連載コラム『光の国からシンは来る?』第5回
2016年に公開され大ヒットを記録した『シン・ゴジラ』(2016)を手がけた庵野秀明・樋口真嗣が再びタッグを組んで制作した新たな「シン」映画。
それが、1966年に放送され2021年現在まで人々に愛され続けてきた特撮テレビドラマ『空想特撮シリーズ ウルトラマン』(以下『ウルトラマン』)を基に描いた「空想特撮映画」こと『シン・ウルトラマン』です。
本記事では、2021年1月29日に公開された『シン・ウルトラマン』特報予告ならびに映画特別ビジュアルにもその姿を見せ、本編での活躍にさらなる期待が高まり続けているキャストの一人・長澤まさみをピックアップ。
彼女が『シン・ウルトラマン』にてどのような役柄を演じるのか、本人の言葉はもちろん、SNS上での話題などを基にその可能性を考察・解説していきます。
CONTENTS
映画『シン・ウルトラマン』の作品情報
【日本公開】
2022年(日本映画)
【監督】
樋口真嗣
【企画・脚本】
庵野秀明
【製作】
塚越隆行、市川南
【音楽】
鷺巣詩郎
【キャスト】
斎藤工、長澤まさみ、有岡大貴、早見あかり、田中哲司、西島秀俊、山本耕史、岩松了、長塚圭史、嶋田久作、益岡徹、山崎一、和田聰宏
映画『シン・ウルトラマン』ポスタービジュアルの考察・解説
『シン・ウルトラマン』特報予告・第1弾
長澤まさみが演じるのはフジ隊員?
メインキャスト情報でその名前が挙がった当初から、ネット及びSNS上では「『シン・ウルトラマン』にて彼女が演じるのは、『ウルトラマン』の登場人物であるフジ隊員ではないか?」と話題になった長澤まさみ。そもそもフジ隊員とは、どのような登場人物なのでしょうか。
「フジ隊員」ことフジ・アキコは、『ウルトラマン』登場の特殊組織「科特隊」の隊員であり作中の紅一点といえる登場人物。日本支部基地の通信担当を主な任務としていますが、捜査や怪獣・宇宙人出現時には積極的に現場にも出動しています。
作中では女性らしさを垣間見せる一方で、第4話「大爆発五秒前」での「入隊以来一度も休暇を取っていない」というムラマツキャップの指摘、第24話「海底科学基地」での自身のミスに責任を感じての危険な任務への志願など、科特隊員としての責務を全うしようとする覚悟を見せる場面も描かれています。
またウルトラシリーズのファンの間では、第18話「遊星から来た兄弟」に登場し自身の姿に化けたザラブ星人、第33話「禁じられた言葉」に登場し脅迫の一環として自身を怪獣のごとく「巨大化」させたメフィラス星人など、宇宙人の侵略活動に際しての標的にされがちであることでも知られています。
「科特隊員」として流星バッジ光るスーツ姿を披露
2021年1月29日に公開の『シン・ウルトラマン』特報予告にもその姿を見せた長澤まさみは、『ウルトラマン』のフジ隊員はじめ科特隊員を象徴するオレンジ色の制服ではなく、白いワイシャツに黒のスーツという「隊員」というよりも「官僚職員」が相応しい出で立ち。
しかし特報予告00分07秒でも映し出されている通り、その黒のスーツには同じく科特隊を象徴する流星バッジ(『シン・ウルトラマン』作中の流星バッジのデザインをより洗練したもの)が留められています。
そして特報予告内の映像及び情報のみでは「『シン・ウルトラマン』長澤まさみ=『ウルトラマン』フジ隊員役説」の断定は難しいものの、映像内で見せる緊迫した演技と表情からは、長澤まさみがフジ隊員と同じかそれ以上の覚悟をもって責務を全うしようとする「科特隊員」を演じていることは明らかでしょう。
長澤まさみ語る「思いがけない展開」とは?
また長澤まさみは映画『シン・ウルトラマン』公式サイトに寄せた「コメント」にて、本作を手がける樋口真嗣監督やメインキャストの斎藤工たちに並んで以下のような言葉を語っています。
誰もが憧れる庵野さんの作品に出演出来る事をとても光栄に思います。
『シン・ゴジラ』も劇場へ観に行ったのですが、お客さんの満足感や充実感をその場で強く感じました。
今回の作品では思いがけない展開もありますが、今を生きぬく事はいつもどんな時も精一杯です。
作品を通して
少しでも多くの人の心に届くものになればいいなと思います。
このコメント内で最も気になるのは「今回の作品では思いがけない展開もあります」という言葉。果たしてその「思いがけない展開」とは一体どのようなものなのでしょうか。
本作同様に庵野秀明・樋口真嗣のタッグのもと制作され、「シン」映画の前作にあたる作品でもある『シン・ゴジラ』(2016)では、「ゴジラの熱線放射による総理大臣含む内閣全滅」という想像もつかない物語展開を描かれていただけに、長澤まさみが語る『シン・ウルトラマン』の「思いがけない展開」にも否が応に期待が寄せられます。
まとめ
胡散臭いが誠実さも持つ米国大統領特使カヨコ・アン・パタースン役を務めた石原さとみ、「巨災対」を担う変人の一人で環境省職員の尾頭ヒロミ役を務めた市川実日子など、多くの女性キャストがその強烈な存在感を発揮し話題となった『シン・ゴジラ』。
新たな「シン」映画の一本『シン・ウルトラマン』のメインキャストである長澤まさみや早見あかりもまた、そのような存在感でもって映画を彩る登場人物を演じることが予想できます。
2021年2月5日時点ではいまだ役名も明らかにされていませんが、すでに予想可能な女性キャスト陣の「強烈」な活躍への期待に、『シン・ウルトラマン』劇場公開が待ち遠しくなるばかりです。
次回の『光の国からシンは来る?』もお楽しみに!
編集長:河合のびプロフィール
1995年生まれ、静岡県出身の詩人。2019年に日本映画大学・理論コースを卒業後、2020年6月に映画情報Webサイト「Cinemarche」編集長へ就任。主にレビュー記事を執筆する一方で、草彅剛など多数の映画人へのインタビューも手がける。
2021年にはポッドキャスト番組「こんじゅりのシネマストリーマー」にサブMCとして出演(@youzo_kawai)。