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Entry 2020/12/23
Update

元気が出る2020年映画ランキングベスト5|人生を考える・変えるきっかけに切なくも深い“愛”の姿を《シネマダイバー:菅浪瑛子選》

  • Writer :
  • 菅浪瑛子

2020年の映画おすすめランキングベスト5
選者:シネマダイバー菅浪瑛子

新型コロナウイルスの影響で公開が延期になった映画も多かった2020年。話題となった大作もありましたが、2020年はミニシアター映画に足を運ぶ機会が例年よりも増えた気がします。

いつの時代も人々は支え合い、生きていこうとする。そんな人々の様々な愛のかたちに自分の身近な人々についてしみじみと考えてしまったり、いつの世も変わらない人々の温かさがこのような状況だからこそ沁みるものがありました。そんな温かさや深い愛を感じた映画を5作選びました。

【連載コラム】『2020年映画ランキングベスト5』一覧はこちら

第5位『この世界に残されて』

【おすすめポイント】
第二次世界大戦後のハンガリー。ホロコーストを生き延びた16歳の少女クララと42歳のアルド。傷つき、孤独な16歳の少女のリアルな叫び、様々なものを抱え生きるアルドの笑顔の奥の翳りに苦しくなるも2人が寄り添いあい支え合って前を向いていく再生の物語に心が温かくなります。

しかし、社会主義に染まりつつある世間は父娘とも恋人とも違う2人の関係を認めようとはしません。ただそばにいたい、それだけのことが許されない、そんな中で生きていくしかない2人の切なさと些細な幸せに胸がいっぱいになります。

第4位『ある画家の数奇な運命』

【おすすめポイント】
ゲルハルト・リヒターをモデルにした映画『ある画家の数奇な運命』はまさに第二次世界大戦、その後東西に分断され、激動の時代を生きた画家の数奇な運命を描きます。

時代に翻弄されながらも芸術と真実を追い求める主人公クルトとともに生き、どこまでも彼を信じ支え続けたエリーの深い愛に胸をうたれます。更に、クルトが描いたエリーの肖像画の美しさも印象的でした。長尺の映画ではありましたが、様々な人々の人生が交錯し織りなす圧巻のドラマは見応えがありました。

第3位『マーティン・エデン』

【おすすめポイント】
ジャック・ロンドンの自伝的小説をイタリアのナポリに舞台を変え、映画化した『マーティン・エデン』。主人公マーティン・エデンを演じたルカ・マリネッリは2019年ヴェネツィア国際映画祭で主演男優賞に輝きました。

貧しい船乗りの青年が上流階級の女性に恋をし、その世界を知ることで、知識を渇望していきます。労働者階級と上流階級の埋まらない溝を目の当たりにしつつも、自分の力で道を切り開こうと足掻く青年。その純粋な野心を前に恋人との溝は深まっていく……そして、激動の時代を足掻き続け名声を手にした主人公に残ったのは虚しさだけでした。恋を知り、世界を知り、もがき続けた男の生き様を演じきったルカ・マリネッリの圧巻の演技にしびれました。

第2位『名もなき生涯』

【おすすめポイント】
第二次世界大戦下のオーストリア。自然豊かな村で妻と娘たちと暮らす一人の農夫フランツ。戦争に駆り出されるも、ヒトラーに忠誠を誓うことを拒みます。そんなフランツをドイツ軍は許さず、収監されてしまい、妻も村から「裏切り者の妻」としてひどい仕打ちをうけます。

それでも自身の信念を曲げようとしなかったたった一人の農夫と、そんな夫の信念を信じどんな仕打ちをうけても耐え忍んだ妻。現代の様相とも重なる抑圧の時代に信念を貫く強さ、その強さを持つ者を信じ続ける深き愛を前に、映画を観た多くの方が「幸せ」の意味を再考するはずです。

第1位『オリ・マキの人生で最も幸せな日』

【おすすめポイント】
プロボクサーのオリ・マキは世界タイトル戦が目前に迫り、追い込みの段階にきていました。周囲の期待に応えなくてはいけないプレッシャーがのしかかるも彼は恋人のライヤとの時間も大切……そんな彼の選んだ選択に心がほっこりする映画でした。

自分にとっての幸せ、何が大切かわかっていてその幸せに真っ直ぐになれるというのは案外難しいことなのかもしれません。胸をはってその幸せに飛び込むのは勇気がいりますし、自分にとっての幸せがわからない人も多いでしょう。コロナ禍で自分にとっての大切なものを見つめ直す時間が増えた人もいるのではないでしょうか。そんな時にこの映画を見ると、温かい気持ちになれるかもしれません。

2020年注目の監督とキャスト


(C)2020映画「妖怪人間ベラ」製作委員会

監督賞:ムニア・メドゥール
女優賞:マリアーナ・ディ・ジローラモ
男優賞:森崎ウィン

【コメント】
自身の経験をもとに『パピチャ 未来へのランウェイ』で初長編映画を手がけたムニア・メドゥール。残念ながら本国アルジェリアでは上映禁止になってしまいましたが、主人公ネジュマのリアルな叫びは心に強く突き刺さりました。

女優賞には『エマ、愛の罠』で刺激的かつ魅力的で、ニューノーマルなヒロインを演じたマリアーナ・ディ・ジローラモ。

男優賞には『妖怪人間ベラ』で今までのイメージを塗り替えるような怪演をみせた森崎ウィン。どちらも印象的な演技でした。

まとめ


(C)Inforg-M&M Film 2019

今回選んだ5作は第二次世界大戦下や大戦後の激動の時代を生きた人々の強さ、人々の愛や、自分の幸せ、幸せを追い求めた先の虚しさなどを描いています。奇しくもコロナ禍で私自身も自分の大切な人、大切なものについて考え、自分自身を見つめ直す時間が増えました。

そんな時、これらの映画たちに“大切なもの”について教えてもらえたと感じています。いつの時代も人々は時代に翻弄させれながらも寄り添いあい強く生きていく、そんな人々に勇気づけられ私も前を向いていけると思えたのです。

【連載コラム】『2020年映画ランキングベスト5』一覧はこちら







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