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Entry 2023/11/10
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映画『わたくしどもは。』あらすじ感想と評価解説。ロケ地・佐渡島で小松菜奈×松田龍平が“輪廻という別れ”を演じる|TIFF東京国際映画祭2023-14

  • Writer :
  • 松野貴則

映画『わたくしどもは。』は第36回東京国際映画祭コンペティション部門にてワールド・プレミア上映!

男と女は「生まれ変わったら、今度こそ一緒になろうね」という約束の言葉を最後に、寺の境内から身を投げた……愛を誓って心中を図った男女の行きつく先を描いた映画『わたくしどもは。』

海外の映画祭にて数々の賞に輝いている富名哲也が監督を務め、第36回東京国際映画祭のコンペティション部門へ正式出品されました。

『余命10年』(2022)『溺れるナイフ』(2016)などの小松奈菜、『舟を編む』(2012)『『御法度』(1999)などで唯一無二の世界観を見せる俳優・松田龍平を主演に迎えた本作。また、映画のみならず、舞台でも評価の高い田中泯や大竹しのぶなど豪華俳優陣が脇を固めています。

「輪廻」という死生観をテーマに、思想的で実験的な映画表現が世界で評価されている『わたくしどもは。』は、2024年に公開予定です。

【連載コラム】『TIFF東京国際映画祭2023』記事一覧はこちら

映画『わたくしどもは。』の作品情報


(C)2023 TETSUYA to MINA film

【日本公開】
2024年(日本映画)

【監督・脚本・編集】
富名哲也

【企画・プロデュース・キャスティング】
畠中美奈

【音楽】
野田洋次郎

【キャスト】
小松菜奈、松田龍平、大竹しのぶ、片岡千之助、石橋静河、田中泯、内田也哉子、森山開次、辰巳満次郎

【作品概要】
監督は、2018年に初の長編映画『Blue Wind Blows』がベルリン国際映画祭のジェネレーション・コンペティション部門に正式招待された富名哲也監督。

確かな実力と独特な存在感を醸し出す小松奈菜と松田龍平を主演に、田中泯、大竹しのぶなど日本映画を支える豪華俳優陣が作品を彩ります。

本作は第36回東京国際映画祭・コンペティション部門にて正式出品されました。

映画『わたくしどもは。』のあらすじ


(C)2023 TETSUYA to MINA film

「生まれ変わったら、今度こそ一緒になろうね」……その言葉を残して、男(松田龍平)と女(小松奈菜)は寺の境内から身を投げて心中しました。

次に女が目を覚ますと、そこは扉に囲まれた室内でした。すると、清掃服姿の女性(大竹しのぶ)が現れ、自分の家に来るよう告げます。

日本家屋の建物には、幼女と10代の少女、そして、清掃服姿だった女性が食卓を囲んでいました。名はそれぞれ、アカ、クロ、キイと名乗ります。

彼女たちは女のことを「ミドリ」と名付け、一緒に暮らしながら、清掃員として働くことを勧めました。ミドリは自身の生い立ちや名前すら思い出せないため、キイに頼るほかありません。それから、全員が赤の他人の奇妙な共同生活が始まりました。

キイと一緒に清掃員として働き始めるミドリ。そこで彼女は、警備員として働く男と出会いますが、男もまた自身の名前と過去の記憶がないと明かしました。

ミドリと男は互いに惹かれ合っていきます……。

映画『わたくしどもは。』の感想と評価


(C)2023 TETSUYA to MINA film

映画『わたくしどもは。』は、佐渡島の金山跡地を舞台に、死後の世界を生きる男女の運命と愛を描いた作品です。

愛を誓う二人が心中を図るところから物語は始まります。そして、小松奈菜演じるミドリが目覚めると、そこは具体的な時代や場所が分からない日本のとある田舎。

緑豊かな自然、古い建築物、そして、昔は賑わっていたという金山の採掘跡地。日本を舞台に作品全体で描かれているのは、生と死の狭間の世界です。観る人によって様々な解釈ができますが、人が死に、新しく現世で生まれる「輪廻」というテーマを下地に、人間の根底に流れる愛情を描いた作品といえるでしょう。

自分自身や愛する人のことを忘れても「その人を愛していた」という感情までは消し去ることができない。そんな男女の様を、美しい映像表現に閉じ込めています。注目すべきところは、また現世に生まれるということが二人の別れも意味するという点です。

「生まれ変わったら、今度こそ一緒になろうね」と約束した言葉が、現世で果たされるかは確約されていません。そんな二人は、このままずっと生と死の狭間で揺れる魂の存在になるのでしょうか。この「輪廻」と「悲恋」というテーマをかけ合わせて描く物語が本作の魅力です。

人間の思想、宗教、風景、愛を美しい映像とともに、唯一無二の存在感を放つ俳優たちが表現しています。

まとめ


(C)2023 TETSUYA to MINA film

世界中から注目を集める富名哲也監督の映画『わたくしどもは。』をご紹介しました。

第36回東京国際映画祭・コンペティション部門にて正式出品された本作は、2024年に全国公開が予定されています。

映画の中で描かれるのは、輪廻転生をしていく途中で、たとえ何もかもを忘れてしまっても残り続ける真実の愛。そして、死後の世界でも繰り返される男女の悲恋。

美しい風景とともに、人間の思想、死生観、宗教、男女の出会いと別れを詩的に描いています

【連載コラム】『TIFF東京国際映画祭2023』記事一覧はこちら




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