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Entry 2019/10/14
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タイ映画『ホームステイ』感想レビューと評価。BNK48チャープランの初演技と“誰にでもある青春”の思い出|蟹江まりの映画ともしび研究部2

  • Writer :
  • 蟹江まり

連載コラム「蟹江まりの映画ともしび研究部」第2回

こんにちは、蟹江まりです。

連載コラム「蟹江まりの映画ともしび研究部」の第2回目に取り上げるのは、2019日10月5日に公開された『ホームステイ ボクと僕の100日間』です。

1998年に発表された森絵都の名作ジュブナイル小説『カラフル』を、舞台をタイ・バンコクに移して映画化。

思春期の輝きと切なさをつづったオリジナル青春ファンタジーです。

【連載コラム】『蟹江まりの映画ともしび研究部』記事一覧はこちら

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映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』の作品情報


(C)2018 GDH 559 CO.,LTD.ALL RIGHTS RESERVED

【日本公開】
2019年10月5日(タイ映画)

【原題】
HOMESTAY

【原作】
森絵都『カラフル』(1998、文春文庫)

【監督】
パークプム・ウォンプム

【キャスト】
ティーラドン・スパパンピンヨー、チャープラン・アーリークン(BNK48)、スークワン・ブンラクン、サルダー・ギアットワラウット、ノパチャイ・チャイナーム、チャーマーン・ブンヤサック、タネート・ワラークンヌクロ、スダー・チューンバーン 

【作品概要】
死んだはずの魂が他人の肉体に「ホームステイ」するというSF風な冒頭に始まり、ごく普通の日常生活を描いたり、140分で様々な世界観を味わえる作品。

日本の森絵都による大ヒット小説『カラフル』をタイ語訳版を通じて知ったプロデューサー陣が、8年の年月をかけて完成させました。彼らはタイのヒットメーカーとして知られ、日本でも話題となった『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』の制作チームでもあります。原作は日本でも実写映画化とアニメーション化がされている人気作品です。

また、ドラマや映画で活躍する売れっ子でありながら、オーディションで主役を掴み取ったティーラドン・スパパンピンヨーと、大ブレイク中のBNK48のキャプテンで第1回BAR48選抜総選挙1位を獲得、本作では演技初挑戦ながらヒロイン役に抜擢されたパークプム・ウォンブムの初共演にも注目です。

映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』のあらすじ


(C)2018 GDH 559 CO.,LTD.ALL RIGHTS RESERVED

死亡宣告を受けたはずのボク(ティーラドン・スパパンピンヨー)は、「当選しました」という声により遺体安置室で息を吹き返す。

しかし、「管理人」を名乗る清掃員(ノパチャイ・チャイナーム)から、ボクの記憶をすべて消したうえで自殺を図ったミン(ティーラドン・スパパンピンヨー)として転生し人生に再挑戦するチャンスが与えられた、ということを聞かされます。

同時に、仮の肉体であるミンに「ホームステイ」できる期間は100日であるということ、この「ホームステイ」は誰にも知られてはいけないということ、そして期限内にミンの自殺の原因を突き止めなければ、ボクの魂は永遠に消えるということも。


(C)2018 GDH 559 CO.,LTD.ALL RIGHTS RESERVED

新しい人生をスタートさせたミン/ボクは、初めて訪れた街で見知らぬ家族や同級生に囲まれ、違和感だらけの生活を送ります。

それでも母親(スークワン・ブンラクン)は息子の奇跡の生還に泣いて喜び、生前の唯一の友達だったらしいリー(サルダー・ギアットワラウット)や、チューターで特待生のパイ(チャープラン・アーリークン)も、彼の長期不在を心配してくれました。

親切で秀才の美少女パイに一目惚れしたミンは浮かれ、バラ色の学園生活を送ります。

そんな中、誰にも気づかれないようにミンの自殺の原因を探るうちに、彼は1台のノートパソコンにその答えがあると直感します。

果たしてその中には何が記されているのか?そしてボクはミンの自殺の原因を突き止めることができるのか…?

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映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』の感想と評価


(C)2018 GDH 559 CO.,LTD.ALL RIGHTS RESERVED

パイ役チャープラン・アークーリンの初演技

タイを拠点に活動する女性アイドルグループBNK48のキャプテンを務め、今年1月に開催された第1回BNK48選抜総選挙では大差をつけて1位に輝いたチャープラン・アーリークン。そんな彼女が今作で初めて演技に挑戦しました。

彼女は、撮影前に他の若手キャストとともにワークショップで演技を学び撮影に挑みました。

共演したミンとボク役のティーラドン・スパパンピンヨーは、チャープランの演技について、「チャープランは初めての演技だったのにも関わらず、自分のすべてを注ぎ込んでいるのがよくわかりました。役に入り込もうと努力していて、素晴らしい演技に結び付いたと思います」と絶賛しています。

そして、元来感情を表に出すことが苦手で、普段まで気を張っていたというチャープラン自身も、「演技レッスンを受けてから、自分の心にかけていた鍵を開けることができ、感情を出せるようになりました。もう感情を押し殺す必要なんてないんだということに、気が付いた」と語っています。

その言葉通り彼女は、一見クールで強そうに見えるパイが抱える悩みや葛藤を丁寧に表現しています。その「強さ」が崩壊するシーンでは、パイは一瞬で守ってあげたくなるか弱い少女へと変身します。

そんなチャープラン・アークーリンの思い切った演技には魅力が詰まっています。可愛らしさ、無邪気さ、儚さ、そして美しさ。

この映画を通して必ず彼女の虜になること間違いなしです。アイドルとしての活動に加え、これからの女優活動にも期待したいですね。

姿を変える「管理人」を演じた豪華キャスト陣

物語のカギとなる人物、そして物語にインパクトを与えてくれる人物として、ミン/ボクの転生を見守る「管理人」の存在は欠かせません。

「管理人」は窓の清掃員、看護師、精神科医、老女へと、様々な姿に変身することができます。

窓拭き清掃員となった「管理人」を演じたノパチャイ・チャイナームは『ニンフ(2009)』や『ヘッドショット(2011)』などで評価された、目で語りかける俳優です。冒頭における彼の存在感は絶大です。

看護師となった「管理人」を演じたチャーマーン・ブンヤサックはタイのトップ女優であり、『地球で最後のふたり(2003)』では浅野忠信と共演しています。彼女の美しさに触れるためにも一目の価値はあります。

特に印象深かったのが、精神科医となった「管理人」を演じたタネート・ワラークンヌクロです。彼は音楽界の重鎮でありながら『バッド・ジーニアス 危険な天才たち(2017)』や『ポップ・アイ(2017)』で俳優としても評価されています。

彼が主人公ミン(ボク)と会話する中で、いきなり発狂するシーンは思わず鳥肌が立つほど引き込まれてしまいます。

また老女となった「管理人」を演じたスダー・チューンバーンは、10歳のデビューから74歳の現在まで音楽活動だけでなく、ミュージカルや映画、ドラマへと幅広く活躍しています。

青春時代の明暗をダイレクトに描写


(C)2018 GDH 559 CO.,LTD.ALL RIGHTS RESERVED

この映画でのひとつの大きなテーマは、「青春」です。

生まれ変わったミン/ボクは高校生で思春期、そして青春時代の真っ只中です。この青春時代に誰もが経験する「明」と「暗」を、本作は丁寧に描いています。

「明」では、パイとの初恋における甘酸っぱさ、母親からの愛情、友だち(リー)からの支えなどを受けて感じる幸福感です。

一方「暗」では、父親とのぎこちなさ、兄との不仲、母親が抱える問題、パイとのすれ違いなどを受けて感じる悲しさや葛藤です。

青春時代とは、何もかもに敏感になり、同時に多くの影響を受ける時期です。嬉しいことに全力で喜ぶことができる一方で、どんなに些細な悩みでも深く考え込んでしまいます。

ミンだけでなくパイも同様に、身の回りに起こる問題たちに翻弄されていきます。その中で必死に自分にとっての「正解」を求めてもがき、そして「幸せ」をつかもうとする2人の姿に、きっと心を打たれ応援したくなるはずです。

主人公たちと同じ経験をした人もしていない人も、自分の青春時代を思い出し2人の姿と重ね合わせることで、誰もが鑑賞後どこか温かい気持ちになれていることは間違いありません。

まとめ


(C)2018 GDH 559 CO.,LTD.ALL RIGHTS RESERVED

ミステリー、恋愛、ヒューマン、という様々なジャンルが盛り込まれ、老若男女みな楽しめる140分です。

日本の原作小説『カラフル』と、タイで製作された映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』を重ねてみると、設定の違いだけではなく、日本とタイのスタンスの相違が見え隠れしていて面白いです。

例えば、設定の違いでいうと、原作ヒロインのひろかは年下の小悪魔的な女の子だが、映画ヒロインのパイは年上の超優等生な女の子です。また、母親との関係性の変化を追うと、日本とタイの相違が顕著に表れています。

そして、物語終盤で登場するタイならではの場面で描かれた、マスゲームは最も大きな見どころです。マスゲームとは、大人数が集まって体操やダンスなどを行う集団演技を指します。

森絵都さんもこのシーンを絶賛しており、「大勢の人々がさまざまな色を持ち寄り、1枚の絵画を形作る。一人でも欠ければそれは完成しない。まるでこの世界を象徴するかのようなその絵と向き合うことで、ミンはあることに気づき、自らが体験しているホームステイの意味に思い至ります」と語っています。

万人が楽しめる、2019年おすすめのタイ映画はこれ以外にありえないと断言。絶賛公開中なので、ぜひ劇場に足を運んでみてください。

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次回の「蟹江まりの映画ともしび研究部」は…


(C)2019「羊とオオカミの恋と殺人」製作委員会 (C)裸村/講談社

次回の『蟹江まりの映画ともしび研究部』では、2019年11月29日公開の映画『羊とオオカミの恋と殺人』を取り上げます。

【連載コラム】『蟹江まりの映画ともしび研究部』記事一覧はこちら



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