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Entry 2022/04/02
Update

【ネタバレ】モービウス|感想考察と結末の評価解説。アメコミの新ダークヒーローは“天才医師と吸血鬼”という2つの顔で誕生!

  • Writer :
  • 金田まこちゃ

吸血鬼となった天才医師が開く「スパイダーマン・ユニバース」の新たな扉

「スパイダーマン」シリーズに登場する、人気ヴィランの1人である吸血鬼マイケル・モービウス。

難病に苦しむマイケルが血液研究の末に、怪物の力を手に入れたことから始まる、ダークヒーローの誕生を描いた映画『モービウス』

人命を救う「天才医師」と、人の生き血を吸わないと生きていけない「怪物」の、二面性に苦悩するマイケルは「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」の、今後の重要なキャラクターになりそうです。

新たな吸血鬼の映像表現も面白い、本作の魅力をご紹介します。

映画『モービウス』の作品情報


(C)2022 CTMG. (C) & TM 2022 MARVEL. All Rights Reserved.

【日本公開】
2022年公開(アメリカ映画)

【原題】
Morbius

【原作】
ルイ・トーマス、ギル・ケイン

【監督】
ダニエル・エスピノーサ

【脚本】
マット・サザマ、バーク・シャープレス

【キャスト】
ジャレッド・レト、マット・スミス、アドリア・アルホナ、ジャレッド・ハリス、アル・マドリガル、タイリース・ギブソン

【作品概要】
スパイダーマンに登場する、代表的なヴィランであるマイケル・モービウスを、アメコミ『モービウス・ザ・リヴィング・ヴァンパイア』を原作に実写映画化。

主人公のマイケル・モービウスを、テレビシリーズ「アンジェラ15歳の日々」で人気となり、2013年に『ダラス・バイヤーズクラブ』で「アカデミー賞」の助演男優賞を受賞したジャレッド・レト。

マイケルの親友であり、敵対するマイロを、『ラストナイト・イン・ソーホー』(2021)で、ジャックを演じ圧倒的な存在感を見せたマット・スミス。

監督は『ライフ』(2017)のダニエル・エスピノーサ

映画『モービウス』のあらすじとネタバレ


(C)2022 CTMG. (C) & TM 2022 MARVEL. All Rights Reserved.

血液研究で多大な功績を残している、天才医師のマイケル・モービウス。マイケルは、生まれながらに血液の難病を抱えており、幼少期はギリシャの病院に入院していました。

幼少期のマイケルの、隣のベッドに同じ年齢の患者が入院してきます。マイケルは、隣に入院して来た子供に「マイロ」と一方的に名前を付けます。

マイケルとマイロは、同じ血液の病に悩まされていることから、すぐに意気投合します。ある時、マイロが装着していた救命装置が故障した際、マイケルがボールペン一本で修理をします。

その様子を見ていた、担当医師のニコラスは、マイケルを医者の道に進めさせる為、大学に推薦します。残されたマイロは「君の病気を必ず治す」と書かれたマイケルからの手紙を受け取ります。

ですが、その手紙が窓の外に落ちてしまい、地元の子供達に手紙を取られ、マイロは馬鹿にされます。マイロも松葉杖で子供達を殴り反撃しますが、近くを通ったニコラスに止められます。

マイロは、ニコラスに止められた後も倒れた子供を殴り続け、ニコラスはマイロの中の暴力性に恐怖を抱きます。

25年後。ニューヨークの病院に勤務するマイケルは「人工血液」を発明し「天才医師」と評判になります。ですが「ノーベル賞」を辞退するなど、その難解な性格が災いし、研究が思うように進みません。

同じ医師で、マイケルの研究をサポートしているマルティーヌは、マイケルの性格に呆れながらも、その才能を信じています。

しかしマイケルが、吸血コウモリと人間のDNAを配合した、新たな血清を作ろうとしていることを知ったマルティーヌは「危険すぎる」と反対します。

マイケルは、成長して社会的に成功し、現在は研究に出資をしてくれている、マイロに会いに行きます。マイロも病気が進行しており、現在もニコラスの治療を受けていました。

マイケルが研究している新たな血清が、実は違法の可能性があることを知ったマイロですが「協力する」と申し出ます。

マイロが準備した貨物船に研究機材を持ち込み、マイケルはアメリカの法律が適用されない海域で、マルティーヌと共に新型の血清の実験を開始します。

マイケルは自身の体内に血清を投与し、マルティーヌがデータを収集していました。そこへ、船員である傭兵が実験場に入って来た為、マルティーヌと口論になります。

マルティーヌが気付くと、マイケルの姿が消えていました。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『モービウス』ネタバレ・結末の記載がございます。『モービウス』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2022 CTMG. (C) & TM 2022 MARVEL. All Rights Reserved.

マイケルはコウモリのように、船内の天井へ逆さに張り付いていました。

傭兵が仲間を呼んでマイケルに攻撃しますが、マイケルは素早い動きで攻撃を避け、次々に傭兵の血を吸っていきます。

傭兵が全滅し、マイケルが我に返ると、骨のように痩せていた体は筋肉質になり、松葉杖無しでも歩けるようになっていました。

マイケルと傭兵の戦闘に巻き込まれたマルティーヌは、気絶をしています。

マイケルは、監視カメラに映った、自分が傭兵を次々に殺している映像に恐怖を感じ、映像を全て消します。

そして、救難信号を出した後に、海へ飛び込んで姿を消します。FBIのストラウドとロドリゲスは、貨物船で起きた事件を担当することになります。

唯一生き残ったマルティーヌが、天才医師と名高いマイケルのアシスタントだったことを知り、2人はマイケルに容疑をかけます。

研究所に戻ったマイケルは、自身の身体に起きた変化を分析します。

その結果、超人的なスピードと発達した聴覚、そして周囲の状況を瞬時に察知する「レーダー能力」という、コウモリと同じ力を持ったことが判明します。

ですが、常に喉の渇きを感じており、人間の生き血を欲するようになります。「人工血液」を飲んで、渇きを癒しますが、その効果は6時間しか持ちません。

マイケルは「渇きが極限に達した状態」まで自分を追い込む実験を開始します。その結果、渇きが極限まで達すると、自身の命に危険が及ぼすことが分かります。

そこへ、研究の様子を見に来たマイロが訪ねて来ます。血清が完成したことを知ったマイロは、自分にも投与するように望みます。

ですが、吸血鬼と同じになってしまう副作用がある為、マイケルは血清の投与を拒否します。マイロは怒って研究所を出て行きます。

その夜、マイケルが勤める病院で、看護師が何者かに血を吸われて、死亡する事件が起きます。

一切の記憶が無いマイケルですが「事件に関与したのは自分である」と感じ、病院を出て行こうとします。

そこへ、ストラウドとロドリゲスが現れた為、マイケルは一度逃亡を図ろうとしますが、屋上に追い詰められ、そのまま捕まります。

留置場に入れられたマイケルを、マイロが訪ねて来ます。

マイロは「人工血液」を差し入れに持って来ましたが、マイロが松葉杖無しで歩いていることから、マイケルは「マイロが自分に血清を投与した」と気付きます。

「人工血液」を飲み干し、留置所から脱走したマイケルは、マイロを追いかけます。

マイロは、自身に身に付いた吸血鬼の能力で、病弱だった頃に馬鹿にされた復讐を果たそうとしていました。

また、看護師を襲ったのもマイロであることが判明し、マイケルは怪物となったマイロを止める為に、2人の戦いが始まります。

地下鉄で、2人を止めに来た警察官全員の生き血を吸ったマイロ。

「人工血液」の効力が切れ始めたマイケルは、マイロに追い詰められますが、気流の流れが見えるようになり、そのまま気流に乗って空を飛び逃げ出します。

街では、マイケルが「吸血医師」として報じられていますが、ストラウドとロドリゲスは、マイロも吸血鬼化したことに気付きます。

犯罪者となったマイケルは、身を隠しながらマルティーヌと再会します。マイケルは、血清の効果を無くす「鎮静剤」を開発する為、偽札を作っていた、ギャングのアジトを乗っ取ります。

マルティーヌの協力もあり、無事に「鎮静剤」を開発したマイケル。

「鎮静剤」は血清の効果を無くしますが、能力を失うことは、マイケルとマイロにとって死を意味することです。

マルティーヌは、マイケルの覚悟を受け止め、複雑な心境になります。その時、ニコラスからマイケルに連絡が入ります。

マイケルがマイロの屋敷に行くと、マイロに襲われたニコラスが倒れており、そのまま亡くなります。

しかし、それはマイロの罠で、マイケルがいなくなったタイミングを見計らい、マイロはマルティーヌに襲いかかります。

「レーダー能力」で、マイロの動きを察知したマイケルは、マルティーヌを助けに行きますが、マルティーヌはすでに襲われた後で、意識朦朧の状態でした。

「私の死を無駄にしないで」というマルティーヌの言葉を受け、マイケルはマルティーヌの血を飲み、最高状態に能力を引き出します。

そこへ現れたマイロに「俺しか、もう理解者がいないだろ?」と言われたマイケルは怒り、マイロに襲いかかります。

マイケルはマイロとの戦いで、地下の空洞に落とされます。多くの人間の生き血を吸ったマイロとの、力の差は圧倒的でした。

追い詰められたマイケルが、叫び声をあげると、大量の吸血コウモリが飛んで来ます。マイケルは吸血コウモリを操り、マイロを攻撃し、倒れたマイロの胸に「鎮静剤」を突き刺します。

マイロの暴走を止めたマイケルですが、地上は警官に包囲されていました。マイケルは気流に乗り、吸血コウモリと共にニューヨークの空へと消えていきます。

映画『モービウス』感想と評価


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血液の病に苦しむ天才医師が、吸血鬼の能力を手に入れたことで始まる、苦悩と戦いを描いた映画『モービウス』。

本作の主人公モービウスは、スパイダーマンに登場する代表的なヴィランです。

根は善人だったのに、研究の失敗で怪物になってしまうというのが、スパイダーマンのヴィランの特徴です

では『モービウス』は、スパイダーマンを知らないと全然楽しめないのか?というと、そんなことはありません

本作の序盤は、コウモリの能力を手に入れながらも、自身で抑制が出来ないマイケルの姿を通して「怪物化していく恐怖」が物語のメインとなっています。

人間が別の動物の能力に目覚めていく不可解さは、1986年にハエ男を題材にし、社会現象を巻き起こしたホラー映画『ザ・フライ』に近いですね

さらにFBIの捜査官も登場し「ここから、吸血鬼モービウスの恐怖が前面に出される、ホラー映画になるか?」と思いましたが、マイケルの親友、マイロも吸血鬼の能力に目覚めて以降、展開は一変します。

吸血鬼の能力を封じたいマイケルと、目覚めた能力で暴れ回りたいマイロとで、考え方の違いから決裂が起き、2人は戦うことになります。

全く同じ能力を持ちながらも、善と悪に分かれて対立するという構図は『アイアンマン』のアイアンマンとアイアンモンガー『ブラックパンサー』のブラックパンサーとエリック・キルモンガー『ドクター・ストレンジ』のストレンジと悪の魔術師軍団など、マーベルの映画化作品、シリーズ1作目のお約束とも言えます

ホラーテイストが強めだった前半と違い、後半ではダークヒーローとしてのモービウスが描かれています。

マイケルとマイロは、吸血鬼の能力を使う時だけ、顔が怪物のように一瞬だけ変化し、凄まじいスピードでぶつかり合った際に生じる衝撃波が、スピードが生み出すパワーを表現しています。

『モービウス』における戦闘時の視覚的な表現は、これまでのヒーロー映画に無かった斬新さがあります

マイケルが気流に乗って空を飛ぶ場面や、コウモリを操り攻撃するなど、新解釈の吸血鬼映画として、ホラーでもないヒーロー映画でもない、独自路線の作品に仕上がっています

本作成功の要因は、マイケル・モービウスを演じたジャレッド・レトのハマり具合です。

病に苦しむ、痩せた体の不健康な天才医師という前半と、吸血鬼の力で筋肉のついた体に変貌した中盤以降、そして完全な吸血鬼と化し、もう元の人間に戻れなくなった後半、3段階で吸血鬼に変化していくマイケルを、肉体改造を取り入れ見事に演じ分けています。

ここ最近は、ハッキリ言って役に恵まれず、不遇とも言える期間が長かったですが、新たに生まれたダークヒーローであるモービウスが、ジャレッド・レトの今後の代表作になるのではないでしょうか?

まとめ(エンドクレジットの場面について解説)


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スパイダーマンを知らなくても本編は楽しめる『モービウス』。

本編は楽しめますが、マーベル作品恒例のエンドクレジットの場面に関しては、やはりこれまでのスパイダーマン作品を観ていないと分からないでしょう

ここでは、エンドクレジットの場面で何が起きていたか?を、解説します

「ヴァルチャー」ことエイドリアン・トゥームス登場の意味は?

本作のエンドクレジットの場面で『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)に登場したヴィラン「ヴァルチャー」こと、エイドリアン・トゥームスが登場します。

実は公開前からエイドリアンを演じる、マイケル・キートンの名前が発表されていたこともあり、登場することは知らされていたのですが「どういう登場の仕方なのか?」が重要でした。

エイドリアンが本作に初登場する場面では、ニューヨークの空に暗雲が立ち込めていたので、明らかに『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2022)で、ドクター・ストレンジがマルチバースの扉を閉じた後の話でしょう。

『スパイダーマン:ホームカミング』と『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)で展開された物語で、MCUにはスパイダーマンが存在します。

ですが『モービウス』や『ヴェノム』(2018)は「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」で展開されている物語で、この世界にスパイダーマンはいません。

エイドリアン・トゥームスはMCU側のキャラクターですが、本作で「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」の世界に来てしまったということですね

一体何が起きたのかは分かりませんが、ドクター・ストレンジはしょっちゅう魔法を失敗するので、またやらかしたのでしょう。

そして『モービウス』のラストで、マイケルとエイドリアンは顔を会わせ、組むことになります。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』で、「ヴェノム」ことエディ・ブロックは、MCUに行きましたが、何もせずに「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」へ帰ったので、2つのユニバースのキャラクターが、『モービウス』でとうとう顔を会わせたことになります

この際にエイドリアンが言っていた「全てはスパイダーマンに関係がある」とは、どういう意味なのでしょうか?

今後もMCU作品は「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」に影響を与えるのでしょうか?

謎だらけではありますが、『モービウス』は、2つのユニバースの新たな扉が開いた、重要な作品であると言えます







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