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【ネタバレ】ストレンジダーリン|あらすじ感想解説と結末の評価考察。オマージュ元ネタは?時系列を巧みに交錯させた全6章構成のスリラー

  • Writer :
  • 菅浪瑛子

とある男女の出会いが、予測不能な展開へと突き進むスリラー!

シリアルキラーに震撼する街。モーテルに泊まった一台の車。「あなたは、シリアルキラーなの?」バーで知り合い意気投合した男女。

映画『ストレンジ・ダーリン』では、一夜の出会いが予想もしない展開へと加速していきます

冒頭、「この映画は全6章構成です」とテロップが流れ、始まるのは「3章」……章をシャッフルさせ、仕掛けられた罠に翻弄される新感覚のチャプター・ツイスト・スリラー。

ドラマ版『スクリーム』(2015)のウィラ・フィッツジェラルドが“レディ”を演じ、『Smile スマイル』(2022)のカイル・ガルナーが“デーモン”を演じました。

映画『ストレンジ・ダーリン』の作品情報


(C)2024 Miramax Distribution Services, LLC. ALL rights reserved.

【日本公開】
2025年(アメリカ映画)

【原題】
Strange Darling

【監督・脚本】
J・T・モルナー

【キャスト】
ウィラ・フィッツジェラルド、カイル・ガルナー、マディセン・ベイティ、スティーブン・マイケル・ケサダ、エド・ベグリー・Jr.、バーバラ・ハーシー、デューク・モルナー

【作品概要】
本作が2作目の長編となるJ・T・モルナーは、本作で注目を集め、スティーヴン・キング原作「死のロングウォーク」の映画化作品の脚本も務めています。

主人公の“レディ”役をドラマ版『スクリーム』(2015)で主演を務めたウィラ・フィッツジェラルド、“デーモン”役を『Smile スマイル』(2022)のカイル・ガルナーが務めました。

その他のキャストには、『クローブヒッチ・キラー』(2021)のマディセン・ベイティ、ドラマ『ブレイキング・バッド』シリーズのスティーブン・マイケル・ケサダ、『ブラック・スワン』(2011)バーバラ・ハーシーなど。

映画『ストレンジ・ダーリン』のあらすじとネタバレ


(C)2024 Miramax Distribution Services, LLC. ALL rights reserved.

3章「助けてください」

赤いフォードのピントで逃走する“レディ”と黒い車で追う“デーモン”。近くまで追い詰めたデーモンは、フォードに向かって銃を撃ち、後部のガラスが割れます。

動揺したレディは運転を誤り、車は横転します。よろめきながらも車から這い出したレディは、森の中へと疾走していきます。

銃を構えながら森の中まで追ってきたデーモン。レディは息を潜めながら逃げ、とある民家に辿り着きます。ドアを叩き出てきた老夫婦にレディは「助けてください」と頼みます。

5章「ここかい?子猫ちゃん」

デーモンがすぐ近くまでやってきていることを知り、冷凍庫に隠れるレディ。

家にやってきたデーモンは「ここかい?子猫ちゃん」と言い、隠れていそうな場所を狙って銃を撃ちます。しかし、レディの姿はなく、苛立つデーモン。

一方、レディは息を殺して怯えていました。庭に出たデーモンは何かに気づきキッチンに向かいます。キッチンにはフレデリックの死体が横たわっています。

そして、冷凍庫を見つけ銃を撃ち放つデーモン、怯えて声を上げるレディ……。

1章「ミスター・スナッフル」

バーで意気投合し、モーテルにやってきたレディとデーモン。モーテルの駐車場で停めた車の中で、レディはもう少し話そうとします。

「乗り気じゃないなら言ってくれ」というデーモンに「乗り気じゃないならバーで断っていた、ただリスクは避けたいの」とレディは言います。

そして「シリアルキラーなの?」と尋ねます。面食らいつつも「違う、シリアルキラーじゃない」とデーモンは答えます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ストレンジ・ダーリン』ネタバレ・結末の記載がございます。『ストレンジ・ダーリン』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2024 Miramax Distribution Services, LLC. ALL rights reserved.

4章「山の人々」

パンケーキを焼き、穏やかな時間を過ごしていたジュヌヴィエーヴとフレデリックの夫婦。そこに突然、レディがドアを叩きます。

頭のおかしい女かもしれないと、クマよけのスプレーを手に扉を開けると、「助けてください」と言われます。

ジュヌヴィエーヴは、レディに手当てをします。鎮痛剤が欲しいというレディに、ジュヌヴィエーヴが薬を探しに行きます。

その間にフレデリックは警察を呼ぼうとしますが、レディは「警察はダメだって」と怒鳴り、なんとフレデリックを殺してしまいます。

戻ってきたジュヌヴィエーヴに、レディは「仕方なかったの。あなたは良くしてくれたから殺したくない」と言います。

ナイフで脅し、ジュヌヴィエーヴと共にレディは外に出ますが、ジュヌヴィエーヴは隙をみて逃げ出します。

レディはデーモンがそこまで来ていることに気づき、追いかけずに引き返し隠れる場所を探します。

そして、冷凍庫に目をつけたレディは中のものを庭に出し、冷凍庫のコンセントを抜いて中に隠れます。

2章「パーティーは好き?」

レディは車の中で自分の望みを言います。それは、ベッドに手を縛りつけた状態で、泣いても嫌がってもそのままプレイをして欲しいということでした。

本当にプレイを辞めたい時の合言葉は「ミスター・スナッフル」でした。ロールプレイの中でレディは合言葉を口にします。

やりすぎたかと焦るデーモンに、レディはとても良かったと言います。

「ただ少し休みたくなって」。そう言うとレディは荷物の中からコカインを持ち出し、吸わないかと提案します。

渋るデーモンにレディは「今日は私の誕生日なの。だから友達がくれたの」と言い、デーモンは「誕生日なら」と同意します。

コカインを吸ってハイになるはずが、次第にデーモンの体がいうことを聞かなくなっていきます。レディは、デーモンに麻酔薬を飲ませたのです。

そして身動きができないデーモンの胸にナイフでEL(エレクトリック・レディ)と刻みます。「胸に刻んだのは初めて」と嬉しそうに言うレディ。

レディこそが、街を震撼させているシリアルキラーだったのです。

レディはデーモンのスマートフォンをトイレに流し、財布を調べているとデーモンが警察であったことを知ります。

トイレから戻ると、デーモンにとどめを刺そうとナイフを振りかざしたレディに、デーモンが隠し持っていた銃で撃ち、レディは耳を怪我します。

動揺したレディはよろめきながらも逃げ出します。近くにあった店に入り込み、「助けてください」というレディに、1人の女性が警察に電話しようとします。

するとレディはその女性を殺し、怯えるもう1人の女性に車を貸すように強要します。そして、その女性の服を奪って逃走します。

一方、デーモンはコカインを吸ってハイになることで麻酔薬の効果を打ち消し、レディを追いかけます。

6章「ゲイリー・ギルモアって?」

レディを見つけたデーモンは気を失っているレディに手錠をかけ、冷凍庫に繋ぎます。そして、同僚に「ちょっとトラブった」と話して応援を要請します。

その後、気がついたレディに「エレクトリック・レディなのか?」とデーモンは尋ね「やっと捕まえた」と言います。

するとレディは「ゲイリー・ギルモアのようになりたかった。でも今は終身刑になっても生きたい」と話し始めます。

さらにデーモンとのプレイで愛を感じたと言います。レディの反応にデーモンが反応した隙に、レディは隠し持っていたクマよけのスプレーをかけます。

苦しむデーモンの首にレディは噛みつき、デーモンは首から出血して死んでしまいます。

逃げ出そうとするレディでしたが、デーモンが呼んだ応援が来たことに気づくと、咄嗟にズボンと下着をおろし、レイプされた被害者を装います。

応援に来たのは男性の警官と女性の警官でした。

女性の警官はすぐにレディを救助しようとしますが、男性の警官は「現場検証の方が大事だ、その女性が被害者とも限らない。長年の勘だ」と言います。

「女性だからってなめてるんでしょ、亡くなったら責任取れるの」と女性警官が言い、救助することに同意します。

エンディング

パトカーに乗ったレディでしたが、パトカーを見つけたジュヌヴィエーヴが「女が夫を殺した」と助けを求め、レディを見つけると彼女が犯人だと言おうとします。

しかし、言う前にレディがジュヌヴィエーヴを撃ち「私がシリアルキラーのエレクトリック・レディだ」と言います。

自首をすすめる女性警官に対し、「あなたを殺したくはない。銃を渡して車から降りて」と言います。女性警官は怯えながら車を降り森の中へと逃げていきます。

レディは男性警官を撃ち殺すとよろよろと道路に倒れ込み、通りがかった女性に救助されます。しかし、レディが女性に銃を向け、女性は咄嗟に自己防衛でレディを撃ちます。

レディは苦しそうに息をしながら呆然と女性を見つめるのでした。

映画『ストレンジ・ダーリン』の感想と評価


(C)2024 Miramax Distribution Services, LLC. ALL rights reserved.

6章の構成になっている映画『ストレンジ・ダーリン』ですが、映し出されるのは時系列通りではありません。

あえて時系列を入れ替えたことにより、作り手はいかに観客が見た目で判断している、イメージにとらわれているかを浮き彫りにしていきます。

耳から血を流し、全速力で逃げる女性と、銃を構えて追う男性。この構図だけを見て、どちらかがシリアルキラーだと言われたら、どう答えるでしょう。

そもそも多くの人は、シリアルキラーという言葉を聞いて男性を思い浮かべるのではないでしょうか。

しかし、本作においてシリアルキラーは、男性である“デーモン”ではなく、女性である“レディ”なのです

デーモンの胸にEL(エレクトリック・レディ)の文字を刻み、ナイフで殺そうとしたところ、デーモンが隠し持っていた小型銃でレディをうち、レディは慌てて逃げ出します。

レディにとって銃での反撃は予想外の行動だったのでしょう。さらに、デーモンは警察官でした。このことも恐らくレディにとっては誤算だったのではないでしょうか。

デーモンは、レディこそがシリアルキラーであると確信し、追いかけます。巧みに章を入れ替えることで、あたかもシリアルキラーがデーモンであり、シリアルキラーから逃げようとするレディの姿と錯覚させる罠が仕掛けられているといえます。

男に追い詰められたり、警察官がやってきても咄嗟に身近にあるもので切り抜け、“女性であること”を逆手にとって生き延びようとするレディ。

観客は、様々な思い込みを逆手に取った予測できない展開に引き込まれると同時に、その背景にある自分自身の思い込みにも気づかされていきます

一方で、シリアルキラーとしてのレディのキャラクターが分かりにくい、描き込めていない印象もあります。時々人が悪魔に見えて自分を制御することができず、殺人を繰り返すレディ。

しかし、レディがデーモンに見せていた姿は全て遊びで演じていた姿だったのでしょうか。レディは当初、デーモンにベッドを縛りつけ、首を締めるように求め、強引なプレイを望みます。

その時のプレイについて「愛を感じた」とレディは言っています。レディにとって愛は痛みだとも言っていました。その言葉は本心だったのでしょうか

レディは自分の殺人衝動を抑えてくれる存在を求めていたのでしょうか。それともそのような存在を殺すことで解放感を得ていたのでしょうか。

レディ自身の意図までは明確に描かれておらず、人々の思い込みを逆手に取った斬新さにとどまっている点は、やや残念な印象です。

しかし、シリアルキラーの正体がレディであったと種明かしがあった後も展開の読めないレディとデーモンの攻防戦は見応えがあり、ピュアな悪も感じさせるレディの姿は「X エックス」シリーズのミア・ゴスを彷彿させます

まとめ


(C)2024 Miramax Distribution Services, LLC. ALL rights reserved.

章をシャッフルさせ、仕掛けられた罠に翻弄される新感覚のチャプター・ツイスト・スリラー『ストレンジ・ダーリン』

時系列をシャッフルさせて巧妙に物語を構築していく斬新な手法で、インパクトを与えた傑作といえば、『パルプ・フィクション』(1994)があげられるでしょう。

さらに、クリストファー・ノーランも時系列を活かして物語を展開させる手法をよく用います。

まさに、本作も時系列によって巧妙に観客を騙し、種明かしした後も予測できない展開で観客を飽きさせません。

さらに「X エックス」シリーズのミア・ゴスを筆頭に、女性のシリアルキラーや悪である存在を女性が演じる新たな映画の系譜を辿る映画とも言えます

また、デーモンが一見するとシリアルキラーと錯覚しかねない演出で、実は警察であったというのも、巧妙です



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