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Entry 2025/08/28
Update

『ファンファーレ!ふたつの音』あらすじ感想と評価レビュー。フランスの名優バンジャマン・ラヴェルネがスター指揮者を好演

  • Writer :
  • 桂伸也

2025年9月19日(金)より、映画『ファンファーレ!ふたつの音』は全国順次公開!

ある日突然知った、自分の知らない兄弟の存在。その出会いとふれあい、理解のさまを音楽を通じて描いてドラマ『ファンファーレ!ふたつの音』。

難病を宣告されたことをきっかけに、自身に生き別れた兄弟がいることを知った二人の男性が、その失われた時と不条理を取り戻すかのように近寄り、時には衝突し合いながらお互いへの理解を深めていくさまを描きます。

メインキャストは「フランスのアカデミー賞」といえるセザール賞に5回ノミネートされた名優バンジャマン・ラヴェルネが担当しています。

本国フランスでは260万人動員、3週連続No.1(仏映画興収/実写映画)を記録しており、セザール賞主要7部門ノミネート、各国の映画祭で観客賞をはじめ数々の賞を受賞するなど、公開より大きな話題を呼んでいます。

映画『ファンファーレ!ふたつの音』の作品情報


(C)2024 – AGAT Films & Cie – France 2 Cinéma

【日本公開】
2025年(フランス映画)

【原題】
En fanfare

【監督・共同脚本】
エマニュエル・クールコル

【出演】
バンジャマン・ラヴェルネ、ピエール・ロタン、サラ・スコ、ジャック・ボナフェ、クレマンス・マサール、アン・ロワレ、チャーリー・ネルソン、ジョニー・モントレイユ、ほか

【作品概要】
病気の検査をきっかけに、生き別れた弟の存在と対面した指揮者が、さまざまな音楽とともに過去を取り戻し、未来へと歩みを進めるさまを追ったドラマ。

作品を手がけたのは『アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台』(2020)のエマニュエル・クールコル監督。

メインキャストには『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人』(2023)『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』(2019)などのバンジャマン・ラヴェルネ、『アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台』(2020)のピエール・ロタンらが名を連ねています。

映画『ファンファーレ!ふたつの音』のあらすじ


(C)2024 – AGAT Films & Cie – France 2 Cinéma

世界中を飛び回る著名な指揮者ティボは、ある日リハーサル中に突然倒れ入院、白血病と診断されてしまいます。

そしてドナーを探す中で彼は、偶然自分が養子であり、生き別れた弟・ジミーがいることを知ります。

ジミーは、かつて炭鉱で栄えた町の食堂で働きながら、仲間と結成した吹奏楽団を生きがいとして平穏な生活を送っていました。

育った環境も性格もまったく異なるティボとジミーでしたが、ティボはジミーに隠れた音楽の才能を見いだし、自身と共通する何かを感じます。

兄弟ながらまったく異なる運命を歩んできたジミーに対して、ティボはその不公平を埋めるべく、弟のジミーへの手助けを行うと心に決めるのでした。

映画『ファンファーレ!ふたつの音』の感想と評価


(C)2024 – AGAT Films & Cie – France 2 Cinéma
養子として育てられた兄ティポは、世界的に認められた音楽家、実力派指揮者。一方で生き別れていた弟は、今は寂れた炭鉱の街で慎ましやかに生きていました。

実は兄弟であった二人の男性。その事実を知ったのは、兄の病気がきっかけであったこと。そしてその真実が明らかになってからは、ごく短い時間の中で、まるで失われた時を取り戻すかのように二人は寄り添い、時に衝突しながら距離を近づけていきます。

その不公平とも思えるお互いの境遇を埋めるように、お互い相手への思いを強めていくさまは、短時間に濃縮された物語だけあって家族、兄弟という関係の一番際立つ部分が明確化され強い印象を表しています。

その関係、家族、兄弟といった関係のあるべき姿を問う物語とも言え、物語の特徴的な出来事にうまくメッセージ性を表した作品となっていますが、その一方で、文化や芸術といった活動に対するあり方に対して言及している雰囲気も感じられます。

二人の兄弟は「生活の大きな柱としている『音楽家』というステータス」「生活の主ではないが、心の大きな拠り所としている」という、それぞれの立場において考えている音楽に対する向き合い方を持っていました。


(C)2024 – AGAT Films & Cie – France 2 Cinéma

そしてお互いの立場を理解していくことでその捉え方に影響し、それぞれの音楽に対する姿勢、音楽に対してこう向き合いたい、という考えは変化していきます。

この展開していく様子は、どこか音楽、芸術への携わり方として「極めたものだけが、食としてその仕事を全うできる」「極められないものにとって、音楽とは単なる趣味、余暇の過ごし方の一つ、贅沢品のようなもの」といった線引きを超越し、芸術活動をもっと身近で、生活に根ざした重要なものであると思わせてくれる、新たな思想を想起させてくれるような物語となっています。

世間の芸術に対する認識は、時を減るに連れ大きな理解を示しつつある一方で、何らかの不均衡が生じた際にやはりどこか理解されない現実は、いまだ露見されることもあるといえるでしょう。

この物語は現代の社会においてさまざまに発生しているその不均衡、そしてこれに付随し発生している芸術への不理解というポイントに対して、改めてその是非を問うているようなメッセージ性も感じとることができます。

まとめ


(C)2024 – AGAT Films & Cie – France 2 Cinéma

パンジャマン・ラヴェルネ、ピエール・ロタンそれぞれによる両極端の性質を見せる兄弟ぶりも、本作の魅力の一つ。

幼い頃に生き別れ、まったく異なる世界に生きた兄弟ですが、もし彼らが分かれることなく成長を遂げていたら、二人はどのような性質の人物となっていたか? 生き方による人間形成の過程など、イマジネーションを広げてくれるような人物設定でもあります。

作品のラストは決して完全なハッピーエンドという形にはなりませんが、意外な形で二人のわだかまりは消え、理解し合う光景が最後に描かれます。

その展開はどこか平坦に見えながら、起伏の作り方が非常に緻密であり、心揺さぶられる物語となっています。

映画『ファンファーレ!ふたつの音』は2025年9月19日(金)より全国順次公開!





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