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【ネタバレ】マニアック・ドライバー|結末あらすじ感想と評価解説。バイオレンス映画ファン必見の極彩色で描く”ネオ・ジャパニーズ・ジャーロ”|B級映画 ザ・虎の穴ロードショー78

  • Writer :
  • 増田健

連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第78回

深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞することも可能です。

そんな気になるB級映画のお宝掘り出し物を、Cinemarcheのシネマダイバーがご紹介する「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」。第78回は、光武蔵人監督の『マニアック・ドライバー』です。

1920~1930年に誕生したイタリアの犯罪小説を指す言葉「ジャーロ(ジャッロ)」。1960年代にこのジャンルの映画が作られ始め、マリオ・バーヴァやダリオ・アルジェントなどの監督が様々な作品を生みました。

「ジャーロ映画」はヨーロッパ各国やアメリカに日本の映画界、そして現在のバイオレンス映画作家に大きな影響を与えています。「ジャーロ」や、「ジャーロ」から影響を受けたホラー・バイオレンス映画へのオマージュに満ちた、B級映画ファン必見の映画を紹介します。

【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら

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映画『マニアック・ドライバー』の作品情報


(C)MMXXI Akari Pictures

【公開】
2022年(日本映画)

【監督・脚本】
光武蔵人

【キャスト】
木村知貴、古川いおり、佐山愛、卯水咲流、きみと歩実、園部貴一、近藤善揮、木村圭作、川瀬陽太

【作品概要】
東京の街をさまようタクシードライバー。狂気に支配された彼が引き起こす惨劇を描く、極彩色に彩られたバイオレンス・ムービー。

監督は『女体銃 ガン・ウーマン/GUN WOMAN』(2013)、『KARATE KILL/カラテ・キル』(2016)の光武蔵人。凶悪な主人公を『喝 風太郎!!』(2019)や『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』(2021)、『由宇子の天秤』(2021)の木村知貴が演じました。

『快楽交差点』(2016)の古川いおりに『やる気まんまん』(2007)の佐山愛、『劇場版 はぐれアイドル地獄変』(2020)の卯水咲流。そして『横須賀綺譚』(2020)や『海底悲歌』(2021)、『激怒』(2022)の川瀬陽太が共演した作品です。

映画『マニアック・ドライバー』のあらすじとネタバレ


(C)MMXXI Akari Pictures

シャワーを浴びながら、自らの肉体を弄ぶ女性。彼女にナイフを握りしめた、黒いフルフェイスのヘルメットを被った男が忍び寄ります。

くぐもった笑い声を響かせながら、女の胸にナイフを突き立てる男。崩れ落ちた女を見下ろす男は、ヘルメットを取り自分の首をナイフで裂きました…。

その男フジナガ(木村知貴)は黒塗りのタクシーを、黒い皮手袋をはめた手で走らせるドライバーでした。後部座席に乗せた美しい女性(卯水咲流)を、バックミラー越しに怪しい目で見つめるフジナガ。

「この女…、俺と死んでもらう」。邪悪な感情を抱いたフジナガは、乗客を降ろすとタクシーのトランクを開けます。そこには黒いフルフェイスのヘルメットと、黒いレーシングスーツが入っていました。

ナイフを持った黒ずくめ姿のフジナガに追われた女性は、身軽になろうと服を脱ぎ棄て走り逃れようとしますが、飛び出して車にはねられます。血まみれになり、胸を露わにした姿で路上に倒れる女性。

「惜しい生贄だった、あいつを自由にして、死にたかった…」と思うフジナガ。彼は獲物を求めタクシーを走らせます。フジナガは何人もの、何組もの乗客を運びました。

この世はディストピアだ、とうそぶくフジナガ。それでも彼は、かつては自分は幸せだと感じていました。その幸せが奪われた以上、社会への復讐に相応しい女を生贄の犠牲者としてから、自らの命を絶つ暗い考えを抱いて夜の街を走ります。

愛する者を奪われた自分には、そんな復讐を果たす権利があると固く信じるフジナガ。闇に包まれた東京に、また朝日が昇りました。

ある夜、眠りこけた男(木村圭作)を乗せていたフジナガ。すると目覚めた男は断りなく高速道路を使用した、と怒り出します。激怒した乗客に殺す気で来いと挑発した彼は、無抵抗のまま殴られます。

生贄を求めずに1人で死のうと、相手に殴らせた事もあるとフジナガは振り返ります。しかし人間は頑丈にできているのか、死ぬことはできなかったと言葉を続けます。フジナガを殴り倒すと、男は金を払い去って行きました。

ナイフを持ちフルフェイスヘルメットを被った、全裸の殺人鬼に襲われる下着姿のフジナガの妻(古川いおり)。彼女を守ろうとしたフジナガは刺されて倒れます。妻は捕食者に追われる、か弱い動物のように恐怖を感じ追いつめられた、と振り返るフジナガ。

妻が浴槽に入れられ徐々に満ちてゆく水で溺れる姿を、傷付いたフジナガは見つめるしかありません。やがて妻を殺害した男は、ナイフで自らの首を裂き死にました。

目の前で妻を殺され、復讐すべき犯人にも自殺されたフジナガ。だから俺も、誰かの命を理不尽に奪ってから自殺する。この行為は復讐であり、弔いでもある…。そんな暗い感情が、彼を突き動かしていたのです。

今日もタクシーを走らるフジナガは、せわしなく昼食を終えると多量の錠剤をカップ酒で流し込みます。また東京に夜が訪れました。

今夜は和服姿の女性(佐山愛)を乗せたフジナガ。女性客はバックミラー越しに見つめる彼の視線に気付きました。笑顔を見せ、事故を起こさぬ程度に遠慮せず見れば良いと語る女性客。

場面は変わり、フジナガの正体は女の敵と悟った乗客は、着流し姿のフジナガと日本刀で斬り合います。負かした女性を下着姿にして両手を縛り、フジナガは彼女を天井から吊るしました。

人間とは本質的にマゾヒストではないか、と分析するフジナガ。そして彼女を辱め肉体を弄び、男尊女卑は愚かな考えだと語ります。

様々な自説を披露した上で、俺は決して女の敵では無いと主張しつつフジナガは彼女と行為に及びます。そして場面は戻り、刃を交えた女の喉を斬って倒すフジナガ…。

現実に戻りました。目的地に着いたフジナガは和服姿の女性を降ろします。全ては彼の歪んだ妄想に過ぎません。

今日も大量の錠剤をかみ砕いて飲み込むフジナガ。自らを鏡に映すとナイフを抜き放ち、妻の遺影の前に立ちます。

妻と体を重ねた幸せな日の思い浮かべた彼は、怒りに駆られ遺影を叩き落しました。割れたガラスの破片を握ると手から血が滴り落ちました。

もう耐えられない。今すぐ生贄を見つける必要がある。フジナガは、自らの暗い欲望を満たそうと決意します。

以下、『マニアック・ドライバー』ネタバレ・結末の記載がございます。『マニアック・ドライバー』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)MMXXI Akari Pictures

フジナガは獲物に相応しい相手を求めて何人もの、何組もの乗客を乗せ走ります。平時の罪に問われる殺人と、戦争時の賞賛される殺人を比較し、殺人の価値観は決して普遍的なものではないと主張するフジナガ。

ある日、国会議事堂の前で女性を乗せたフジナガ。足を怪我して杖を突きトランクを持った美しい女性は、亡き彼の妻に驚くほど似ています。

目的地に到着し彼女の荷物を渡す際に、トランクに付いた住所氏名を記したタグを撮影するフジナガ。彼が獲物に相応しいと感じた女性客はマユミ((古川いおり、二役)です。

彼女を降ろした後、妄想の中で何度も彼女を殺し、そして彼女に殺される姿を想像するフジナガ。

マユミを監視し始めた彼は、彼女に恋人がいると気付きます。フジナガはその恋人の男が、自分と同じく理不尽に愛する者を奪われたらどうするのだ、と問いかけます。

恋人と別れたマユミが手を上げたと気付き、慌ててタクシーを走らせるフジナガ。車に乗ったマユミは、運転手は昨日乗ったタクシーと同一人物ではないかと問いました。

フジナガは否定しますが、マユミは疑いを抱いた様子です。目的地で降りたマユミを見つめ彼女こそ自分の生贄、彼女を殺せば自分も死ねるとフジナガは確信します。

その夜、彼は鏡の前でナイフを振るって殺人を練習をします。鏡の中の自分に「俺に用か?」と問うフジナガ。

東京の人通りの多い夜の雑踏の中を、黒いフルフェイスのヘルメットとレーシングスーツ姿のフジナガが歩いていました。

彼はオートロックのマンションに、住民に続いて忍び込みます。無人のマユミの部屋に侵入してベットの下に身を隠し、彼女と3日3晩愛し合い、その後殺し、自分も死ぬと決意するフジナガ。

マユミが帰ってきましたが彼女だけでなく恋人、その恋人が盲信する霊能者と称する男も現れます。足が治らずモデルの仕事に復帰できない原因は霊障だと言い、彼女の服をはぎ取り「先生」と性行為をすれば治ると主張するマユミの恋人。

男たちはマユミに強引に迫り、その騒ぎをフジナガは黙って聞いていました。「先生」が彼女の体を奪おうとした時、目の前で死なせた女から「マユミを助けろ」、と告げられたと理解するフジナガ。

ベットから飛び出したフジナガが、マユミの恋人を人質にしてナイフを向けると、怪しげな「先生」は彼に銃を突き付けました。

恋人の男の首をへし折ったフジナガの胸に銃を放つ「先生」。弾丸は命中しますが、倒れたフジナガに襲われ相手は銃を落としました。激しく殴り合う2人。

フジナガはマユミの名を叫び、落ちた銃を拾うように指示します。「先生」を羽交い絞めにしてマユミに撃て、と叫ぶフジナガ。

マユミが放った銃弾は怪しげな霊能者の「先生」に命中しました。相手と共に倒れるフジナガに駆け寄ったマユミは、彼が防弾チョッキを付けていることに気付きます。

「死なないで、誰なの?」と叫ぶマユミの前で意識を失うフジナガ。パトカーのサイレンの音が近づきました。

後日。東京の街中にタクシーを走らせるフジナガの姿があります。

彼が持つ新聞の切り抜きには、「タクシーから降りた女性客の後をつける不審な2人組に気付いたタクシー運転手が、悲鳴を聞き駆け付け犯人を殺害、被害者を救い警察から感謝状を贈られた」と書いてありました。

マユミは自分を救ったフジナガに礼を告げようと彼の家を訪ねます。そこは殺風景なガレージに面した場所で、玄関代わりのシャッターを叩いて彼を呼ぶマユミ。

気付いた隣人(川瀬陽太)が現れ、フジナガは仕事に復帰したと教えます。医者の指示を無視して仕事に復帰したフジナガは、実におかしな人物だと隣人は語り始めます。

フジナガは18歳の時に人を殺したくて外人部隊に入隊したと称している、彼に殺された妻など存在しないと告げる隣人。マユミは彼から聞かされた話と違うと知り驚きました。

シャッターを開けフジナガの家に入るマユミ。それと同時にタイマーが作動し始めます。

マユミはフジナガが妻の遺影として飾った写真は、自分がモデルとして仕事をした時のものと気付きました。

彼女がその事実に愕然とした時、タイマーが切れシャッターが勢いよく落下します。それに挟まれ首を切断されたマユミ。

フジナガがタクシーを走らせながら、日々心に抱いていたものは、全て彼の妄想だったのでしょうか。フジナガがタクシーに乗せた女性客(きみと歩実)はコートを脱ぎ捨てます。そして、現れた裸身をまさぐり始める女性。

これもフジナガの妄想でしょうか。フジナガは観客を嘲笑するかのように、カメラに向かって大声で笑いだしました。

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映画『マニアック・ドライバー』の感想と評価


(C)MMXXI Akari Pictures

「ジャーロ(ジャッロ)映画」の系譜と称する作品、セックスとバイオレンスに満ち溢れた“ジャパニーズ・ネオ・ジャーロ”映画の誕生です

犯罪小説として始まった「ジャーロ」。当初は推理物の謎解き作品で、60年代初期のマリオ・バーヴァの映画にはミステリー要素が含まれており、この分野にダリオ・アルジェントが登場した当時、彼を「イタリアのヒッチコック」と呼ぶ声もありました。

しかし小説の「ジャーロ」も続々量産される内に殺人シーン、残虐シーンが売りになります。それらお視覚的に表現できる映画ではより過激化します。

撮影監督出身のマリオ・バーヴァは、映像のカラー化と共にそれらのシーンを刺激的な映像で表現し、アルジェントの映画は赤と青の照明を駆使したシーンなど、特徴的な色彩で知られています。

当時の「ジャーロ」映画の色彩美は、それにオマージュを捧げたエドガー・ライト監督作『ラストナイト・イン・ソーホー』(2021)で体感する事ができるでしょう

やがて「ジャーロ」映画の残虐描写はアルジェント監督と、この分野で活躍し始めたルチオ・フルチ監督によってホラー・スラッシャー映画に発展し、80年代を迎えます。

紹介したイタリアの(周辺国を含む)「ジャーロ映画」ですが、『マニアック・ドライバー』は単純にこれらの映画の後継者、という訳ではありません。より本作に影響を与えた作品が存在していました。

ニューヨークの映画人が「ジャーロ」を発展させる


(C)MMXXI Akari Pictures

1960年代にヨーロッパ映画界に新風を巻き起こしたヌーヴェルヴァーグ運動と、俗悪なジャンル映画「ジャーロ」。それは70年代の荒廃したニューヨークの街で結び付きます

当時のニューヨークをモデルに描かれたのが『ジョーカー』(2019)のゴッサム・シティ。いや、現実のニューヨークの方がはるかに危険な街だった…と言えば、どれほど荒んだ都市であったか想像できるでしょう。

そこで誕生したのが『タクシードライバー』(1976)。主人公の職業と性格、鏡の前の行動、そしてストーリー…。本作が『タクシードライバー』からどれだけ影響を受けているかはお気付きでしょう。

しかし本作をカンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作『タクシードライバー』と比較すると、あまりにも俗悪で狂気に満ちています。…これは無論、誉め言葉です

当時ニューヨークで映画製作を志した人々は、ジョージ・A・ロメロの『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968)の成功を目撃て、ミッドナイトムービーとして上映されるホラー・バイオレンス映画にチャンスを見い出します。

彼らを『タクシードライバー』の成功と、レンタルビデオブームが後押しします。ニューヨーク市のブロンクスで生まれ育ったアベル・フェラーラは、荒廃した街で悶々と暮らす己の怒りをぶつけた映画『ドリラー・キラー』(1979)を発表しました。

同じくニューヨーク出身のエクスプロイテーション映画作家ジェームズ・グリッケンハウスは、この街を舞台にしたバイオレンス映画『エクスタミネーター』(1980)を製作。この作品の主人公の黒づくめの姿は、『マニアック・ドライバー』の主人公フジナガの姿の元ネタでしょう。

そしてマンハッタン生まれの俳優ジョー・スピネルは、自ら製作・主演を務めニューヨークで撮影したスプラッター映画、『マニアック』(1980)を発表します

『マニアック』でジョー・スピネル演じる主人公と、フジナガの妄想の方向性と性癖はかなり異なります。しかし共に妄想に支配され、己の攻撃性を女性に向ける姿は同一です。

『マニアック・ドライバー』がなぜ”マニアック”なのか、判りましたか?“ジャパニーズ・ネオ・ジャーロ”はイタリアの「ジャーロ」直系ではなく、「ジャーロ」の影響を受けニューヨークで誕生した映画の流れを汲むもの、と言えるでしょう。

世界に通用するエクスプロイテーション映画を手掛ける光武監督


(C)MMXXI Akari Pictures

70~80年にニューヨークで生まれた映画は、劇場で見る事が困難であっても、世界の多くの国でビデオソフトの形で鑑賞された、実にパワフルで刺激溢れるジャンル映画でした。

当時の荒んだニューヨークに住む映画人が生んだ、数々の映画たち。アメリカに在住し活躍する映画監督・光武蔵人はこれらの作品に自らを重ね、様々な思いを抱いているでしょう

現在日本で作られる多くの映画と異なる、純粋なエンターテインメントを追求したジャンル映画を作る光武監督の姿勢は、アメリカの地で養われたものかもしれません。

当初ピンク映画として企画された本作。AV作品でも活躍している女優たちが、狂気に満ちた主人公の妄想の中で様々な姿を披露します。

それはエロスとバイオレンスに満ちた映像です。あらすじネタバレでは可能な限り「差し障りない」表現で文字にしましたが、B級映画ファンなら実際には何が描かれたか察したことでしょう

国内だけでなく、常に海外マーケットを意識した作品を作る監督。突如登場する和風の「日本刀立ち合いバトル」などは、海外の映画祭での評価を狙ったものと説明しています。

日本の映画界が軽視する、世界の映画ファンを意識した娯楽性の追求。一方本作はそれだけでなく、監督の過去の映画への”マニアック”な愛情が込められていました。

ジャンル映画、特に1980~90年代に様々なホラー・バイオレンス・エロチック映画をレンタルビデオで鑑賞した方なら必見の本作。そして現在のインディーズ映画に物足りなさを感じる方も注目すべき作品です。

まとめ


(C)MMXXI Akari Pictures

最高のバットテイストが味わえる“ジャパニーズ・ネオ・ジャーロ”『マニアック・ドライバー』。「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」のファンなら必見の映画です

“マニアック”で危険なタクシードライバーを演じた木村知貴、現在活躍の場を広げている彼のファンならずとも、狂気の演技に魅了されるでしょう。

光武蔵人監督を飛躍させたゆうばり国際ファンタスティック映画祭。…本作はゆうばり映画祭の東京事務局長を務めた、故・外川康弘氏に捧げられています…。この映画祭が監督と木村知貴を引き合わせた場所でした。

木村知貴は監督のファンとして、本作に参加できてうれしいと語っています。そう話している彼も、その道のプロである女優との絡みシーンには緊張した、と話していました。

苦労を重ねて彼が演じたフジナガの、様々な妄想が具現化したシーンの数々は必見。熱延を見せた彼女たちのファンが近くにいるようなら、ぜひ教えてあげて下さい。

しかし狂気の男、フジナガの妄想は趣味がイイと言うより実に俗っぽいです。この俗っぽさと中2病ぎみの妄想は、エロチックなエクスプロイテーション映画のファン…私のような人物なら大いに納得するでしょう。

私が本作に『タクシードライバー』以上に影響を与えた、と信じる1980年の映画『マニアック』。この映画に魅了された人物にイライジャ・ウッドと、アレクサンドル・アジャ監督がいます

アジャ監督がプロデュースし、イライジャ・ウッドが主演を務めたスラッシャー映画が、リメイク版の『マニアック』(2012)。ジャンル映画であると同時に男性の暗く暴力的な部分を正面から語り、同時に妖しくも美しい映像で描いた力作でした。

一方『マニアック』(1980)に魅了された光武監督は『マニアック・ドライバー』を完成させます。”マニアック”は世界の様々な”マニアック”な人々を引き付け、”マニアック”な映画を誕生させています。

“マニアック”なB級映画ファンのあなた。だからこそ、『マニアック・ドライバー』は見るべき映画です

【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら





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