Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2021/06/06
Update

ゴースト・ラボ: 禁断の実験|ネタバレあらすじ感想とラスト結末の解説。Netflixホラー映画は医師が霊の存在を証明する異色作|Netflix映画おすすめ41

  • Writer :
  • からさわゆみこ

連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第41回

今回ご紹介するNetflix映画『ゴースト・ラボ: 禁断の実験』は、タイ映画初のドル​​ビー ビジョンかつNetflix基準で制作された作品です。

Netflixにて世界的に配信されることで、タイの映画界に新鋭的な発展をもたらすきっかけになると、大きな期待が込められた作品となっています。

ストーリーはグラとウィーの若き医師が、初めて自分の目で”ゴースト”と遭遇したことで、幽霊の存在や死後の世界を科学的に解明し、証明するための研究に奔走する話です。

しかし、その探求心が加速した実験で、予期せぬ方向へ向かってしまいます。彼らの無謀な執着はしだいに、2人の友情や愛する人たちとの絆をも脅かすことに……。

【連載コラム】「Netflix映画おすすめ」記事一覧はこちら

映画『ゴースト・ラボ: 禁断の実験』の作品情報

(C)2021 Netflix

【日本公開】
タイ映画(2021)

【原題】
Ghost Lab

【監督】
パウィーン・プーリチットパンヤー

【原案】
パウィーン・プーリチットパンヤー、ナワポン・タムロンラタナリット

【脚本】
パウィーン・プーリチットパンヤー、ワスドーン・ピヤロンナ、トッサポーン・リアントーン

【キャスト】
タナポップ・リーラットタカチョーン、パリ・インタラコマリヤスット、ナタニチャー・ダンワタナーワニット、スークワン・ブーラクン、ラチャニー・シララート、シャリーダ・ギルバート、ナタウット・ジェーンマナ

【作品概要】
本作の制作会社“GDH 559”は、2016年に創設してはじめててがけた映画が、オールロケ地を北海道にした映画『一日だけの恋人 -ONE DAY-』(2017)で、第12回大阪アジアン映画祭で上映され、Starpics Awordで最優秀賞を受賞しています。

映画『ゴースト・ラボ: 禁断の実験』は、“GDH 559”の全身会社GTH時代に、同社に所属していた監督、パウィーン・プーリチットパンヤーとナワポン・タムロンラタナリットの2人が、それぞれ持ち寄った映画の構想から誕生しました。

映画『ゴースト・ラボ: 禁断の実験』のあらすじとネタバレ

(C)2021 Netflix

「死後の世界を信じるか? 嘘や迷信ではないと証明したことは?」2人の青年はステージに並び、カメラのフラッシュを浴びていますが……、スマホのバイブで目覚めたウィーの夢の中のことでした。

仮眠をとっていた研修医のウィーは同じ研修医のグラのしこんだ、亡霊のように見せかけた人体模型のいたずらで、びっくりし大きな声をだします。

ウィーは幽霊の存在を信じない現実派でしたが、グラはそんな彼をからかいます。一方グラは、病院内にある心霊情報を集めているようでした。

看護師がグラに深夜の急患で、夫婦喧嘩のもつれで家に火を放ち、焼身自殺をした男が運ばれてきたと言います。

もう1人の看護師はステージ3の火傷の上、落下物で頭が陥没し苦しみ唸りながら亡くなったと話します。

グラは何か情報があったら知らせてほしいと言うと、ウィーは容体のことではなく、死亡した報告を欲しがるグラに疑問を抱きます。

ウィーとグラは大学時代からの親友で、ラトナラジュ病院で研修医をしています。

ウィーは重い病の母親のために医師となり、自分の勤める病院へ入院させ、看病するため病室で寝泊りをする日々でした。

その晩、病院で不可解な出来事が起きます。警備員が院内をパトロールしていると、不気味な動きをする影に気がつき、確認すると怖ろしいモノと遭遇してしまいます。

ウィーとグラは当直の担当日です。ロビーの自動販売機前でグラはウィーに、「幽霊はいると思うか?」と訊ねますが、非科学的なことは信じないウィーは否定します。

グラは科学でも発見証明されていない、幽霊の存在に興味があります。そして、2人はロビーで不気味な動きをする、丸焦げになった遺体が目の前に現れ目撃します。

グラは果敢にも近寄って観察しようとし、ウィーは証拠を残そうとスマホを向けますが、その姿は写らずシャッターも切れません。

遺体に手を伸ばすグラ、何度もスマホのシャッターボタンを押し、やっとフラッシュがたかれると、遺体は恐ろしい形相をカメラに向けて消えてしまいました。

2人同時に幽霊を目撃し、グラはウィーと共有できたことに興奮します。

しかし、監視カメラの記録にもその姿は残っておらず、ウィーは幻覚を見たんだと、自分を納得させようとします。

グラはウィーに調査しようと、使われていない病院内の職員宿舎に連れていきます。

彼はそこで幽霊の存在を証明する研究をしていました。ウィーはそんなグラを正気なのか聞きます。

彼は幼い時に父を亡くしていましたが、ある晩、水を飲みに居間へ下りて戻ろうとした時、サッカーボールが足下に転がってきて、蹴り返すとまた戻ってくるという体験をします。

不思議そうにボールを見つめ顔をあげると、そこには男性の姿があり、グラはそれを父親の幽霊だと信じていました。

それ以来20年間、幽霊の存在について頭から離れずにいましたが、ウィーと一緒に幽霊を見たことで、存在するものと確信したと話します。

そして、“他の人にも幽霊を見せることができたら……”という発想に至り、グラは自分は幽霊の存在を証明するために生まれたと言います。

とうとうウィーはグラの熱弁に感化され、一緒に幽霊の研究をすることに同意し、2人は固い握手を交わします。

以下、『ゴースト・ラボ: 禁断の実験』ネタバレ・結末の記載がございます。『ゴースト・ラボ: 禁断の実験』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

(C)2021 Netflix

グラは死後の世界研究を“北極光の研究”と、名付けて記録動画を撮っています。

グラは幽霊の存在を証明する研究の成果を論文にし、“エクスペリメント誌”に載せると雄弁に語ります。

ウィーはグラに数年間に渡る研究の中身について聞きます。グラは実地調査と称して、心霊体験者や目撃者を取材したり、幽霊と交信する儀式を試し、アジア各国の有名な心霊スポットにも足を運んでいましたが、幽霊を目撃することはできませんでした。

しかし、宿直の晩に病院内で幽霊を目撃したことで、最も人が亡くなる場所は病院だと気がつき、院内の心霊目撃情報を集めていました。

そして、“本物の幽霊”は撮影ができないとわかり、証明できる手段は実際に見てもらうしかないと考えます。

ウィーは霊が出現する仕組みを明らかにする必要性を語り、グラは現れるきっかけと証拠を集めるためには、目撃数が必要だと考えます。

2人は研究に参加する霊を獲得するため、院内の目撃箇所からちょうど中心にあたる、自動販売機のあるホールが、霊の共有エリアと位置づけ張り込みを開始します。

ところが1週間経っても幽霊は出現しませんでした。しかし、風でお菓子の袋が動くのを見て、グラは“見えない幽霊”がいることを思いつきます。

それはつまりポルターガイスト現象のことで、ポルターガイスト現象を体験した人は、その時だけ空気が冷たくなると証言していました。

また、グラは病院内の監視カメラで、車椅子やエレベーターなど、不可解な現象をしている録画を見つけます。

そこで2人は現象の起きている場所を、サーモカメラを持って撮影し始めると、あるはずのない車椅子が次々に集まる、ポルターガイストを体験します。

2人は超常現象と気温の変化を目の当たりにし、記録することに成功し研究材料の成果に興奮します。

しかし、グラはネット上に上がっているフェイク動画と大差がなく、説得力に欠けると更に深く研究にのめり込んでいきます。

ウィーは生物に分類があるように、幽霊が見える基準を分類できるのでは?と、考えていました。

“知り合いの霊”と“知り合いじゃない霊”に分けられると言います。

グラが見たという父親は“知り合い”ですが、霊が現れる理由を考えた時、火傷の霊が現れた理由はわからないから、“偶然”で片付くといいます。

父親の霊がグラの前に現れたのには、息子に会いたい思いが姿を見せたという仮説です。

そこで、ウィーは知人を亡くした人を重点的に観察してみようと提案します。

但し、“霊の調査”に納得して、観察に協力してくれる人がいるかどうかがネックです。

なんとグラは人としての倫理を越える、行き過ぎたアイデアを思いつきます。

それは若い末期ガンの女性にわざと近づき、偽りの恋人として励まし寄り添うというものです。

ウィーはやりすぎだと否定的ですが、グラは恋愛もせず死を待つ彼女に、恋愛体験させてあげることで、自分達は実験の機会を得られると、クールに考えていました。

そして、霊を見た時に宇宙が秘密の扉を開けたように感じた。と、ポジティブに捉えています。

そこにウィーのスマホに着信があり、母が危篤状態に陥ったと知らせがあります。

気管を粘液が塞ぎ脳への酸素供給が数分間止まってしまい、意識が戻らず脳死状態になってしました。

母の病を治したくて医師になったウィーが、自分の無力さに打ちのめされていきます。

意識の戻ることがない母を不憫に感じ始めたウィーは、自分の信じる死後の世界に行った方が、母も楽になるのではと思い彼もまた、一線を越えてしまいます。

ウィーは自らの手で酸素吸入器を外し、母に「会いに来て」と安楽死させました。

グラはその病室に定点カメラを設置し、霊がウィーに会いに来るか観察を始めます。

カメラは閉めたはずの窓が開き、風でカーテンが揺れている様子を映し、ウィーは風で目が覚め揺れるカーテンの方をみつめます。

しばらくすると人影のようなものが見え始め、近寄ってみると泣きながらうつむく女性でした。

女性がうつむいた顔を上げ、ウィーの方をみるとその顔は亡くなった母でした。

母は泣きながらウィーに向かって、何かを訴えかけていますが彼には聞き取れません。

ウィーは自分の判断が間違っていたのか苦しみますが、さらに危険な実験へと突き進もうとします。

例えば末期がん患者の女子大生が霊として現れても、実験の意義を知らなければ、検証できるデータは得られないとウィーは言います。

そこで、実験の意義がわかっている自分が死んで、グラの目の前に現れ、幽霊の存在を証明するという提案をしました。

グラはその提案を真っ向から反対します。最愛の母を亡くし自暴自棄になっているだけと諭し、生きて行く意味はまだあるはずと説得します。

しかし、ウィーにとって医者を目指すことも生きることも、母親の存在があったからで、意味はもう無くなったと語りました。

ウィーは死後の世界を研究する中で、“死”に対する恐怖が消え、むしろ死後の世界で母に会いたいとすら思っていました。

ウィーが自ら死ぬ意義を熱弁したあと、グラはその提案を認めつつ実施するのは、研究の発案者の自分にあると主張します。

グラの反論にウィーは納得し、コインで決めようといいコインを投げ、結果ウィーが死の権利をえました。

“真の科学とは、無知から地への旅、愚鈍から英知への旅、不可知から啓蒙の旅”と、遺書をしたため、実験録画を撮ります。

そして、いざ銃口を口の中に入れ引き金を引こうとした時、ウィーは母の亡霊がつぶやいた言葉を聞き取ります。

「なぜ、こんなことを…」と、母は言っていました。ウィーはその言葉を知り、自殺をとどまります。

土壇場で死にきれなかったウィーは、グラに詫びます。彼は「いいんだ…必ず戻る」と言い残し、銃口を口にいれ引き金を引いて、ウィーの目の前で自殺をしてしまいます。

(C)2021 Netflix

ウィーは“死の世界の証明”の論文発表で、ステージに立ち世界中のメディアから脚光をあびます。

しかし、そこに突如「でも、素晴らしい発見のために、命を犠牲にしてもいいのですか?」と質問を投げかけるグラの恋人マイが現れます。

実験のために親友を死なせるのは、ただの殺人者だと詰め寄るマイは、グラと同じように目の前で自殺し…そこでウィーは目が覚めます。

実験を開始してから91日目、霊との交信は途絶えたままです。

ウィーは自分が死ぬはずだったあとのグラのコメント動画、死にきれずに代わりに死んだグラの動画を観ながら、「早く戻ってこい」とつぶやきます。

グラの母は彼の遺体を献体として提供したが、僧侶から自殺は大罪だと告げられ、何とか罪を消し平穏を与えたいと悲しみます。

マイも前日の晩一緒に過ごした時に異変がなく、自分が気づいてあげられなかったせいと思い悩みます。

ウィーは大切な人を残しグラを死なせてしまったことで、自責の念で苦しみ精神的に追い詰められていきます。

そして、彼は病院の屋上から身を投げようとすると、見えない何者かがウィーのネクタイをひっぱり、ウィーは落下せずに助かりました。

ウィーは助けてくれたのはグラだと思い、自分の指を切り落とそうと試します。紙の裁断機の歯をおろすと、不思議な力で裁断機は吹き飛ばされ、グラが現れたと確信します。

そして、グラはパソコンキーを使い「Hi」とウィーに呼びかけます。

グラという霊の実験参加者ができ、次にウィーはどう姿を現せるかを模索します。

グラは死後の世界は周囲に何も見えなかったが、しばらくして、ぼんやりと何か見え始めたのが、ウィーが屋上から飛び降りようとした時だったと教えます。

ウィーは何かが2人を繋ぎ、何かきっかけがあれば霊力が強まると考え、2人の場合はウィーに危険が生じた時だったと話します。

ところがグラの反応は違い、謎の言葉を伝えます。「浜辺…消える…」

ウィーは手がかりを探すため、グラの実家へ行きます。家のダッシュボードにはグラが生まれた、ラノーンの海岸で撮った写真がありました。

ウィーは夢でグラに会って伝言を預かったと言います。そして、転生できずに側にいて、自殺は大罪だから霊となって彷徨い続けるかもと、グラの母親を悲しませます。

するとウィーの体に異変が起きます。鳥肌で身の毛が立ち、グラの母も同じ体験をしたため、側に来ているのかもと感じます。

グラの妹は母親が混乱すると、ウィーを追い帰そうとしますが、そのときスマホの画面に「カーガイ」という言葉が表示されます。

ウィーがその言葉をつぶやくと、グラの母は夕食を食べていくように言い、“カーガイ”を作って出します。

カーガイはグラの好物で食べてみると、店で食べるような絶品だとウィーが言うと、母はグラも同じことを言ったと話します。

ただの褒め言葉だと思っていたけど、ウィーに食べさせたら、同じことを言うだろうと話していたと教えます。

料理が上手なことはウィーを通して、自信を持たせてくれたと感謝をし、グラの母は失意から立ち直ることができました。

ウィーはグラの家族を心配させることで、グラの霊力を高めようと考えていましたが、逆に癒すことになりグラに、研究するつもりがあるのか疑問を持ちます。

グラは家族を悲しませていることを辛く感じます。そして、再びグラの目の前には“浜辺”が見え始めます。

それは最初に見た時よりもよりはっきり見えると言い、「もう行く時間だ」と言い残して、彼との交信が途絶えてしまいました。

ウィーは実験に行き詰まり、また自分の指を切断しようと試みますが、グラは現れず指を落としてしまいます。

同僚に傷の手当てをしてもらい、研究室に戻ろうとするとマイが降りてきます。マイはグラのパソコンが見当たらず、ウィーに知らないか聞きます。

ウィーは知らないと嘘をつき、グラの死を追求しても苦しいだけだと、冷ややかな目で言います。マイは知らないことに耐えられる方がおかしいと反論します。

しかし、パソコンはマイが持ち帰っていました。激怒したウィーはマイの家まで押しかけます。

ウィーは嘘をついたのはグラの死が自殺ではなく、殺人のようにいうからと言い、自分も真実を知りたいが、パスワードがわからないと説明します。

マイはグラの真の理解者だと信じています。自殺の前日に一緒にすごしたのに、異変に気づけなかったことで苦しんでいました。

すると、パソコンが突然開き、パスワードが入力され、実験データのファイルが開き始め、慌てたウィーはパスワードを専門家に解析させるといい、パソコンを持ち出します。

そこから異変がはじまります。エレベーターが誤作動をおこしたり、スマホには“マイに真実を話せ”とメッセージが表示されます。

実験にのめり込み正気を失ったウィーは、苦しむマイを放置すれば、心配になったグラの霊力があがり、実験データが取れると考えます。

グラはそんなウィーを制止させるため、“マイに真実を話せ”と何度もメッセージを送りますが、聞く耳を持ちません。

ウィーはマイを研究室に呼び出し眠らせ、レイプしようとします。グラの怒りが爆発し、想像を絶した霊力で、彼は2階の踊り場からエントランスに突き落とされます。

足を骨折して動けなくなってもウィーは、飽くなきグラの霊能力を引き上げようと、グラの妹で試そうとまで言いだします。

グラは骨折した足をさらにひねり、彼を霊安室までひきずります。そして、献体として残されていたグラの遺体が動き出します。

真実のためには一線を越えなければならないと、言ったのはグラであり、マイや家族のことは考えなかったのかと、ウィーは実験はの成果までもう少しだと言い放ちます。

グラの攻防は激しくなり、霊安室に火災が発生します。グラはウィーの首を絞め2人は死の淵で再会します。

グラは多くの人を傷つけ罪を重ねた…ウィーを止めようとします。そして、母親のこと実験にがんばった、ウィーにもう苦しむなと説得します。

そして、グラは旅を続けると言い残して、ウィーをこの世に押し戻します。幽体離脱したウィーは自分を助けようと、心臓マッサージをするグラの姿を見ます。

一命をとりとめたウィーでしたが、精神的に不安定な状態とはいえ、騒ぎをおこしたことで医師の道を絶たれます。

マイは自分の道を歩みはじめ、研究室で気を失っている時に夢でグラにあったと言います。

彼は海岸でウィーと2人が表紙のエクスペリメント誌を持って幸せそうだったと…。

ウィーは生還する間際にグラから、研究が続けられて羨ましい、自分のためにも生きろと言われたのを思い出し、再び生きる目的を見出し始めます。

映画『ゴースト・ラボ: 禁断の実験』の感想と評価

(C)2021 Netflix

「幽霊」と「科学」に着想した作品

本作は制作会社の企画した、所属監督によるシナリオ製作の中で生まれました。

その発端は、ある監督の部屋に幽霊がいるとの噂が立ち、心霊と科学が好きという、共通項のナワポン・タムロンラタナリット監督と、事実を検証しはじめたところから着想しています。

“人は死んだらどうなるのか?”、“死後の世界ってあるのか?”。このようなことを考えたことはありませんか?大切な人が亡くなったあと、人の魂はどこにいくのだろうと…。

日本でいえば三途の川があって、閻魔大王の審判で極楽浄土行きか地獄行きか、生きてきた間の“徳”の積み方で決まるという、戒めから仏教の精神世界の教えです。

そんな中、幽霊をみる人も存在します。また、見えない何者かが物を動かしたり、音を出したり…物理的な考えからそれを解明しようと、思う人も少なくはないでしょうし、どうしてそのようなことをするのか、いったい何者なのか知りたくなります。

実際に降霊術師と科学者がタッグを組んだ、実証実験は昔から行われていますし、幽霊に迫る映画も多数ありますが、科学の観点で迫るストーリー『ゴースト・ラボ』は、オカルト作品としては新しさを感じました。

幽霊の正体は“悔悟の念”

では、『ゴースト・ラボ』はこの作品で何を伝えたかったのでしょう?

パウィーン監督は「この映画が、視聴者が自分の生き方を熟考し、質問への答えを見つけるきっかけになることを願っています。」と語っています。

製作段階ではCVID-19の驚異は想定外だったでしょう。公開に先立ちこの作品の持つ意味や意義が、より一層強いメッセージをもたらしたと言えます。

宗教上の観点から自死は成仏できずに魂は彷徨うといわれ、自死に限らずこの世に思念を残し亡くなった人の魂が、幽霊として現れるとも考えられているので、この世への未練が起こす現象なのかもしれません。

監督のメッセージは予期せぬことで亡くなった人の思い、死に目にも会えない現状もあわせて、自死とはグラのように“悔悟の念”や、残される家族や関係する人々に大きな傷を残す行為だと、一石を投じているのでしょう。

なぜなら、制作時のタイ国は東南アジアの中で、若者(特に男性)の自死率がワーストでした。

“微笑みの国”と呼ばれるのは表面的なことで、内情は貧困や差別によって格差が大きく、メンタルヘルス問題が社会現象になっています。

監督の念頭にはこうした国内事情もあり、COVID-19による追い打ちに懸念からも、生きることに執着してほしいとの願いが感じられました。

まとめ

(C)2021 Netflix

映画『ゴースト・ラボ: 禁断の実験』は、タイの映画界が世界進出に意欲を示した作品です。

撮影技術もさることながら、主演のタナポップ・リーラットタカチョーン、パリ・インタラコマリヤスットをはじめ、タイの俳優陣の迫真の演技にも注目です。

これまではタイ国土の美しい風景などを背景とした、ヒューマンやロマンス、または時代劇を題材にした映画で、国際的には馴染みが薄かったタイ映画でした。

Netflixとタイアップした本作で、今後のタイ作品に注目が集まる、そんな代表作となったでしょう。

【連載コラム】「Netflix映画おすすめ」記事一覧はこちら

関連記事

連載コラム

Netflix映画『ナイトティース』ネタバレあらすじ結末と感想考察。パリピな吸血ヴァンパイア美女とのドライブは恐怖の一夜に|Netflix映画おすすめ63

連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第63回 ハロウィンの時期のアメリカと言えば新作ホラー映画が公開され、テレビで定番の怪奇映画が放送される、皆で恐怖を楽しむ季節です。 そして …

連載コラム

映画『作兵衛さんと日本を掘る』感想評価と解説。筑豊炭鉱の名もなき坑夫が遺した絵画が記す日本の底|だからドキュメンタリー映画は面白い19

連載コラム『だからドキュメンタリー映画は面白い』第19回 一人の炭坑画家の絵画を通して見た、日本最大の産炭地の栄枯盛衰。 今回取り上げるのは、2019年5月25日より東京・ポレポレ東中野ほか全国順次公 …

連載コラム

映画『あの娘、早くババアになればいいのに』あらすじ感想と評価解説。中村朝佳がアイドルオタクの父に育てられた娘役を好演|インディーズ映画発見伝3

連載コラム「インディーズ映画発見伝」第3回 日本のインディペンデント映画をメインに、厳選された質の高い映画をCinemarcheのシネマダイバー菅浪瑛子が厳選する連載コラム「インディーズ映画発見伝」第 …

連載コラム

ゴダール作品『気狂いピエロ』ネタバレ感想とラストシーンの解説。 ある道化師の愛と言葉を永遠に|偏愛洋画劇場18

連載コラム「偏愛洋画劇場」第18幕 2018年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門で上映、特別賞のスペシャル・パルムドールを受賞した作品が『Le Livre d’Image』。 日本語では『イメージ …

連載コラム

泣ける恋愛映画・大人の邦画ラブストーリーを考察比較。『Love Letter』と『ハル』を「手紙」から読み解く|おすすめ新作・名作見比べてみた4

連載コラム「おすすめ新作・名作見比べてみた」第4回 公開中の新作映画から過去の名作まで、様々な映画を2本取り上げ見比べて行く連載コラム“おすすめ新作・名作を見比べてみた”。 第4回のテーマは「手紙」で …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学