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Entry 2021/12/17
Update

シンウルトラマン考察/ネタバレ予想|主人公の神永新二=2人のシンジ?エヴァとの関連と変身者は“一人”でない可能性も【光の国からシンは来る?6】

  • Writer :
  • 河合のび

連載コラム『光の国からシンは来る?』第6回

2016年に公開され大ヒットを記録した『シン・ゴジラ』(2016)を手がけた庵野秀明・樋口真嗣が再びタッグを組み制作した新たな「シン」映画。

それが、1966年に放送され2021年現在まで人々に愛され続けてきた特撮テレビドラマ『空想特撮シリーズ ウルトラマン』(以下『ウルトラマン』)を基に描いた「空想特撮映画」こと『シン・ウルトラマン』です。

「2021年初夏公開」の延期から劇場公開時期の調整が続いて本作でしたが、ついに「2022年5月13日(金)」での劇場公開が決定。

本記事では新・劇場公開日とともに解禁された第2弾特報や主人公「神永新二」の由来や意味など、新たな『シン・ウルトラマン』情報を考察・解説していきます。

【連載コラム】『光の国からシンは来る?』記事一覧はこちら

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映画『シン・ウルトラマン』の作品情報


(C)2021「シン・ウルトラマン」製作委員会 (C)円谷プロ

【日本公開】
2022年(日本映画)

【監督】
樋口真嗣

【企画・脚本】
庵野秀明

【製作】
塚越隆行、市川南

【音楽】
鷺巣詩郎

【キャスト】
斎藤工、長澤まさみ、有岡大貴、早見あかり、田中哲司、西島秀俊、山本耕史、岩松了、長塚圭史、嶋田久作、益岡徹、山崎一、和田聰宏

映画『シン・ウルトラマン』新解禁情報の考察・解説

『シン・ウルトラマン』特報予告・第2弾

往年の必殺技「スペシウム光線」が初解禁

「2021年初夏公開」のの延期以来、長らく劇場公開時期の調整が続いていた『シン・ウルトラマン』。しかし、円谷プロが2021年12月13日に開催した記念イベント「TSUBURAYA CONVENTION 2021 SPECIAL PROGRAM」にてついに、「2022年5月13日(金)」という新たな劇場公開日が発表されました。

またこの度の情報解禁にあわせて、本作の第2弾特報も解禁・公開。2021年1月29日に公開された第1弾特報から約10ヶ月ぶりとなる、新たな『シン・ウルトラマン』の映像が解禁されたのです。

第2弾特報の尺はわずか18秒。しかし映像内では、辺りに土煙が舞う中で立ち上がるウルトラマンを見せた直後の00:12、ウルトラマンがあの「スペシウム光線」を放つ姿を映し出しています。

ウルトラマンの最も有名な技にして、まさに必殺の光線技であるスペシウム光線。第2弾特報の映像内でも「左右の手刀を十字に交差させたのち、白色の光線が放たれる」という往年のポーズ/演出にて描かれています。

初代ウルトラマンを描くためには、もはや切っても切り離せないスペシウム光線。第2弾特報ではその全貌がわずかながらも明かされることになりました。

主人公の名は「神永新二」──“二人のシンジ”の分身


(C)2021「シン・ウルトラマン」製作委員会 (C)円谷プロ

「TSUBURAYA CONVENTION 2021 SPECIAL PROGRAM」では、斎藤工が演じる『シン・ウルトラマン』主人公の名が「神永新二(カミナガ・シンジ)」であることも発表。『シン・ウルトラマン』ポスタービジュアルのドッグタグに刻まれていた「SHINJI KAMINAGA」がやはり本作が主人公の名であったことが確定しました。

「シンジ」は本作の監督を務める樋口真嗣の名であり、企画・脚本の庵野秀明の誰もが認める代表作『新世紀エヴァンゲリオン』の主人公である碇シンジの名。そもそも碇シンジの「シンジ」は、庵野秀明にとって親交の深い友人である樋口真嗣から由来している点からも、神永新二は樋口真嗣の分身的存在であるのは明らかです。

その一方で「エヴァンゲリオン」シリーズの主人公シンジは、庵野秀明の時代ごとの心象が赤裸々に投影され続けてきた存在であること。そして庵野秀明が大学時代の短編作品や「DAICON FILM」の自主制作映画『帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令』(1983)にて、文字通り「ウルトラマン」役を演じていること……「ウルトラマンになった人間」であることも見逃せません。

つまり『シン・ウルトラマン』の主人公が「シンジ」と名づけられたのは、主人公が樋口真嗣と庵野秀明という“二人のシンジ”の分身であるからなのは、もはや自明の理といって過言ではないでしょう。

「新二」──“古き一人目”から“新たなる二人目”へ

また『シン・ウルトラマン』主人公の「シンジ」が「エヴァンゲリオン」シリーズ主人公の碇シンジの「シンジ」と大きく異なるのは、その名がカタカナではなく「新二」と漢字表記である点。

それは『シン・ゴジラ』の時と同様、観客に『シン・ウルトラマン』の物語をより“観客の現実”と結びつけさせるための演出とも受け取れます。

しかし、“新たな二人目”を略して命名されたとも解釈できるその漢字の並びからも、特撮テレビドラマ『ウルトラマン』にて、初めてウルトラマンという存在になった人間ハヤタ・シン……“古き一人目”に次いでウルトラマンになる、“新たなる二人目”こそが神永新二であることを意味しているともとれます。

さらに「神永」という名字も、かつてウルトラマンのデザインを手がけた成田亨が語った「真実と正義と美の化身」としてのウルトラマン……“永遠なる神”を略して命名されたと考えることもできます。

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まとめ──変身するのは「神永新二」だけじゃない?

“シン”劇場公開日とともに、第2弾特報、斎藤工演じる主人公のフルネームなどの情報も解禁された『シン・ウルトラマン』。特に明かされた主人公の「神永新二(カミナガ・シンジ」からは、『シン・ウルトラマン』の主人公が監督の樋口真嗣/企画・脚本の庵野秀明という“二人のシンジ”の分身……“化身”なのではないかなど、さまざまな解釈が考えられます。

また「二人の人間の“化身”」と聞いて、かつて『ウルトラマンA』(1972〜1973)で描かれた「二人の男女による合体変身」を想起した特撮ファンは多いはずです。

『ウルトラマン』ひいては以降のシリーズ作品で通底して描かれてきた「ウルトラマンという“超人”であるがゆえの孤独」を、他方面からの原点回帰を目指している『シン・ウルトラマン』が描かないはずがない以上、やはり『シン・ウルトラマン』にてウルトラマンに変身する人間は“一人”である可能性は高いでしょう。

しかし企画・脚本を手がける庵野秀明が『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2021)にて、『ウルトラマンタロウ』(1973〜1974)で登場したウルトラ5兄弟が合体する技「ウルトラオーバーラッピング」を堂々とオマージュしていることからも、「『シン・ウルトラマン』にてウルトラマンに変身する人間は“一人”ではない」「『ウルトラマン』最終話がそうだったように、ウルトラマンは“複数”登場する」という可能性も捨て切れないのです。

主人公の名「神永新二」が明かされたことで、確証はないもののさらに想像が膨らんでゆく『シン・ウルトラマン』。2022年5月13日(金)からの劇場公開が再び延期されないことを祈るばかりです。

次回の『光の国からシンは来る?』もお楽しみに!

【連載コラム】『光の国からシンは来る?』記事一覧はこちら

編集長:河合のびプロフィール

1995年生まれ、静岡県出身の詩人。2019年に日本映画大学・理論コースを卒業後、2020年6月に映画情報Webサイト「Cinemarche」編集長へ就任。主にレビュー記事を執筆する一方で、草彅剛など多数の映画人へのインタビューも手がける。

2021年にはポッドキャスト番組「こんじゅりのシネマストリーマー」にサブMCとして出演(@youzo_kawai)。


photo by 田中舘裕介





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