稜星』の鑑賞前にぜひ本作を鑑賞し、コナンと怪盗キッドが遭遇し純粋に頭脳で勝負した二つの名エピソードを振り返ってみてはいかがでしょうか。




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