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『悪魔がはらわたでいけにえで私』あらすじ感想と評価考察。脳内で映画ごちゃ混ぜ全力疾走ムービーの爆誕!

  • Writer :
  • 糸魚川悟

映画『悪魔がはらわたでいけにえで私』は2024年2月23日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、シネマート新宿ほかで全国ロードショー!

伝説的ホラー映画として、ホラー映画好きにとっては教科書のような作品となっている『悪魔のいけにえ』(1975年)と『死霊のはらわた』(1985年)。

前者は殺人鬼一家ではありつつも、あくまでも「人」を恐怖の対象として描いた作品。そして後者は魔導書によって復活してしまった「死霊」による恐怖を描いた作品となっており、この2つの作品は伝説的な作品ではあれど、方向性は全く異なる映画でした。

しかし2024年、この2つの作品の名前を無理やり接続したかのような異色すぎる邦画が誕生。

今回はタイトルから受ける印象と内容が見事にマッチしている、ジャンルごった煮の新感覚ホラー『悪魔がはらわたでいけにえで私』(2024年)の魅力をご紹介させていただきます。

映画『悪魔がはらわたでいけにえで私』の作品情報


(C)「悪魔がはらわたでいけにえで私」製作委員会

【日本公開】
2024年(日本映画)

【監督】
宇賀那健一

【プロデューサー】
高橋淳、野村啓介、WATANABE

【キャスト】
詩歩、野村啓介、平井早紀、板橋春樹、遠藤隆太、三浦健人、ロイド・カウフマン

【作品概要】
世界20ヵ国以上の映画祭に出展し、11ものグランプリを受賞した連作短編『異物』を手掛けた宇賀那健一が、自身の短編映画『往訪』を長編映画化した作品。

宇賀那健一監督作『魔法少年☆ワイルドバージン』(2019)や『沈黙のパレード』(2022)などへの出演歴を持つ詩歩と、『銀魂2 掟は破るためにこそある』(2018)に出演した野村啓介が本作でメインキャストを務めました。

映画『悪魔がはらわたでいけにえで私』のあらすじ


(C)「悪魔がはらわたでいけにえで私」製作委員会

突如連絡の取れなくなったバンドメンバー・ソウタの家を訪ねたハルカとナナとタカノリ。

ソウタの家は窓ガラスが新聞紙で完全に塞がれており、家に居たソウタの言動にも異常さを感じる3人。

やがて、ナナが家の奥に貼られていたお札を剥がしてしまったことで、この世ならざる者が世界に解き放たれてしまい……。

映画『悪魔がはらわたでいけにえで私』の感想と評価


(C)「悪魔がはらわたでいけにえで私」製作委員会

ジャンルごちゃ混ぜ!脳が混乱する全力疾走ムービー

廃屋のような奇妙な建物の中で、世界を崩壊に導いてしまうような封印を解放してしまうと言う『死霊のはらわた』を彷彿とさせる導入から始まる本作。

物語のアクセルは序盤からフルスロットルとなっており、本作は開始10分からとにかく血みどろの惨劇が繰り広げられることになります。

しかし、「とんでもない映画を観始めてしまったな」と考えるのも束の間、物語は1シーンを挟むと全く別ジャンルの展開へとシフトしていき、わずか1時間の上映時間でホラーやサスペンス、ヒューマンドラマにコメディ、そしてSFと信じられない量のジャンル転向を繰り返します。

情報量が多過ぎるがゆえに鑑賞後は上映時間の短さとは真逆の、脳の処理が追い付いていないような気にさえなる全力疾走ムービーな映画『悪魔がはらわたでいけにえで私』。

そんな多すぎるジャンル転向とは裏腹に物語は一本の筋が通されており、初期の印象とは異なる少し物悲しく切ないながらも生きた標がどこかに残るような仄かな希望が胸に沁みる暖かい物語を浴びることになります。

何もかもが想像を良い意味で裏切る、全力疾走な異色の映画でした。

グロくて笑える後味良好ホラー

「死霊のはらわた」シリーズを始め、一部のホラー映画には悪趣味でシュールな笑いが散りばめられていることがあります。

そんなホラーの醍醐味を受け継いだ本作は悪趣味でシュールな笑いを全編に散りばめ、ホラーでありながら気楽に観ることの出来る作品に昇華していました。

切断された首が下半身を生やし陽気に踊り出すといった、どこか『死霊のはらわた』を豊富とさせるようなテイストの笑いから、飛び出した自身の大腸で大縄跳びを行う悪魔たちという、ド直球な悪趣味演出など多様な笑いが詰め込まれた本作。

しかし、本作のそんな悪趣味な笑いのセンスは中盤以降に顕著となる「陽気」な雰囲気によって、引き笑いを生むのではなく「なんか楽しそう」な感覚をもたらしていました。

冷静に観るととんでもない絵面が繰り広げられながらも、「楽しい」感覚が続くために後味が決して悪くない本作は、計算された絶妙な笑いを感じさせてくれます。

鑑賞注意!意外過ぎる特別主演

本作には「映画界の大物」と、「とんでもないキャスト」が出演者として名前を連ねています。

そのひとり「映画界の大物」は、長く愛されるカルトホラー『悪魔の毒々モンスター』(1987)の監督ロイド・カウフマンです。

ロイド・カウフマンは「悪魔の毒々モンスター」シリーズが日本で好評だった影響から日本との関わりが強いだけでなく、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)など多くの映画にカメオ出演していることでも知られています。

そんなカウフマンが日本映画への出演作として選んだ本作はまさに彼の大好きなジャンルの作品であり、出演を果たしたカウフマンは大興奮のコメントを寄稿していました。

そして本作には「とんでもないキャスト」としてスタッフロールに「ある昆虫」の名前が記載されており、記載に納得が出来るほどに作中に大量に出演されています。

その名前はここでは控えさせていただきますが、黒光りする家で見たくない昆虫の名前を一部に冠した「とんでもないキャスト」が出演していることをぜひその心にご留意ください。

まとめ


(C)「悪魔がはらわたでいけにえで私」製作委員会

少し混乱するようなタイトル通り、鑑賞者の脳も混乱の渦中に突き落とすような全力疾走なジャンルごちゃ混ぜムービーな本作。

想像している展開を必ず裏切ってくれる、面白味に満ちた本作はホラー映画好きなら刺さるシーンが間違いなくあると言い切ることが出来るほどに、ジャンルへの愛が詰まった作品となっていました。

映画『悪魔がはらわたでいけにえで私』は、2024年2月23日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、シネマート新宿ほかで全国ロードショー

さまざまなホラー作品へのオマージュを見せてくれながらも、新鮮味溢れる本作をぜひ劇場でご覧になってください。



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