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Entry 2021/02/02
Update

Netflix映画『時の面影』ネタバレ感想と結末解説のあらすじ。キャリー・マリガンとレイフ・ファインズ共演で発掘調査を通してルーツを問うヒューマンドラマ|Netflix映画おすすめ15

  • Writer :
  • からさわゆみこ

連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第15回

第二次世界大戦の開戦が迫るイギリスのサフォーク州の田舎町サットン・フーで発見された遺跡の発掘調査を描いた、ジョン・プレストンの小説「The Dig」(2007)を元にしたNetflix映画『時の面影』をご紹介します。

サットン・フーの地主であり、考古学の知識を持つエディス・プリティーは、所有地にあるいくつかの“塚”について興味を抱き、独学で考古学を学んだ発掘調査員のバジル・ブラウンに調査を依頼をします。

発掘経験が豊かなバジルと幼い頃から発掘経験のあるエディス、この2人の“勘”がリンクした時、イングランド人のルーツを結び付ける世紀の大発見をします。

【連載コラム】「Netflix映画おすすめ」記事一覧はこちら

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映画『時の面影』の作品情報


Netflixオリジナル映画『時の面影』

【公開】
2021年(イギリス映画)

【原題】
The Dig

【原作】
ジョン・プレストン

【脚本】
モイラ・バフィーニ

【監督】
サイモン・ストーン

【キャスト】
キャリー・マリガン、レイフ・ファインズ、リリー・ジェームズ、ジョニー・フリン、ベン・チャップリン、ケン・ストット

【作品概要】
町の地主エディス・プリティーを演じたのは『17歳の肖像』(2009)で、アカデミー賞とゴールデングローブ賞で主演女優賞にノミネートされ、一躍注目を集めたキャリー・マリガンです。

“塚”を発掘調査するよう依頼された、発掘調査員のバジル・ブラウンには『シンドラーのリスト』(1993)『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(2005)など、多くの話題作に出演しているレイフ・ファインズが務めます。

他に『シンデレラ』(2015)、Netflix映画『レベッカ』(2020)で主演を務めた、リリー・ジェームズなどが共演しています。

映画『時の面影』のあらすじとネタバレ


Netflixオリジナル映画『時の面影』

1938年イギリス サフォーク州、一艘の小舟が初老の男と自転車を乗せて、川を渡りサットン・フーに向います。男はプリティ夫人から発掘の依頼を受け会いに行くのだと言います。

サットン・フーの田舎道を自転車で走り抜け、プリティ邸に到着すると男は「バジル・ブラウンです。プリティ夫人の依頼で来ました」と告げます。

依頼主のエディス・プリティは、“塚”のある場所へと案内します。そこは広大な土地に大小いくつかの塚が存在し、バジル1人では到底発掘できるものではありません。

エディスは初め地元のイプスウィッチ博物館に依頼をしたが、ローマヴィラの発掘調査で発掘者が不足していると断られ、バジルを紹介されたと話します。エディスは東西にいくつかある塚の中でも、ひときわ大きい塚の発掘をバジルに頼みました。

しかし、バジルはその塚の上に立つと地質の感じから、ここが“墳丘墓”だとしても中の副葬品などの宝は、すでに墓荒しや盗賊に盗まれてないだろうと推測します。

エディスの目的はお宝などではなく、シドー修道院の発掘作業をしていた父親を手伝っていたことから、その塚のことがどうしても気になり何かがあると感じていました。

バジルは「過去は何かを語り掛ける?」と言い、掘るにしても勘ではなく何かしらの根拠がないと、お金の無駄になると別の塚を発掘すうよう勧めます。

エディスは発掘賃金をイプスウィッチ博物館と同額で提示すると、「それでは受けられない。あそこは安すぎる」と、発掘を断りました。バジルもサットン・フーの塚を掘ってみたい気持ちはありましたが、諦めるしかありませんでした。

そこにエディスの使いが自動車で追いかけ、バジルに手紙を渡します。バジルが再びプリティ邸を訪ねると、エディスはバジルの要望を聞き賃金を上げ、近くに寝食する部屋を提供し、助手を2人用意しました。

こうしてサットン・フーの塚の発掘作業はバジルが行うことになります。しかし、作業をする塚はエディスが気になっている大きな塚ではなく、バジルが提案した塚の方です。

しばらくすると塚から古い木片が出土し、歓喜したバジルは急いでエディスを呼びます。エディスは進捗状況を見てもらうために呼んだ、イプスウイッチ博物館のリードモアと新しい館長のメイナードが一緒にやってきました。

バジルがその板を取り出すのをメイナードに手伝わせると、もろくなっていた木片は崩れてしまいました。リードモアは「出てきたのはそれだけか?」と、からかうように言います。バジルは板の腐食具合に気づけなかったことに自信を失いました。

さて、リードモアはエディスに別の話しもあって来ました。それは、ローマヴィラの発掘人が足りなくなったので、バジルを戻してほしいという要望でした。開戦の様相が色濃くなって来たため、ローマの発掘を優先し急ぎたいからです。

エディスは塚の発掘は最後までバジルに頼みたいが、決めるのは彼次第だと言います。

そこにバジルがやってきて言います。「あの木片はバイキング時代のものだと思い込んでいましたが、さらに古いもので私の目測が間違っていました。おそらく、アングル・サクソンのころのものです」

バジルがこう言うとメイナードは「絶対にありえない」と言い、リードモアは戻ってローマ遺跡の発掘に参加するよう促します。エディスが「あなた次第よ」と言うと、バジルは“残留する”と即答しました。

エディスは病死した夫の墓参りから戻ると胸の不調をおこします。ハウスドクターから神経症による“胃酸過多”だと診断され、その晩はツタンカーメンに関する本を読み過ごします。

翌日、エディスは作業をしている塚へ行き、掘った羨道の中でツタンカーメンを発見した考古学者の本を読んだと話し、もしこの塚が墓ならば遺体が出る可能性があり、それは使者に対する冒涜ではないかと案じます。

バジルは「“まるで時が止まったようだ”と?遺骸が発見されたとしても、審問委員会では死者に対し礼儀をもって扱う、済めば怒りもおさまるだろう」と、羨道の地面を掘り始めると掘った壕の土が崩落し、バジルは生き埋めになってしまいました。

バジルは懸命の救助で一命を取りとめることができました。エディスはバジルに「失神している時に何か見なかった?」と聞きます。バジルはただ頭の中に自分と同じ名前“バジル・ブラウン”だった祖父のことが浮かんだと言います。

その祖父は農夫でサフォークの土壌について教え込んでくれたと話します。するとバジルは何かを思い出したように、再び塚のある場所に戻り興奮したように言います。

「この土地は何千年もかけて耕され、塚の形が変わり盗賊たちは中心の場所を誤った。ここだけが楕円で周囲が円形なのはそのせいだ。」と・・・。

そして、エディスが気になっていた楕円形の大きな塚こそ、何か発見できる可能性を秘めていると確信し発掘すると決めました。

ある日、バジルは慌てた様子でイプスウィッチ博物館へと向かいメイナードを呼び「スネイプ墳丘で鉄の鋲(リベット)がみつかったよな!?」と興奮しながら質問し、白い布にくるんだ鉄の塊をみせるとメイナードは「驚いたな・・・」と、唖然とします。

塚へ戻ったバジルは助手のジェイコブズとスプーナーに、エディスに発掘場所を見せて驚かせようと準備をはじめます。

ロンドンに出かけていたエディスが帰宅した頃、バジルはプリティ邸に趣き大至急見せたい物があると告げました。エディスは息子のロバートも連れて塚へと行きます。

塚の上へ登り発掘場所を見下ろすと、そこには船首の形をした跡がはっきりと出土していました。ロバートはバジルに「なぜここに船が埋まっているの?」と質問を投げかけます。

バジルは「船は墓の役割」で「高貴な人が亡くなり」、川から船で運ばれ大勢の人たちの力によって、ここに埋葬された。と話し時代はアングル・サクソンで間違いないだろうと説明します。

バジルはエディスの“勘が正しかった”と言い、鉄のリベットを見つけたジェイコブズの手柄だと言います。エディスはバジルには祝福の助手の2人には労いの握手をしました。そして、バジルはさらに調査を進めることに意欲を燃やします。

以下、『時の面影』ネタバレ・結末の記載がございます。『時の面影』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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Netflixオリジナル映画『時の面影』

“鉄のリベット”や“船体跡”の発見に、リードモアやメイナードは黙っていません。すぐさまエディスのところにやってきて、イプスウィッチ博物館の偉業になることだから、発掘作業を引き継がせてほしいと申し出ます。

エディスはバジルにそのことを話しますが、「断った」と言います。そして、人手に従弟のローリーを呼びよせたと伝えます。

雨が降り出しエディスバジルは休憩小屋で親交をします。エディスはロバートの相手になってくれていることに感謝し、バジルはロバートと話すことは楽しいと答えました。

エディスはバジルが独学でラテン語や地質学を学んでいたことに触れると、“無知は罪”だからと言い、“天文学入門”のような本も書いたと話します。

バジルは学校は12歳までしか通えず、勉学に餓えていたと話し、エディスもまたロンドン大学の入学試験に受かりながら、父親の反対で通学は叶わなかったと話します。2人にはやりたい勉強が十分にできなかったという共通点がありました。

エディスはバジルをディナーに招待し、バジルは戸惑いながらもそれを受けました。ところが作業を終えて部屋に戻ると、バジルの妻メイが着替えなど、身のまわりのものを持って来ていました。

バジルは夕食の招待を断ります。エディスはバジルと夕食を食べながら、考古学の話しをたくさんしたかったのでしょう。その顔は少し寂し気にくもりました。

バジルはメイに一生を発掘にかけても、発見できるレベルの遺跡ではないと説明します。メイはバジルが発見した船に、すっかり魅入られてしまったことを理解します。

そしてメイは大勢の人が、この発見に目を付けて狙ってくるけど、発見したのはバジルなのだから、横取りされちゃいけないと忠告します。

その晩、突然大雨が降り出し、バジルは慌てて船を雨から守りに走ります。シートをかける作業中すべり落ちそうになったとき、遺跡に到着した従弟ローリーに助けられます。

翌日、エディスはロンドンの病院へ出かけます。胸の不調が回復しなかったのは、幼い頃にかかったリウマチ熱の後遺症で、心臓弁が損傷していたせいでした。医師からは今度、発作が起きたら命に危険があり、安静が必要だと診断されます。

ロンドンでは戦争の影が迫り、エディスの心には病気と戦争などの不安がよぎります。その上、エディスがロンドンから戻ると、リードモアが博物館の関係者と考古学者のフィリップスを連れて、勝手に塚まで押しかける騒動がおきていました。

リードモア達が現場に到着すると、発見された遺跡を目の当たりに驚きます。フィリップスは興奮しながら中へ降りようとしますが、バジルはその体格ではもろい船体は耐えられないと制止します。

フィリップスは「今日は通告に来た。これは国レベル発見だから、発掘作業は大英博物館が行う」と言い、掘削者は不要だとバジルに告げます。

リードモアはフィリップスに「あなたが発掘を引き継ぐと仰るのですか?」と聞くと「グライムズ、これは世紀の大発見だ・・・」と、全ての予定を変更し人を集め発掘の準備をするよう強引に指示します。

フィリップスは作業を続ける助手達に作業を止めるよう命令しますが、バジルは「あなたは私の雇用主じゃない。プリティ夫人の指示がない限り止めない」とキッパリと言います。

エディスは具合を悪くしソファで横たわっていると、バジルは勝手に部屋に入り、埋葬室の場所がわかりそうだと報告します。そして、エディスの意向を聞かせてほしいとつめ寄りました。

エディスはフィリップスからは政府の命令で、彼の支配下に置かれるから引き渡すように言われたと説明すると、バジルはそれなら仕方がないが、あと1日だけ作業させてほしいと願います。

様子のおかしいエディスにバジルは「どこか具合でも?」と聞き、執事を呼ぶベルを引くと、「フィリップスに命令をする権限はない。船は見つかったのはあなたが指示してくれたおかげだ。掘り出した時の気持ちを思い出して・・・」そういうと部屋を出て行きました。

バジルは虚しい気持ちになり、エディスは病で衰えていく気力と体力に苦しんでいました。バジルは雑務係として残されることになりますが、フィリップスの許可なしに船の中に入ることを禁じられてしまい、バジルは黙って船を後にし去っていきました。

バジルが家に帰るため自転車を走らせると、途中でロバートが無邪気に話しかけます。ロバートからいつ戻るの?と聞かれるとバジルはただ「すまない」と、言い走り出します。「行かないで」というロバートの声も届きません。

そのころローリーはエディスに「フィリップスから“私の船”には入るなとクビになったよ」と言います。エディスは怪訝そうにします。「フィリップスの下で働くのは大変だ。ブラウンさんが辞めるのも無理はない」と話すと、エディスは驚きます。

そのころロバートはバジルを追いかけて自転車を走らせていました。家に着いたバジルはエディスに黙って帰ってきたことで、船を発見させてくれた恩人にすることではないとメイにとがめられます。

バジルはどうせ発見者として名前も残らないから、と言いますが、名前を残したくて掘削の仕事をしてきたの?とメイに言われてしまいます。

「サフォークの土のことは誰よりもよく知っている。ケンブリッジを出ていなくたって、船があったこと、年代までもわかった。」とバジルは言い、ジェイコブズとスプーナ達の貢献も認められないと悔しがりました。

ところがメイは「そんなことは最後まで見届けなければ、そのチャンスまで失うわ。」と諭し、「過去や今が大事なのではなく、次の世代の人達が自分のルーツを知るために、未来と祖先と繋げてあげる仕事なのでしょう?」と言います。

メイはさらに「戦争の準備が進んでる中、土を掘る意義は未来永劫にに残る価値があるからよ」とバジルを励ましました。すると通りをロバートが自転車で通り過ぎたのをバジルは見つけます。

ロバートは「ブラウンおじさん、僕と約束したよね?望遠鏡で宇宙を見せてくれるって」と言い、バジルを驚かせました。エディスはすぐに迎えにきて「迷ったり死んでしまったらどうするの?」とロバートに言います。

バジルは「ロバートとの約束を忘れてしまって、思い出させに来てくれたんです」というと、エディスは「じゃあ、戻ってくれるの?」と問い、バジルは「そうします」と答えていました。

翌日からバジルは再び現場へ戻り雑務をこなします。そして、中心者グライムズに発掘の記録ノートを渡し、サポートに徹するのでした。

そこにスチュアート・ピゴットとペギー・ピゴットの夫妻が新しくメンバーに加わります。ペギーは自分の論文がフィリップスに認められ、指名されたのだと思っていましたが、繊細な遺跡の発掘作業に適した体系が理由だと知り失望します。

ローリーは発掘の記録として写真を撮り、エディスは発掘の様子を見学するようになりました。エディスは既に杖がないと歩けなくなるまで衰えていました。バジルはローリーにエディスの体調のことを聞くと「“大丈夫”としか言わない人だ」と答えます。

ある雨の日、作業ができなくなったフィリップスが「戦争が始まる前に作業を完了させたいのに」と愚痴を言うと、エディスはバジルを掘削者に戻すよう提案します。ペギーも名案だと同意し、夫のスチュアートも感心していたと助言します。

フィリップスはバジルには学者としての資格がないといいます。エディスはすかさず「それは偏見というものよ。フィリップスさん」というと、フィリップスは大声でバジルを呼びつけました。

バジルは発掘作業に復帰することができ、作業も着実に進んでいきました。埋葬室と思しき場所からその一部が出土し、ペギーがさらにそこから美しく装飾された、何かの一部を発見します。

「プリティ夫人、まだまだ出ますよ!」とペギーは興奮して叫びます。その言葉通りその辺りから副葬品が次々と発見され、バジルは船側板の部分から金貨を見つけます。

フィリップスに「6世紀後半のメロビング朝の金貨」だと、伝えます。フィリップスはバイキング時代に通貨はなかったと、疑わしく思いながらルーペで確認をすると、驚きの面持ちで「アングロ・サクソンだ」とつぶやきバジルをみました。

フィリップスはメンバーに「これは暗黒時代のものだ!歴史をひっくり返す、世紀の大発見だ!」と、宣言しました。

しかし、フィリップスは出土した副葬品の宝を、大英博物館に運ぶと言い出します。それを聞いたエディスは「空襲に備えて、所蔵品を避難させている博物館が安全とでも?」と言います。

続けて「人のお墓にあった物は審問によって、保管場所が決められるわ」そう言うと船を発見した責任者として、バジルに副葬品を自分の屋敷へ運ぶよう指示しました。

エディスも望遠鏡で星を眺めてバジルに聞きます。「人々はなぜ、船に死人を乗せて埋葬したのかしら。何か信仰的なこと?」バジルは「どこかに旅立たせようとしたのでしょう。あの世に行くか、星に向かうか・・・」

副葬品を掘りつくしたころにエディスは、出土した宝や船の遺跡を知人や村人に公開すると伝えます。そして、その晩イギリス王室はドイツとの開戦を宣言し、戦争へと突入したのです。

審問会で出された副葬品の行方については、満足のいく結果でした。しかしエディスは屋敷へ帰る自動車の中で、泣きながら「ごめんなさい」とバジルに言います。エディスは発掘調査を通して、自分の死をみつめて涙を流したのです。

「死んだら朽ちて消え去る」とネガティブになるエディスを「それは違います。洞窟の壁に残された手の跡のように、我々はずっと続いてきているのです。ですから消え去るのではありません」そう諭しました。

エディスは屋敷の庭で遺跡発見の祝賀パーティーを開きます。彼女はスピーチで発見された船の真ん中から埋葬室がみつかり、どこの副葬品よりも美しい船葬墓で、それをみつけ発掘したのは“バジル・ブラウン”だと発表しました。

その後バジルは船体の保存について説明します。すると、エディスは出土した宝は大英博物館に寄付をすると伝えます。そうすればより多くの人に素晴らしい発見を見てもらえるからです。

そして、フィリップスにはバジルの功績をちゃんと、認める計らいをするよう話しておいたと伝えました。

その晩、ロバートは船の中にクッションや毛布を敷き詰めて、エディスを寝かせると母親の死を受けとめ、強く生きていくという気持ちを、創作した物語で伝えました。

しばらくしたある日、バジルが船葬墓を元の状態に戻す作業をしていると、遠くに1人で手を振るロバートの姿をみつけます。バジルもまた“その意味”を察し手を振り返しました。

大戦中、サットン・フーの遺物はロンドンの地下鉄に隠され、一般公開されたのはエディスの死から9年後のことでした。そこにはバジル・ブラウンの名は記されておらず、彼の功績が世に知られたのは近年で、現在はエディスの名前と共に大英博物館の資料に載っています。

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Netflix映画『時の面影』の感想と評価


Netflixオリジナル映画『時の面影』

エディスは人生を通して発掘調査に縁をしていて、バジル・ブラウンも独学でありながら、サフォークに根付いた考古学の研究に勤しむベテランでした。全く異なる人生を歩んでも、古へのロマンが2人を結び付け大発見につなげたと感じます。

エディスは若い頃に母を亡くし、父親を長年介護していました。遠回りをしてやっと結婚をし高齢で出産しますが、まもなく夫も亡くしてしまいました。そんな彼女は人一倍、命の儚さを知っており、興味のある分野への情熱も強い女性なのです。

また、学びへの探求心は奇跡を起こすと考えると、勇気も与えてくれました。しかし、2人の功績が近年まで広まらなかった背景には、権威や権力のほかにも戦争が事実を風化させ、長きにわたって封印させていたのだろうと思い、平和への願いも深まります。

「サットン・フー」とは

サットン・フーの由来は「南部の農場」や「集落」という意味があります。作中でバジル・ブラウンが「何千年もかけて耕され続けた」という通り、農民や盗賊が地形を壊してからは、墓地とも知らずに農地として見られていたのでしょう。

しかし、その周辺には墳丘のある土地が点在し、スネイプ墳丘もその1つとして発見されていました。つまり、サットン・フーに残る塚も“墳丘”なのではないか?とエディスは興味を持ったのだと推測します。

結局、サットン・フーには大小18個の塚があり、その中の“マウンド1”と名付けられた一番大きな塚をエディス・プリティとバジル・ブラウンが発掘をして、船葬墓を発見し有名になりました。

作者の叔母「ペギー・ピゴット」

映画『時の面影』の原作は、ジョン・プレストンの小説「The Dig」です。作中の考古学者の卵“ペギー・ピゴット”は、プレストンの叔母にあたります。小説では発掘調査でのペギー・ピゴットの役割が強調されているようです。映画のペギー・ピゴットは違った形でデフォルメされました。

映画では夫のスチュアートは、どうやら同性愛者でカムフラージュのために、ペギーと結婚をしたような雰囲気です。ペギーは女としての愛情を注がれず、モヤモヤしながら発掘に参加していました。

いつしかローリーに恋愛感情を抱き、人妻のため一旦は諦めますが、エディスの助言で自分の気持ちに素直になり、ローリーと結ばれます。ところが戦争が2人を引き裂いていくという悲恋であり、そんなロマンス要素も取り入れた物語に仕上がっていました。

実際のペギーとスチュアートは1936年に結婚し、1956年に離婚をしています。彼女は英国の考古学者として60年のキャリアを積み、特にイギリスの先史時代の調査に強く貢献しました。

まとめ


Netflixオリジナル映画『時の面影』
Netflix映画『時の面影』は命が尽きても、親から子へ子から孫へ受継がれるものや、発見や語り継ぐ歴史によって、人々は繋がってきたことを“面影”に例えています。

考古学のような歴史的なものにはロマンがあり、精神世界にも通じていて神秘的な作品でした。

また、長い時の中で忘れ去られたり、私利私欲で塗り替えられた歴史でも、発見する者が必ず現れ、事実を示し表明していかなければならないと思わせた映画でした。

つまり原作の「The Dig」を書いたジョン・プレストンが、エディス・プリティやバジル・ブラウンの存在を示し、サットン・フーの歴史に正しく示してくれたのだと、思わずにはいられません。

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