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Entry 2020/02/11
Update

映画『犬鳴村』ネタバレあらすじと感想。撮影に実在の最強心霊スポットを使用した“逃げられない存在”とは

  • Writer :
  • 金田まこちゃ

最強の心霊スポットであるトンネルを撮影に使用した清水崇監督『犬鳴村』

九州に実在する、最恐の心霊スポットとして知られる「旧犬鳴村トンネル」。

「旧犬鳴村トンネル」の先には、「犬鳴村」があるとされ、ネットの書き込みなどから、都市伝説として語られています。

この「犬鳴村」を題材に、「呪怨シリーズ」で知られる清水崇監督が挑んだ、新たなJホラー『犬鳴村』。

“犬鳴村”を巡る、重厚な人間ドラマと、その恐怖を描いた、本作をご紹介します。

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映画『犬鳴村』の作品情報


(C)2020「犬鳴村」製作委員会
世界的に注目されているJホラーの旗手、清水崇が実在する心霊スポットを題材にした、ホラー映画『犬鳴村』。

早くも世界的に注目されており、買い付けオファーが殺到していると言われています。

主演は、2019年に公開された矢口史靖監督の『ダンスウィズミー』の三吉彩花。

坂東龍汰、大谷凛香、古川毅などの注目俳優や、寺田農、石橋蓮司、高嶋政伸、高島礼子ら実力派俳優が共演しています。

【公開】
2020年公開(日本映画)

【監督・脚本】
清水崇

【脚本】
保坂大輔

【キャスト】
三吉彩花、坂東龍汰、古川毅、宮野陽名、大谷凜香、奥菜恵、須賀貴匡、田中健、寺田農、石橋蓮司、高嶋政伸、高島礼子、梅津陽、笹本旭

映画『犬鳴村』あらすじ


(C)2020「犬鳴村」製作委員会

恋人の西田明菜の動画撮影に付き合わされ、日本屈指の心霊スポットと呼ばれる「旧犬鳴村トンネル」に立ち入った、森田悠真。

不気味なトンネル内の空気に触れ、悠真は先に進む事を躊躇しますが、明菜はどんどん先に進んで行きます。

そして、トンネルの出口に置いてある「この先、日本国憲法通用せず」の看板。

それは、この場所が「旧犬鳴村トンネル」の先に存在すると言われる村、「犬鳴村」である事を意味します。

不気味な廃墟が集合した村で、悠真は更に恐怖を感じますが、何も気にしていない様子の明菜は、廃墟の中のトイレを使います。

トイレを使用した明菜は、廃墟の外に出ようとしますが、扉が閉ざされ出る事ができません。

すると、大勢のうめき声のようなものが聞こえ、廃墟の窓から出てきた腕に、顔を掴まれます。

村の中を散策していた悠真は、明菜の悲鳴を聞き、廃墟へ助けに行きますが、廃墟から飛び出した明菜は、取り乱した様子で「旧犬鳴村トンネル」へ走って行きます。

悠真も明菜を追って、「犬鳴村」から逃げ出します。

臨床心理士の森田奏は、遼太郎という少年を担当しています。

遼太郎は「本当のママに怒られる」という、意味不明の発言を繰り返しており、遼太郎が手を振っている方向に、女性の幽霊らしき存在を奏は目撃します。

奏は遼太郎を気味悪く感じ、担当を降りる事を検討していました。

そんな時、兄の悠真から連絡が入り、奏は実家に戻ります。

実家で兄の悠真から「『犬鳴村』に行ってから、明菜の様子がおかしい」と聞かされた奏。

弟で小学生の健太は、自由研究を「犬鳴村」の都市伝説にしており、悠真の話に興味を持ちますが、父親の晃は不快感を示します。

母の彩乃は、晃の事を恐れているようでした。

奏は、悠真の部屋にいる明菜と会います。

明菜は、紙に犬と思われる不気味な模様を描いており、「わんこがねぇやに、ふたしちゃう」と、不気味なわらべ歌を口ずさんでいました。

明菜がトイレに行く為、部屋を出たタイミングで、悠真は奏に「助けてやってほしい」と頼みます。

奏が臨床心理士である事と、幼い頃から見えない存在が見える、特殊な力を持っている事から、悠真は頼りにしていたのです。

そこへ、健太が悠真の部屋に入ってきます。

健太の報告から、明菜が家の外に出た事を聞いた悠真は、明菜を探しますが、近くの鉄塔から明菜は飛び降り、亡くなってしまいます。


(C)2020「犬鳴村」製作委員会

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『犬鳴村』ネタバレ・結末の記載がございます。『犬鳴村』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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明菜の葬式の際、晃は明菜の父親に「森田の血は汚れている」と非難されます。

晃は、老医師の山野辺から、明菜の灰に水分が含まれていた事を聞かされ、何かを悟ったような素振りを見せます。

悠真は、仲間と共に「旧犬鳴村トンネル」へ向かいます。

明菜の恨みを晴らす為、「犬鳴村」を燃やそうとしましたが、「旧犬鳴村トンネル」には前には無かったバリケードがされており、中には入れなくなっていました。

それでも、悠真はバリケードの封鎖されていない部分から「旧犬鳴村トンネル」内に入ります。

悠真の仲間は、尋常ではない悠真の雰囲気に恐れを感じ、その場から逃げ出しました。

そこへ、悠真の車に忍び込んでいた健太が現れ、「旧犬鳴村トンネル」の中に入ろうとします。

「旧犬鳴村トンネル」内では、狂ったような叫び声をあげる悠真がいました。

悠真は健太に気付き、中に入らないよう忠告しますが、健太はバリケードから落下しトンネル内に入ってしまい、不気味な集団に取り囲まれてしまいます。

トンネル内には、悠真と健太の叫び声が響きます。

悠真と健太が行方不明になった事を聞き、奏は両親と悠真の仲間、そして警察と共に「旧犬鳴村トンネル」へ行きます。

「旧犬鳴村トンネル」のバリケードに、健太が持っていたカメラが置いてあった事から、この場所で行方不明になった事を警察は確信します。

ですが、すぐの捜索ができない事が判明した瞬間、彩乃が豹変し警察をひっかき、晃に噛みつきます。

すぐに正気に戻った彩乃を、晃は拒絶します。

悠真と健太が行方不明になり、心配しながらも、奏は臨床心理士の仕事を続けていました。

ある時、遼太郎の父親から、実は遼太郎は実の息子ではなく養子で、実の母親は死産した事を聞かされます。

遼太郎は体調を崩し、緊急搬送され、奏は付きっきりで看病しますが、疲れて眠ってしまいます。

目を覚ました奏は、遼太郎が消えている事に気付きます。

奏は遼太郎を探し、危篤状態で搬送された、山野辺の病室の前で発見します。

病室からは、大勢のうめき声が聞こえていますが、意を決して病室に入った奏に、山野辺はかすれた声で「溺れ死ぬ」と伝えます。

また、悠真の仲間が、午前2時に電話が鳴るという都市伝説が存在する「旧犬鳴村トンネル」近くの電話ボックスで、溺死するという事件が起きます。

奇怪な現象が重なる事から、奏は晃に「森田の血」の真相を聞こうしますが、晃は奏に「俺は、お前たちが怖いんだよ」と言い放ちます。

奏は、「森田の血」の真相を究明する為、祖父の隼人を訪ねます。

亡くなった祖母は、奏同様、見えないはずの存在が見える力を持っていましたが、その祖母は「身寄りは分からず、家の前に捨てられていた子供」と聞かされます。

そして「犬鳴村」は、過去にダムの底に沈んだ村である事も聞かされます。

奏は祖母が眠るお墓を眺めますが、そこへ、奏が幼い頃から見えていた、若い青年の亡霊がいる事に気付きます。

「犬鳴村」が沈んだダムを眺める奏。

そこへ、奏が幼い頃から見えていた青年の亡霊、成宮健司が現れます。

健司は、奏に「見せたいものがある」と、過去に撮影された「犬鳴村」の記録映像を見せられます。

「犬鳴村」は、江戸時代より以前に、迫害された人たちが住む村で、独自の文化が育まれていました。

そこへ、村人にとって良き理解者となる人物が現れますが、それは、電力会社の回し者で、「犬鳴村」を破壊し、ダムの底に沈めた人物です。

また、「犬鳴村」の女性を閉じ込め「あそこの女性は、犬と交配して子孫を残している」と言いふらしていました。

その「犬鳴村」をダムに沈めた人物は、晃の先祖である事に、奏は気付きます。

「犬鳴村」の過去を知った奏は、実家に戻りますが、実家の壁には「殺人者」などの落書きがされていました。

また、綾乃が犬のように豹変しており、晃は一心に綾乃をなだめていました。

「犬鳴村」と対峙する事を決めた奏は、午前に2時に電話が鳴るという電話ボックスに向かい、電話ボックスの受話器を取ります。

その後、「犬鳴トンネル」に向かうと、バリケードが消えており、トンネル内に入れるようになっていました。

そこへ、健司が現れ「自分が案内する」と奏に伝えます。

トンネルの先には、ダムに沈んだはずの「犬鳴村」がありました。

電話ボックスの受話器を取った事で、時空が歪み、過去の時間が流れているのです。

奏は健司に導かれ、悠真と健太が閉じ込められている場所に辿り着きます。

2人を救出するには鍵が必要で、奏は鍵が保管されている小屋に入りますが、そこには村の女性、籠井摩耶がいました。

出産した直後の赤ん坊が近くにおり、健司は奏に、赤ん坊も連れて行くようにお願いをします。

奏は赤ん坊も連れて逃げようとしますが、摩耶は赤ん坊と離れる事に納得しておらず暴れ始めます。

健司は「この村はもうすぐダムに沈む、赤ん坊は育てられない」と説得しますが、摩耶は暴れ続けており、奏はその間に赤ん坊を連れて逃げ出し、悠真と健太を連れ出します。

奏達は「旧犬鳴村トンネル」まで、逃げ出しますが、そこへ追いかけて来た摩耶が現れます。

凶暴な犬のように豹変した摩耶が、奏に襲い掛かりますが、健司と悠真が摩耶を止めている間に、奏と健太は逃げ出します。

奏と健太は、辿り着いた民家に赤ん坊を置いた瞬間、時空の歪みが正常に戻り、祖父の家の前で倒れていました。

それから数日後、犬鳴村が沈んでいたダムから、悠真の死体が見つかりますが、その両足には、健司と摩耶と思われる、白骨死体がしがみついていました。

奏は健司と摩耶の白骨を、祖母と同じ墓に入れます。

病院に復帰した奏は、遼太郎の退院を見送ります。

奏の後姿を眺めていた遼太郎は、犬のような歯を見せます。

奏も、犬のような歯を見せながら、病院の廊下を歩いていました。

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映画『犬鳴村』感想と評価


(C)2020「犬鳴村」製作委員会
福岡県に実際に存在する「旧犬鳴トンネル」と、その先にあると言われている都市伝説「犬鳴村」。

清水崇監督が、この実在する心霊スポットに挑んだ映画『犬鳴村』は、逃れられない血筋の物語となっています。

インターネットの書き込みサイトなどでは、「犬鳴村」に足を踏み入れた者は戻って来れないと報告されており、「犬鳴村」は恐怖の対象となっています。

ですが、清水監督は、この「犬鳴村」に悲劇的な物語を持たせ、作品全体を、悲しいホラー作品に仕上げています。

清水監督の代表作「呪怨」シリーズでは、ノンストップの恐怖描写の連続でしたが、『犬鳴村』では、対照的にジワジワと感じる恐怖となっています。

では「本作における恐怖の対象とは何か?」という部分ですが、奏達に流れる「森田家の血」というか、母親の綾乃に流れる血筋であり、決して逃げられない「自身のルーツの物語」です。

「犬鳴村」を扱ったホラーと聞いた時、「犬鳴村」に足を踏み入れた若者達が、次々と恐怖に遭遇する展開を想像していましたが、清水監督は「犬鳴村」を「奏達のルーツ」とする事で、目を背ける訳にはいかない存在としています。

本作のラストで、奏は犬のような一面を見せていますが、それは自身が「犬鳴村」の出身である事を認め、存在意義を持った事を意味していますが、この瞬間、傍観者だった観客は、当事者に変わります。

「『犬鳴村』の出身者は、あなたの近くにいるかも」と。

テーマになった「犬鳴村」が、ネットを中心に広がった怪談である事を考えると、実に怪談的な終わり方だと言えます。

他にも、本作では「怪談的な恐怖演出」に挑戦しており、インターネットの怪談とかでよく出てくる場面を、映像化しています。

特に明菜が飛び降りた際の「ほらね」の場面は、「怪談的な恐怖演出」が前面に出た部分ですので、そういった恐怖演出の挑戦にも、注目して下さい。

まとめ


(C)2020「犬鳴村」製作委員会
前述したように、『犬鳴村』の恐怖の対象は「自身の血筋」であり、「犬鳴村」の亡霊が襲ってくるという作品ではありません。

逆に、本作における幽霊は、生者に助けを求める存在として描かれています。

「呪怨」シリーズで最強の怨霊「伽椰子」を作り出した、清水監督の、「呪怨」シリーズとは真逆の幽霊への解釈が面白い点です。

作品全体は、重厚な人間ドラマが中心になっており、ノンストップの恐怖を期待した方は、少し拍子抜けするかもしれません。

ですが、安易に「『犬鳴村』での恐怖」を描いたホラーより、逃げられない存在として「犬鳴村」を扱った本作は、独特の世界観を持つ、完成された悲しい雰囲気のホラー作品となっています。

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