連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第41回
今回ご紹介するNetflix映画『ゴースト・ラボ: 禁断の実験』は、タイ映画初のドルビー ビジョンかつNetflix基準で制作された作品です。
Netflixにて世界的に配信されることで、タイの映画界に新鋭的な発展をもたらすきっかけになると、大きな期待が込められた作品となっています。
ストーリーはグラとウィーの若き医師が、初めて自分の目で”ゴースト”と遭遇したことで、幽霊の存在や死後の世界を科学的に解明し、証明するための研究に奔走する話です。
しかし、その探求心が加速した実験で、予期せぬ方向へ向かってしまいます。彼らの無謀な執着はしだいに、2人の友情や愛する人たちとの絆をも脅かすことに……。
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映画『ゴースト・ラボ: 禁断の実験』の作品情報
(C)2021 Netflix
【日本公開】
タイ映画(2021)
【原題】
Ghost Lab
【監督】
パウィーン・プーリチットパンヤー
【原案】
パウィーン・プーリチットパンヤー、ナワポン・タムロンラタナリット
【脚本】
パウィーン・プーリチットパンヤー、ワスドーン・ピヤロンナ、トッサポーン・リアントーン
【キャスト】
タナポップ・リーラットタカチョーン、パリ・インタラコマリヤスット、ナタニチャー・ダンワタナーワニット、スークワン・ブーラクン、ラチャニー・シララート、シャリーダ・ギルバート、ナタウット・ジェーンマナ
【作品概要】
本作の制作会社“GDH 559”は、2016年に創設してはじめててがけた映画が、オールロケ地を北海道にした映画『一日だけの恋人 -ONE DAY-』(2017)で、第12回大阪アジアン映画祭で上映され、Starpics Awordで最優秀賞を受賞しています。
映画『ゴースト・ラボ: 禁断の実験』は、“GDH 559”の全身会社GTH時代に、同社に所属していた監督、パウィーン・プーリチットパンヤーとナワポン・タムロンラタナリットの2人が、それぞれ持ち寄った映画の構想から誕生しました。
映画『ゴースト・ラボ: 禁断の実験』のあらすじとネタバレ
(C)2021 Netflix
「死後の世界を信じるか? 嘘や迷信ではないと証明したことは?」2人の青年はステージに並び、カメラのフラッシュを浴びていますが……、スマホのバイブで目覚めたウィーの夢の中のことでした。
仮眠をとっていた研修医のウィーは同じ研修医のグラのしこんだ、亡霊のように見せかけた人体模型のいたずらで、びっくりし大きな声をだします。
ウィーは幽霊の存在を信じない現実派でしたが、グラはそんな彼をからかいます。一方グラは、病院内にある心霊情報を集めているようでした。
看護師がグラに深夜の急患で、夫婦喧嘩のもつれで家に火を放ち、焼身自殺をした男が運ばれてきたと言います。
もう1人の看護師はステージ3の火傷の上、落下物で頭が陥没し苦しみ唸りながら亡くなったと話します。
グラは何か情報があったら知らせてほしいと言うと、ウィーは容体のことではなく、死亡した報告を欲しがるグラに疑問を抱きます。
ウィーとグラは大学時代からの親友で、ラトナラジュ病院で研修医をしています。
ウィーは重い病の母親のために医師となり、自分の勤める病院へ入院させ、看病するため病室で寝泊りをする日々でした。
その晩、病院で不可解な出来事が起きます。警備員が院内をパトロールしていると、不気味な動きをする影に気がつき、確認すると怖ろしいモノと遭遇してしまいます。
ウィーとグラは当直の担当日です。ロビーの自動販売機前でグラはウィーに、「幽霊はいると思うか?」と訊ねますが、非科学的なことは信じないウィーは否定します。
グラは科学でも発見証明されていない、幽霊の存在に興味があります。そして、2人はロビーで不気味な動きをする、丸焦げになった遺体が目の前に現れ目撃します。
グラは果敢にも近寄って観察しようとし、ウィーは証拠を残そうとスマホを向けますが、その姿は写らずシャッターも切れません。
遺体に手を伸ばすグラ、何度もスマホのシャッターボタンを押し、やっとフラッシュがたかれると、遺体は恐ろしい形相をカメラに向けて消えてしまいました。
2人同時に幽霊を目撃し、グラはウィーと共有できたことに興奮します。
しかし、監視カメラの記録にもその姿は残っておらず、ウィーは幻覚を見たんだと、自分を納得させようとします。
グラはウィーに調査しようと、使われていない病院内の職員宿舎に連れていきます。
彼はそこで幽霊の存在を証明する研究をしていました。ウィーはそんなグラを正気なのか聞きます。
彼は幼い時に父を亡くしていましたが、ある晩、水を飲みに居間へ下りて戻ろうとした時、サッカーボールが足下に転がってきて、蹴り返すとまた戻ってくるという体験をします。
不思議そうにボールを見つめ顔をあげると、そこには男性の姿があり、グラはそれを父親の幽霊だと信じていました。
それ以来20年間、幽霊の存在について頭から離れずにいましたが、ウィーと一緒に幽霊を見たことで、存在するものと確信したと話します。
そして、“他の人にも幽霊を見せることができたら……”という発想に至り、グラは自分は幽霊の存在を証明するために生まれたと言います。
とうとうウィーはグラの熱弁に感化され、一緒に幽霊の研究をすることに同意し、2人は固い握手を交わします。
映画『ゴースト・ラボ: 禁断の実験』の感想と評価
(C)2021 Netflix
「幽霊」と「科学」に着想した作品
本作は制作会社の企画した、所属監督によるシナリオ製作の中で生まれました。
その発端は、ある監督の部屋に幽霊がいるとの噂が立ち、心霊と科学が好きという、共通項のナワポン・タムロンラタナリット監督と、事実を検証しはじめたところから着想しています。
“人は死んだらどうなるのか?”、“死後の世界ってあるのか?”。このようなことを考えたことはありませんか?大切な人が亡くなったあと、人の魂はどこにいくのだろうと…。
日本でいえば三途の川があって、閻魔大王の審判で極楽浄土行きか地獄行きか、生きてきた間の“徳”の積み方で決まるという、戒めから仏教の精神世界の教えです。
そんな中、幽霊をみる人も存在します。また、見えない何者かが物を動かしたり、音を出したり…物理的な考えからそれを解明しようと、思う人も少なくはないでしょうし、どうしてそのようなことをするのか、いったい何者なのか知りたくなります。
実際に降霊術師と科学者がタッグを組んだ、実証実験は昔から行われていますし、幽霊に迫る映画も多数ありますが、科学の観点で迫るストーリー『ゴースト・ラボ』は、オカルト作品としては新しさを感じました。
幽霊の正体は“悔悟の念”
では、『ゴースト・ラボ』はこの作品で何を伝えたかったのでしょう?
パウィーン監督は「この映画が、視聴者が自分の生き方を熟考し、質問への答えを見つけるきっかけになることを願っています。」と語っています。
製作段階ではCVID-19の驚異は想定外だったでしょう。公開に先立ちこの作品の持つ意味や意義が、より一層強いメッセージをもたらしたと言えます。
宗教上の観点から自死は成仏できずに魂は彷徨うといわれ、自死に限らずこの世に思念を残し亡くなった人の魂が、幽霊として現れるとも考えられているので、この世への未練が起こす現象なのかもしれません。
監督のメッセージは予期せぬことで亡くなった人の思い、死に目にも会えない現状もあわせて、自死とはグラのように“悔悟の念”や、残される家族や関係する人々に大きな傷を残す行為だと、一石を投じているのでしょう。
なぜなら、制作時のタイ国は東南アジアの中で、若者(特に男性)の自死率がワーストでした。
“微笑みの国”と呼ばれるのは表面的なことで、内情は貧困や差別によって格差が大きく、メンタルヘルス問題が社会現象になっています。
監督の念頭にはこうした国内事情もあり、COVID-19による追い打ちに懸念からも、生きることに執着してほしいとの願いが感じられました。
まとめ
(C)2021 Netflix
映画『ゴースト・ラボ: 禁断の実験』は、タイの映画界が世界進出に意欲を示した作品です。
撮影技術もさることながら、主演のタナポップ・リーラットタカチョーン、パリ・インタラコマリヤスットをはじめ、タイの俳優陣の迫真の演技にも注目です。
これまではタイ国土の美しい風景などを背景とした、ヒューマンやロマンス、または時代劇を題材にした映画で、国際的には馴染みが薄かったタイ映画でした。
Netflixとタイアップした本作で、今後のタイ作品に注目が集まる、そんな代表作となったでしょう。





































